追加された行はこの色です。
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→[[作評トップ]]
*龍が如く8
主人公が春日一番に代わってからの2作目です。
**コマンドRPG
[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]を踏襲し、コマンドRPGになっています。敵の背後から通常攻撃をするとダメージが増える仕様になっており、本作からバトル中に操作キャラを一定範囲で移動させることができるようになったので、若干戦略性は上がりました。ただ、あくまで若干です。
[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]もそうでしたが、本作で壁にぶち当たった時の一番の対処法はレベル上げと装備の更新及び強化であり、基本的に立ちはだかる壁をステータスの暴力でぶち破っていく脳筋グッドスタッフプレイが最も効率的になっています。一定以上のレベル差がある敵にプレイヤーの頭脳で対抗していくのはかなり難しく、そういう意味での戦略性はほとんどないと言っても過言ではありません。[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]では感じられた「あの[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]がコマンドRPGに！？」という物珍しさも、第2弾である以上ほとんどありません。ゆえに、戦闘にはかなり早く飽きが来ます。
飽きが来ると、各技を使用するときに入る演出が一切飛ばせないことにも苛立ちを覚えるようになってしまいます。どんなに心を打つ演出であろうと何度も見れば空きます。スパロボ並みに、サクサク飛ばせるようにして欲しいです。
なお[[7の記事>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]では私は「アクションで春日を動かしてみたかった」と書きましたが、その後[[7外伝>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7%b3%b0%c5%c1%20%cc%be%a4%f2%be%c3%a4%b7%a4%bf%c3%cb]]をやった時は、[[死にゲー>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%a5%d5%a5%ed%a5%e0%bb%e0%a4%cb%a5%b2%a1%bc]]にどっぷりハマっていた影響もあり、「やっぱり[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]のアクションはバランスが大味だな」と思うに至りました。ゆえに、旧シリーズ風のアクションに戻して欲しいとも思ってはいません。どうせなら一度、死にゲー的な[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]を作ってみてほしいです。
**ストーリー
[[本シリーズ>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]で非常に大事な要素です。
本作を最後までやって改めて思いましたが、本シリーズにおけるストーリーの特徴を簡潔に言うと「プレイヤーを『続きが気になる』という状態に引きずり込んで引っ張っていくのは毎回抜群にうまいが、クリア後にストーリー全体の整合性や完成度を振り返って考えてみると、そのクオリティは作品ごとにかなりバラつきがある」となります。そして全体の完成度が高い初代や0が、基本的にはシリーズ作品の中でも高い評価を受けているのです。
***引っ張り
本シリーズのストーリーに共通して見られる特徴を簡単に言うと「謎が謎を呼ぶ」お話を展開することで、プレイヤーに「謎の答えを知りたい」と思わせ、続きを見せる作りになっていることです。このやり口でプレイヤーを引っ張っていくには、謎とその答えをどういう頻度・順番で出していくかが極めて重要になっていきます。まず、「答え」は小出しにしなければなりません。序盤のうちに全てを説明してしまうと、全てを知ったプレイヤーが続きに対する興味を失ってしまうからです。プレイヤーを焦らしながらちょびちょびと「答え」という名のエサを撒きつつ、最終的なゴール（ストーリークリア）まで誘導していくことが重要なのです（ちなみに私個人はとても説明したがりなので、この「答えの小出し」がとても苦手です）。また、この誘導の過程においては、ちょいちょい新たな謎を足してプレイヤーを焦らす要素を絶やさないようにしていくことも重要です。
