→作評トップ
A YEAR OF SPRINGS
A YEAR OF SPRINGS 
このゲームをやった理由は以下の4つです。
�〇核椶気枩萓犬痢慳技�悲な8bit』で紹介されていた。
��元々安いのがセールで更に安くなっていた（275円）。
��トロコンが極めて簡単であった。
�い修里Δ┘�ロスバイ対応なので275円でプラチナが2つ手に入る状態だった。
ゲームそのものは、ビジュアルノベルです。お話を読む作品です。
主人公はハル・エリカ・マナミという3人の日本人女性で、舞台も令和初頭の日本です。その3人の交流がお話のメインコンテンツですが、3人ともいわゆるLGBTであるというところに本作の特色があります。このあたりは詳しく書き過ぎるとそれ自体がネタバレになってしまうのですが、ネタバレをしないと感想の書きようがないので、以下全く配慮せずに続きを書きます。
ゲームに収録されているビジュアルノベルは3本あります。最初は1本しかプレイできず、1本目をクリア（プレイヤーの選択による分岐があり、特定のグッドエンドに到達しないとクリア扱いになりません）すると2本目以降が順々に解禁されていくという仕様です。
1本目はトランスジェンダーのハル（体が男性で性自認が女性）を語り部に、主人公の3人で温泉旅行に行くという話です。ハルは性別適合手術を受けているわけではなく、おそらく裸体は男性そのものなのだと思われます（このあたりの細かい描写はないので細部は不明です）。トランスジェンダーの方が令和初頭の日本で温泉旅行に行くという時点でひと悶着ありそうなことは容易に想像がつくのですが、エリカもマナミも、そして温泉宿のスタッフもハルに対してはとてもやさしくて配慮に溢れた対応（例えるならば、みんな道徳の教科書に出てくる善人のようです）に終始しており、朝ドラでよく見るような分かりやすい敵役（＝本作で言うのであれば、徹底的にステレオティピカルでプレイヤーの敵愾心を巧妙に煽ってくる差別主義者）は登場しません。それでもハルは温泉旅行に誘われた段階で思い悩み、宿に着いてからも温泉に入るかどうかで思い悩みます。終始悩みっぱなしなのです。すなわち本作は、エリカやマナミみたいな「善人」に囲まれた環境であっても（ドラマチックなドラマが展開されずとも）、周囲の気遣いに気疲れしてしまうというLGBT当事者たちの日常的な心の機微と生き辛さを描き出すことに注力した作品なのではないかと私は思っています。確かに、言われなければ気付きにくい視点なので、そこに注目したのは良かったと思います。
ただハルに関して言えば、分岐次第ではありますが、マナミが好きであるとエリカに告白する展開があります。すなわちハルはトランスジェンダーであることに加えてレズビアンもしくはバイセクシャルでもあったわけですが、こちらのL及びBに関しては描写の量も質も希薄であり、どうにもとってつけた感が否めませんでした。この程度であれば、主題をトランスジェンダーに絞っても良かったのではないかと思います。
2本目は語り部がエリカになっています。グッドエンドでは最終的にエリカとハルがいい感じになって終わり、3本目の前半でこの2人が付き合い始めたということが分かります。ただ2本目の主題もやはりハルのトランスジェンダーとしての日常的な生き辛さ・息苦しさであり、レズビアン及びバイセクシャルに関しては細かな描写がありません。1本目と同じで主題がぼやけるだけなので、あまり良くないと思います。
3本目は語り部がマナミになります。そして、終盤でマナミがアセクシャルまたはアロマンティック（以下、「A」と略記します）であるということが明らかになります。ただお話の力点はマナミが自分のこの性的傾向に気付くまでに置かれており、1本目や2本目でとても緻密に描写されていたトランスジェンダーの日常的な生き辛さのような、Aとして生きることのリアリティある描写はほとんどないと言っていいです。すなわちAに関しても、「LGBTを手広く扱いました」と主張するための申し訳程度の描写しかないのです。
このあたりは裏を返すと、そもそもLGBTやAをひとまとめに取り扱うことにあまり合理性がないということではないかとも思えてきます。彼ら彼女らには「性的少数者」という以上の共通点がないので、全てを手広く取り扱おうとすると本作のように却って主題がぼやけてしまいかねないということです。少々乱暴な例えかもしれませんが、思想信条も主義主張も大幅に異なる各種の野党を「野党」ということでひとまとめに取り扱っても本質が見えてきづらい、というようなことではないでしょうか。
上記の点が気にはなりましたが、トランスジェンダーとして生きることのリアルを知るのにはいい作品だとは思います。トロコンついでにやってみてはいかがでしょうか。「トロコンついで」みたいな言い方をするとまた怒られそうですが、知ってもらわない事には始まらない問題なので、入口は入りやすい方がいいと私は思っています。
ボリュームは、少ないです。全部のテキストを読んでも1時間ちょいです。スキップを駆使すれば5分程度でのトロコンも可能ですが、是非読んでください。
