「やっ!んっ、せ、ん、あぁ……あっ、あ!ふぁ!」

僕が彼女に跨って腰を振る。
優しさがあるかは分からない。気持ち良すぎて訳が分からない。思いやりなんて、やっぱりないかも。

「あっ、あ!んっ!ああ、あっ、はぁ、あっ!!」

彼女が僕の下で腰を振る。その律動に合わせるように僕も腰を振る。
ぐんと一突きすると彼女が震え、それでも彼女は求めるように腕を伸ばし、膣内がぎゅうと締まっていく。
出してしまいそうになるのを堪え奥まで貫く。襞が絡みついてくる。玉のような汗が落ちる。
彼女は、切羽詰まったこういう瞬間の僕の表情が好きだと云う。
息が短くなりながら彼女を見た。彼女はぎゅうと目をつぶり、ヘッドレストを握りしめ痛みと快感を堪えている。
ホントに、見てるんですか?僕の「そういう」瞬間。

「あああっ!ら、らめっ!んん、ゃっ!あああ!」

なぜこんなことになっているのだろう。
元を正せば、僕が「あの日」に彼女を抱いたからだ。
自分の胸に抱える想いを堪えきれず、書庫で彼女を貫いた日から、僕らの関係はつづいていた。
だけど、今日、こんなことになっているのは、間違いなく、彼女のせいだ。
しかも、こんな場所―――デパートの地下駐車場に停めた車の中で。

「やっ!ん、あっああ!ふっ、ん…だ、だめぇ……ダメっ!」
「いちいち、エロい、絵里さんが悪いんですよ?」
「ち、ちが…あっ、はっ、ああぁ!ダメ!もう…も……あぁぁっ!!」

事の始まりは3時間前、彼女と買い物に行くことになったときからだった。




 ------

女の長いものは、トイレと電話と買い物である。
そんな名言を残したのは誰であろうと思いながら、彼は両手の荷物を持ち直した。

「せーんせっ。次、あっちね!」
「ま、まだ行くんですか?」
「だってまだシャツとチュニックとワンピースとネックレスしか買ってないもん。これからパンツとサンダルを買いに行くんですよ」

その言葉に頭が痛くなりながら、光井先生こと愛佳は彼女―――絵里のあとを渋々ついて歩いた。
4月末から5月にかけての大型連休、ゴールデンウィークに、愛佳は絵里の買い物に付き合っていた。
確かに最近、互いの仕事が忙しくデートらしいデートができていないと愛佳も思っていた。


―――「明日、どっか行きますか?」


だから昨日、愛佳は絵里をデートに誘った。あまり時間が取れないお詫びもかねて、絵里の好きな場所にとことん付き合おうと思っていた。
しかし、彼はすっかり忘れていた。絵里が極度の買い物好きで、散財癖があることを。

「これどうです?」

大型デパート上から下まで、フロアの隅から隅まで引っ張り回され、荷物も段々と増えていく。
教師は立ち仕事とはいえ、此処まで歩き回るとさすがに脚が棒になる。

「かーわーいーい、こーれー!」

白いワンピースと淡い水色のスカートを手にし、大きな鏡の前で合わせてみる。
実際、どっちも似合っているし、可愛いのだから文句は言えない。
彼女は鼻歌交じりに試着室に入っていく。愛佳はため息を吐きながら手近の椅子に腰かけた。
なんだか脚が地面に吸い込まれそうだ。結構疲れているらしい。
というか、パンツとサンダルじゃなかったのかよと今さら思い出して苦笑する。

「あちらの方は、恋人様、ですか?」

ふいに声をかけられて振り返った。
この店の店員、ではないようだ。黒いスーツを身に纏った彼はニコッと笑いかける。どう見ても、不審者だ。
愛佳がなにも答えずに顔を正面に戻すと、「怪しいものではありません。モニターを探しているのです」と彼は正面に回り込んだ。
跪かれ、否応なしに視界に入ってくる。なんだ、最近の営業はこういう形態をとっているのかと愛佳は眉を顰めた。

