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ユーザー・エクスペリエンス【User Experience】

ユーザー・エクスペリエンスを理解する上で重要な概念が,User Centered Designである。日本語に直すと,ユーザー中心設計である。ユーザー中心設計は,Normanが1960年代半ばに発表した概念だ。

 開発者主導で製品が作られ,その結果,その製品がユーザーにとっては使いにくいものになってしまったという例は少なくない。こうした事態を避けるためには,ユーザーにとってどういう製品が望ましいのかを検証しながら開発を進めるべきだ。このような考え方と,そのための手法を示したのがユーザー中心設計である。

 ユーザー中心設計のポイントとなるのは,
(1)開発プロセスを適切なフェーズに切り分ける
(2)各フェーズでユーザーによる評価を基にした検証を行う
(3)開発に携わるメンバー全員がすべてのプロセスに立ち会う
(4)誰が開発に携わっても同じ質の作業を進められるよう手法化する

の4点である。この中で,ユーザー・エクスペリエンスと密接に関連するのは(1)および(2)である。

 (1)の適切なフェーズに切り分けるというのは,例えば製品企画と仕様策定,設計・デザイン,製品評価といったように,開発の進捗に応じてプロセスを区切るということだ。ここで,最後の製品評価の段階だけでなく,各段階でユーザーの評価を得て,修正が必要ならばそれぞれのフェーズの中で完結させる。これが(2)のユーザーによる評価を基にした検証である。最終段階で大きな修正を加えるのは難しい。しかし,段階を適切に区切っていれば,後戻りできるタイミングを逃さず,必要な修正を加えられる。

 ユーザー・インタフェースが使いやすいかどうかは,それを使うユーザーしか判断できない。であれば,ユーザー・インタフェースのデザインに至るプロセスでも,ユーザーがどう評価するかを検証するべきである。これがユーザー中心設計の肝である。もちろん,評価やその分析には,ユーザー自身も気付いていないような「製品に対する気持ちや印象」を引き出さなければならない。そのために,認知心理学をベースとした評価手法や分析方法を使うというのも,ユーザー中心設計のポイントだ。

 この考え方と手法を延長すると,ユーザー・エクスペリエンスに行き着く。製品の購入前や購入するとき,製品を使っているとき,使い終わったとき。製品にかかわるあらゆるシチュエーションで,ユーザーが製品に対して何を考え,どう思っているか,そしてどう行動するか。これらを開発段階から評価と検証を重ねながらデザインする。そうすれば,ユーザーに有用と思ってもらえるユーザー・エクスペリエンスを開発者が意図的に提供できるはずである。

IT Pro
2005年12月26日(月) 13:40:55 Modified by mizunobara




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