当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

作評トップ

UNDERTALE

 とある界隈で人気の作品だったので、名前だけは前々から存じ上げていました。トロコンが簡単だという情報を得たので、セールで安くなっていたタイミングに買いました。

 ゲーム自体の特徴は今更私が説明するまでもないとは思いますが、一応箇条書きでまとめておきます。
・昔ながらのJRPGよろしく、見下ろし型でマップを移動するコマンドRPG。
・グラフィックやザコの雰囲気は、MOTHERシリーズに似ている(といっても私は、MOTHERシリーズを一作もやったことがありません)。
・敵とエンカウントするとコマンド選択式の戦闘が始まるが、敵の攻撃時はシューティングゲームになる。自分のハートを動かして敵の攻撃を掻い潜るのである。ここでダメージを受けると、自分のHPが減る仕様である。ただシューティングとはいえ、一部の例外的状況を除きこちらからの攻撃はできない。避けるだけである。
・戦闘中は、「たたかう」というコマンドを選んで敵にダメージを与える以外にも、色々なことができる。そして、ラスボスを含めた全ての敵を殺さずに見逃すことが可能である(見逃すために何をしなければならないかは、敵によって異なる)。見逃した場合は経験値は得られないのでレベルは上がらないが、ゴールドは手に入る(一部、ゴールドをそもそも落とさないザコもいる)。つまり、「レベル1縛り」が普通にできるゲーム設計なのである。
・敵を一切倒さずに最後まで進めたり、出てきた敵を皆殺しにして最後まで進めたりするとエンディングの内容が変化する(両EDともそれ以外に細かい条件が結構ある)。
・エンカウント率は低めで、ザコとの戦闘はそこまで頻繁に発生しない。先に進むために一定の仕掛けを解くパズル要素が多い。
・RPGらしく、アイテムや装備品といった要素もあるが、最大所持数が少なめなうえに入手の機会も限られるので、影は薄い。
・ED分岐があるとはいえ、基本的にはマップもストーリーも一本道である。
・ボリュームは控えめ。初見で迷いながらやっても5〜6時間ほどで終わると思われる。ただ、価格相応であろう。ストーリーとは直接関係ない小ネタは随所にバラまかれている。
・ストーリーは、全体的に仄めかすような描写が多く、考察の余地が大きい。

 ということです。本作は、一言で言うといわゆる「雰囲気ゲー」です。キャラやマップのデザイン・名称から、JRPGチックながら敵を一切倒さずに進めることができるというゲーム性に至るまで、本作独特の「雰囲気」を作り出すために全てが考え抜かれて設計されていると思われます。そしてこれらの要素は全てがガッチリと噛み合い、本作独自の「雰囲気」を作り出すことに成功しています。これは、ゲーム製作が最初から最後まで一つの強固な統一的意思に基づいて行われないとできないことです(そしてそれを実現するのは、並大抵のことではありません)。本作のストーリーは悪く言えば「ワケが分からない」のですが、本作の「雰囲気」それ自体が高いレベルで作り出されているため、ただワケのわからないだけのゲームと異なり、こちらも(「ここまでちゃんと作られているからにはストーリーもちゃんと考えられているのだろう」と思える結果)「何かありそう」という期待が維持できて、その結果ちゃんと先に進める気が起きるのです。それは、とてもすごいことです。
 本作の褒めるべき点はこの通りです。これ以上は、個人の好みの問題です。本作をやって良かったと思えるかどうかは、どうしてもこの「雰囲気」を気に入るかどうかにかかっているからです。最終的には、やってみてもらわないと何とも言えません。それ以上は言いません。

 ちなみに本作は、EDまで進めなくてもトロコンができてしまいます。
 一応言っておきますが、EDまではやりましたからね。


作評トップ

管理人/副管理人のみ編集できます