またこの「謎」要素として本作のようなサスペンスやミステリーでよく使われるのは、「過去に起きた事件」です。これは、本シリーズに限らず非常によく使われる手法です。おもしろいストーリーは、大体過去に起きた何らかの事件が現在に関わってくる構造になっていると言っても過言ではありません。その過去の事件について最初は多くを語らずに名前だけを出し、詳細を謎のまま残すことでプレイヤーを引っ張っていくのです。本シリーズ（及び関連シリーズ）だけで見ても、初代であれば桐生が錦山の罪をかぶった堂島組長殺し、[[2>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%20%b6%cb2]]であれば風間・嶋野によるジングォン派襲撃、[[JUDGE EYES>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/JUDGE%20EYES%3a%bb%e0%bf%c0%a4%ce%b0%e4%b8%c0]]であれば大久保新平が被告人になった2件の殺人事件など、枚挙に暇がありません。[[逆転裁判シリーズ]]のDL6号事件やSL9号事件もこの例ですし、『オリエント急行殺人事件』だって、『八つ墓村』だって、東野圭吾の『真夏の方程式』や『麒麟の翼』だってそういう構造のストーリーになっています。松本清張の『砂の器』や『ゼロの焦点』も、過去の「事件」とまではいいませんが、登場人物の暗い過去についての謎がストーリーを進める大きな原動力になっています。
そして本作8も、この引っ張りはうまいです。抜群にうまいです。風呂敷を広げるのだけは巧い浦沢直樹に匹敵していると思います。私も、続きが気になって本作だけをずっとやっていることができました。私個人は、肌に合わないゲームをプレイするときは2〜3時間おきに複数作品を代わる代わる遊ぶことも多いのですが、そういったローテーションをせずに本作だけに専念することができたという意味です。
ただこのような謎でプレイヤーをやり口には、問題点が大きく2つあります。
�．優織丱薀靴�全て終わる（＝読者・プレイヤーが知りたいと思っていた謎の答えが全て明かされる）と、その後ストーリーを進めるモチベーションが大きく削がれる。
ネタバラシそのものを最後の大オチにすればいい小説・漫画・舞台・ドラマ・映画等々では大きな問題はありませんが、ゲーム（特に[[本シリーズ>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]）では大体ネタバラシの後にラスボスとの最終決戦があります。ただ、全部分かってしまうと「別に後はもういいや」となってラスボス戦のカタルシスがかなりの程度削がれてしまうのです。
これを防ぐためには、ラスボス戦後に明かす謎を残しておくとか、ラスボスをどうしても倒したい悪辣な奴にするとかいった何らかの演出上の工夫が必要なのですが、本作ではそれが弱いです。主人公陣営の一番の目的であった茜の身柄はラスボス戦前に確保できており、ほとんどの謎に対する答えもその時点で明かされているので、その後ラスボスの野望を阻止するために少人数でちょっとした軍隊並みの戦力を抱えていそうなラスボスの本拠地に乗り込んでいく展開にはどうにも無理があります。主人公・春日一番はお節介で他人を助けながら貧乏くじを進んで引いて回るキャラクターなのでギリギリ納得はできるのですが、他の仲間たちに関しては上記のような善意の解釈を促すとっかかりすらありません。[[7>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の頃からあった問題ですが、本作で悪化しています。こういった違和感を糊塗するためかしきりに登場人物が「仲間じゃねえか」みたいなことを言うのですが（特に最終決戦直前の桐生と仲間たちが念押しのようにこのやりとりをします）、同調圧力で自殺を強要してくる集団のようにも見え、空恐ろしさすら感じます。この手の説明的な台詞だけでストーリーの無理を隠蔽しようとするのは稚拙な演出と言われても仕方ないでしょう。
��続編を作るたびに引っ張りに利用する「謎」を新たに後付けで考えていくと、作中の年表がグチャグチャになる。
これは、文字の通りです。今作も、特に茜と荒川真澄周りに大量の後付け設定が追加されています。本作だけで見ればそこまで飲み込みづらい設定はなかったので良かったのですが、今後が不安になりました。[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]は、続編を作るたびに後付け設定を足して年表を汚し、その結果として各ナンバリング作品を単品として見た時のお話のクオリティも下がっていくという歴史をたどってきたシリーズです。設定は、増えれば増えるほど既にある設定との整合性を保つのが大変になっていきます。整合性を考えなければいけない設定同士の組み合わせの数が、等比級数的に増えていくからです（裏を返せば、最も過去の年代を描いた0と初代の評価が高いのも、整合性を考えなければならない要素の絶対数が少ないからだとも思われます）。この負のスパイラルのその悪い意味での集大成が[[6>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af6%a1%a1%cc%bf%a4%ce%bb%ed%a1%a3]]であり、制作側としてもこれ以上桐生一馬の年表を汚すことができなくなった結果、これを一旦放逐し、春日一番という新たなキャラクターを主人公に据えたはずなのです。ただ、今回のストーリーを見ていると、春日一番も桐生一馬と同じ未来を辿るのではないかという不安を強く覚えました。年表を汚すだけ汚したらまた捨てられて、第三の主人公が登場するんでしょうかね。
