タグ検索で流血124件見つかりました。

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忘れられた竜の詩

「ふぅ・・・ふぅ・・・リジー、まだ着かないのか・・・?」 鬱蒼とした木々がこれでもかとばかりに生い茂った、深い深い森の中。 今朝早く最寄りの町を出たまでは良かったのだが、車を降りてからもう数時間もこんな一寸先も見えない草木の中を掻き分けている内に俺は最早時折目に入る苦手なはずの虫にも特にこれと言った感情の起伏を起こさなくなっていた。 「多分、もう少しで着くと思うわ。こういうのも考古学者なら良くある試練の1つよ。ほら、頑張って」 ほんの数メートル先を進んでいるはずだというのに厚い茂みに遮られて全く姿が見えな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%ba%a4%ec%a4%e... - 2019年09月15日更新

静寂の夜に

風も波もない穏やかな海の底に佇む、小さな海中洞窟。 「ふぅ・・・」 その最奥にある薄暗い住み処の中で、1匹の大きな海竜が落胆気味に小さな溜息をついていた。 透き通った紫色と純白の2色に塗り分けられた体をまるで大蛇のように艶かしくくねらせながら真っ赤な長髪を靡かせるその海竜は、仲間達の間でナギと呼ばれている。 長年この暗い洞窟の中で勇猛な雄龍の出現を待ち続け、そしてついに数年前、ようやく深い山間の洞窟から移住してきた雄龍と結ばれて可愛い2匹の子を授かったあの海竜である。 だが常に勝気で夫であるアンクルにすら…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%c5%bc%e4%a4%c... - 2008年08月12日更新

仇敵の胸に抱かれて

月明かりどころか微かな星の瞬きさえ見当たらない、世界の全てを漆黒の闇が覆う不気味な夜。 俺は深い森を抜けた先でそんな黒一色の夜空を背景に巨大な城のシルエットが浮かび上がっているのを目にすると、背後に従っていた3人の仲間達に向けて小さく声を掛けていた。 「いよいよだぞ」 「ああ・・・」 「ここまで、随分と長く掛かったわね」 無骨な男達の中で紅一点のメリルが、その凛とした青い瞳で俺と同じく不気味な城を見上げながらそんな声を漏らす。 確かに・・・彼らとともにこの旅に出発したのは、もう5年も前になるだろうか・・・…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b5%d8%c5%a8%a4%c... - 2017年05月11日更新

天国に息衝く母達

「ふぅ・・・今日は定時に上がれそうだな・・・」 「ああ、俺も何とか目途が付きそうだよ。週末くらいは早く帰りたいしな」 「まあ今年も新入社員は入らなかったから、新人の面倒を見るのに手間が割かれてないだけまだマシな方だよ」 俺はそう言ってもう定時5分前となった社内の時計に目をやると、ようやく一段落した今日の業務を見直していた。 「そういやあいつ、今年も後輩が出来なかったってぼやいてたなぁ」 「そう言ってられるのも今の内だろ。いざ新人が入ったら、自分の仕事なんかまるで手に付かなくなっちまうからな」 そして同僚と…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2018年08月08日更新

思いがけぬ再会

ガシャアァン・・・ 重々しい鉄格子の閉じる音で、俺はそれまで何処か希薄だった意識が唐突に現実に引き戻されたことに気付いていた。 「こ、ここは・・・?」 壁の松明がほんのりと周囲を照らし出す、薄暗い城の地下牢。 それは分かるのだが、俺は果たしてこんな独房に繋がれる程の大罪を犯したのだろうか・・・? ふとした出来心から鍵の開いていた他人の家に盗みに入ってしまったのは確かなのだが、このマレーナ国では少なくとも数年前まで人を殺したり放火をしたりというような重罪でない限りこんな重罰は受けなかったはずなのだ。 それに…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%d7%a4%a4%a4%a... - 2019年01月22日更新

天国の追憶

「先輩!お疲れ様です!」 週の真ん中に祝日があったお陰で溜まっていた業務にもようやく一定の目途がついた頃、俺は一足先に定時で業務を終えたらしい後輩のそんな呼び掛けに振り向いていた。 「ああ、お疲れ。そっちはもう終わったのか?」 「はい。先輩の方は体調は大丈夫なんですか?」 そしてそう言いながら、彼が空席となっている同僚の机の方へと目を向ける。 「ああ・・・俺は別に花粉症体質じゃないからな。今年は特に酷いらしいけど、あいつが早退したのは初めて見たよ」 「僕も花粉自体は平気なんですけど、確かにこの前家に帰った…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2018年04月25日更新

闇を訪ねて

ある晴れた日の夜・・・ 荒野の外れにある静かな村の片隅で、俺は数人の友人達と焚き火を囲んで談笑していた。 「なあフォルツ、もう1回あれやって見せてくれよ」 「何だよまたか?そんなに難しいことじゃないんだから、お前らも少しは練習して身に付ければ良いだろ」 「そうは言ってもさ、俺達と同じ年頃の連中であんなことが出来るのは数えるくらいしかいないって話じゃないか」 俺はそんな仲間の声に小さな溜息を吐くと、中空に差し出した両手の掌を上にしてほんの少し意識を集中していた。 その数秒後、煌々と燃える小さな丸い火の玉が左…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b0%c7%a4%f2%cb%a... - 2016年08月01日更新

