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ずっと気になっていた作品でしたが、万障繰り合わせてついにプレイがかないました。プレイ映像やスクリーンショットを見るだけでクオリティの高さはひしひしと伝わってきていたのですが、私の目に狂いはなかったです。
やったのはPS4の「ヴォイドハート・エディション」という全ての無料DLCがひとつになったバージョンです。入手すべきかどうか迷っていたところPS Plusでタダだったのでダウンロードしてしまいました。
ゲームの中身は、2Dのアクションです。メトロイドヴァニアにソウルライクの要素をかなり濃い目に混ぜた作品です。
ゲームの舞台は全てのエリアがひとつながりになってとても入り組んでいる広大な迷宮であり、各所にNPCやボスやアイテムが配置されていて、探索要素に富んでいます。これがメトロイドヴァニアというジャンルの特徴です。メトロイドヴァニアのゲームも数ある中で、本作は先述の通りソウルライクの要素がかなり濃いです。主人公の体力は少なく(初期値が5。体力の上限を増やすアイテムを全て集めれば9まで上がる。また他にも一時的に体力を上げる手段はある。敵の攻撃は喰らうと体力が1減る。一部の強ボスなど、一度に2以上減らしてくる敵もいる)、ごり押しは効きません。ボスがたくさんおり(同じボスのバージョン違い等々も含めれば40体以上)、いずれ劣らぬ強敵揃いです。こちらもごり押しが効く相手はほとんどおらず、基本的には攻撃を回避しながらチクチクと戦っていく必要があります。迷宮の各所には体力を回復できる拠点(ベンチ)がありますが、ここで回復をすると倒したザコが全て復活します。また敵を倒すと「ジオ」という作中の通貨が手に入りますが、死ぬとこれを全てロストします。回収するには、死んだ場所に出る「カゲ」という敵を倒す必要がありますが、これを倒す前に再度死ぬともう二度と回収できなくなります。ストーリーは、仄めかすような描写しかなく、難解です。主人公が何のために何をやっているのかはよく分からないので、序盤はどこに行っていいかもわからず、攻略情報がないと文字通り手探りでゲームを進めることになります。キャラクターの名前についても、MTGのように肩書がいちいち付けられていたり、その肩書がそのまま名前になっているような奴がいたりしています。ここもソウルライクな要素のひとつと言っていいでしょう。
例
肩書が名前に入っている
・MTG:「陰謀団の先手ブレイズ」「王冠泥棒、オーコ」等
・ソウルシリーズ:「灰色の大狼シフ」「陰の太陽グウィンドリン」等
・本作:「灰色の王子ゾート」「悪夢の王グリム」等
肩書がそのまま名前になっている
・MTG:「瞬唱の魔道士」「闇の腹心」等
・ソウルシリーズ:「深淵の監視者」「古の飛竜」等
・本作:「造反者の長」「収集者」等
ソウルシリーズとの違いは、アクションがもっさりしておらずだいぶハイスピードなことでしょうか。体感的にはロックマンXシリーズに似ていると思います。ソウルシリーズにおけるスタミナゲージもありません。攻撃もジャンプもダッシュも出し放題です。
もうひとつ本作に特徴的な要素として、ソウルによる体力回復があるでしょうか。ソウルゲージは、敵を攻撃するとだんだん溜まっていくのですが、これを消費して特殊な攻撃技を出せる他、体力を回復することもできます。ただこの回復時には大きな隙を晒すので、(特にボス戦の際は)きちんとタイミングを見計らわねばなりません(回復時の隙が大きいのはソウルシリーズも一緒ですね)。また、ソウルを回復に使うか特殊攻撃に使うかという駆け引きも生まれています。まあ、ビビッて体力回復を優先すると大抵失敗するんですけどね。
というわけで、目新しい部分はほとんどないと言っていいのですが、難しい代わりに何度も挑めば確実に腕前の上達を感じられる絶妙な強さのボス、黒と暗さを基調とした迷宮全体の雰囲気、キャラクターの名前やデザイン、BGMにSEなどなど、ゲームの各要素が全て高水準でありつつ、なおかつ個々の要素が食い合わせを起こすことなくきれいにまとまっている非常にハイクオリティの作品です。ローカライズも丁寧で、ソウルライクやMTGのようなファンタジックな雰囲気を壊していません。こんな感じで全ての要素が相互に噛み合っていないと、私もここまでのめり込むことはできなかったでしょう。お見事です。ソウルライクの要素が強い以上ボス戦がゲームの主軸にはなりますが、パルクールアクション的な「移動」が難しい場所も用意されています。たくさんのザコと戦う闘技場や、ボスラッシュモードもあります。1500円ちょいで入手できるとは思えないほど、クオリティも高いしボリュームも満点です。単純にトロコンレベルにやり込むだけでも40時間から60時間はプレイできるでしょう。
アクションゲーム好きは全員やるのです!