***全体の整合性
本作のストーリーは、大きく分けると2本柱（＋1本のサブ柱）になっていると思います。1本目は、生きていた（かもしれない）春日の生母・茜探しとその過程で明らかになるハワイの闇との対峙です。そして2本目は、なんと桐生ちゃんの終活（＋その一環としての[[前作7>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]で完遂できなかった「極道大解散」の後始末）なのです。
ストーリーの後半は、日本に帰ってきた桐生とハワイに残った春日のパートを交互に進めることにになりますが、いつもの暑苦しいテンションで茜探しに奔走する春日と末期ガンでフラフラする桐生とはだいぶテンションが異なり、プレイヤーとしても春日パートの興奮を持続したまんまゲームを進めることができないので、いまいちストーリーに乗り切れません。そもそもこの桐生パート自体、評判の悪い[[6>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af6%a1%a1%cc%bf%a4%ce%bb%ed%a1%a3]]のストーリーの尻拭い（「汚され過ぎた桐生の年表をなんとかかんとか閉じる」という意味での尻拭い）でしかなく、制作側の言い訳を延々見せられているようで飴玉の代わりに石を舐めているような虚脱感に襲われます。桐生の末期ガンも後付け設定でしかなく、ストーリーの尻拭いという制作側の都合の為だけに物理的にも殺される主人公は哀れでなりません。一応、「最後はどうなるんだろ」「桐生ちゃん本当に死んじゃうのかな」というのが気にはなるので、本シリーズお得意の「引っ張り」はできているのですが、最後の最後の着地は甘々（名を奪われていた桐生は、結局名を取り戻します。また入院したシーンは描かれますが、本作では彼の死までは描かれません）でなぜそういうことになったのかも詳しくは描かれず（「実は生きていたことが世間様にも広く知れ渡ってしまった以上、大道寺一派も彼を死んだことにすることを諦めたのかな」という想像はできますが、詳細は本当に一切描かれません）、「プレイヤーを引っ張るためだけに後付け設定で主人公に試練を与えたけど、結局どう風呂敷を畳むかは思い付きませんでした」という印象しか残りません。これじゃあ最後の最後でスタープラチナの「成長」という「逃げ」に走ってしまったジョジョ3部と一緒です。
また本項冒頭で述べた「サブ柱」というのは、春日と紗栄子の恋愛要素なのですが、これもとってつけたような印象が拭えません。そもそも、[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の時点で春日が紗栄子に惚れているような描写が一切なく、また紗栄子がそこまで男を狂わすようなイイ女であるようにも見えなかったので（現に足立とナンバは2人とも相手がいなさそうなのに紗栄子のことをなんとも思っていません）、春日が紗栄子にホの字だと言われても非常に唐突感が強いです。そして、この要素自体を本作のストーリーから一切取っ払っても全く影響はありません。また、春日のプロポーズの内容が気に入らなかったというだけの理由で1年も春日からの謝罪メッセージを未読スルーする紗栄子は、とてもひどい奴に見えます。フるならはっきりとフってやればいいじゃないですか。その結果、やっぱり春日が紗栄子に惚れたという設定も飲み込みづらくなります。
***サブタイトル
本作は、各章のサブタイトルに日本の歌謡曲の題名が用いられています。最終章は椎名林檎の同名の歌を出典とした『ありあまる富』というサブタイトルであり、クライマックスシーンでは実際にこの歌が流されます。また、本作の英題はサブタイトルが"Infinite Wealth（無限の富）"となっており、これは『ありあまる富』と同じことを意味していると思われます。なお、Infiniteが、本作のナンバリングである8ともかかっているのでしょう。
ただ、ここまで前面に出している「ありあまる富」の意味はよく分かりません。0でこのサブタイトルを用いるならまだ分かるのですが、主人公陣営が金を稼ぐわけでも金持ちのヴィランを叩くわけでもないので（無論、ラスボスは金を持っているのでしょうが、演出上それが分かりやすくなっているわけではありません）、どういうつもりでこの曲をクライマックスに流したのかも分かりません。本作をプレイし終えた後に「ありあまる富」を改めて聞いて歌詞も確認しましたが、歌自体は「金よりも大事なものがある（から自分がお金を持っていなかったとしても気にすんな）」という悪く言えばありふれたメッセージを伝えたい作品だと思いました。本作における「金よりも大事なもの」っていうのは仲間との絆のことなんでしょうか。それにしてはアンチテーゼとしての金や富を分かりやすく持っている存在が出てくるわけでもないので、やっぱり腑に落ちません。そもそも仲間との絆については本作で嫌と言うほど（過剰に説明的に）強調される要素でもあり、[[7>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の頃からずっとそのテーマを押し付けてくるので、若干吐き気がします。
ひょっとして、偉い人の中に椎名林檎ファンがいて、無理やりねじ込んできたのでしょうか。
