脛骨顆部骨折
【概念】
膝関節に強い衝撃が加わった時に多く受傷する。特に交通事故(バイク事故に多い)やスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツの事故でも多く見られる。膝関節に直接かかる衝撃なため、脛骨顆部骨折単独で起こることは少なく、膝関節内外の側副靱帯靭帯損傷や脱臼、膝蓋骨骨折などを伴う。【症状】
受傷直後から、疼痛、腫脹(血腫)、膝の変形(脱臼や複雑骨折)、変形や疼痛による運動制限を認める。【診断】
単純 X-Pにて診断は容易である。しかし、単純骨折のみならず靱帯損傷度や筋断裂が合併している可能性が高いため、CTやMRI撮影も同時に行う。【合併症】
受傷機転をよく問診しCT・MRI撮影の確定診断により、明らかになっていくが骨折部位付近の半月板損傷や膝関節の強制外反による内側側副靱帯損傷や前十字靱帯損傷が多く合併する。【治療】
骨折部の陥没が起きている場合で10mm以下のものは保存療法の適応となる。しかし、患者の年齢や生活レベルを考慮して10mm以下の陥没でも手術の適応となる場合がある。関節面の陥没骨折がある場合は、骨移植(インパクターを挿入して整復)、内固定(スクリュー固定)を行う。
関節鏡を使用して合併する靭帯損傷を修復し、半月板損傷は可能であれば縫合、不可能であれば切除し、関節面の整復を正確に実施する。
【リハビリ】
保存療法中年者で活動レベルが低い症例ではギプス固定による保存療法が適応される。固定は重症度により異なるが1〜2ヶ月の固定を要する。ギプス除去後は、リハビリテーションを開始する。固定による膝関節の拘縮が起きている奨励が多く関節可動域拡大が必要となる。また、大腿四頭筋の萎縮が起きている為、等尺性運動を開始する。
半月板などの合併症を伴っている場合では、等張性運動により症状が悪化する場合があるため、十分注意する。
術後リハビリ
早期より関節可動域拡大、膝関節周囲筋の筋力トレーニングを開始する。前十字靱帯や側副靱帯の損傷を伴っている際は、骨折部位が治癒しても靱帯治癒状況に合わせてトレーニングを開始する。
骨癒合が順調に得られている場合でも、疼痛が残存している症例を多く目にする。過度なトレーニングが疼痛を憎悪させないように注意してリハビリを行っていく必要がある
2007年10月28日(日) 21:01:12 Modified by mediwiki_sikkan