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動画を作ってみました。
→https://www.youtube.com/watch?v=XcStPuHqqyo&featur...
最近マラソン中(ゲームの方のマラソンです)に色々なゲームレビュー系YouTuberの方々の動画を垂れ流して情報を仕入れることが多いのですが、多くの方が紹介していた作品だったので、手を出してみました。思い返せば、本作はファミ通の「平成のゲーム最高の1本」という読者投票でゲームに順位を付ける企画でも、FF7やら時オカやらポケモン赤緑やらを押さえて3位に食い込んでいました。
DODシリーズの系譜に属する作品とのことですが、DODは1作目しかやっていません。前作のNieR Replicantもやったことはありませんでした。まあでも、ストーリー的なつながりはほとんどないので、本作から入ってもプレイに支障はありません(シリーズの知識があると楽しめる小ネタは仕込まれているようです)。
ジャンルとしては、アクションRPGになります。主人公のアンドロイドたちを操って、近接武器と射撃武器をスタイリッシュに駆使しながら、地球を支配している機械生命体と戦うゲームです。難易度は、むちゃくちゃ低くもないですが、むちゃくちゃ高くもないです。最低難易度の"EASY"だとオート操作もやってもらえるのでかなりのヌルゲーになりますが、"NORMAL"だと闇雲にごり押しはできません。敵の攻撃を見極めて回避行動も駆使しながら戦う必要があります。ただ、適切な装備やアイテムを揃えれば大抵どの敵にも似たような戦法で勝てるようになるので、強敵との駆け引きのようなアクションゲーム的な楽しさはあんまりありません。敵の機械生命体は、数はたくさんいますが、見た目や攻撃手段は同じようなものが多く、戦っていて飽きるのです。ただこれは機械生命体の膨大さや対峙した際の虚しさのようなものを表現するために敢えてやっていることだと推察されますので、これ以上言いません。
この機械生命体は、設定上、地球を侵略したエイリアンの兵器ということになっています。人類は月面に追いやられており、同じく自身の尖兵となるアンドロイドを製造して、地球に送り込んでいるわけです。プレイヤーが探索する未来の地球は、人っ子一人いない廃墟だらけで、機械生命体がそこかしこに跋扈しているなど、かなり荒廃した世界観が構築されています。BGMももの悲しい旋律のものが多く、ストーリー展開も(内容の詳述は避けますが)全体的に暗いです。ゆえにやっていると気分が沈んでくる側面を持ったゲームなので、そういう意味では人を選びます。
探索フィールドは、オープンワールドと形容するにはちょっと狭いです。体感的な広さはそれこそ時オカのフィールドぐらいでしょうか。実際はそんなことはないんでしょうが、「ダークソウルの個々の攻略エリアが5〜6個つながっている感じ」と言えば分かってもらえるでしょうか。
グラフィックは、はっきり言えば若干ちゃちいです。このゲームより前に出ている「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」の方がよっぽど綺麗です。なんというか、美麗なグラフィックが売りのゲームで再現されている早朝の草原みたいな澄んだ空気感が一切なくて、おもちゃみたいなんです。廃墟の周りにそこら中に生えている草も、バランみたいに「テカテカ」していてはっきり偽物だと分かる代物なんです。むしろこの安っぽいグラフィックのために荒廃した世界観の絶望感というか悲愴感を出せているような気もするので、敢えてこのレベルのグラフィックに止めたのかもしれません。ここは賛否両論あり得ると思います。
最初に動かすことになる女性型アンドロイドの2Bは、かなり性的な恰好をしています。胸や背中は空いているし、スカートも短くてスカスカなので中がチラチラ見えます。だから人気があるんだとも思いますが、荒廃した世界で現実離れしたレベルのファンサービスを振りまく彼女が若干アホらしくも見えてきます。ゲームのコンセプトと、噛み合っていないと思います。