**キャスト
主要キャストの演技力にはさほど文句はありません。トミザワを演じた井口理は、[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の堤真一より戦闘時のボイスが棒読みでしたが、通常時の台詞は身構えていたほど酷くはなかったです（それでもちゃんとうまい人にはしっかり負けています）。そして、堤真一は戦闘時のボイスが良くなっていました。
主要キャスト以外にもフェイスモデルまで再現された演者（宇内梨沙・檜山沙耶・駒木結衣・朝倉未来・宇多丸）がいるのですが、その方々は全員下手でした。
それよりも、有名役者が起用されたキャラクターは、ナンバやトミザワみたいなしっかり味方になる人々を除くと、「いずれ敵対するんだろうな」というのが読めてしまうのが問題だと思います。本シリーズで、そういう判で押したようなどんでん返しをやり続けてきたゆえの弊害です。「2時間サスペンスの大物ゲストは犯人である可能性が高い」というのと同じ推理ですね。英二に至っては序盤にサポーター役で春日の戦闘に参加するという煙幕まで張られていたのですが、それでも信用しきれなかった人が多いはずです。この点は、早めに何とかした方がいいでしょう。
**言語
本作では新たな街としてハワイが追加されており、ここが主要な舞台となっています。ゲーム内で探索できるハワイが治安が悪すぎて、ハワイの人を怒らせるんじゃないかというのが気にはなりましたが、それは些細な問題です。
もっと問題なのは、日本語を話させなさそうなハワイの人間が唐突に日本語で英語をほとんど話せない春日と会話し始めることです。かと思えば、「中国語が用いられて、春日がその意味が分からず困惑する」というようなシーンもあり、非常にご都合主義的に感じました。
もっと問題なのは、日本語を話させなさそうなハワイの人間が唐突に日本語で英語をほとんど話せない春日と会話し始めることです。かと思えば「英語や中国語が用いられ、春日がその意味が分からなくて困惑する」というようなシーンもあり、非常にご都合主義的に感じました。
**サイドコンテンツ
サイドコンテンツは相変わらず豊富で、今回の目玉はポケモンのパロディである「スジモンマスター」と、どうぶつの森的なサンドボックスゲームのパロディで、そこに更に（[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の会社経営のような）経営シミュレーション的要素を加えた「ドンドコ島」（同名の島をリゾート地として開拓・開発していく内容）の2本です。ただ、必勝法を掴んでしまえばあとはそれを繰り返すだけで作業的になってしまう底の浅さは、いつもの[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]です（本作含めた[[シリーズ>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]作品に山のように登場する種々のミニゲームにも、全体的にそういう傾向があります）。まあ、1本のゲームのサイドコンテンツとして見れば十分なボリュームはあるので、文句ばかり垂れるのは良くはないでしょう。
また、毎作恒例のサブストーリーもありますが、上記のような他のサイドコンテンツに紐づけられたものが多く、純粋に独立したものの数は歴代作品の中でも少ない方だと思います。しかもあくまで春日一番のサブストーリーでしかなく、仲間がほとんど関わってこない（サブストーリー中に戦闘が発生するとワープしてきたウルトラマンみたいに急に出現します）という問題点も[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]と同様です。そのうえ、極端にこちらの敵愾心を煽ってくるステレオタイプなヤカラが出てきて、それを殴って溜飲を下げるという展開が非常によく見られます。このワンパターンに飽きている自分に、本作の途中で気付いてしまいました。
**総評
文句ばかり書きましたが、最終的な評価としては「無理に作られた続編としての[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]」というあたりに落ち着きます。3〜[[6>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af6%a1%a1%cc%bf%a4%ce%bb%ed%a1%a3]]のあたりと似たような感じですね。ハワイの街並みみたいなガワの部分はちゃんとしていますが、肝腎のメインストーリーのクオリティがそれなりのものに止まるので、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の精神でサブストーリーのワンパターンさやサイドコンテンツの底の浅さといった悪い部分にまで目が向いてしまっているような気はします。
メインストーリーは、本当になんとも擁護のしようがありません。シリーズを追いかけてきた人じゃないと理解しにくいストーリーなのですが、他方でシリーズを知っている人はシリーズ内の良作（初代や0）と比べてしまうでしょう。ゆえに、どちらの層にも胸を張っておすすめしづらいです。
ただ前述のように「引っ張る」力だけは持っているので、途中さえ楽しければ最後のまとまりはどうでもいいという人はやって損はしないと思います。
→[[作評トップ]]
*龍が如く8
