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TUNIC

 2024年5月のフリープレイの一作です。
 2頭身のキツネである主人公を操り、2Dゼルダのようなフィールドをクォータービュー視点で駆けずり回るファンシーな見た目は、Death's Doorによく似ています。
 他方でファンシーなのは外装の部分だけで、中身は結構ハードな死にゲーになっているというのもDeath's Doorに近い部分です。むしろ、本作はDeath's Doorより硬派かもしれません。
 まずプレイヤーは、何も分からないままフィールドの端っこに放置された主人公を操ることになります。ここはどこで、主人公はどういうキャラクターで、ゲームの最終目的が何であってまずどこに行かなければならないのかといったことは一切説明がありません。プレイヤーは手探りでゲームを進めることになりますが、アイテムを入手したり看板を読んだりしてみても、表示される文字がこのゲーム独自の見たことのないものであり、絶望感が増していくばかりです。ワケのわからないままウロウロしていると、序盤では対処が難しいザコがウヨウヨしているようなエリアに迷い込んでしまうことも間々あります。
 実はフィールド内にはこのゲームのことを説明したマニュアル(昔のゲームの取扱説明書を模したデザインになっています)のページがバラバラになって点在しており、これに結構なヒントが書かれています。それに気付けたプレイヤーはこのマニュアル集めを意識しながらゲームを進めていくことになりますが、その段階に至る前にドロップアウトしてしまう人がいるのも想像に難くありません。この茫漠たる置いてけぼり感と取説を模したマニュアルがヒントになっているという点は、LA-MULANAにも非常に近いものがあります。もっとも本ゲームはLA-MULANA的な理不尽(=「たけ挑」的)な謎解きやゼルダ的なパズルが多いというわけでもなく、何をどうすればいいかさえ分かってしまえばサクサク進めることができます。自力でこれらの謎を解いたときの快感は結構なものがありますが、下手すると詰まったまま延々先に進めないという事態にも陥りかねず、そういう意味では非常に癖の強いゲームです。ただ、どうしても分からない局面に陥った時はPSのヒント機能も使えますし(PS5版のみ?)、攻略情報もネット上にたくさん転がっているので、さほど心配することはありません。そしてよく考えてみれば、本家の死にゲーたちも、不親切さだけで言えば本作と同程度でしょう。ゆえに、本家の死にゲーを楽しめた人は同じような感覚で楽しむことができるのではないでしょうか。ちなみにストーリーテリングも本家譲りであり、最後までやってもお話や舞台設定についての説明は断片的なものに止まります。
 戦闘は、死にゲーの中では優しめです。ボスの攻撃パターンは少なめですぐに全パターンへの対処を覚えることができますし、こちらの攻撃手段も飛び道具含め充実しています。ボスの攻撃時間が長いわりに固いことが多く、戦闘時に退屈な時間が長めになってしまうのはあんまり良くはないですね。

 というわけで、死にゲー好きは一度手にとってみてもいいのではないでしょうか。

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