血塗られた遺産

「行って来まーす!」 僕はそう言って家を飛び出すと、まだ昼食を食べたばかりで些か重い腹を揺すりながら村外れの森へと駆けていった。 この人口200人にも満たない小さな村では同じくらいの歳の子供は数えるくらいしかおらず、今年で9歳になる僕は村から程近い森で遊ぶことの方が遥かに多かったのだ。 もちろん友人が全くいないというわけではないのだが、森での採集や狩りを生業にしている僕の両親とは違って他の子供達の親は自分の子供が森に入ることを余り良くは思っていないらしい。 僕は今よりももっと小さい頃からお父さんに連れられ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b7%ec%c5%c9%a4%e... - 2018年03月04日更新

物言わぬ黒翼

「お嬢様・・・森には危険もございます故、余り私めの目の届かぬところへは行かれませぬように」 「爺やが遅いのじゃ!何時も何時も、ちゃんと妾について参れと言うておるではないか!」 ある晴れた日の午後・・・ 妾は週に2度の楽しみである森への散策に出掛けると、少しばかり息苦しそうに後ろをついてくるもう70歳近い執事の老体を気遣うことも無く薄暗い木々の回廊の中を駆けていった。 周囲を森に囲まれた貧しい小国だからなのかこの国の王である父ももうすぐ6歳の誕生日を迎える妾に特に贈り物の類をくれるつもりは無いらしかったもの…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ca%aa%b8%c0%a4%e... - 2019年01月06日更新

タイトル無し2

Human-side [[Dragon-side>タイトル無し]] 俺の心に空いた虚無はどうすれば埋まるのだろうか 俺はいつものように当ても無くただ彷徨っていた。 俺はあの時の約束を果たすべく 今尽き掛けているこの命を再び燃やそうと 俺はただ歩いていた。 「おい!そこの人間!我の縄張りで何をしている!!!」 ふと、声が聞こえその方向を見る。 すると、黒竜が俺の方を見て怒りを露にしている。 しかし、今の俺には竜でさえも心を動かす理由にはならない。 「なんだドラゴンか・・・」 俺は今人語を解す…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a5%bf%a5%a4%a5%c... - 2008年12月17日更新

天国の花々

「よし・・・今月はこれで終わり・・・と・・・」 「もうすっかり慣れちまったけど、やっぱり月末ってのは何かと忙しいもんだな」 「まあ俺達なんかよりも、本当は経理や人事の方がよっぽど多忙なんだろうけどさ」 同僚とそんな会話をしながら、俺は何とか定時前に仕事を終わらせることが出来てホッと一息ついていた。 「そういやお前、明日は有給を取ってるんだっけ?」 「ああ・・・何でも人事部の方で有給取得を推進する動きがあるらしくてな。月初から休むのは何か気が引けるけど」 「今話題の働き方改革とかって奴か・・・まあこの業種で…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2017年10月08日更新

千刃を弾く月光

まだあどけない少年だった10年前とは見違える程に逞しいハンターへと成長した、赤髪を靡かせた若者との再会。 そんな生涯で唯一心を許した人間との心休まる時間を久し振りに満喫した我は、美しい夕焼けを背景に島から遠ざかっていく彼の乗った船を崖の上からじっと見送っていた。 この先、我が生きている間にまたあの人間に出逢うことはもう無いかも知れない。 我がそう思ったのは日に日に強力な武具を身に纏って我を討伐せんと襲い掛かって来る無数のハンター達に明日にも仕留められてしまうかも知れないという危惧ももちろんあったのだが・・…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%e9%bf%cf%a4%f... - 2014年12月11日更新

救出

突然、私は深い眠りから覚めた。 一瞬愚か者が私の洞窟に侵入でもしたのかと思って辺りを見回すが、別に問題はない。 「フン・・・思い過ごしか・・・」 いつもならこのような真昼に目が覚めることなどほとんどないというのに・・・ 「ゴアアアアアァ・・・」 真っ黒な鱗に覆われた巨大なドラゴンは大きく空気を震わせて欠伸をすると、妙な予感に思わず目覚めてしまった己を叱咤して洞窟の冷たい地面に再び蹲った。だが・・・ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・ 突如、轟音とともに大地が激しく揺れた。 「むおっ!?」 予想だにしていな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b5%df%bd%d0... - 2008年08月12日更新

赤月の気紛れ

Dragon-side [[Human-side>赤月の気紛れ2]] 「グゥ・・・グルル・・・」 心地良いまどろみの中に意識の覚醒を感じると、私は天井から降り注ぐ穏やかな朝日の中で目を覚ましていた。 やがてグルリと周囲を見回して住み処の中に誰も侵入者がいないことを確認すると、地面の上に丸めていた体をゆっくりと起こしていく。 そして鋭い鉤爪の生えた大きな両手足でしっかりと地面を踏み締めると、私は寝ている間に体へ降り積もった砂埃を振り落とすようにブルンと体を震わせていた。 全身を覆う厚い竜鱗のお陰で固…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%d6%b7%ee%a4%c... - 2016年11月19日更新