主人公が春日一番に代わってからの2作目です。
**コマンドRPG
[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]を踏襲し、コマンドRPGになっています。敵の背後から通常攻撃をするとダメージが増える仕様になっており、本作からバトル中に操作キャラを一定範囲で移動させることができるようになったので、若干戦略性は上がりました。ただ、あくまで若干です。
[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]もそうでしたが、本作で壁にぶち当たった時の一番の対処法はレベル上げと装備の更新及び強化であり、基本的に立ちはだかる壁をステータスの暴力でぶち破っていく脳筋グッドスタッフプレイが最も効率的になっています。一定以上のレベル差がある敵にプレイヤーの頭脳で対抗していくのはかなり難しく、そういう意味での戦略性はほとんどないと言っても過言ではありません。[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]では感じられた「あの[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]がコマンドRPGに！？」という物珍しさも、第2弾である以上ほとんどありません。ゆえに、戦闘にはかなり早く飽きが来ます。
飽きが来ると、各技を使用するときに入る演出が一切飛ばせないことにも苛立ちを覚えるようになってしまいます。どんなに心を打つ演出であろうと何度も見れば空きます。スパロボ並みに、サクサク飛ばせるようにして欲しいです。
なお[[7の記事>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]では私は「アクションで春日を動かしてみたかった」と書きましたが、その後[[7外伝>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7%b3%b0%c5%c1%20%cc%be%a4%f2%be%c3%a4%b7%a4%bf%c3%cb]]をやった時は、[[死にゲー>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%a5%d5%a5%ed%a5%e0%bb%e0%a4%cb%a5%b2%a1%bc]]にどっぷりハマっていた影響もあり、「やっぱり[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]のアクションはバランスが大味だな」と思うに至りました。ゆえに、旧シリーズ風のアクションに戻して欲しいとも思ってはいません。どうせなら一度、死にゲー的な[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]を作ってみてほしいです。
**ストーリー
[[本シリーズ>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]で非常に大事な要素です。
本作を最後までやって改めて思いましたが、本シリーズにおけるストーリーの特徴を簡潔に言うと「プレイヤーを『続きが気になる』という状態に引きずり込んで引っ張っていくのは毎回抜群にうまいが、クリア後にストーリー全体の整合性や完成度を振り返って考えてみると、そのクオリティは作品ごとにかなりバラつきがある」となります。そして全体の完成度が高い初代や0が、基本的にはシリーズ作品の中でも高い評価を受けているのです。
***引っ張り
本シリーズのストーリーに共通して見られる特徴を簡単に言うと「謎が謎を呼ぶ」お話を展開することで、プレイヤーに「謎の答えを知りたい」と思わせ、続きを見せる作りになっていることです。このやり口でプレイヤーを引っ張っていくには、謎とその答えをどういう頻度・順番で出していくかが極めて重要になっていきます。まず、「答え」は小出しにしなければなりません。序盤のうちに全てを説明してしまうと、全てを知ったプレイヤーが続きに対する興味を失ってしまうからです。プレイヤーを焦らしながらちょびちょびと「答え」という名のエサを撒きつつ、最終的なゴール（ストーリークリア）まで誘導していくことが重要なのです（ちなみに私個人はとても説明したがりなので、この「答えの小出し」がとても苦手です）。また、この誘導の過程においては、ちょいちょい新たな謎を足してプレイヤーを焦らす要素を絶やさないようにしていくことも重要です。
