2025年のM-1です。
<過去回>
→2024.12.22M-1グランプリ2024
→2023.12.24M-1グランプリ2023
→2022.12.18M-1グランプリ2022
→2021.12.19M-1グランプリ2021
→2020.12.20M-1グランプリ2020
→2019.12.22M-1グランプリ2019
→2018.12.2M-1グランプリ2018
→2017.12.3M-1グランプリ2017
→2016.12.4M-1グランプリ2016
1.ヤーレンズ
去年やおととしはコント漫才だったかと思いますが、今年は2人が喧嘩めいた言い合いをするしゃべくり漫才になっていました。ただ、手数多くボケを詰め込むという特徴はそのままでした。ボケには実にいろいろな種類のものがあり、数が多いだけにどんな人が見ても好みのものが1個ぐらいは見付けられるビュッフェのような構造になっていたと思います。前のボケが後に活きてくる伏線めいたクダリもありました。
難点は出井の演技力がイマイチなことですかね。特に動きを伴うツッコミをする場合、台本に基づいてやらされている感が抜けていませんでした(そうではないのだとしても、そう見えます)。そうなってしまうなら、動かない方がいいくらいです。動きを入れ込むなら、心の底からその動きが出てしまったように見えるように努める必要があります。
あと楢原はちょいちょい滑舌が怪しくて聞き取りにくい箇所がありました。
2.めぞん
ボケの吉野がしゃべっている時間が演説並みに長いタイプの漫才でした。
吉野が「お前本当に強がってたのかよ!」と絶叫した瞬間はおもしろかったのです。ただこの絶叫は、れまでのクダリを伏線としたものであり、そこに至るまでの伏線の部分ががそんなにおもしろくないのが難点だったと言えます。伏線のための伏線にしかなっていなかったのです。M-1のようなネタ時間の短い賞レースでは、前半を丸々それに捧げるのは致命的です。
ちなみにミュージカルみたいに2人で最後に歌い出すのも私の好みではありません。舞台劇とかだと最後を音楽で終えるのはそんなに珍しくはないのですが、漫才やコントでそれをやられても笑えた試しがありません。その理由はまだちゃんと言語化できませんが、「漫才なのにミュージカルっぽいことをやればそれだけでボケになる」というところで思考が止まっている場合が多いからじゃないですかね。ちゃんと曲調や歌詞の内容まで考慮したうえでボケになるかどうかを考え抜くべきじゃないでしょうか。しかも、ツッコミも一緒になって歌い出すと誰もツッコむ人がいなくなってしまいます。急にツッコミが職務放棄をすると、お客さんは面食らいますよ。
山内や柴田が指摘していたように、前半をフリに使ってしまったにもかかわらずこの歌のせいで後半の盛り上がりもイマイチになってしまいました。
3.カナメストーン(敗者復活組)
ダーツの旅を2人で再現するというコント漫才でした。
ツッコミの零士は、声が異様に甲高かったのですが、演技力の無さを素っ頓狂なキャラ付けで誤魔化しているように見えてしまいました。地声だったとしたら申し訳ないですが、そうだとしてもやはり心の底からあのツッコミ台詞が出ているようには見えませんでした。
ネタ中に起きていたことは、人体がチェーンソーで切れるとか、人を大砲で撃ち出すとかいった、カートゥーンみたいな内容が主でした。それをパントマイムと声で再現し、肝腎な部分は観客に想像で補わせていました。ただこれらの光景をリアルに映像化したらおそらく笑えるレベルには止まらないので、それをパントマイムの題材に選んだのは良いことだったと素直に思います。リアルに映像化した方が笑えるような題材だった場合、なんでそれをわざわざ漫才という形式でやるのか、という疑問が拭い去れないからです。
かといって、おもしろかったわけではありません。上記のような内容は別にトムとジェリー的なカートゥーンで散々やられていることで、新鮮味がなかったからです。
4.エバース
佐々木が素っ頓狂な話を町田に提案するネタでしたが、それにしてはボケの佐々木は笑みが漏れすぎでした。真顔を貫かないと素っ頓狂なボケを演じ切ったことになりません。
町田の演技力も、もっと磨けます。体がでかくて声が野太いので、伊達ちゃんみたいな心の底から声が出てきたようなパワフルなツッコミを目指してください。今はまだまだ、台本を読まされている感じが抜けていません。