その他
・レベルの概念はありません。またポイントを消費してスキルを覚えていくというような仕組みもなく、全ての技は探索で手に入ります(拾うかボスを倒すか)。
・ファストトラベルの「駅」は、回復ができる拠点(前述のベンチ)とはまた違うものです。駅があれば隣にベンチがあることも多いですが、駅の数はベンチに比べると圧倒的に少ないです(つまり、ベンチが単独で設置されている場所が多くあるということです)。色々な要素をコンプリートするために迷宮の中を駆けずり回ろうとしても、目的地が駅から遠くて結構ダレるということがかなりあるのです。しかも迷宮は入り組んでおり、マップも簡素なものしかない(各「部屋」の外枠しか表示されておらず、中がどのように仕切られているかはマップを見ても分かりません。部屋の入口から出口まで直線的には行けず、迷路みたいな仕切りに従ってウネウネ進まないといけないという状況には頻繁に出くわします)ので、中々に大変です。メトロイドヴァニア]における探索とはそういうものだといえばそれまでなので、一概に「良くない」とも言えない点ではあります。
・登場するキャラクターのモチーフは、基本的に敵味方問わず(主人公も含めて)虫です。一応全体的にはかわいく図案化されていますが、苦手な方には辛いシチュエーションもあるかもしれません。
その他
・トロコンには「ハロウネストの神殿」というゲーム中に登場するボスほぼ全てと42連戦をするボスラッシュモードをクリアしなければなりません。
途中途中に回復ポイントは挟まりますが、中断セーブは一切できず、負ければまた最初からです(回復ポイントに、休むとオートセーブがされるベンチがあるので、試しにこのベンチに座った後ゲームを再起動してみましたが、神殿の外に締め出されました)。私は心を折られたので、巷間で瞥見した無敵バグなるものを使ってしまいました。2021年1月23日時点でヴォイドハートエディションでも無敵バグは有効だったことを一応報告しておきます。トロファーもこれで安心だ!
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やったのはPS4の「ヴォイドハート・エディション」という全ての無料DLCがひとつになったバージョンです。入手すべきかどうか迷っていたところPS Plusでタダだったのでダウンロードしてしまいました。
ゲームの中身は、2Dのアクションです。メトロイドヴァニアにソウルライクの要素をかなり濃い目に混ぜた作品です。
ゲームの舞台は全てのエリアがひとつながりになってとても入り組んでいる広大な迷宮であり、各所にNPCやボスやアイテムが配置されていて、探索要素に富んでいます。これがメトロイドヴァニアというジャンルの特徴です。メトロイドヴァニアのゲームも数ある中で、本作は先述の通りソウルライクの要素がかなり濃いです。主人公の体力は少なく(初期値が5。体力の上限を増やすアイテムを全て集めれば9まで上がる。また他にも一時的に体力を上げる手段はある。敵の攻撃は喰らうと体力が1減る。一部の強ボスなど、一度に2以上減らしてくる敵もいる)、ごり押しは効きません。ボスがたくさんおり(同じボスのバージョン違い等々も含めれば40体以上)、いずれ劣らぬ強敵揃いです。こちらもごり押しが効く相手はほとんどおらず、基本的には攻撃を回避しながらチクチクと戦っていく必要があります。迷宮の各所には体力を回復できる拠点(ベンチ)がありますが、ここで回復をすると倒したザコが全て復活します。また敵を倒すと「ジオ」という作中の通貨が手に入りますが、死ぬとこれを全てロストします。回収するには、死んだ場所に出る「カゲ」という敵を倒す必要がありますが、これを倒す前に再度死ぬともう二度と回収できなくなります。ストーリーは、仄めかすような描写しかなく、難解です。主人公が何のために何をやっているのかはよく分からないので、序盤はどこに行っていいかもわからず、攻略情報がないと文字通り手探りでゲームを進めることになります。キャラクターの名前についても、MTGのように肩書がいちいち付けられていたり、その肩書がそのまま名前になっているような奴がいたりしています。ここもソウルライクな要素のひとつと言っていいでしょう。
例
肩書が名前に入っている
・MTG:「陰謀団の先手ブレイズ」「王冠泥棒、オーコ」等
・ソウルシリーズ:「灰色の大狼シフ」「陰の太陽グウィンドリン」等
