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ENDER LILIES: Quietus of the Knights

 私が初めて本作の存在を知ったのは2021年末頃のいつかのファミ通でやっていたメトロイドヴァニア特集だったでしょうか。
 プレイ画面のビジュアルを見て「これは間違いない」と予想し、Metacriticでも高得点がついていたので、PS4版を購入してみました。

 そして私のこの判断に間違いはありませんでした。存分に楽しめた作品でした。

 本作を一言で言い現わすなら、「2Dソウルライクメトロイドヴァニア」となります。つまり、Hollow KnightSalt and Sanctuaryが一番近い作品になります。両者は共に「洋ゲー」になるので、本作も(タイトルが英語であることも相俟って)海外製のゲームだと勘違いされることがあるようですが、純国産のゲームです。そのため主人公に据えられているのも(日本人ウケしやすそうな)儚げな少女であり、またテキストの日本語にもほとんど違和感はありません。
 ゲーム性の部分は、先述のとおり「ソウルライクメトロイドヴァニア」そのものです。冒険の舞台となるのはひとつながりになった広大で複雑なマップであり、そこかしこに回復とファストトラベルができる拠点があって、拠点で休むと一部の例外を除き倒したザコが全て復活します。
 とはいえ、難易度は低めです。特に本家ソウルシリーズや先ほど類作として挙げた2本とは異なり、デスペナルティがありません。死んでも稼いだ経験値はそのままなのです。ストーリーも、本家ソウルシリーズを意識して断片的な説明に止めようとしている努力がそこかしこに伺えますが、あんまり隠しきれていません。ゆえにゲーム中で拾えるファイル等を読み込めば何が起きているかは大体分かる作りになっています(逆に言うと、ゲーム中で得られる情報を総合しても何があったのかよく分からないレベルの説明に止めることができるストーリーテリングも、才能の為せる技なんだと思います)。
 そんなわけで、本作は本家ソウルシリーズソウルライクの入門作としてピッタリです。本家のダークファンタジー感はそのままに、難易度を下げ、ストーリーも分かりやすくして、初心者にとっつきやすい仕上がりになっているからです。ボス戦の歯ごたえも、ちょうど良い感じです。死にゲーに慣れている人であれば10戦以内に突破できるレベルのボスが揃っています。ボリュームは少なめ(ちゃっちゃかやれば初見でも10時間で1周できます。あちこち迷いながらやっても20時間もかからないでしょう)で、エンドコンテンツも少ないですが、値段相応でしょう。

 知名度が低いのが惜しい良作なので、この機会に是非どうぞ。

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