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Sea of Stars

 PS Plusのゲームカタログに発売と同時に追加されたのでやってみました。
 カナダのスタジオが、90年代全盛期のJRPGを模して作った作品らしいです。ゲームシステムは古き良きターン制のコマンドRPGであり、「タイミングよくボタンを押すとダメージが上がる」といったような(スーパーマリオRPG的な)アクションゲーム要素が若干混ぜ込まれています。
 最も影響を受けているのはクロノ・トリガーらしいのですが、私はやったことがないので何とも言えません。ニコニコ動画華やかなりし頃に「風の憧憬」はよく耳にしていましたが、同曲とよく似たもの悲しい旋律のBGMは本作にも盛んに使われています(私個人としては、「とげとげタルめいろ」のBGMにも雰囲気が似ているとは思います)。

 戦闘のシステムはわりと単純であり、考えなければならない要素(属性やら相性やら)の絶対数が少ないので、そんなに難易度は高くはないです。また、基本的にストーリーに沿って真っすぐ進めていけばエンディングに辿り着けるレベルデザインになっており、意識的なレベル上げ作業が不要なのは秀逸だと思いました。これに加えて苦手な人向けの救済要素もあるため、慣れていない人にもJRPG的なゲームの入口として勧められます。
 とはいえ、コマンドRPG全体の宿命的な問題だとは思いますが、ゲームクリアのために越えなければならない難所(ダンジョン・ボス等)は「知識さえあれば(操作技術がなくても)突破できる」ものがほとんどであり、その知識(打倒しなければならない状況や敵に対して有効な属性・技、準備しておくべき消耗品や装備等)さえ得てしまえばあとは作業的になってしまうのがどうにも好きになれません。本作では前述のとおり若干のアクションゲーム要素が足されてはいますが、求められるアクションは毎回同じなので早めに飽きが来ます。「作業的である」という問題の解決には何らなっていません。そのくせボスの体力は多く、戦闘は長期化しがちです。この点も「作業的」という傾向に拍車をかけていると思います。まあ、コマンドRPGはそういうゲームだと言えばそれまでです。本作は、このジャンルにおける何らかの新機軸を打ち出しているわけではありません。逆に言えば、全盛期のコマンドRPGを徹底的にリスペクトして模している作品であるということであります。このジャンルを好きな人だけが、手を出してみればいいと思います。
 JRPG的なゲームであるため、ストーリーも大事になってくるかと思いますが、かなり難解であり、ぼうっとやっているだけだと世界観の全容は理解できません。プレイヤーが能動的に情報を集めようとしないと理解が追い付かないお話の構造は実に洋ゲーチックだと思いましたが、和ゲーのように(プレイヤーの時間を大なり小なり強制的に奪ってでも)ムービー等でストーリーや舞台設定を説明してやる「お節介な」作りの方が、私は好きです。龍が如くシリーズはそういった和ゲーの典型例なので、参考になると思います。

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