・本作:「灰色の王子ゾート」「悪夢の王グリム」等
肩書がそのまま名前になっている
・MTG:「瞬唱の魔道士」「闇の腹心」等
・ソウルシリーズ:「深淵の監視者」「古の飛竜」等
・本作:「造反者の長」「収集者」等
ソウルシリーズとの違いは、アクションがもっさりしておらずだいぶハイスピードなことでしょうか。体感的にはロックマンXシリーズに似ていると思います。ソウルシリーズにおけるスタミナゲージもありません。攻撃もジャンプもダッシュも出し放題です。
もうひとつ本作に特徴的な要素として、ソウルによる体力回復があるでしょうか。ソウルゲージは、敵を攻撃するとだんだん溜まっていくのですが、これを消費して特殊な攻撃技を出せる他、体力を回復することもできます。ただこの回復時には大きな隙を晒すので、(特にボス戦の際は)きちんとタイミングを見計らわねばなりません(回復時の隙が大きいのはソウルシリーズも一緒ですね)。また、ソウルを回復に使うか特殊攻撃に使うかという駆け引きも生まれています。まあ、ビビッて体力回復を優先すると大抵失敗するんですけどね。
というわけで、目新しい部分はほとんどないと言っていいのですが、難しい代わりに何度も挑めば確実に腕前の上達を感じられる絶妙な強さのボス、黒と暗さを基調とした迷宮全体の雰囲気、キャラクターの名前やデザイン、BGMにSEなどなど、ゲームの各要素が全て高水準でありつつ、なおかつ個々の要素が食い合わせを起こすことなくきれいにまとまっている非常にハイクオリティの作品です。ローカライズも丁寧で、ソウルライクやMTGのようなファンタジックな雰囲気を壊していません。こんな感じで全ての要素が相互に噛み合っていないと、私もここまでのめり込むことはできなかったでしょう。お見事です。ソウルライクの要素が強い以上ボス戦がゲームの主軸にはなりますが、パルクールアクション的な「移動」が難しい場所も用意されています。たくさんのザコと戦う闘技場や、ボスラッシュモードもあります。1500円ちょいで入手できるとは思えないほど、クオリティも高いしボリュームも満点です。単純にトロコンレベルにやり込むだけでも40時間から60時間はプレイできるでしょう。
アクションゲーム好きは全員やるのです!
その他
・レベルの概念はありません。またポイントを消費してスキルを覚えていくというような仕組みもなく、全ての技は探索で手に入ります(拾うかボスを倒すか)。
・ファストトラベルの「駅」は、回復ができる拠点(前述のベンチ)とはまた違うものです。駅があれば隣にベンチがあることも多いですが、駅の数はベンチに比べると圧倒的に少ないです(つまり、ベンチが単独で設置されている場所が多くあるということです)。色々な要素をコンプリートするために迷宮の中を駆けずり回ろうとしても、目的地が駅から遠くて結構ダレるということがかなりあるのです。しかも迷宮は入り組んでおり、マップも簡素なものしかない(各「部屋」の外枠しか表示されておらず、中がどのように仕切られているかはマップを見ても分かりません。部屋の入口から出口まで直線的には行けず、迷路みたいな仕切りに従ってウネウネ進まないといけないという状況には頻繁に出くわします)ので、中々に大変です。メトロイドヴァニア]における探索とはそういうものだといえばそれまでなので、一概に「良くない」とも言えない点ではあります。
・登場するキャラクターのモチーフは、基本的に敵味方問わず(主人公も含めて)虫です。一応全体的にはかわいく図案化されていますが、苦手な方には辛いシチュエーションもあるかもしれません。
その他
・トロコンには「ハロウネストの神殿」というゲーム中に登場するボスほぼ全てと42連戦をするボスラッシュモードをクリアしなければなりません。
途中途中に回復ポイントは挟まりますが、中断セーブは一切できず、負ければまた最初からです(回復ポイントに、休むとオートセーブがされるベンチがあるので、試しにこのベンチに座った後ゲームを再起動してみましたが、神殿の外に締め出されました)。私は心を折られたので、巷間で瞥見した無敵バグなるものを使ってしまいました。2021年1月23日時点でヴォイドハートエディションでも無敵バグは有効だったことを一応報告しておきます。トロファーもこれで安心だ!
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