グローインペイン症候群
【概念】
何らかの原因により体幹や股関節周囲筋筋力低下、筋緊張のバランスが崩れたために起こる。鼡径管の後壁で横筋筋膜の脆弱化により腹圧がかかった場合、鼡径管やその周囲の組織を圧迫することによって起こる。最近では「スポーツ版脱腸」と考えられるようになった。【症状】
【診断】
超音波検査により鼡径管の後壁いわゆる横筋筋膜の脆弱化が見られる。スポーツを頻繁に行っている者(特にサッカー選手)で鼡径部の疼痛を訴えてきた場合は、鼡径管の脆弱を疑っていなければ診断は困難。鼡径ヘルニアなどのその他の股関節周囲痛との鑑別が必要になる。【治療】
保存的に治す方法が第一選択である。ただ安静にするだけでなく、慢性痛に移行した場合は体幹や股関節周囲筋の適切な筋力強化を行う。2〜3ヶ月程度のリハビリで競技復帰が可能な選手もいれば1年ちかく鼡径部痛を伴う選手もいる。
【保存治療】
1.内転筋群、ハムストリングス、大腿四頭筋、腸腰筋、腹直筋などの緊張緩和を目的にストレッチを行う。緊張緩和を目的としてストレッチのみならず、マッサージや超音波などの物理療法も有効である。2.腹直筋、腹斜筋などの体幹筋のトレーニングが重要になる。
体幹筋の低下は内転筋群の過剰な収縮を促す可能性があり、疼痛を誘発してしまうために行わないようにする。
【私的治療】
体幹の筋力向上はどの医学本にも記載されているが、過度な腹直筋の筋力トレーニングは腹直筋付着部である恥骨を強く引き、鼡径部痛を誘発してしまう可能性がある。体幹や股関節周囲の筋力低下を呈する選手は多く見られるが、日本代表クラスのサッカー選手なども鼡径部痛を発症することがあり、筋力低下だけが問題であるとは軽率な考えになる。急性期の鼡径部痛は安静を要するが、股関節周囲筋のストレッチを行い、疼痛逃避による股関節拘縮を避ける必要がある。また、体幹や股関節周囲筋のトレーニングとともに、全身的なバランス動作や実際のパフォーマンス動作の確認も行っておく必要がある。2008年07月08日(火) 00:29:11 Modified by medireha_jiten