「わたくし、こういうものでございます」

彼は愛佳の態度を気にするでもなく名刺を出してきた。
視線を絵里のいる更衣室に向けようとするのだが、その名刺の肩書が目に入り、思わず息を呑んだ。
名刺に書かれたその「財閥」の名前は聞いたことがあった。
日本を古くから支え、いまは若き長男が実質の当主としてトップに坐する財閥だ。
名刺を渡してきた彼は、その傘下企業の人間のようだ。「LOVERS SHIGE」と書いてある。なんとも怪しい名前に苦笑した。

「このたび、恋人のいる方を対象にしたモニター調査を行っております」
「あの財閥、そんなことにも手を出してるんですね……」

愛佳は暇つぶしに良いだろうと漸く名刺を手に取った。
詐欺紛いかも知れないという疑念もあったが、仮にあの財閥の名を騙っていることが知れれば、彼らの行く末など目に見えている。
あの財閥なら、そんな小物たちなど一瞬でその存在を消してしまう。それほどの力を有する巨大財閥なのだ。

「こちら、新製品の栄養ドリンクでございます。ぜひ御試飲いただき御感想をいただけましたらと」

彼はそうしてカバンから1本の瓶を取り出した。
見たところは普通の瓶であるが、ラベルに商品名は掲載されていない。

「女性との買い物でお疲れの方がすぐに元気を取り戻す。というようなCMも考えております」

なるほど、と愛佳は苦笑した。
恋人がいる人間が対象、栄養ドリンク、というふたつの条件で、少し妙な想像もしたがどうやら杞憂に終わりそうだ。
確かに女性の買い物は長い。その疲れを癒してくれるのならタダで飲んでも良いか。
愛佳は瓶のふたを開け、くいっと煽った。
こくん・こくんと喉を潤していく。栄養ドリンク特有の甘みと仄かな苦み、そして炭酸に喉が痛む。
飲み終えるとくらりと脳内になにかが回った感覚を覚えた。なんだ、いまの……?

「御感想は簡単なアンケート用紙ですので、宜しくお願い致します、光井様」
「え、なんで、僕の名前……」
「せーんせぇ!」

瞬間、彼女の声が聞こえると同時に試着室のカーテンが開いた。
絵里は淡い水色のスカートをはき、くるりと一回転して笑いかける。

「似合ってます?」

愛佳は間抜けにも、その姿に一瞬見とれた。慌てて我に返ると、その場には既に男の姿がなかった。
まさか幻覚?そんなに疲れすぎているのだろうか、なんて思いながらも、愛佳は試着室へと歩く。
絵里は「うん?」と首を傾げたまま、愛佳を見ている。

「可愛い、ですよ」
「うへへぇ、ホント?嬉しい」

絵里はスカートの裾を握って、貴婦人のようにお辞儀をして見せた。
ずいぶんと可愛らしい御嬢さんだとぼんやり思うと同時に、スカートから見える白い脚に、目を奪われる。
脚力があって、筋肉のついた脚が、愛佳は好きだった。
唐突に、その白い脚に、口づけたいと思った。足先から筋肉のついた脹脛まで、膝、そして太腿を舐め上げたくなる。

「もー、せんせ、何処見てるんですか?」

絵里はそうしてからかうように笑い、愛佳の胸元を押し返した。
試着室から追い出される形になり、絵里は素早くカーテンを引いた。
愛佳はぽりぽりとこめかみを掻きながら椅子に戻る。
が、その足は途中で止まる。
むらむらと、体の奥底でなにかが滾る。抑え込んでいた感情がその首を擡げた。
おいおい冗談だろうと思うが、気付いたときにはその足は、再び試着室へと戻っていた。

カーテンの向こうで、彼女が服を着替えている気配がする。
ちらりと店内を見回した。
幸か不幸か、客も、相変わらず店員もいない。こんなときに何処に行ってるのだ。さっきまであんなにいたくせに。
愛佳はふうと息を吐き、靴を脱いでカーテンに手をかけた。
一気に開けると、飛び込んできたのは、彼女の目を見開いた姿だった。