またこの「謎」要素として本作のようなサスペンスやミステリーでよく使われるのは、「過去に起きた事件」です。これは、本シリーズに限らず非常によく使われる手法です。おもしろいストーリーは、大体過去に起きた何らかの事件が現在に関わってくる構造になっていると言っても過言ではありません。その過去の事件について最初は多くを語らずに名前だけを出し、詳細を謎のまま残すことでプレイヤーを引っ張っていくのです。本シリーズ（及び関連シリーズ）だけで見ても、初代であれば桐生が錦山の罪をかぶった堂島組長殺し、[[2>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%20%b6%cb2]]であれば風間・嶋野によるジングォン派襲撃、[[JUDGE EYES>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/JUDGE%20EYES%3a%bb%e0%bf%c0%a4%ce%b0%e4%b8%c0]]であれば大久保新平が被告人になった2件の殺人事件など、枚挙に暇がありません。[[逆転裁判シリーズ]]のDL6号事件やSL9号事件もこの例ですし、『オリエント急行殺人事件』だって、『八つ墓村』だって、東野圭吾の『真夏の方程式』や『麒麟の翼』だってそういう構造のストーリーになっています。松本清張の『砂の器』や『ゼロの焦点』も、過去の「事件」とまではいいませんが、登場人物の暗い過去についての謎がストーリーを進める大きな原動力になっています。
そして本作8も、この引っ張りはうまいです。抜群にうまいです。風呂敷を広げるのだけは巧い浦沢直樹に匹敵していると思います。私も、続きが気になって本作だけをずっとやっていることができました。私個人は、肌に合わないゲームをプレイするときは2〜3時間おきに複数作品を代わる代わる遊ぶことも多いのですが、そういったローテーションをせずに本作だけに専念することができたという意味です。
ただこのような謎でプレイヤーをやり口には、問題点が大きく2つあります。
�．優織丱薀靴�全て終わる（＝読者・プレイヤーが知りたいと思っていた謎の答えが全て明かされる）と、その後ストーリーを進めるモチベーションが大きく削がれる。
ネタバラシそのものを最後の大オチにすればいい小説・漫画・舞台・ドラマ・映画等々では大きな問題はありませんが、ゲーム（特に[[本シリーズ>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]）では大体ネタバラシの後にラスボスとの最終決戦があります。ただ、全部分かってしまうと「別に後はもういいや」となってラスボス戦のカタルシスがかなりの程度削がれてしまうのです。
これを防ぐためには、ラスボス戦後に明かす謎を残しておくとか、ラスボスをどうしても倒したい悪辣な奴にするとかいった何らかの演出上の工夫が必要なのですが、本作ではそれが弱いです。主人公陣営の一番の目的であった茜の身柄はラスボス戦前に確保できており、ほとんどの謎に対する答えもその時点で明かされているので、その後ラスボスの野望を阻止するために少人数でちょっとした軍隊並みの戦力を抱えていそうなラスボスの本拠地に乗り込んでいく展開にはどうにも無理があります。主人公・春日一番はお節介で他人を助けながら貧乏くじを進んで引いて回るキャラクターなのでギリギリ納得はできるのですが、他の仲間たちに関しては上記のような善意の解釈を促すとっかかりすらありません。[[7>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の頃からあった問題ですが、本作で悪化しています。こういった違和感を糊塗するためかしきりに登場人物が「仲間じゃねえか」みたいなことを言うのですが（特に最終決戦直前の桐生と仲間たちが念押しのようにこのやりとりをします）、同調圧力で自殺を強要してくる集団のようにも見え、空恐ろしさすら感じます。この手の説明的な台詞だけでストーリーの無理を隠蔽しようとするのは稚拙な演出と言われても仕方ないでしょう。
��続編を作るたびに引っ張りに利用する「謎」を新たに後付けで考えていくと、作中の年表がグチャグチャになる。
これは、文字の通りです。今作も、特に茜と荒川真澄周りに大量の後付け設定が追加されています。本作だけで見ればそこまで飲み込みづらい設定はなかったので良かったのですが、今後が不安になりました。[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]は、続編を作るたびに後付け設定を足して年表を汚し、その結果として各ナンバリング作品を単品として見た時のお話のクオリティも下がっていくという歴史をたどってきたシリーズです。設定は、増えれば増えるほど既にある設定との整合性を保つのが大変になっていきます。整合性を考えなければいけない設定同士の組み合わせの数が、等比級数的に増えていくからです（裏を返せば、最も過去の年代を描いた0と初代の評価が高いのも、整合性を考えなければならない要素の絶対数が少ないからだとも思われます）。この負のスパイラルのその悪い意味での集大成が[[6>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af6%a1%a1%cc%bf%a4%ce%bb%ed%a1%a3]]であり、制作側としてもこれ以上桐生一馬の年表を汚すことができなくなった結果、これを一旦放逐し、春日一番という新たなキャラクターを主人公に据えたはずなのです。ただ、今回のストーリーを見ていると、春日一番も桐生一馬と同じ未来を辿るのではないかという不安を強く覚えました。年表を汚すだけ汚したらまた捨てられて、第三の主人公が登場するんでしょうかね。
***全体の整合性
本作のストーリーは、大きく分けると2本柱（＋1本のサブ柱）になっていると思います。1本目は、生きていた（かもしれない）春日の生母・茜探しとその過程で明らかになるハワイの闇との対峙です。そして2本目は、なんと桐生ちゃんの終活（＋その一環としての[[前作7>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]で完遂できなかった「極道大解散」の後始末）なのです。
