日焼け〜日光皮膚炎〜
【概念】
正式な病名は“日光皮膚炎”といい、急に長い時間に日光にあたる事により生じます。皮膚は大きく分けて、表皮、真皮、皮下組織に分けられています。ふだんは表皮のいちばん下の層にあるメラノサイトからメラニン顆粒がつくられ、このメラニン顆粒が表皮の角化細胞に作用することで紫外線を防御しています。
メラノサイトは数や分布に人種に差はありません。
肌の色はメラニン、カロチン、ヘモグロビンなどが関与していますが、特にメラニンの関与が大きいと考えられ、黒人のひとの方がメラニン顆粒が大きいために皮膚の色が黒くみえるのです。
【紫外線の種類と効力】
地上に届く紫外線はUVAとUVBに分かれますが、このうち、日焼けの皮膚炎を起こすものはUVBとされています。大部分は表皮に吸収されますが、10%ぐらいが真皮に達します。真皮の血管が拡張してきて6〜12時間でピークに達し、皮膚が発赤してきます。
その後、メラノサイトでのメラニン生成が活発化し、血管拡張が修まってきて症状が消退していきます。
また、光にあたることで作用がでてくる物質を内服したり(抗菌薬、降圧薬、血糖降下薬など)、外用したり(湿布薬など)することで皮膚炎を起こしたり、春先から日光にあたる部位だけにかゆみをともなう発疹がでてきたりすることもありますが、それらは光線過敏型薬疹として別の病気として分類されます。
また、長い期間、紫外線を浴び続けると、首の後ろに深いしわができたり、日光にあたった部位にしみができることがあります。また、皮膚癌の前段階(老人性角化腫)や皮膚癌(有棘細胞癌など)の発生もあります。赤道に近い国に住む白人にはこのような症状が強くでる傾向があります。
【症状】
軽いやけどと同じ状態です。日光にあたったあと数時間で日光にあたった部位に限局してはっきりとした赤み(紅斑)を生じ、6〜24時間後でピークに達します。ひどい状態では、むくんだり(浮腫)、水膨れ(水疱)が生じることもあります。
自覚症状としては、ひりひり感があります。長時間に日光にあたった場合、熱射病を合併し、高熱、脱水などを起こし、入院加療が必要となる場合もあります。
【治療法】
まずは冷やしてください。冷やしたタオルや、ビニール袋に氷を入れタオルにつつんだものなどをあてます。赤みが強い場合や水膨れができる場合には早めに受診して下さい。ステロイドなどの消炎剤の軟膏を塗り、状態に応じて消炎鎮痛薬を処方します。海水浴後などで全身に及んで広範囲だったり、皮膚の痛みが強くて軟膏が塗れない場合にはスプレータイプの外用薬もあります。また、症状が高度で水膨れができる場合には、短期間ステロイドを内服して炎症をおさめることもあります。水膨れは破けなければあえて破く必要はありません。
大きい場合やわずかに穴があいた場合は医療機関で処置をした方が無難です。赤みや水膨れは、皮がむけたのち、色素沈着や色素脱失(色が白く抜ける)を残して治ります。
後でしみとなることもありますが、できてしまったしみはビタミンCの内服や市販の美白化粧品で若干よくなる程度です。自由診療となりますが、レーザー治療で薄くすることはできます。
【予防法】
紫外線によって体内にビタミンDが作られるという関係がありますが、日本人の日照時間では積極的に紫外線に当たる必要は全くありません。日本人にはむしろ積極的な日焼けは有害無益です。日傘や帽子、長袖、長ズボンで防御することもよいのですが、最近では市販の日焼け止めが発売されています。製品には、SPF(sun protection factor)とPA(protection grade of UVA)と効果が表示されています。SPFはUVBに対する防御効果、PAはUVAに対する防御効果を表しています。日常生活ではSPF15程度、海水浴などではSPF30程度が目安です。汗や水などで流れ落ちたり、時間がたったりした場合には、塗り直す必要があります。
また、日焼け止めの成分のなかに、“どんな病気”のなかでお話したように、光にあたることでかぶれをおこし皮膚炎をおこす物質が含まれていることもあるので、すべてのひとにかぶれるということではないのですが、使った部位に痒みのある赤みなどがでてくることがあれば、中止した方がよいでしょう。
2008年05月28日(水) 23:05:16 Modified by medireha_jiten