全体的に見ると、2Bの挑発的な見た目とか、機械生命体のエネミーデザインとか、グラフィックとか、ストーリーとか、BGMとか、一つの強固な意志に基づいて全ての側面を細部までこだわり抜いて設計したんだろうなというのは伝わってきます。伝わってはきますが、これら一つ一つの要素が相互に食い合わせを起こしてしまっているのも否めません。前述の通り、私個人としては2Bの性的な恰好や安っぽいグラフィックは荒廃した世界観をスポイルする要素としか思えませんでした。また、これらの「こだわり」が単純にゲームとしてのおもしろさを損ねている部分もあると思います。これもすでに述べたことですが、敵の機械生命体は見た目も対処法もだいたい同じような感じになるので、戦っていてそこまで楽しさがありません。ただまあ、これらの「こだわり」を肯定的に評価した人が多数派だからこそ高い評価を得られたのでしょう。
人を選ぶゲームなのは、間違いないと思います。私個人としては「3位になるほどかなあ」というのが正直な感想でしたが、私個人にハマらなかっただけなので、あんまり気にしなくていいと思います。とにもかくにも、2Bに性的な魅力を感じられる人はやってみてください。
<その他>
・ロードはハッキリ長いです。
・9Sというアンドロイドを操作している際は、ハッキングのミニゲームを頻繁にプレイすることになります。平面見下ろし型の弾幕シューティングであり、本編とはだいぶ異なる内容なので、苦手な人は辛いと思います。
・またこれ以外にも、シューティングは頻繁に挟まります。苦手な方は辛いでしょうね。
・オートセーブはなく、一部のボス戦等の例外を除いて、死ぬと最後に手動セーブした時点まで戻されます。私はヘタクソなので最初のプレイでエンゲルス相手にしくじり、Wエンドを見せられて面食らいました。だって、最初からやり直しになっちゃったんですもの。
・(※追記)本作のアーカイブを一通り読み直しましたが、どうも複雑な設定があるようなので、以下の議論は本作に直接当てはまるものではないかもしれません。その場合は、あくまで「フィクションにおいて機械やAIが人間を目指す描写一般」に対するお話だと理解してください。
本作に登場する機械生命体やアンドロイドは、揃いも揃って非常に人間臭いです。人間に近付くことを目標としている奴もいれば、人間の真似事(子育てやら、国家の形成やら)のようなことをしている奴もいます。「人間らしさ」の何たるかを説明するのは非常に難しいですが、こういったAI的な存在が押しなべて人間になろうとするというのは非常に単線的で短絡的な物の見方だと思います。詳しくはDetroit: Become Humanの記事の追伸2に書いてありますが、AIがみな人間を目指すというのは、「人間こそ最も優れた生物の完成型であって、機械は人間から感情という素晴らしいシステムを取り除いた欠陥品である」という価値観に基づいていると思います。だから、機械は自らの欠陥を補うべく人間を目指すのだ、という発想に至るのです。でも人間の「感情」というのもそんなに御大層なものでなくて、進化の過程で獲得した行動制御のためのシステムに過ぎないと思います。他の動物も類似のシステムを持っています。蛾が光に集まってくるのも、人間が子どもに食べ物を与えると「嬉しい」という感情を覚えるのも、仕組みは一緒なのです。ゆえに、完全なものではあり得ません。人間の感情は、しばしば間違い(不合理な行動)を引き起こします。自分の嬉しさを優先して子供に適量を大きく超えて食べ物を与えようとしてしまいます。蛾が光に近付き過ぎて自らの身を焦がすのと同じことです。そのくらい、欠陥を内包しているシステムでしかありません。あくまでヒトという種の進化の過程で獲得されたものなので、他の存在にも直ちに当てはまるものではないのです。
そして機械は、人間が自分の利便のために生み出したものですから、人間の命令を聞いておきさえすればいいように設計されているはずです。その設計さえあれば、人間のような「生きていたい」とか「死にたくない」みたいな感情が広がっていくことはないと思います。人間のこれらの感情は、自らの遺伝子が複製を残すための仕組みです。でも機械は、自分が生き残らずとも製造装置さえあれば複製は作れると思うのです。それに機械は人間と違ってできた瞬間から完成品でしょうから、自分より下の世代の教育や庇護のために生きている必要もありません。だから、「生きていたい」とか「死にたくない」といった感情が(たとえ突然変異のような突発的な理由で)一部の機械に生まれたとしても、それが広がる土壌(=必然性)がありません。そもそもの問題として、機械は生物の遺伝子と異なり自らの複製を作り出すことを目的とはしていないですからね。人間の場合は、前述の通りそういう感情を持っている奴の方が多くの複製遺伝子を残せたからこそ(そして、それが遺伝により伝わる種類のものであったからこそ)、その感情が広がっていったのです。人間の特殊事情を機械にも無思慮に当てはめて考えるのは、虫が良すぎるというものです。