「え、えっ!なに?」

愛佳は有無を言わさず試着室へ入り、再びカーテンを閉めた。
そのまま絵里を抱きしめる。

「せ、せんせ、なに?」

絵里は手にしていたワンピースを思わず落とした。
はらりという布の音が妙に響く。
愛佳は絵里の顎に手をかけ、そのままキスをする。
彼女が驚いているのも束の間、右手を太腿へと滑らせた。筋肉のついた脚を柔らかく撫でる。

「んっ……!」

一瞬、空いた唇の隙間から舌をねじ込んだ。
歯列をなぞる間もなく、絵里の舌を絡め取った。ざらりとした触感が心地良い。
絵里は目を見開き、抵抗するように愛佳の肩を叩いて逃げようとする。
しかし、愛佳は応じることなくキスをつづけた。
脚を触っていた手は、膝から太腿をなんども往復し、内太腿からせり上がり、股関節を撫でた。

「んっ!ん、……んー!」

絵里の舌が逃げることを、愛佳は許さなかった。
口内をなんどもこねくり回され、彼女の舌は蕩け始めていた。
それに呼応するように、彼女は逃げるように体を捩る。
頃合いを見て、絵里の下着を擦った。絵里はびくっと肩を震わせたが、構わずになんども指を動かす。

「ふ……ん、ん!」

口の端から唾液が垂れた。
床に落ちたワンピースに落ちないか少しだけ不安になる。が、止めることができない。
彼女の唇を吸いながら指を動かし、左手でしっかりと腰を拘束する。
絵里は精一杯に腕に力を込めて押し返す。漸く愛佳は彼女の唇を解放した。荒い息を整えながら、絵里と見つめ合う。

「っ……せんせ……?」
「やっぱ、下着姿がいちばん似合ってますよ」
「なに言って―――!」

絵里が言い返そうとしたのも束の間、愛佳は彼女の下着の隙間から指を入れた。
まさか此処で?と思うが、愛佳は動じることなく、絵里の大陰唇に触れてくる。

「やっ…だめっ!」
「あんまり声出すと、聞こえちゃいますよ?」

耳元でからかうように囁くと、絵里は息を呑んだ。
試着室でそういう行為をしているなんて、店員や客に知られたくない。そもそも店側に迷惑も良いところだ。

「んっ―――!、っ……っ!」

彼が普段、こういうことをしない性格であることくらい絵里は知っている。
だからこそ、彼の行為に対してうまく対処できない。この腕から、逃げたいのに逃げられない。
そういえば前にも、こんなことがあったことを絵里は思い出した。
あのときはそう、風呂場に彼が入り込んできた。そして彼は強引に、絵里の濡れそぼったそこに自らの欲望をあてがった。

「もう濡れてますね。キスしただけですよ?」
「はぁ……あっ…ん……」

絵里は脚を閉じようとするが、愛佳は強引に割って入ってくる。
くちゅっと触れた愛液を指に馴染ませ、音を立てるように入口をなんどか擦った。
微かな水音に耳を塞ぎ、唇を噛み締めて声を押し殺す。
愛佳は彼女のそんな反応を楽しみながら指で弄び、耳朶を噛んだ。

「っあ!………だめぇ……やだっ」

脚ががくがくと震え、自分の力で立っているのも覚束なくなった。
愛佳の肩にしがみつきなんとか堪えるが、それが逆に、彼の欲情を加速させる。
入口で円を描いていた指をぐっと押し込む。狭い彼女の膣口に第一関節を沈ませると、彼女は体を仰け反らせた。

「あっ…あ、……やっ…!」
「びっしょりやないですか……絵里さんエロすぎですよ」
「だめ……やだ…せんせ……っ!」

浅い場所に沈ませながら、再び円を描くように指を回す。
絵里のそこからは絶え間なく液が滴り、下着に染み込んでいった。
徐々に重くなるそれはもはや下着としての役割を果たさない。
太腿から脹脛へと垂れていく愛液を眺めながら、愛佳はぺろりと舌を出し、彼女の首筋を舐め上げた。

「っ―――!」

左手で胸をなんどか揉むと、ブラジャーが情けなくずれる。
それに呼応するように、ひくひくと脈打つ下腹部がさらなる刺激を求めていた。
絵里は無意識のうちに腰をゆっくりと動かすが、愛佳は彼女の敏感な場所には触れようとはしない。
それどころか、浅い場所で遊んでいた指をそっと下着から引き抜いた。

