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GRAVITY DAZEシリーズ

 1・2まとめて感想を記します。1はVita版を、2はPS4版をやりました。

 基本的には良質な箱庭アクションです。箱庭は、広いので、オープンワールドのアクションゲームと言っていいと思います。その中で主人公のキトゥンが様々な依頼をこなしていきます。メインストーリーが進むストーリーミッションと、脇道のサイドミッションやスコアアタック・タイムアタック的なチャレンジミッションがあります。

 筆者は、このシステムはすごくGTAと似ていると思っています。広大なオープンワールドを移動しながらお話のメインストリームと脇道要素を楽しむゲームですから。まあ、よくあるシステムなので、似ているゲームはもっとたくさんあると思いますが。

 主人公は重力を操れるという特殊能力を持っています。要は浮くことができて、空中を(ある程度)自由に飛び回れるのです。このアクションは十分楽しいので、アクションゲームとしては高いレベルで成立しています。オープンワールドは、点在する巨大な浮島に人々が暮らしている世界です。この世界はどういう成り立ちなのか、浮島の上や下には何があるのか、なぜ主人公だけ重力を操れるのか、などなどの謎は、2でだいたい説明されます。最後は、まどマギ的な自己犠牲エンドですけどね。

 小学生のような単純な勧善懲悪的判断を元に、直情径行で自分が悪と判断したものにぶつかっていく主人公は、背後にかなりの脆さを感じさせます。これは、人々の起臥寝食の場所が空中の浮島に過ぎず、地に足がついている人が一人もいないという世界観自体の「脆さ」と相まって、プレイ中に時折鳥肌モノの寒気を感じさせます。
 キトゥンは、殺しと盗みと嘘が全て悪、みたいな極めて単純な自分ルールの下に生きているのです。ただ主人公がそういう自分の単純な好き嫌いで動いていくだけでゲームの中の世界はどんどん良くなっていくので、これがエンターテインメント特有の快なる「嘘」なのでしょう。現実世界は、そう単純ではないですからね。ただだからこそ、最後には自分の信念を貫いた結果良くなった世界を主人公に見せてやりたかったです。自己犠牲のビターエンドには、ちょっと面食らいました(主人公が自己犠牲すれば世界が救われるという設定の説明も最後の最後に唐突に出てきており、とってつけたような感は否めませんでした)。どうせなら、最後までエンターテインメントの「嘘」を貫き通して欲しかったです。最後のストーリーミッションを終えるとそれを終える前に戻される「時オカ」仕様は、自分がやったことを否定されるようで少し遣る瀬無くなります。ビターに終わらせるなら、もっと前々からゲーム全体にそういう雰囲気を漂わせて体を慣れさせてほしいです(随所随所にはあったような気もしますが、足りないと思います)。ほのぼのとした展開だったにもかかわらず最後に唐突にああなるから、拒否反応も起きるのです。
 まあ、好みの問題ですけどね。

 2になるとボリュームは大幅に増します。オープンワールドはかなり広くなり、脇道のミッションも大幅に増え、コレクション要素も加わり、かなりGTAに近くなります。

その他
・2はロードがちょっと長いですかね。
・ワープポイント(マンホール)に行かないとワープが利用できないのはちょっと不便だと思います。「出口」をワープポイントという形で絞るのはいいのですが、「入口」はどこからでもいいという仕様の方が便利じゃないでしょうか。
・2の後半の大ボスに相当グロいのが1匹います。DoDを髣髴とさせるグロさです。人の顔についた目を蹴りつぶさなきゃいけないのは、かなり辛いです。人の顔についてない目だったら、もうちょいマシなんですけどね。時オカのゴーマとかね。
・これも2の話ですけど、採掘場に行くたびに往復で計4つの移動シーンが入るのは正直面倒です。スキップもできるんですが、スキップすると前述の「長めのロード時間」というのが入ってしまいます。
・キトゥンのあの黒い衣装は下着だったんですね。

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