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Salt and Sacrifice

 前作が良かったので注目していたのですが、メディアやユーザーからの評判は前作より悪く、安くなるまで様子見をしようと思っていました。その様子見中に本作がPS Plusのゲームカタログに追加されたので、このほどやり遂げました。

 基本的なゲームシステムは前作と変わりありません。2Dソウルライクであり、メトロイドヴァニアでもあるゲームです。ダークファンタジー風な世界観と多くを説明しないストーリーテリングはソウルライクそのものです。ただ実際にプレイしてみたところ、前作より評判が悪くなるのも納得できる出来ではありました。他の方のプレイ動画と見比べるとリリース後のアップデートで改善された部分もあるようなので、リリース直後よりは幾分マシになっていますが、詳細は以下に箇条書きしておきます。

・宿営地と呼ばれる拠点があり、レベルアップ/武器の作成や強化/物の売買等色々なことができる。ただ無駄に広く、移動が面倒くさい。また宿営地から各探索エリアへ飛ぶ際もいちいち門にはめるルーンを入れ換える必要があり、地味に面倒。
・探索対象となるエリアには体力の回復や回復薬(暖心のフラスコ)等の補充ができるポイント(ソウルシリーズにおける篝火)がある。このポイントには「炎の石柱」と「オベリスク」という2種類のものがあり、違いは見た目を除けば、前者はファストトラベルの出口にも指定できるが、後者は入口にしかなれない、という1点のみである。しかし炎の石柱の方が圧倒的に数が少ないので、再探索は不便となっている(※そもそもリリース当時は、宿営地への帰還を除くファストトラベル自体が一切できなかった模様)。
・本作のボスは半分以上が「魔導司」と呼ばれる敵である。この魔導司は、通常のボスのように決まった場所で待っているわけではない。探索エリアの各地に魔導司の討伐ミッションを受注できる場所があり、そこでミッションを受注すると、エリア内に魔導司が出現するという仕組みである。ただ魔導司は一定ダメージを与えると場所を変えてしまう。この追いかけっこを5回ほど繰り返すと、最終的なボス戦の場所に魔導司が移動するので、そこで最後のボス戦となる。
 まずこの追いかけっこは、面倒くさい。トラップやザコがうようよしている探索エリアを魔導司を探しながら行き来しなければならない。逃げた魔導司の居場所は、プレイヤーからの直線的な方向が示されるのみであり、探索エリアが複雑であるために入り組んだ経路になることも多い。死ぬとソルト(経験値)と銀(お金)の半分をロストする本作では危険である(ソルトの方は死んだ場所まで戻れば回収できるが、銀の方は回収する手段はなく、一度失ったら終わりである)。かといって溜まったソルトや銀を使おうとして宿営地まで戻ると、追いかけっこが最初からになってしまう。事前にザコ掃除をしようとしても魔導司自体も強いので定期的な補給が欠かせず、炎の石柱かオベリスクで休憩をすると掃除したザコは復活してしまう。ファストトラベルが導入されていなかったリリース直後はもっと面倒くさかったことは想像に難くない。
 また魔導司は最後のボス戦以外の局面ではひっきりなしにザコを召喚してくるので、エリア内に元からいるザコも含めて乱戦となる(元からいるザコと魔導司は敵対する設定のようであり、プレイヤーが現場に着くと戦っていることが多い)。このような多数の敵を一度に相手にするシチュエーションが全然死にゲー的でなく、単純に面倒である。また本作の通常ボスも複数で立ち向かってきたりザコを無限に召喚してきたりする奴がそれなりにいる。その結果、遠くから遠距離武器を乱射するのがボス戦の最適解になってしまっている。武器やビルドの多様さが本家譲りの本作の良さのはずであるが、その設定が完全に死んでしまっている。

 まあ、そんな感じです。前作よりお勧めしづらい出来になってしまったのは確かです。他にやるものがなくなってから手を出す感じで良いでしょう。ボリュームは少なめであり、ちゃっちゃかやればトロコンも10時間を切れます(初見で迷いながらやると20時間前後でしょうかね)。

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