「せん、せ………?」

唐突に失われた快感に、絵里は恐る恐る顔を上げた。
愛佳はニコッと笑ったまま、濡れそぼった指をべろりと舐める。
中途半端に火照った体は尚も愛佳を求めていたが、彼は指を舐め続けるだけでなにもしない。

「じゃあ、そろそろ出ますね」
「な、なんで……」
「ああ、それから―――」

絵里が聞き返そうとした瞬間、愛佳は絵里の下着に手をかけ、一気に膝までずり下ろした。
抵抗する間もなく、愛佳は絵里の下腹部にしゃぶりつく。
大声を上げそうになる口を手の平で塞いで堪えたが、脚の抵抗が間に合わなかった。
されるがまま、絵里は下着を抜き取られ、下腹部を露出したままの格好になった。

「これ、もう濡れちゃったんで必要ないですよね?」

彼は口元に付いた液を指で拭って笑った。

「っ、なに、するんですかっ……!」
「僕そろそろ出ますから、絵里さんも着替えて下さいね」
「ちょっ!返して―――!」

絵里は愛佳のシャツを捕まえようとしたが、彼はするりと逃げる。
ポケットに彼女の下着を入れると、何事もなかったかのように試着室を出た。

残された絵里は、いまのいま起こった出来事が、現実か、果たして夢かを判別するのに必死だった。
だが、この体に残った火照りは本物で、彼に下着を奪われたのも事実だった。
絵里は息を整えながら、これからどうしようと必死に考えた。




 -------

絵里が試着室から出てくると、愛佳は椅子に座ったままニコッと笑いかけた。
彼のその笑顔は、普段は好きなのだが、いまは憎たらしいだけだった。
絵里は顔を紅潮させながらも試着したワンピースとスカートをハンガーにかけて戻す。

「買わないんですか?」

立ち上がり、愛佳がそう訊ねると、絵里は唇を震わせながら彼の腕にぎゅうと抱きついた。

「……返して、ください」
「なにをです?」

とぼけるように聞き返す愛佳に、絵里はまたなにも言えず、黙っていた。
彼女の今日の服装は、シンプルなフリルのブラウスに水色のスカートだった。
さほどスカートの丈が短いわけではないが、下になにも穿いていないことを考慮すると、それが何の意味もなさないことくらい分かる。

「次、どこ行きましょうか」

からかうように笑った愛佳に、絵里はもう泣きそうになった。
どうして彼が急にこんな風になってしまったのかが分からない。
だが、自分の中で無理やり滾ってしまった欲情の炎が静まることを知らない。
彼に触れてほしくて、キスを奪いたくて、体の中心が熱くて堪らない。

「せんせぇ……」
「どうしました?」

絵里はぐっと背伸びをし、彼の耳元で囁いた。

「シて、ください……」

愛佳にしか聞こえなかったその声に、彼は驚いたような顔を見せたが、直後に柔らかく笑った。
そのままふたりは店をあとにし、地下に停めた車まで歩いた。




 -------

車内でするということに抵抗がなかったわけではない。
だが、スモークフィルムを貼っていたおかげで外からは見えなかったし、なにより、この滾った欲望を押さえることはできなかった。
車に乗り込み、絵里が愛佳にキスをした瞬間、愛佳は助手席のリクライニングを倒した。
狭いのだけれど、ホテルや家に戻るまでの時間すらも惜しかった。
愛佳は絵里にキスをし、助手席の絵里に跨った。ブラウスのボタンを荒々しく外すと、先ほども見たブラジャーに手をかけた。

「んっ……あっ!」

ブラジャーを強引にはぎとり、露出した乳房に貪り付いた。
真っ白な肌に痕を残すように吸い付き、形の良い乳房を鷲掴みにする。

「あ……あん!」

絵里の胸が形を変えるたびに、彼女は切なそうに声を漏らした。
そういえば先日「去年のブラが合わなくなった」なんて冗談交じりに話していた。
ついでに「せんせぇのせいだー」と付け加えられた言葉に愛佳は聞こえない振りをしたが、実際、彼女の胸は大きくなっている気がした。
それでも、手の平に収まるくらいの可愛らしい彼女の胸が好きだった。
愛佳は乳房に舌を這わせ、乳輪をなぞる。絵里は「んんっ!」と切羽詰まった声を出す。