ストーリーの後半は、日本に帰ってきた桐生とハワイに残った春日のパートを交互に進めることにになりますが、いつもの暑苦しいテンションで茜探しに奔走する春日と末期ガンでフラフラする桐生とはだいぶテンションが異なり、プレイヤーとしても春日パートの興奮を持続したまんまゲームを進めることができないので、いまいちストーリーに乗り切れません。そもそもこの桐生パート自体、評判の悪い[[6>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af6%a1%a1%cc%bf%a4%ce%bb%ed%a1%a3]]のストーリーの尻拭い（「汚され過ぎた桐生の年表をなんとかかんとか閉じる」という意味での尻拭い）でしかなく、制作側の言い訳を延々見せられているようで飴玉の代わりに石を舐めているような虚脱感に襲われます。桐生の末期ガンも後付け設定でしかなく、ストーリーの尻拭いという制作側の都合の為だけに物理的にも殺される主人公は哀れでなりません。一応、「最後はどうなるんだろ」「桐生ちゃん本当に死んじゃうのかな」というのが気にはなるので、本シリーズお得意の「引っ張り」はできているのですが、最後の最後の着地は甘々（名を奪われていた桐生は、結局名を取り戻します。また入院したシーンは描かれますが、本作では彼の死までは描かれません）でなぜそういうことになったのかも詳しくは描かれず（「実は生きていたことが世間様にも広く知れ渡ってしまった以上、大道寺一派も彼を死んだことにすることを諦めたのかな」という想像はできますが、詳細は本当に一切描かれません）、「プレイヤーを引っ張るためだけに後付け設定で主人公に試練を与えたけど、結局どう風呂敷を畳むかは思い付きませんでした」という印象しか残りません。これじゃあ最後の最後でスタープラチナの「成長」という「逃げ」に走ってしまったジョジョ3部と一緒です。
また本項冒頭で述べた「サブ柱」というのは、春日と紗栄子の恋愛要素なのですが、これもとってつけたような印象が拭えません。そもそも、[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の時点で春日が紗栄子に惚れているような描写が一切なく、また紗栄子がそこまで男を狂わすようなイイ女であるようにも見えなかったので（現に足立とナンバは2人とも相手がいなさそうなのに紗栄子のことをなんとも思っていません）、春日が紗栄子にホの字だと言われても非常に唐突感が強いです。そして、この要素自体を本作のストーリーから一切取っ払っても全く影響はありません。また、春日のプロポーズの内容が気に入らなかったというだけの理由で1年も春日からの謝罪メッセージを未読スルーする紗栄子は、とてもひどい奴に見えます。フるならはっきりとフってやればいいじゃないですか。その結果、やっぱり春日が紗栄子に惚れたという設定も飲み込みづらくなります。
***サブタイトル
本作は、各章のサブタイトルに日本の歌謡曲の題名が用いられています。最終章は椎名林檎の同名の歌を出典とした『ありあまる富』というサブタイトルであり、クライマックスシーンでは実際にこの歌が流されます。また、本作の英題はサブタイトルが"Infinite Wealth（無限の富）"となっており、これは『ありあまる富』と同じことを意味していると思われます。なお、Infiniteが、本作のナンバリングである8ともかかっているのでしょう。
ただ、ここまで前面に出している「ありあまる富」の意味はよく分かりません。0でこのサブタイトルを用いるならまだ分かるのですが、主人公陣営が金を稼ぐわけでも金持ちのヴィランを叩くわけでもないので（無論、ラスボスは金を持っているのでしょうが、演出上それが分かりやすくなっているわけではありません）、どういうつもりでこの曲をクライマックスに流したのかも分かりません。本作をプレイし終えた後に「ありあまる富」を改めて聞いて歌詞も確認しましたが、歌自体は「金よりも大事なものがある（から自分がお金を持っていなかったとしても気にすんな）」という悪く言えばありふれたメッセージを伝えたい作品だと思いました。本作における「金よりも大事なもの」っていうのは仲間との絆のことなんでしょうか。それにしてはアンチテーゼとしての金や富を分かりやすく持っている存在が出てくるわけでもないので、やっぱり腑に落ちません。そもそも仲間との絆については本作で嫌と言うほど（過剰に説明的に）強調される要素でもあり、[[7>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の頃からずっとそのテーマを押し付けてくるので、若干吐き気がします。
ひょっとして、偉い人の中に椎名林檎ファンがいて、無理やりねじ込んできたのでしょうか。
**キャスト
主要キャストの演技力にはさほど文句はありません。トミザワを演じた井口理は、[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の堤真一より戦闘時のボイスが棒読みでしたが、通常時の台詞は身構えていたほど酷くはなかったです（それでもちゃんとうまい人にはしっかり負けています）。そして、堤真一は戦闘時のボイスが良くなっていました。
