高橋維新のページ - 2019.11.7アメトーーク
 2019年11月7日放映のアメトーークを見た。今回は「神社仏閣大好き芸人」という企画であった。

 雛壇の面々(8人)の好きな神社仏閣が順々に紹介されていたが、8人もいるゆえに一つ一つの紹介に割ける時間が短く、それぞれがどういう由来のどういう場所なのかがあんまり伝わらず、全体的に非常に散漫な内容になっていた。また「神社仏閣大好き芸人」と題してはいたが、紹介されるのはほとんど神社ばかりだったので、そのことも気になった。
 普段のアメトーークではまず「神社仏閣とは何か」「主な神社とその由来」といった総論的な話題をリーダー(雛壇の中でMCに一番近い位置にいる出演者。今回は小籔)がプレゼンするところから入るのであるが、それが全くなかった(元々やっていないのか、やったけどカットされたのかははっきり分からない)。一つ一つの神社を短時間でバラバラと紹介していくばかりでまとまりや体系のようなものはなく、結果として印象にも残らない内容になっていた。
 神社仏閣を貶すわけにもいかないので笑いの方も当然稀薄で、MCの向かって左にいた小杉をイジるばかりでお茶を濁していた。

 雛壇の面々も、リーダーの小籔とそれ以外の面々とでは「好き」の度合いにかなりの温度差があるように見えたが、その点がイジられることもなかった。
 小籔であれば本来味方であるはずの雛壇の仲間を「にわか」と糾弾して笑いをとることもできるはずである。これは、「雛壇の面々は全員が神社仏閣をこよなく愛する芸人である」という番組が用意した設定を壊していくムーブであるため、本来ご法度とされる喧嘩(=プロレス)であり、度胸とウケる算段がなければできないが、小籔であれば申し分ない。特に今回はアメトーークで小籔から何度も糾弾されている品川も雛壇にいたので、そういう喧嘩を期待してのキャスティングとも思えたが、「神社仏閣大好き芸人」たちはフワフワと団結するばかりで、視聴者が内部の温度差に感じたであろう違和感も解消されることなく番組が終わってしまった。小籔が糾弾するのは、MCの向かって左にいたジュニアと小杉ばかりであった。

 まとめると、全体的に軸がなく浮足立った内容になっていた。もう一度言うが、元々そういうシーンがなかったのか、あったけどカットされたのかははっきりとは分からない。あんまり、前者だとは思いたくない。
 厄払いやお守りや絵馬に本当に効果があるのか、ということを科学的に検証していけば(「水曜日のダウンタウン」のような)神社仏閣を貶す形での笑いは作れると思われるが、ちゃんとやると(神社仏閣の収入を奪うような)致命的なまでに芯を喰った批判になってしまうと思われる。取材に協力してもらう必要のある神社仏閣にそこまでの攻撃はできないであろう。当然、特定の宗教に対する批判というような側面も帯びてしまう。テーマからして難しかったのではないかとも思う。