大喜利力はかなりあると思います「思われねーよ実際は」とか「陰性→こわっ」とかは、町田にもっと演技力があればもっと笑えたはずです。エンジンとガソリンの話も見事な伏線回収になっていただけに、惜しかったです。
5.真空ジェシカ
いつもの形式のコント漫才でした。
去年の方がおもしろかったですね。川北の狂気的な演技については、去年もそのクオリティが向上していたと書いていましたが、今年も若干の向上が見られた思います。そして、ガクの演技力は安心のクオリティです。
そうなると後は川北が台本作りの際に行った大喜利でどれほど笑えるものが捻り出せたかという話になってきます。ここは完全に個人の好みになってしまうのですが、(駒場が評していた通り)幅は広かったと思います。ただ個人的には、去年の方が笑えるものが多かったです。
6.ヨネダ2000
ものすごく正統派の漫才をやったらおもしろいだろうなあと期待していたのですが、いつものヨネダ2000でした。露出が増えたからか2人の演技力に向上が見られたのは好感を持てました。そのうえ「高音のところを練習している」といったような、正統派の伏線も盛り込んでいました。加えて、誠が愛に吹っ飛ばされた瞬間は素直に笑えました。2人の体格バランスを活かした(=コンビの風貌を見た時に真っ先にお客さんが期待する)正統派なボケツッコミを初めてこのコンビから見ることができたからです。ただ、めぞんと一緒で、最後に2人一緒になって歌い出すのはやっぱり好きにはなれませんでした。
全体的には、ネタの端々に部分的に見られた正統派な笑いの方が笑えたということになります。2人の芸風がフリになって、「急にまともになるんかい」という笑いが生まれるからです。ただまあ、やりたいことができたのであれば良かったのではないでしょうか。
7.たくろう
2人の演技力は素晴らしいです。木村のリングアナもそれっぽいですし、赤木の「テンパりながらも木村に付き合う芝居」は最高です。木村の無茶ブリに併せて赤木がそれっぽいことを言っていくネタでしたが、その台詞作りにおける大喜利力も高いことが窺えました。
最後に名前が出てきた「お父さん」については、最初に名前が出てきた時はどっちのお父さんかすら分からなかったので、もっとちゃんと伏線を張っておいた方がいいと思います。
8.ドンデコルテ
渡辺の演説に小橋がツッコミを入れていくタイプのネタでした。
渡辺の演技力は、堂に入っています。しゃべりもさることながら、手の動きが頻繁なのにわざとらしくないのが素晴らしいです。出井には見習って欲しいです。小橋のツッコミ演技にも及第点をあげられます。
その反面でもないのでしょうが、笑いどころは少なく、最近流行りのクズ芸人が言いそうなことを言っているだけでした。ただ渡辺の演技力だけで、最後まで見ていることはできました。
9.豪快キャプテン
山下が早口でまくし立てて相方のべーやんと口喧嘩をするしゃべくり漫才でした。タイプとして似てるのは、ブラマヨです。
ボケの中心はべーやんが持っている「ポケットがパンパンの人は○○」という偏見なのですが、ここで大して大喜利ができていませんでした。でもまあ、山下の早口は見応えがありました。
10.ママタルト
特徴的な漫才師が続いた中で特に特徴のないコント漫才をしてしまっていました。2人の演技力は及第点だったと思いますが、出てきたボケに特に大喜利力の高さを感じ取れるものはありませんでした。去年と違って肥満のキャラクターに頼り切ったボケばかりではなかったのが良かったですが、特に爪痕を残せないまま漫才が終わってしまったことが一番おもしろかったぐらいです。
<最終決戦>
1.ドンデコルテ
1本目と同じで渡辺が演説をしていました。1本目と違う点と言えば、渡辺が急にキレ出す芝居も披露していたことですが、こちらも堂に入っていました。ただ題材とされていた「街の名物おじさん」も、「急にキレ出すおじさん」も、こちらは「本物」を散々見たことがあるので、大喜利的な驚きが特になかったのが弱味でしょう。
いくら演技力が高くても、本物のモノホン感には勝てません。
2.エバース
1本目の方がおもしろかったです。町田に人外をやってもらうというネタの構造は1本目と一緒でした。
佐々木から笑みがこぼれすぎなのと町田の演技力が今一つなのも1本目と一緒です。あと町田のそんなに巧くない顔芸も目立ってしまっており、それがノイズになっていました。あと町田が1回「人間」と「人形」を言い間違えていたように聞こえたんですが、どうですか?