主要キャスト以外にもフェイスモデルまで再現された演者（宇内梨沙・檜山沙耶・駒木結衣・朝倉未来・宇多丸）がいるのですが、その方々は全員下手でした。
それよりも、有名役者が起用されたキャラクターは、ナンバやトミザワみたいなしっかり味方になる人々を除くと、「いずれ敵対するんだろうな」というのが読めてしまうのが問題だと思います。本シリーズで、そういう判で押したようなどんでん返しをやり続けてきたゆえの弊害です。「2時間サスペンスの大物ゲストは犯人である可能性が高い」というのと同じ推理ですね。英二に至っては序盤にサポーター役で春日の戦闘に参加するという煙幕まで張られていたのですが、それでも信用しきれなかった人が多いはずです。この点は、早めに何とかした方がいいでしょう。
**言語
本作では新たな街としてハワイが追加されており、ここが主要な舞台となっています。ゲーム内で探索できるハワイが治安が悪すぎて、ハワイの人を怒らせるんじゃないかというのが気にはなりましたが、それは些細な問題です。
もっと問題なのは、日本語を話させなさそうなハワイの人間が唐突に日本語で英語をほとんど話せない春日と会話し始めることです。かと思えば、「中国語が用いられて、春日がその意味が分からず困惑する」というようなシーンもあり、非常にご都合主義的に感じました。
もっと問題なのは、日本語を話させなさそうなハワイの人間が唐突に日本語で英語をほとんど話せない春日と会話し始めることです。かと思えば「英語や中国語が用いられ、春日がその意味が分からなくて困惑する」というようなシーンもあり、非常にご都合主義的に感じました。
**サイドコンテンツ
サイドコンテンツは相変わらず豊富で、今回の目玉はポケモンのパロディである「スジモンマスター」と、どうぶつの森的なサンドボックスゲームのパロディで、そこに更に（[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]の会社経営のような）経営シミュレーション的要素を加えた「ドンドコ島」（同名の島をリゾート地として開拓・開発していく内容）の2本です。ただ、必勝法を掴んでしまえばあとはそれを繰り返すだけで作業的になってしまう底の浅さは、いつもの[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]です（本作含めた[[シリーズ>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]作品に山のように登場する種々のミニゲームにも、全体的にそういう傾向があります）。まあ、1本のゲームのサイドコンテンツとして見れば十分なボリュームはあるので、文句ばかり垂れるのは良くはないでしょう。
また、毎作恒例のサブストーリーもありますが、上記のような他のサイドコンテンツに紐づけられたものが多く、純粋に独立したものの数は歴代作品の中でも少ない方だと思います。しかもあくまで春日一番のサブストーリーでしかなく、仲間がほとんど関わってこない（サブストーリー中に戦闘が発生するとワープしてきたウルトラマンみたいに急に出現します）という問題点も[[前作>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af7]]と同様です。そのうえ、極端にこちらの敵愾心を煽ってくるステレオタイプなヤカラが出てきて、それを殴って溜飲を下げるという展開が非常によく見られます。このワンパターンに飽きている自分に、本作の途中で気付いてしまいました。
**総評
文句ばかり書きましたが、最終的な評価としては「無理に作られた続編としての[[『龍が如く』>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af%a5%b7%a5%ea%a1%bc%a5%ba]]」というあたりに落ち着きます。3〜[[6>https://seesaawiki.jp/w/mafirooo/d/%ce%b6%a4%ac%c7%a1%a4%af6%a1%a1%cc%bf%a4%ce%bb%ed%a1%a3]]のあたりと似たような感じですね。ハワイの街並みみたいなガワの部分はちゃんとしていますが、肝腎のメインストーリーのクオリティがそれなりのものに止まるので、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の精神でサブストーリーのワンパターンさやサイドコンテンツの底の浅さといった悪い部分にまで目が向いてしまっているような気はします。
メインストーリーは、本当になんとも擁護のしようがありません。シリーズを追いかけてきた人じゃないと理解しにくいストーリーなのですが、他方でシリーズを知っている人はシリーズ内の良作（初代や0）と比べてしまうでしょう。ゆえに、どちらの層にも胸を張っておすすめしづらいです。
ただ前述のように「引っ張る」力だけは持っているので、途中さえ楽しければ最後のまとまりはどうでもいいという人はやって損はしないと思います。
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