魔性の果実

「アディ・・・アディ・・・まだ寝てるのか?」 「ん・・・あ・・・うん・・・もう少し寝かせて・・・」 心地良い眠りの中に突如として無遠慮に響いてきたその父の声に、僕はガラガラに乾いた喉から辛うじてそんな返事を返していた。 「全く・・・他の友達はもう外で稽古を始めてるぞ。お前も出遅れるなよ」 そしてそう言い残した父が部屋を出て行くと、ほんの少しだけ体を起こして窓の外の景色に視線を移す。 「やっ!・・・やっ!・・・やぁっ!」 やがて視界を埋め尽くした緑の山と森に囲まれている長閑な田舎の風景の中に、必死で木剣を素…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%e2%c0%ad%a4%c... - 2018年12月12日更新

恐妻家

「キャウッ、キャウキャウ・・・」 「キュウ・・・キュッキュキュウ・・・」 外に逃げ出せないように地面を深くくりぬいた穴の中で、子供達が甲高い声を上げながら跳ね回っていた。 その元気な幼子達の様子を眺めながら、深い溜息をつく。 「ふう・・・全く、なぜワシがこやつらの面倒を見ていなければならんのだ・・・?」 本来子供達の面倒を見るのは妻の役目のはずなのだが、当の妻はワシに一言言い残すと今日も上機嫌で洞窟を出ていった。 「獲物を獲ってくるから、その間子供達をお願いね」 ・・・それはワシの役目だというのに。 確か…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b6%b2%ba%ca%b2%c... - 2008年08月12日更新

渓流を染めし蒼

物々しい武装に固められた無数の船と大勢の屈強なハンター達が行き来する、大港タンジア。 その一角に建てられたとある1軒の家の中で、大勢の子供達に囲まれた1人の老人が深紅の宝玉を掲げていた。 「子供達や・・・これが何か判るかね?」 見る者の目を吸い付けて離さない奇妙な魅力と妖しさに満ちたその不思議な宝玉に、今もまた20以上の小さな目が正に興味津々と言った様子で釘付けになっている。 「それ、一体何なんですか?」 「これはな、世に言う"火竜の紅玉"という石じゃ。今では、それ程珍しい物ではなくなってしまったがの」 …

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b7%cc%ce%ae%a4%f... - 2013年07月20日更新

羽の舞う青春

すっきりと晴れ渡った青い大空と、美しく澄み渡った蒼い大海原。 俺は船尾の方から微かに聞こえてくるくぐもったエンジン音に耳を澄ませながら、快速船の甲板でそんな青の世界をじっと眺め続けていた。 ここは故郷のある大陸からは遠く離れた海の上・・・ 船長の話によれば、もう間も無く水平線の向こうに目的地の島が見えてくるらしい。 「おうアレス、ここにいたのか。結構探したんだぞ」 だが何時まで経っても目的地の姿が見えて来ないことに焦れていたその時、俺は船室から出て来た友人の声に気付いて背後を振り返っていた。 「ああ、ち…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b1%a9%a4%ce%c9%f... - 2015年02月17日更新

立ちはだかる巨壁

雲1つ無い清々しい快晴の空の下、我は見晴らしの良い断崖の上から遥かな下界に佇む人間達の町を眺めていた。 その多種多様な文化や思想が混在するはずの人間達が驚く程に統制の取れた生活を営んでいる様は我にとっても感嘆と賞賛の対象であると同時に、心中に渦巻く微かな葛藤が小さな苦笑となって我の顔に滲み出していく。 好奇心旺盛な人間達でさえ近付くことの無い峻険な岩山の奥地に住まう我ら竜族にも、至極当然のことながら他者とは違う様々な生き方を目指す者達が存在するのだ。 日々の糧を手に入れようと人間達の町や村を襲う乱暴者、毎…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%a9%a4%c1%a4%c... - 2010年08月19日更新

招かれざる災禍

数人の人間達と1匹の青い雌竜がその場を後にしてから数時間後・・・ 深い夜の闇に沈む洞窟をある1つの影が訪れていた。 最早確信と言っても差し支えのない暗い悲劇の予感に、洞窟の中へと踏み入れられる彼の足取りはまるで深い泥濘の最中を引き摺るかのように重々しい。 だがいよいよ濃い血の匂いが充満する住み処の最奥へと辿り着くと、彼は真っ暗な闇の中で広場の中央に倒れ伏した己の母親を即座に見つけ出していた。 背後から容赦無く首を噛み砕かれて息絶えた、大きな大きな母竜の無残な姿。 やがて既に冷たくなったその骸に頬を寄せると…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%be%b7%a4%ab%a4%e... - 2010年12月23日更新

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