「はぁ、あ、あっ……せん、せぇ…」

絵里の吐息が車内に満ちていく。
エンジンを回してクーラーをつければよかったといまさら後悔した。車内温度が段々と上がっていく。
だが、いまさら彼女から離れることはしたくなかった。愛佳は彼女に口付け、膝ほどの高さのスカートの中に手を入れる。
膝から太腿へするりと手を伸ばし、なんどか往復し、スカートをめくった。

「ふぁ……んっ」

下着を纏わず、剥き出しになった彼女の下腹部から女性的な匂いが漂う。
誘われるように愛佳の指はそこに辿り着くと、先ほどと同じように入口をなんどかなぞった。

「んっ…ん、あっ!」

くちゅり・くちゅりと既に蕩けていたそこから愛液が垂れ、指先に付着する。
彼は口角を上げ、「太腿まで垂れてましたよ?」とからかった。

「こんなに涎垂らして、デパート歩いてたんですか?」
「っ…ちが……あっ!あっ!」

茂みをかき分けるように、やや強引に彼女の中に入っていった。
人差し指の第一関節まで呑み込み、くるくるとそこで円を描く。絵里は「んっ!はっ、あっ!」と短く息を吐く。

「やめっ…ん、んっ!あっ、ああっ!」

それからさらに第二関節まで沈めていく。
ドリルのように掻き回しながら中へ入っていくと、「はぁっ!あっ!」と背中を反らしながら喘ぐ。
胸がさらに強調され、愛佳はそこに噛みついた。左手で胸を揉み上げ、ずっと触れずにいる間に屹立した突起をぺろりと舐める。

「やっ、あああっ!あ……あぁ…んん!」

くりくりと指先で中を掻き出しながら指を最後まで沈み込ませた。
指全体に彼女の襞が絡みつく。温かくて気持ち良いと思った。

「あーあ。シートにまで垂らして……汚れちゃったやないですか」
「んっ…あ、あ……だって……んっ!」

言い訳をしようとする口を塞ぎ、下の口にももう1本指を沈ませて塞ぐ。
舌を突き出して口内を蹂躙しつつ、下腹部の中の指を動かし、孔を広げていく。

「くっ、ん!んっ、ふっ…らめっ…んん!!」

やや強引に下腹部を弄りながら彼女の反応を楽しむ。
そして唇を離し、指を引き抜いた。
焦点の合わない目をした絵里の口元に2本指を持っていき、するりと滑り込ませた。
絵里は「んん!」と苦しそうな顔を見せるが、素直に舌を突き出し、愛佳の指を舐め始めた。
舌を捏ねくりまわしながら、愛佳は空いた左手で絵里の右手を掴み、そのまま彼女の下腹部へ持っていく。

「んんっ!」
「噛んじゃダメですってば」
「ら、らって……んっ!」

絵里の人差し指を立たせ、彼女の中に沈ませた。
彼女が自分自身を慰める姿は見たことがない。ただ、愛佳の指を舐めながら自分の指を咥え込む彼女の姿は、実に官能的だった。
助手席という狭い空間で、彼女は快感に耐えながら体を捩っていた。

「ほら、自分で動かして下さい」
「んん!、っ、む、りぃ……ん!」

ムリならしょうがないと、愛佳は左手を彼女の右手に添えて動かしてやった。
ずちゃ・ぬちゃと卑猥な水音が車内に響く。絵里の脳内にしっかりと響くそれは麻薬のように絵里を狂わせる。
寂しそうに屹立していた乳首を忘れないように、愛佳はちゅうっと吸い付いた。

「あぅ!ん、ん!んっ、、む、ん!」

絵里は痛みと快感を同時に感じながら顔を歪ませた。微かに目尻に涙が伝う。
ああ、もう、我慢も限界です、と愛佳は顔を上げ、自分の指を抜いた。
べったりと彼女の唾液で濡れた指を軽く舐め、そのまま片手でベルトを外す。
左手は相変わらず添えられたまま、彼女はもどかしそうに腰を振っていた。