3.たくろう
このコンビも1本目と同じ構造のネタをしていました。木村の無茶ブリに赤木がテンパりながら付き合わされるというネタです。2人の演技力の高さは感じ取ることができました。
新しい登場人物が出てくるときに赤木がかなり抵抗していたので、私は赤木が他の登場人物もやらされる展開を期待してしまいました。実際にはなかったですが、あった方が私は笑えたと思います。
<総評>
たくろうの優勝には異論はありません。
赤木が他のキャラをできるかどうかが、テレビに使われ続けるかどうかの分水嶺になるとは思いますが、テレビで売れることにはもうこだわらなくてもいいでしょう。
<過去回>
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→2021.12.19M-1グランプリ2021
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→2018.12.2M-1グランプリ2018
→2017.12.3M-1グランプリ2017
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1.ヤーレンズ
去年やおととしはコント漫才だったかと思いますが、今年は2人が喧嘩めいた言い合いをするしゃべくり漫才になっていました。ただ、手数多くボケを詰め込むという特徴はそのままでした。ボケには実にいろいろな種類のものがあり、数が多いだけにどんな人が見ても好みのものが1個ぐらいは見付けられるビュッフェのような構造になっていたと思います。前のボケが後に活きてくる伏線めいたクダリもありました。
難点は出井の演技力がイマイチなことですかね。特に動きを伴うツッコミをする場合、台本に基づいてやらされている感が抜けていませんでした(そうではないのだとしても、そう見えます)。そうなってしまうなら、動かない方がいいくらいです。動きを入れ込むなら、心の底からその動きが出てしまったように見えるように努める必要があります。
あと楢原はちょいちょい滑舌が怪しくて聞き取りにくい箇所がありました。
2.めぞん
ボケの吉野がしゃべっている時間が演説並みに長いタイプの漫才でした。
吉野が「お前本当に強がってたのかよ!」と絶叫した瞬間はおもしろかったのです。ただこの絶叫は、れまでのクダリを伏線としたものであり、そこに至るまでの伏線の部分ががそんなにおもしろくないのが難点だったと言えます。伏線のための伏線にしかなっていなかったのです。M-1のようなネタ時間の短い賞レースでは、前半を丸々それに捧げるのは致命的です。
ちなみにミュージカルみたいに2人で最後に歌い出すのも私の好みではありません。舞台劇とかだと最後を音楽で終えるのはそんなに珍しくはないのですが、漫才やコントでそれをやられても笑えた試しがありません。その理由はまだちゃんと言語化できませんが、「漫才なのにミュージカルっぽいことをやればそれだけでボケになる」というところで思考が止まっている場合が多いからじゃないですかね。ちゃんと曲調や歌詞の内容まで考慮したうえでボケになるかどうかを考え抜くべきじゃないでしょうか。しかも、ツッコミも一緒になって歌い出すと誰もツッコむ人がいなくなってしまいます。急にツッコミが職務放棄をすると、お客さんは面食らいますよ。
山内や柴田が指摘していたように、前半をフリに使ってしまったにもかかわらずこの歌のせいで後半の盛り上がりもイマイチになってしまいました。
3.カナメストーン(敗者復活組)
ダーツの旅を2人で再現するというコント漫才でした。
ツッコミの零士は、声が異様に甲高かったのですが、演技力の無さを素っ頓狂なキャラ付けで誤魔化しているように見えてしまいました。地声だったとしたら申し訳ないですが、そうだとしてもやはり心の底からあのツッコミ台詞が出ているようには見えませんでした。
ネタ中に起きていたことは、人体がチェーンソーで切れるとか、人を大砲で撃ち出すとかいった、カートゥーンみたいな内容が主でした。それをパントマイムと声で再現し、肝腎な部分は観客に想像で補わせていました。ただこれらの光景をリアルに映像化したらおそらく笑えるレベルには止まらないので、それをパントマイムの題材に選んだのは良いことだったと素直に思います。リアルに映像化した方が笑えるような題材だった場合、なんでそれをわざわざ漫才という形式でやるのか、という疑問が拭い去れないからです。
かといって、おもしろかったわけではありません。上記のような内容は別にトムとジェリー的なカートゥーンで散々やられていることで、新鮮味がなかったからです。
4.エバース
佐々木が素っ頓狂な話を町田に提案するネタでしたが、それにしてはボケの佐々木は笑みが漏れすぎでした。真顔を貫かないと素っ頓狂なボケを演じ切ったことになりません。
町田の演技力も、もっと磨けます。体がでかくて声が野太いので、伊達ちゃんみたいな心の底から声が出てきたようなパワフルなツッコミを目指してください。今はまだまだ、台本を読まされている感じが抜けていません。