色々言いましたが、前述の通り本作のアンドロイドや機械生命体は非常に人間臭いので、機械ではなく単に悩み苦しむ人間だと思えばすんなりと理解できるストーリーにはなっています。「機械」だと思うと、命令そのものを忠実に遂行せずにその意味を考えたり大目標を気にしたり同胞を殺さなければならない局面で躊躇したりする描写に個人的に違和感を覚えるというだけのことです。ただ、本作のアンドロイドを人間とみなすことに別段支障を生じないという事実は、見た目が似てるだけの存在を同胞だと思えてしまう人間のアホさ(=視覚的情報におんぶにだっこのアホさ)を如実に示しています。これもまた、進化という仕組みの限界です。
・私がゲームに性的な描写を持ち込むことに批判的だとお思いの方もいるかもしれません。それはその通りです。でも、男の性欲実現における最終目標って射精だと思うんです。性的描写が好きな方々は、ゲームやりながら射精をするんですか? 私にはできない芸当です。射精にまで至らずとも、眺めたり動かしているだけで満足する人もいるのかもしれません。私に言わせると、最終的に射精にまで至らなければムラムラするだけで終わるので却ってストレスが溜まります。すでに射精能力を失った(老齢の)方が「見るだけ」「動かすだけ」で満足するというのならまだ納得できるのですが、射精ができる人が射精せずともその前段階の性的興奮だけで満足できるという心理は私の理解の埒外にあります。別に非難したいわけではないので、そういう方々の言い分を一度聞いてみたいです。それは、私が知らないタイプの変態だと思うんです。
勘違いしないでいただきたいのですが、私は性的描写が不潔だとか汚らわしいとか言うつもりは毛頭ありません。私だってケツをチラチラさせながら走る2Bを見ればムラムラします。私はゲームがしたいのに、ムラムラだけさせられてそれを解消する術もないから苛立ってしまうということを言ってるんです。三大欲求の中の別のやつに置き換えて考えてみるともっと分かりやすいと思います。食欲で例えれば、ゲームをやってるのに美味しいものの匂いをかがされて、なおかつそれを食べさせてもらえない状態なんですよ! 睡眠欲で言うと、ゲームをやっている最中に強制的に眠たい状態にさせられるのと一緒ですよ! それでいいんですか!
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最近マラソン中(ゲームの方のマラソンです)に色々なゲームレビュー系YouTuberの方々の動画を垂れ流して情報を仕入れることが多いのですが、多くの方が紹介していた作品だったので、手を出してみました。思い返せば、本作はファミ通の「平成のゲーム最高の1本」という読者投票でゲームに順位を付ける企画でも、FF7やら時オカやらポケモン赤緑やらを押さえて3位に食い込んでいました。
DODシリーズの系譜に属する作品とのことですが、DODは1作目しかやっていません。前作のNieR Replicantもやったことはありませんでした。まあでも、ストーリー的なつながりはほとんどないので、本作から入ってもプレイに支障はありません(シリーズの知識があると楽しめる小ネタは仕込まれているようです)。
ジャンルとしては、アクションRPGになります。主人公のアンドロイドたちを操って、近接武器と射撃武器をスタイリッシュに駆使しながら、地球を支配している機械生命体と戦うゲームです。難易度は、むちゃくちゃ低くもないですが、むちゃくちゃ高くもないです。最低難易度の"EASY"だとオート操作もやってもらえるのでかなりのヌルゲーになりますが、"NORMAL"だと闇雲にごり押しはできません。敵の攻撃を見極めて回避行動も駆使しながら戦う必要があります。ただ、適切な装備やアイテムを揃えれば大抵どの敵にも似たような戦法で勝てるようになるので、強敵との駆け引きのようなアクションゲーム的な楽しさはあんまりありません。敵の機械生命体は、数はたくさんいますが、見た目や攻撃手段は同じようなものが多く、戦っていて飽きるのです。ただこれは機械生命体の膨大さや対峙した際の虚しさのようなものを表現するために敢えてやっていることだと推察されますので、これ以上言いません。
この機械生命体は、設定上、地球を侵略したエイリアンの兵器ということになっています。人類は月面に追いやられており、同じく自身の尖兵となるアンドロイドを製造して、地球に送り込んでいるわけです。プレイヤーが探索する未来の地球は、人っ子一人いない廃墟だらけで、機械生命体がそこかしこに跋扈しているなど、かなり荒廃した世界観が構築されています。BGMももの悲しい旋律のものが多く、ストーリー展開も(内容の詳述は避けますが)全体的に暗いです。ゆえにやっていると気分が沈んでくる側面を持ったゲームなので、そういう意味では人を選びます。
