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Sifu

 話題のカンフーゲームです。
 開発したのはフランスのスタジオらしいですが、ゲームの舞台になっているのは現代中国らしいです(ただ登場人物は英語をしゃべります)。
 主人公の目的は、父を殺した仇(ラスボス)への復讐です。ラスボスがそのようなことをした理由は実はちゃんとありまして、ゲームを最後まで進めるとラスボスにもラスボスなりの正義があったことが分かりますが、語られるストーリーはかなり断片的であり、ゲームを進めるうえでの大きな原動力にはなっていません。
 父の仇への復讐というストーリーラインは、シェンムーシリーズに似ています。戦闘システムもかなり似ています。徒手空拳(何種類か拾い武器もあります)で単身敵の大群に挑んでいくゲームプレイは、シェンムーシリーズをもとにしたと言われている龍が如くシリーズにも似ていると思います。とはいえ本作はオープンワールドではなく、ステージクリア形式です。
 また他方で、敵には体力以外に体勢というパラメータが設定されており、体力のみならず体勢を削り切ることでも倒すことができます。このシステムは、SEKIROの体幹というシステムにかなり似ています。具体的には、以下のような類似点があります。
・体勢は受け流し(パリィ)でも削ることができる。また、敵に攻撃をガードされた場合でも一定値を削ることができる。
・体勢は一定時間の経過で自動的に回復していく。ただ体力が低いと回復速度が遅くなる。
・主人公にも体勢がある。
・ボスの体勢ゲージは画面上部中央に、主人公の体勢ゲージは画面下部中央に表示される。
・体勢値が満タンの場合はゲージが黒であり、削られるたびにゲージ真ん中の点から矢印のような先端が尖った線が左右両側に伸びていく。この線は体勢値が0に近くなっていくと黄→橙→赤と色が変わっていく。

 SEKIROに似ているから、というわけではないでしょうが難易度は高いです。シェンムー龍が如くみたいに攻撃一辺倒でのごり押しは序盤のザコ相手にも通用せず、受け流し・見切り・回避といった種々の動作を交えながら敵の隙を狙う立ち回りが必須です。R2ボタンによる回避は、ワンボタンでタイミング問わず発動できるので楽ではありますが、敵と距離が空いてしまうので反転攻勢には利用しづらいです。そのため、ゲームをクリアするには受け流しと見切りをマスターする必要がありますが、いずれも敵の攻撃に合わせてタイミングよく入力するというリズムゲー要素があり(タイミングもそれなりにシビアであり、ボタン連打ではなかなかうまくいかないです)、また見切りは敵の攻撃が上段か下段かで入力が変わるため、敵ごとにどのような攻撃をどのようなタイミングで繰り出してくるかを反復練習で覚えていく必要があります。その意味では、本作は紛うことなき死にゲーです。発売後のアップデートで「入門生」という低難易度が導入されましたが、こちらでもまだかなり難しいです。
 ちなみに死ぬと主人公の年齢が増えて復活するというシステム(ゲーム内の設定としてどのようなメカニズムということになっているのかはよく分かりません。ラスボスの思惑に関係している部分かとは思われます)があり、敵が主人公の復活に驚くような台詞を言ったりもするので、これもSEKIROの回生というシステムに似ていると思います。主人公の年齢は20歳から始まり、70歳代になると、もう二度と復活できなくなります。その状態で死ぬと、ステージを最初からやり直すしかありません(オートセーブは細かく入るのでセーブデータのバックアップを取っておくことは可能です)。また同じステージで何度も死ぬと、復活の回数が増えるごとに一度の復活で増える年齢も1歳ずつ増加していきます。20歳→21歳(復活1回目)→23歳(復活2回目)→26歳(復活3回目)……みたいな感じです(難易度入門生では1回の復活につき1歳増加で固定)。主人公は年齢が上がっていくについれて体力の最大値が下がっていく代わりに攻撃力が上がっていく仕様もあるのですが、増えた年齢は次のステージにも持ち越されるので、それだけしくじれる回数が減っていきます。安定して攻略していくためには年齢は低く保つべきであり、攻撃力増加という恩恵を受けるためだけに高年齢の状態を維持してゲームを進めるのは難しいと思います(縛りプレイ、の類に相当すると思います)。

 ステージは全部で5つだけであり、ボリュームは多くはないです。トロコンまでやっても20時間〜40時間ほどではないでしょうか。ただ短いだけに反復してのやり込み(RTA等)はハードルが低いと思います。

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