→作評トップ
�〇核椶気枩萓犬痢慳技�悲な8bit』で紹介されていた。
��元々安いのがセールで更に安くなっていた（275円）。
��トロコンが極めて簡単であった。
�い修里Δ┘�ロスバイ対応なので275円でプラチナが2つ手に入る状態だった。
ゲームそのものは、ビジュアルノベルです。お話を読む作品です。
主人公はハル・エリカ・マナミという3人の日本人女性で、舞台も令和初頭の日本です。その3人の交流がお話のメインコンテンツですが、3人ともいわゆるLGBTであるというところに本作の特色があります。このあたりは詳しく書き過ぎるとそれ自体がネタバレになってしまうのですが、ネタバレをしないと感想の書きようがないので、以下全く配慮せずに続きを書きます。
ゲームに収録されているビジュアルノベルは3本あります。最初は1本しかプレイできず、1本目をクリア（プレイヤーの選択による分岐があり、特定のグッドエンドに到達しないとクリア扱いになりません）すると2本目以降が順々に解禁されていくという仕様です。
1本目はトランスジェンダーのハル（体が男性で性自認が女性）を語り部に、主人公の3人で温泉旅行に行くという話です。ハルは性別適合手術を受けているわけではなく、おそらく裸体は男性そのものなのだと思われます（このあたりの細かい描写はないので細部は不明です）。トランスジェンダーの方が令和初頭の日本で温泉旅行に行くという時点でひと悶着ありそうなことは容易に想像がつくのですが、エリカもマナミも、そして温泉宿のスタッフもハルに対してはとてもやさしくて配慮に溢れた対応（例えるならば、みんな道徳の教科書に出てくる善人のようです）に終始しており、朝ドラでよく見るような分かりやすい敵役（＝本作で言うのであれば、徹底的にステレオティピカルでプレイヤーの敵愾心を巧妙に煽ってくる差別主義者）は登場しません。それでもハルは温泉旅行に誘われた段階で思い悩み、宿に着いてからも温泉に入るかどうかで思い悩みます。終始悩みっぱなしなのです。すなわち本作は、エリカやマナミみたいな「善人」に囲まれた環境であっても（ドラマチックなドラマが展開されずとも）、周囲の気遣いに気疲れしてしまうというLGBT当事者たちの日常的な心の機微と生き辛さを描き出すことに注力した作品なのではないかと私は思っています。確かに、言われなければ気付きにくい視点なので、そこに注目したのは良かったと思います。
ただハルに関して言えば、分岐次第ではありますが、マナミが好きであるとエリカに告白する展開があります。すなわちハルはトランスジェンダーであることに加えてレズビアンもしくはバイセクシャルでもあったわけですが、こちらのL及びBに関しては描写の量も質も希薄であり、どうにもとってつけた感が否めませんでした。この程度であれば、主題をトランスジェンダーに絞っても良かったのではないかと思います。
2本目は語り部がエリカになっています。グッドエンドでは最終的にエリカとハルがいい感じになって終わり、3本目の前半でこの2人が付き合い始めたということが分かります。ただ2本目の主題もやはりハルのトランスジェンダーとしての日常的な生き辛さ・息苦しさであり、レズビアン及びバイセクシャルに関しては細かな描写がありません。1本目と同じで主題がぼやけるだけなので、あまり良くないと思います。
3本目は語り部がマナミになります。そして、終盤でマナミがアセクシャルまたはアロマンティック（以下、「A」と略記します）であるということが明らかになります。ただお話の力点はマナミが自分のこの性的傾向に気付くまでに置かれており、1本目や2本目でとても緻密に描写されていたトランスジェンダーの日常的な生き辛さのような、Aとして生きることのリアリティある描写はほとんどないと言っていいです。すなわちAに関しても、「LGBTを手広く扱いました」と主張するための申し訳程度の描写しかないのです。
このあたりは裏を返すと、そもそもLGBTやAをひとまとめに取り扱うことにあまり合理性がないということではないかとも思えてきます。彼ら彼女らには「性的少数者」という以上の共通点がないので、全てを手広く取り扱おうとすると本作のように却って主題がぼやけてしまいかねないということです。少々乱暴な例えかもしれませんが、思想信条も主義主張も大幅に異なる各種の野党を「野党」ということでひとまとめに取り扱っても本質が見えてきづらい、というようなことではないでしょうか。
上記の点が気にはなりましたが、トランスジェンダーとして生きることのリアルを知るのにはいい作品だとは思います。トロコンついでにやってみてはいかがでしょうか。「トロコンついで」みたいな言い方をするとまた怒られそうですが、知ってもらわない事には始まらない問題なので、入口は入りやすい方がいいと私は思っています。
ボリュームは、少ないです。全部のテキストを読んでも1時間ちょいです。スキップを駆使すれば5分程度でのトロコンも可能ですが、是非読んでください。
→作評トップ
最新コメント