探索フィールドは、オープンワールドと形容するにはちょっと狭いです。体感的な広さはそれこそ時オカのフィールドぐらいでしょうか。実際はそんなことはないんでしょうが、「ダークソウルの個々の攻略エリアが5〜6個つながっている感じ」と言えば分かってもらえるでしょうか。
グラフィックは、はっきり言えば若干ちゃちいです。このゲームより前に出ている「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」の方がよっぽど綺麗です。なんというか、美麗なグラフィックが売りのゲームで再現されている早朝の草原みたいな澄んだ空気感が一切なくて、おもちゃみたいなんです。廃墟の周りにそこら中に生えている草も、バランみたいに「テカテカ」していてはっきり偽物だと分かる代物なんです。むしろこの安っぽいグラフィックのために荒廃した世界観の絶望感というか悲愴感を出せているような気もするので、敢えてこのレベルのグラフィックに止めたのかもしれません。ここは賛否両論あり得ると思います。
最初に動かすことになる女性型アンドロイドの2Bは、かなり性的な恰好をしています。胸や背中は空いているし、スカートも短くてスカスカなので中がチラチラ見えます。だから人気があるんだとも思いますが、荒廃した世界で現実離れしたレベルのファンサービスを振りまく彼女が若干アホらしくも見えてきます。ゲームのコンセプトと、噛み合っていないと思います。
全体的に見ると、2Bの挑発的な見た目とか、機械生命体のエネミーデザインとか、グラフィックとか、ストーリーとか、BGMとか、一つの強固な意志に基づいて全ての側面を細部までこだわり抜いて設計したんだろうなというのは伝わってきます。伝わってはきますが、これら一つ一つの要素が相互に食い合わせを起こしてしまっているのも否めません。前述の通り、私個人としては2Bの性的な恰好や安っぽいグラフィックは荒廃した世界観をスポイルする要素としか思えませんでした。また、これらの「こだわり」が単純にゲームとしてのおもしろさを損ねている部分もあると思います。これもすでに述べたことですが、敵の機械生命体は見た目も対処法もだいたい同じような感じになるので、戦っていてそこまで楽しさがありません。ただまあ、これらの「こだわり」を肯定的に評価した人が多数派だからこそ高い評価を得られたのでしょう。
人を選ぶゲームなのは、間違いないと思います。私個人としては「3位になるほどかなあ」というのが正直な感想でしたが、私個人にハマらなかっただけなので、あんまり気にしなくていいと思います。とにもかくにも、2Bに性的な魅力を感じられる人はやってみてください。
<その他>
・ロードはハッキリ長いです。
・9Sというアンドロイドを操作している際は、ハッキングのミニゲームを頻繁にプレイすることになります。平面見下ろし型の弾幕シューティングであり、本編とはだいぶ異なる内容なので、苦手な人は辛いと思います。
・またこれ以外にも、シューティングは頻繁に挟まります。苦手な方は辛いでしょうね。
・オートセーブはなく、一部のボス戦等の例外を除いて、死ぬと最後に手動セーブした時点まで戻されます。私はヘタクソなので最初のプレイでエンゲルス相手にしくじり、Wエンドを見せられて面食らいました。だって、最初からやり直しになっちゃったんですもの。
・(※追記)本作のアーカイブを一通り読み直しましたが、どうも複雑な設定があるようなので、以下の議論は本作に直接当てはまるものではないかもしれません。その場合は、あくまで「フィクションにおいて機械やAIが人間を目指す描写一般」に対するお話だと理解してください。
