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WSIS

【the World Summit on the Information Society】の略

近年、国連では環境、人権、女性など人類の共通課題を解決するために「世界会議」を開催している。これらの課題は主権国家の枠組みでは解決不可能であり、 NGO、市民社会の積極的な参加が求められている。

 この世界会議の一つとして、現在、世界情報社会サミット(WSIS)が開かれている。情報社会についての共通ビジョンの確立及び理解の促進を図り、このビジョンの実現に向けて協調的に発展を遂げるための宣言及び戦略的な行動計画を策定するため、各国政府首脳レベル、国連を中心とする国際機関、産業界、市民社会、 NGO等広範な分野からの参加を呼びかけ、国連行事としてITUが準備を主導している。

 2003年12月、ジュネーブで第1フェーズが開かれ、さらに今年2005年11月、チュニスで第2フェーズの開催が予定されている。ジュネーブ、チュニスのそれぞれのフェーズごとに3回の準備会議、世界各地での地域準備会議が開かれている。 JCAFEは、WSISにアジアを中心とする他の情報通信関連NGOと連携して準備プロセスから関わっている。

 現代社会の中でのインターネットや情報通信技術の役割がますます強まってきている。これからの情報社会をどうデザインしていくかということは、情報通信技術に関わる者だけでなく、私たち市民一人ひとりが自分のこととして考える必要がある。コンピュータやネットワークは社会や生活の至るところに入り込んでいるからである。

 社会の中で情報通信技術をどのように使うか、特に監視やコントロールの技術をどこまで使用することを認めるかなどについて、社会的なコンセンサスがないまま、人々が気づかないうちに個人の自由が制約される方向に進むことは避けなければならない。市民の立場からの意見をどう反映させていくかということがとても重要である。

 市民社会の立場からは、コミュニケーションの権利、表現の自由、そして情報の不平等の解消(WIPO、TRIPsの枠組みの見直し)などが重要課題だが、先進国、途上国ともに各国政府は消極的であり、最終的な宣言文にはこれらの課題はほとんど触れられていない。

 WSISで現在主に議論されている問題はインターネット・ガバナンス(インターネットの調整管理)と、アフリカを中心とする途上国から提案されたデジタル連帯基金などの財政機構の問題である。

 インターネット・ガバナンスの議論は、当初は ICANN という、インターネット上のドメイン名とIPアドレスの配分などを管理する組織に関わる議論だったが、その他にコンテンツの管理(規制)、サイバー・セキュリティとサイバー犯罪、スパム、社会的包合(社会的課題と多様な視点の共有)、消費者、利用者の保護とプライバシーなど様々な問題も議論の対象にしようという流れになっている。インターネット上の情報の管理や監視を強めようという動きの中で、知識や情報の自由な流通や市民的自由をいかにして守っていくかが課題となる。

 デジタル連帯基金は、グローバルなデジタル・デバイドを解消するために提案されたもので、さまざまな情報がデジタル回線を通じて配信できるようになった世界では、その仕組みや基盤を維持する科学技術と経済が大きな意味を持つ。科学技術力や経済力の差がそのまま情報の格差につながり、それがさらに科学技術力や経済力の差の拡大につながるという悪循環を断ち切らなければならない。先進国と途上国、そして特に途上国内の都会と地方の情報インフラの格差を解消し、人的資源、知識の開発に取り組むためには、途上国の人々のニーズを十分に反映するために、途上国主導で進めることが重要である。1990年代の情報通信改革パラダイムが失敗したことは、財政機構の既存の枠組みではもはや解決できないことを物語っている。

(詳しくは http://www.jcafe.net/wsis/ を参照)


市民の情報学
2005年12月28日(水) 03:34:22 Modified by mizunobara




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