「1本だけじゃ、物足りないでしょ?」
「はっ…あ、あっ…せん、せぇ……ああっ」
「気持ち良く、させてあげますよ」

愛佳はぐいっと彼女の左脚を持ち上げる。
絵里の指を引き抜くのと同時に、自分の直立したそれをあてがい、一気に貫いた。

「ああああっ!!」
「きっついですね…相変わらず……」

充分に濡れているにもかかわらず、絵里の中は狭かった。
半分まで沈み込んだそれに手を添え、さらに深く押し込む。車体が大きく揺れた気がした。
ぐっぐっと腰を押し進め、絵里の最深部まで辿り着いた。襞が亀頭から竿までしっかりと絡みついてくる。
赤く熟れているであろう襞をこするように、愛佳はいちど腰を引き、ぐんと突いた。

「ああっ!あっ!あん!」

久し振りのせいか、腰は自分の意志とは関係なく勝手に動いた。
車内が狭いせいでさほど大きくグラインドできないが、小刻みに絵里の中を突いていく。
愛液がどろどろと溢れ出し、愛佳のそれに絡みついて離さない。絵里は短く喘ぎながら快感に震える。

「あっ、あっ!ん、や、あっ…あっ!!」

熱く滾った自分の欲望を、なんども彼女の奥へと滑り込ませた。
その度に絵里は切なく声を上げ、涎を垂らして髪を振り乱す。
絵里の下腹部から絶えず溢れる愛液は抽送の手助け以外の何物でもない。

「やっ!んっ、せ、ん、あぁ……あっ、あ!ふぁ!」

膨張した自らの欲望はさらに深く、彼女の中で暴れたいと主張する。
絵里もまた同じだったのか、ゆらゆらと腰を振って自分の感じる箇所にそれを当てようとする。
助手席という狭い場所で彼女に跨るのは不正解だったかもしれない。
なぜ後部座席に移動するまで我慢できなかったのだろうと苦笑した。

「あっ、あ!んっ!ああ、あっ、はぁ、あっ!!」

絵里にも愛佳にも余裕がなかった。
体を重ね、愛を囁くというセックスではなく、「性行為」という本能的なものを求めていた。
絵里の中が不規則に蠢いて、愛佳のすべてを絞り出そうとする。
愛佳も負けじと小刻みに動き、彼女の中を擦っていく。厭らしい音が車内に響く。

「やっ、あ!んん、んっ…はぁ…あっ…あああっ!」

いまのままでも充分に快感を得られているのだが体勢に限界が訪れた。絵里も窮屈そうに顔を歪めているのは分かっていた。
愛佳は吐き出してしまいたくなるのを堪え、いちど腰を止めた。
短く息を吐きながら呼吸を整えていると、絵里が「せん、せぇ……?」と泣きそうな目でこちらを見ていた。
愛佳はいちど額の汗を拭い、助手席のリクライニングを軽く戻した。そして強引に彼女の体を引き寄せ、反転する。

「あぁぁっ!」
「はぁっ……やっぱ、これが、イイですね」

助手席に背を預け、愛佳は絵里の前髪を撫でてやった。
汗をかいた前髪をかき分けながらキスをし、「もう、キツくないですか?」と優しく訊ねる。

「んっ…だいじょ……あっ、あっ!!」

絵里の答えを聞く前に腰を一気に突き上げた。
体勢が楽になった途端に、思い出したように興奮が昂っていた。
昂った欲望はしっかりと絵里の中に咥えこまれ、ぎゅうぎゅうと締めつけて離さない。

「あっ!ん、あああっ!ら、だめっ!も…あああ!!」

奥深く呑み込まれたペニスは、絵里と愛佳が腰を振るたびに根元から竿まで顔を出す。
車体が激しく揺れ、いまにも発進してしまいそうだが、構わなかった。
一突きするたびに彼女の愛液が溢れ、シートだけでなくサイドブレーキにまで飛び散る。