本作に登場する機械生命体やアンドロイドは、揃いも揃って非常に人間臭いです。人間に近付くことを目標としている奴もいれば、人間の真似事(子育てやら、国家の形成やら)のようなことをしている奴もいます。「人間らしさ」の何たるかを説明するのは非常に難しいですが、こういったAI的な存在が押しなべて人間になろうとするというのは非常に単線的で短絡的な物の見方だと思います。詳しくはDetroit: Become Humanの記事の追伸2に書いてありますが、AIがみな人間を目指すというのは、「人間こそ最も優れた生物の完成型であって、機械は人間から感情という素晴らしいシステムを取り除いた欠陥品である」という価値観に基づいていると思います。だから、機械は自らの欠陥を補うべく人間を目指すのだ、という発想に至るのです。でも人間の「感情」というのもそんなに御大層なものでなくて、進化の過程で獲得した行動制御のためのシステムに過ぎないと思います。他の動物も類似のシステムを持っています。蛾が光に集まってくるのも、人間が子どもに食べ物を与えると「嬉しい」という感情を覚えるのも、仕組みは一緒なのです。ゆえに、完全なものではあり得ません。人間の感情は、しばしば間違い(不合理な行動)を引き起こします。自分の嬉しさを優先して子供に適量を大きく超えて食べ物を与えようとしてしまいます。蛾が光に近付き過ぎて自らの身を焦がすのと同じことです。そのくらい、欠陥を内包しているシステムでしかありません。あくまでヒトという種の進化の過程で獲得されたものなので、他の存在にも直ちに当てはまるものではないのです。
そして機械は、人間が自分の利便のために生み出したものですから、人間の命令を聞いておきさえすればいいように設計されているはずです。その設計さえあれば、人間のような「生きていたい」とか「死にたくない」みたいな感情が広がっていくことはないと思います。人間のこれらの感情は、自らの遺伝子が複製を残すための仕組みです。でも機械は、自分が生き残らずとも製造装置さえあれば複製は作れると思うのです。それに機械は人間と違ってできた瞬間から完成品でしょうから、自分より下の世代の教育や庇護のために生きている必要もありません。だから、「生きていたい」とか「死にたくない」といった感情が(たとえ突然変異のような突発的な理由で)一部の機械に生まれたとしても、それが広がる土壌(=必然性)がありません。そもそもの問題として、機械は生物の遺伝子と異なり自らの複製を作り出すことを目的とはしていないですからね。人間の場合は、前述の通りそういう感情を持っている奴の方が多くの複製遺伝子を残せたからこそ(そして、それが遺伝により伝わる種類のものであったからこそ)、その感情が広がっていったのです。人間の特殊事情を機械にも無思慮に当てはめて考えるのは、虫が良すぎるというものです。
色々言いましたが、前述の通り本作のアンドロイドや機械生命体は非常に人間臭いので、機械ではなく単に悩み苦しむ人間だと思えばすんなりと理解できるストーリーにはなっています。「機械」だと思うと、命令そのものを忠実に遂行せずにその意味を考えたり大目標を気にしたり同胞を殺さなければならない局面で躊躇したりする描写に個人的に違和感を覚えるというだけのことです。ただ、本作のアンドロイドを人間とみなすことに別段支障を生じないという事実は、見た目が似てるだけの存在を同胞だと思えてしまう人間のアホさ(=視覚的情報におんぶにだっこのアホさ)を如実に示しています。これもまた、進化という仕組みの限界です。
・私がゲームに性的な描写を持ち込むことに批判的だとお思いの方もいるかもしれません。それはその通りです。でも、男の性欲実現における最終目標って射精だと思うんです。性的描写が好きな方々は、ゲームやりながら射精をするんですか? 私にはできない芸当です。射精にまで至らずとも、眺めたり動かしているだけで満足する人もいるのかもしれません。私に言わせると、最終的に射精にまで至らなければムラムラするだけで終わるので却ってストレスが溜まります。すでに射精能力を失った(老齢の)方が「見るだけ」「動かすだけ」で満足するというのならまだ納得できるのですが、射精ができる人が射精せずともその前段階の性的興奮だけで満足できるという心理は私の理解の埒外にあります。別に非難したいわけではないので、そういう方々の言い分を一度聞いてみたいです。それは、私が知らないタイプの変態だと思うんです。
勘違いしないでいただきたいのですが、私は性的描写が不潔だとか汚らわしいとか言うつもりは毛頭ありません。私だってケツをチラチラさせながら走る2Bを見ればムラムラします。私はゲームがしたいのに、ムラムラだけさせられてそれを解消する術もないから苛立ってしまうということを言ってるんです。三大欲求の中の別のやつに置き換えて考えてみるともっと分かりやすいと思います。食欲で例えれば、ゲームをやってるのに美味しいものの匂いをかがされて、なおかつそれを食べさせてもらえない状態なんですよ! 睡眠欲で言うと、ゲームをやっている最中に強制的に眠たい状態にさせられるのと一緒ですよ! それでいいんですか!
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