「んっ……あっ!」

真夜中、れいなの上に跨って腰を振る、絵里。
相変わらずの腰使いに翻弄され、早くも絶頂を迎えようとしているれいな。

「ふぁっ…絵里ぃ……あっ」
「れーな……あぁん…っ」

粘着質のある音とふたりの荒い息遣いが部屋に響く。
なんども繰り返された行為なのに、その度にふたりは興奮し、ひとつになり、ふたつとないシアワセを感じる。

「絵里…もっ……もぉ!」

れいなの声が響いたかと思うと、勢い良く白い液体が絵里の中に放出される。
絵里の下腹部に沁みわたるそれが温かく、絵里は自然と笑顔になっていた。

「れーなぁ…相変わらず早いですね」
「はぁ…だって、絵里ン中、バリ気持ち良くて…」

その言葉に絵里はまた優しく笑い、れいなへと覆い被さる。
ふたりと吐息が闇に浮かんでは消える。

れいなは呼吸を整えながら、ずっと聞きたかったことを口にした。

「なぁ…絵里」
「うん?」
「……子ども、欲しいやろ?」

真剣なその声に絵里はきょとんとする。
そうだ、あのときもこうやって、エッチが終わったあとのことだったと、絵里はふと思い出す。

高校生のころから、付き合ってはいないまでも、なんども体を重ねてきたふたり。
いつの間にか大人になって、社会人になって3年目の春、当たり前のように同棲をしていたときのこと。
その日も絵里主導のエッチが終わり、もうすぐ夢の中を泳いでいけそうなとき、れいなはふと言葉を出した。

「明日さぁ……ご飯、モツ鍋にせん?」
「んー…いいよ、つくってる」
「あと…クリーニング、明日取りに行っとって」
「あーそっかぁ。明日だったね、受け取り」
「……それとさ…」

他愛のない、なんてことはない会話を繰り返すれいなにどうしたんだろうと思うが、
そろそろ眠気も限界だったので、絵里もうんうんと頷く。

「………………結婚せん?」
「あー…うん、いいよ」


………え?


瞬間、絵里の眠気が吹っ飛んだ。
え、いま、れーな、なんて言った?というか私、なんて言った?

絵里がれいなの方を向くと、れいなは絵里と目を合わせようとはせずに、あらぬ方向を向いている。
その頬は真っ赤に染まり、この暗闇の中でも分かるくらいだった。
興奮しているのか、その口元ももごもごしていて、やっぱり、可愛い。

「……れーなぁっ」

絵里はれいなをぎゅうと抱きしめた。
実際に結婚式を挙げるまでは紆余曲折があったのだが、それはまた別の話。


そう、いまのれいなは、あのときと同じように低い声で、なにかを伝えようとしていた。
絵里はれいなを真っ直ぐに見つめると、彼もまた真剣な瞳をこちらに向けた。

「急にどうしたの?」
「いや……絵里はどうなんかなーって思って」

れいなの言葉に絵里は唇を突き出して考える。
確かに高校生のころは漠然と子どもが欲しいとは思っていたし、それはいまでも変わっていない。
実際に子どもが生まれた場合の養育費なども考えるが、一応貯蓄はそこそこあるし、育児休暇制度もあるし、困ることはないと思う。
でも、どうしてそんなことを聞くのだろうとれいなを見ると、彼は困ったように笑った。

「ほら、オレってさ、人より…その……ち、ち…小さいから……」

そうしてれいなは落ち込む。
あ、コンプレックスと向き合ったーと絵里がれいなを見ていると、れいなはさらに続ける。

「やっぱ、子ども出来んの、オレのせいかなとか…」

ああ、そうか。と絵里は思う。
そんなこと気にしてるんだと絵里はれいなの頭を撫でた。

「れーなが気にすることないのに」
「……でも」

れいながまた弱気なことを言いそうだったので、絵里は軽くキスを落とす。
甘い唇が重なり、ちゅっという軽い音が響いた。

「子どもは神様からの授かりものなんだよ?」
「へ?」
「慌てなくたっていいじゃん。絵里たちまだ若いんだしさ」

子どもが欲しくないといえば嘘になる。いつかシアワセな家庭を築きたいという願望だってある。
でも、れいなと一緒に過ごす時間もやっぱり好きだった。
ふたりで一緒に歩いていけば、その内、神様がご褒美に子どもを授けてくれるんじゃないかって、なんとなく、そんな気もする。

「でも、まぁ……」
「ん?」

絵里はきょとんとしているれいなに再び跨り、自分の下腹部にれいなをそれを入れた。
3回目だというのに、れいなのそれはもう勃っている。慌てるれいなをよそに、絵里は腰を動かし始めた。

「その分、エッチがんばればいーじゃん」

え、結局はそういう話デスカ?と思ったのも束の間、れいなは再び絵里に翻弄されることになる。
だが、なんとか意地を見せようと、絵里の腰を掴み、ぐんと下から突き上げた。
突然の刺激に絵里は反応し、ぎゅうと下腹部が締まる。結果、れいなは再び情けない声を上げて達することになった。
それでもれいなはプライドがあるのか、再び腰を動かした。

その日、ふたりはなんどとなく体を重ね、なんども絶頂を迎えた。
この1年後、ふたりの間に待望の第一子が誕生するが、それはまた別のお話―――




れいな君のなんちゃって未来 おわり

Wiki内検索

どなたでも編集できます