肩関節周囲炎(五十肩)
【概念】
中年以後の肩関節周囲の組織の退行性変化基盤として発症した疼痛性肩関節制動症である。腱炎(肩峰下滑液包炎)や上腕二頭筋長頭腱鞘炎や癒着性関節包炎や腱板断裂、変形性肩関節症や変形性肩鎖関節症などの原因が考えられている。明らかな原因がなく、突然の肩関節の痛みを引き起こし、時として安静にしていても痛みは強く、夜間に激しく痛みを呈することもある。【症状】
その痛みは腕に放散し、動かすと必ず痛み、日常生活では髪をとかしたり(結髪位)、シャツの着脱、帯を結んだりした時(結帯位)や、肩を上にあげようとする時に痛みがでたり、強くなったりする。そのため、肩関節の動きはかなり制限されるあらゆる方向で制限されるが、特に回内したり、外に回外したりする運動、外に上げたりする運動の制限が著しい。また肩を他動的に過度に動かそうとすると痛みがひどくなり、烏口突起(うこうとっき)部、結節間溝部、肩関節の後外側(こうがいそく)部に圧痛を呈する。慢性期になると疼痛による反射性萎縮により筋力の低下が起こる。そして患者さんを後から診察すると、患側の肩甲骨の動きが健側に比べ早く外側に動いてしまうことが起きる(これを肩甲・上腕リズム(scapulo-humeral rhythm)?の乱れ)。
【診断】
前述の症状でほぼ診断できるが、補助的診断では単純X線では特に所見は認められない。造影では関節包下部の縮小を認めることがあり、肩峰下滑液包にプロカインを注入するプロカインテストは診断治療に有効となる。これと区別しなければならない肩の病気としては、胸郭出口症候群、頸椎(けいつい)症、腋窩神経麻痺などがあげられるが、慢性になると区別がつかなくなることがあり、注意が必要となる。【私的な見解】
肩関節周囲炎は男性よりやや女性が多くみられる。それには、女性の筋力低下やホルモンバランスなどが関与している可能性もある。しかし、現時点では科学的な見解は得られていない。また、『ある日突然痛みが出現し、ある日突然痛みが消える』と巷では言われているが、決して突然発症・改善することはない。
肩甲骨周囲筋(腱板や前鋸筋、僧帽筋中部・下部繊維など)の筋力低下が教科書的だが、肩甲胸郭関節に大きく関与する体幹筋の活動性は無視できない。強いては、下肢の柔軟性も重要視される。
下肢の柔軟性は、座位・立位姿勢に関与してくるため、重要となる。
2007年11月12日(月) 22:55:04 Modified by mediwiki_sikkan
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Uploaded by mediwiki_sikkan 2007年09月04日(火) 00:10:16
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