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LA-MULANA

 メトロイドヴァニアの一作です。
 高難度と聞いていたので買ってからしばらく放置していましたが、このほどやり遂げました。

 難度が高いのは、確かです。特に謎解きとボス戦の難度が高いです。
 謎解きの難易度は、見ようによっては「理不尽」のレベルに達していると思います。本作はメトロイドヴァニアなので、舞台となる広大な遺跡を探索し、色々な仕掛けを解きながらここを徐々に探査していくことになるのですが、まず仕掛けの解き方がこの手のゲームの常識から外れていることが多いです。『たけしの挑戦状』レベルとは言いませんが、それに準じたレベルにはあると思います。新しく獲得した技やアイテムを使うだけで解けるような単純なギミックは体感的には少数派であり、例えば「特定のマップの特定の背景の前で武器を右に〇回、左に□回振ると解除される」みたいなギミックが普通に本編に盛り込まれています。
 とはいえ、さすがに『たけ挑』ほど理不尽ではありません。ヒントは、ちゃんとあります。マップ中に多数の石碑が散りばめられており、この石碑にヒントが書かれているのです。しかし、まずこの石碑を読むのに特定のアイテムが必要です。ところが、ゲームを始めてもチュートリアル的なものはなく、何の説明もなしに広大なフィールドに放り出されるので、わけもわからずに彷徨っているうちに体力が尽きて最初からやり直す羽目になるというのはこのゲームの初心者あるあるでしょう。そのため攻略サイトを見ると「まずは説明書(制作側が、古き良きレトロゲームの取説を模した電子説明書を公開しています)を読め」ということが書かれています。このあたりは、親切なチュートリアルのなかった80年代〜90年代前半くらいまでのゲームを模して敢えてこういう「鬼畜」な作りにしているのでしょう。
 こういった経験を経て石碑を読めるようになっても、まだまだゴールは程遠いです。本作のマップは他のメトロイドヴァニアよろしくいくつかのエリアに分かれているのですが、ヒントの書かれた石碑が他のエリアにあることは日常茶飯事です。石碑の内容もとても抽象的なものが多く、どこのエリアのどこの仕掛けのヒントなのかを推し量るのは難しいです。仕掛け自体も、あるエリアのギミックが(そのエリアではなく)他のエリアの道を開ける作りになっていることも多く、本作以上に色々なエリアを行ったり来たりしながら攻略していく必要のあるメトロイドヴァニアは、私は経験したことがありません。とにかく、「今いるエリアをじっくり攻略していく」というやり方では前に進めない作りになっているのです。
 加えて言うなれば、本作の操作性やザコのシステムは、この謎解きの難易度の高さと食い合わせが悪いと思います。本作はジャンプの操作性が独特であり、魔界村のようにジャンプに妙な慣性がかかります。助走しながらジャンプをすると、ほぼ方向転換ができなくなるのです。空中で自在な操作をしたい場合は助走をせずにその場ジャンプをしてから左右の入力をする必要がありますが、その場ジャンプも滞空時間が長めな代わりに左右移動が始まるまでにはボタンを押してから結構なタイムラグがあるという癖強めの仕様であり、慣れるまではかなり難しいと思います。また本作のザコは、原則的には無限湧きであり、画面を変えると復活してしまうことが多いです。そのうえ量も多く、攻撃も激しいです。
 このジャンプ操作の癖と鬱陶しいザコたちが、本作における自在な探索を妨げているのです。本作を自力で進めていくには、行ける場所をひたすら歩き回って石碑を読みながら情報を集めていく必要があるのですが、ウロウロしようにも面倒くさいのでその気が削がれるのです。
 ボス戦も、良い死にゲーのボスのように「ひたすら練習さえすれば完封できるようになる」という感じではなく、行動が完全にランダムであるため、「勝つためには運が必要」なやつが多いです。特にサブウェポン(飛び道具)を使わずに全てのメインボスを倒すというトロフィーの獲得を目指し手本作をプレイしていると、その傾向を強く感じます。あまり洗練されている感じはしません。

 そんなところです。どうしても癖が強いことは否めない作品ですが、ハマる人にはハマるみたいなので、ここまで読んで自分にはぴったりだと思った方はやってみましょう。私には申し訳ありませんがハマらなかったので、最初から攻略サイトべったりでやってしまいました。

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