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FINAL FANTASY VII REMAKE

 言わずと知れたFF7のリメイクです。
 方々で言っておりますが、私はこれまでコマンドRPGとは距離を置いたゲーム人生を送ってきたので、原作もやったことがありませんでした。とはいえ本リメイクはPS Plusのゲームカタログでタダでできるうえに世間様の評価も上々だったので、食わず嫌いも良くないだろうということで、やってみることにしました。

戦闘システム

 原作は純然たるコマンドRPGでしたが、本作はアクション風になっています。そうです。あくまでアクション「風」というところがミソです。一応戦闘は□ボタンが通常攻撃、△が強攻撃、R1がガード、○が回避とアクションゲームっぽい操作体系になっています。しかし、実はプレイヤーの技術でなんとかなる部分は少ないのです。死にゲー的な立ち回りで強敵に挑むということは難しく、相手が強敵であればあるほど回避が困難あるいは不可能な攻撃を出してくるので、どのようなメンバーに、どのような装備品(特にマテリアという本作独自の強化要素)を装備させて挑むかという事前準備の部分が重要になってきます。属性の相性を考慮することも大事です。またこちらから攻撃すると不可避的にダメージを受ける局面も多いので、回復手段の確保と定期的な回復もとても重要です。
 そうです。アクションゲームとはいっても、コマンドRPG的な考慮要素がとても多く、実際の戦闘の現場でもコマンドRPG的な立ち回りがかなり求められるのです。アクションゲームでもそういう作りにできるんだなということには単純に感心しました。
 とはいえ、コマンドRPGらしく敵が固くて戦いが長期化しがちという問題も常につきまとってはきます。

ストーリー

 分作(3部作で完結予定らしいです)の1作目なので、原作ストーリーの途中で終わります。本作が終わった時点では原作のストーリーは1/6〜1/5程度しか進まないらしいです(また原作を忠実に再現しているわけでもなく、結構改変がされているようです)。確かに脆弱なテロリストの主人公たちを操って神羅という強大な敵に挑むお話なので、敵に痛打を与える快感は全く感じられません。中盤以降は敵からやられたことにその都度場当たり的に対応するという展開を繰り返すので、対症療法に終始しているばかりでこちらのやりたいことは何一つさせてもらえません。チャプター4なんか、「次の対神羅テロに使うための爆弾を神羅の倉庫から盗む」なんていう回りくどすぎる内容ですよ(どうも、原作にはない展開のようです)。こういった点から、原作のストーリーを知らない私ですら若干引き延ばしによる水増し感を覚えてしまいました。まあ、2作目以降でもっとワクワクする展開になることを期待しましょう。

ビジュアル・演出面

・ティファの胸部が立派過ぎて気が散るというのは2Bのケツと一緒です。危険な作戦に挑むテロリストがあんなに薄着なのはお話のリアリティを削いでいると思います。
・それ以上にお話のリアリティを削いでいるのはクラウドです。ホストにしか見えない髪型、ガラ空きのワキ、身バレしてはいけないテロリストのはずなのに等身大サイズの大剣を背負っている間抜けさ(バレットのガトリングガンも同じことが言えます)などなど、言い出したらキリがありません。原作の粗めポリゴンではまだ飲み込めたツッコミどころの数々が、本作の綺麗でリアルなグラフィックでは猛威を振るっています。見ようによっては、「もしもバレバレのテロリストがいたら」というコントにしか見えません。
 他のソルジャーもホストみたいなビジュアルの奴が多い(ローチェとザックス等)ので、設定上ソルジャーというのはそういう人たちなのかもしれませんが、作中にはその設定を納得させてくれるほどの説明も演出もないのでどうしようもありません。
・台詞回しも妙に気取ったものが多く、登場するキャラクター全員が「上手いこと言わないと死ぬ病」にかかっている厨二に見えてきてしまいます。いわゆる「ノムリッシュ」というやつです(ただ脚本まで野村哲也氏が考えているわけではないそうなので、この言葉の使い方には注意した方がいいと思います)。そのわりに大して上手いことは言えていないので、特にホストみたいな恰好をしたソルジャー連中は気取っているくせに中身が追い付いていない与太郎にしか見えなくなってきます。これはFFオリジンをやったときにも感じたことなので、近年のFFってみんなそうなんですかね。
・エアリスは、しゃべるたびに新人舞台女優みたいな妙に大げさに芝居がかった動きをします。ただ、だんだん愛おしく見えてくるのが不思議です。芝居がかった動きも「多分天然でそういう人なんだろうな」と自分の中で勝手に納得できてしまいます。おそらくは、顔が良いうえに献身的にクラウドの世話を焼いてくれるから好きになってしまうのでしょう。

その他

・ストーリー中のパーティーメンバーの入れ替わりが結構激しいです。離脱したメンバーの防具やマテリアを他のメンバーに付け替えること自体はできるのですが、いちいち付け替えをしなければならないのが割りと面倒です。
・戦闘以外のアクション要素やパズル要素もありますが、とってつけたような内容でしかなく、あんまりおもしろくありません。特に腕みたいな機械でエアリスを動かすアレや、エアリスとティファで水位を下げるアレですね。
・コルネオコロッセオやバトルシミュレーターというやり込み要素がありますが、チャプターセレクトからじゃないとできません。チャプターセレクトからゲームを始めると当然コロッセオやバトルシミュレーターができるようになる自由行動時間までストーリーを進めなければならないので、かなり面倒です。メインメニューからできるようにしても良かったと思います。
・マリン役の方は若干演技力に難がある気がします。特に泣き声の演技ですね。

総評

 色々言ってはいますが、一度システムを理解した後はずっと本作だけをやっていることができたので、多分おもしろいんだと思います。安く手に入るならやってみてください。

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