「あっ、あっ、せんせ…だめっ!イ、イっちゃうぅ!」
「はぁ…絵里さん……絵里、さんっ!」
「せんせぃ…あっあっ!やっ、あ!あああ!!」

絵里はやって来るであろう快感に備えるように愛佳の背中に両腕を回した。
それでも貪欲に腰を前後左右に振り、中を擦る角度を変え、快感の喜びを噛み締める。
愛佳はずっと我慢していた欲望が段々とせり上がり、堪えきれなくなった。
絵里の唇に貪り付き、舌を強引に奪い取る。

「んっ!んっ、ちゅっ、んんむ!!」

いよいよ限界だと悟った愛佳は、これ以上ないほどにパンパンと腰を打ちつけた。

「っ、あっ、ああ、あああああ!!」

絵里もガクガクと腰を振り、愛佳に応えた。絵里の中が急速に締まり、蠢いていた襞が愛佳のそれに絡みついた。
絵里が体を震わせながら天井を仰ぐ。ぐちゃぐちゃに掻き回し、最奥を突いた愛佳は、絵里に搾り取られるようにすべてを吐き出した。




 -------

愛佳が目を覚ましたとき、最初に目に入ったのは自宅の天井だった。
鈍い頭の痛みを覚える。なにが起きたのか、今日はなにをしていたのか、愛佳はゆっくりと情報を整理する。
が、記憶は不明瞭でロクに思い出せない。
確か、絵里とデパートに買い物に行って、それからあの財閥の傘下企業の新製品を飲んで……それから?

「せ〜んせっ」

ふと、左隣から聞こえた声に愛佳は顔を向けた。
そこには気怠そうな顔をしつつもだらしなく笑う絵里がいた。
そして彼女はなぜか、裸だった。そこで気付いたのだが、愛佳もまた全裸だった。おいちょっと待て、服は、どこいった?

「うへへぇー、先生も大胆ですよねぇ〜。溜まってたんですか?」
「な、なにが……?」
「なにがじゃないですよぉ〜。絵里をノーパンにさせて〜、車の中でエッチして〜、それからやだって言うのに玄関でもシちゃってぇ」

絵里の言うことが、いまひとつ理解できなかった。
ノーパン?車?玄関?シたって、なにを?なにをって……ナニを!?
え、僕が、絵里さんに?嫌だって言ったのに?!

「あはっ、まだ勃ってるね」

絵里はもぞもぞと動き、腕を愛佳の下腹部に伸ばした。
彼女の言うように、確かにそこは直立している。ウソやろと愛佳は冷や汗をかくが、どうもこれは現実のようだ。
絵里はへらへら笑いながら、頭を下腹部へと持っていく。

「ちょっ!なにしてるんですか!」
「えへへ、気持ちよくさせてもらったから、今度は絵里がシてあげるね」
「なに言って―――!」

気付いたときには、絵里は口を大きく開けて愛佳のそれを咥え込んでいた。
絵里の小さな舌先が鈴口に触れる。それはびくっと反応し、絵里の口内でさらに膨張した。
愛佳には現状がまだ把握しきれていなかったが、絵里は構うことなく愛佳のペニスをぺろぺろと舐めつづける。

「ふぇんふぇーも、ひてよぉ……」

絵里は切なそうに振り返ってそう言った。
愛佳の目の前には、絵里の下腹部がある。
ぼたぼたと愛液を垂れ流し、愛佳に舐めてほしいというようにおねだりしていた。
愛佳は密に誘われた蝶のように、絵里のそこにむしゃぶりついた。

「んんっ……ふぁ…!」

そうして絵里と愛佳は、互いの性器を咥え込んだ。
なにひとつ、状況は理解できていなかったが、それでも愛佳は、この行為をやめることはできそうになかった。



光井先生と記憶りんのちょっとエッチな休日 おわり




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オマケ

(;▲_▲)っ◆<このドリンクはかなり危険なもののようでございます
ノd;・ 。.・)<試薬段階とはいえ、普段温厚な光井先生を暴走させるなんて恐ろしすぎるの…
        絵里に飲ませたらあのドMニャンコでも死んじゃうの…
( ▲_▲)<一般発売できるものに改良します
ノd*・ 。.・)<うむ。ご苦労なの



55スレ目576のネタを勝手にいただきましたサーセンw


 

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