大喜利力はかなりあると思います「思われねーよ実際は」とか「陰性→こわっ」とかは、町田にもっと演技力があればもっと笑えたはずです。エンジンとガソリンの話も見事な伏線回収になっていただけに、惜しかったです。
5.真空ジェシカ
いつもの形式のコント漫才でした。
去年の方がおもしろかったですね。川北の狂気的な演技については、去年もそのクオリティが向上していたと書いていましたが、今年も若干の向上が見られた思います。そして、ガクの演技力は安心のクオリティです。
そうなると後は川北が台本作りの際に行った大喜利でどれほど笑えるものが捻り出せたかという話になってきます。ここは完全に個人の好みになってしまうのですが、(駒場が評していた通り)幅は広かったと思います。ただ個人的には、去年の方が笑えるものが多かったです。
6.ヨネダ2000
ものすごく正統派の漫才をやったらおもしろいだろうなあと期待していたのですが、いつものヨネダ2000でした。露出が増えたからか2人の演技力に向上が見られたのは好感を持てました。そのうえ「高音のところを練習している」といったような、正統派の伏線も盛り込んでいました。加えて、誠が愛に吹っ飛ばされた瞬間は素直に笑えました。2人の体格バランスを活かした(=コンビの風貌を見た時に真っ先にお客さんが期待する)正統派なボケツッコミを初めてこのコンビから見ることができたからです。ただ、めぞんと一緒で、最後に2人一緒になって歌い出すのはやっぱり好きにはなれませんでした。
全体的には、ネタの端々に部分的に見られた正統派な笑いの方が笑えたということになります。2人の芸風がフリになって、「急にまともになるんかい」という笑いが生まれるからです。ただまあ、やりたいことができたのであれば良かったのではないでしょうか。
7.たくろう
2人の演技力は素晴らしいです。木村のリングアナもそれっぽいですし、赤木の「テンパりながらも木村に付き合う芝居」は最高です。木村の無茶ブリに併せて赤木がそれっぽいことを言っていくネタでしたが、その台詞作りにおける大喜利力も高いことが窺えました。
最後に名前が出てきた「お父さん」については、最初に名前が出てきた時はどっちのお父さんかすら分からなかったので、もっとちゃんと伏線を張っておいた方がいいと思います。
8.ドンデコルテ
渡辺の演説に小橋がツッコミを入れていくタイプのネタでした。
渡辺の演技力は、堂に入っています。しゃべりもさることながら、手の動きが頻繁なのにわざとらしくないのが素晴らしいです。出井には見習って欲しいです。小橋のツッコミ演技にも及第点をあげられます。
その反面でもないのでしょうが、笑いどころは少なく、最近流行りのクズ芸人が言いそうなことを言っているだけでした。ただ渡辺の演技力だけで、最後まで見ていることはできました。
9.豪快キャプテン
山下が早口でまくし立てて相方のべーやんと口喧嘩をするしゃべくり漫才でした。タイプとして似てるのは、ブラマヨです。
ボケの中心はべーやんが持っている「ポケットがパンパンの人は○○」という偏見なのですが、ここで大して大喜利ができていませんでした。でもまあ、山下の早口は見応えがありました。
10.ママタルト
特徴的な漫才師が続いた中で特に特徴のないコント漫才をしてしまっていました。2人の演技力は及第点だったと思いますが、出てきたボケに特に大喜利力の高さを感じ取れるものはありませんでした。去年と違って肥満のキャラクターに頼り切ったボケばかりではなかったのが良かったですが、特に爪痕を残せないまま漫才が終わってしまったことが一番おもしろかったぐらいです。
<最終決戦>
1.ドンデコルテ
1本目と同じで渡辺が演説をしていました。1本目と違う点と言えば、渡辺が急にキレ出す芝居も披露していたことですが、こちらも堂に入っていました。ただ題材とされていた「街の名物おじさん」も、「急にキレ出すおじさん」も、こちらは「本物」を散々見たことがあるので、大喜利的な驚きが特になかったのが弱味でしょう。
いくら演技力が高くても、本物のモノホン感には勝てません。
2.エバース
1本目の方がおもしろかったです。町田に人外をやってもらうというネタの構造は1本目と一緒でした。
佐々木から笑みがこぼれすぎなのと町田の演技力が今一つなのも1本目と一緒です。あと町田のそんなに巧くない顔芸も目立ってしまっており、それがノイズになっていました。あと町田が1回「人間」と「人形」を言い間違えていたように聞こえたんですが、どうですか?
3.たくろう
このコンビも1本目と同じ構造のネタをしていました。木村の無茶ブリに赤木がテンパりながら付き合わされるというネタです。2人の演技力の高さは感じ取ることができました。
新しい登場人物が出てくるときに赤木がかなり抵抗していたので、私は赤木が他の登場人物もやらされる展開を期待してしまいました。実際にはなかったですが、あった方が私は笑えたと思います。
<総評>
たくろうの優勝には異論はありません。
赤木が他のキャラをできるかどうかが、テレビに使われ続けるかどうかの分水嶺になるとは思いますが、テレビで売れることにはもうこだわらなくてもいいでしょう。
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