タグ検索で非エロ71件見つかりました。

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脆き偽りに縋りて

小さな子供に読み聞かせる童話・・・その多くは社会の縮図とも言うべきある種の風刺を含んだ創作と、遠い昔に起こった実話を語り継ぐ為にその形をより分かりやすく変えたものとに大別される。 今年で10歳になる僕がまだ鮮明な記憶の残る幼年時代に幾度と無く聞かされた童話の数々は、正にその後者に当たる典型的な物だと言っていいだろう。 だが僕が一見すると酷く現実離れしている摩訶不思議な童話を実際の出来事だと理解することが出来たのは、僕自身がその童話に隠されたエピローグの当事者となったからに他ならなかった。 僕の住んでいる…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%c8%a4%ad%b5%b... - 2010年07月10日更新

無口な仔竜

バサッ・・・バサッ・・・ 清々しく晴れ渡った空の下を飛びながら、僕は遥か眼下に見える人間達の村へと視線を移していた。 住み処のある山の麓に広がるその村はそれ程大きなものではなかったのだが、山間の小村にしては珍しく大勢の子供達が連日のように賑やかな笑い声を上げながら走り回っている。 つい前日5歳になったばかりの僕にとっては、そんな楽しそうな人間達の様子が何よりも興味深かった。 僕もできることなら、あの人間の子供達に混じって一緒に遊んでみたい・・・ だがそんな些細な夢は、僕が人間ではなく竜に生まれたというだけ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cc%b5%b8%fd%a4%c... - 2012年06月24日更新

墓守の神

「ふぅ・・・」 来る日も来る日も単調な生活の繰り返し・・・ とある事件が切っ掛けでほんの100年程前に全能の神力を失ってからというもの、我はただの老いた白竜としてこの地で年明けを迎えることに早くも疲れ切ってしまっていた。 神竜として生まれながら人間達の争いに首を突っ込んだことがまさかこんな救いようの無い結果に繋がろうとは当時の我には全く想像も付かぬことだったのだが、今にして思えば我は己の力に些か驕りを感じていたのだろう。 我の棲む森は東西で接する2つの国境に近い山中にひっそりと広がっていて、この国の住人は…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ca%e8%bc%e9%a4%c... - 2014年09月30日更新

久遠を越えて 過去編

深い森の中に隠れるようにしてひっそりと佇む、閑静な小村。 ここは遥かな昔からこの地方に点在する、古い部族達の集落の1つ。 彼らは決してお互いの部族の人間を敵視し合うようなことはなく、寧ろ少ない物資を物々交換したり情報を共有することで少しずつ繁栄を遂げてきたのだ。 だがそんな彼らには、強大極まりない2つの敵がいた。 その1つがつい最近になって建国され、徐々にその領土の拡大を始めたある1つの国である。 サルナークと呼ばれるその国はまだ人々の団結も弱く国としての勢力もそれ程大きなものではなかったのだが、森に住む…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b5%d7%b1%f3%a4%f... - 2009年01月20日更新

Another Javawock

Beware the Jabberwock, my son! The jaws that bite, the claws that catch! Beware the Jubjub bird, and shun The frumious Bandersnatch! 我が息子よ、ジャバウォックに用心あれ! 喰らいつく顎、引き掴む鈎爪! ジャブジャブ鳥にも心配るべし、そして努 燻り狂えるバンダースナッチの傍に寄るべからず! ――ジャバウォックの詩 ルイス・キャロル 1968年、12月10日。 東京都内某…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/Another%20Javawoc... - 2012年09月07日更新

森の贈り物

ほとんどボロ屋と呼んでも差し支えの無い粗末な家の中で、俺は1歳になる1人の息子を残して重病に命を落としてしまった妻の顔をじっと見つめていた。 幼馴染だった彼女は元々体も丈夫な方ではなかったのだが、出産で更に体力が落ちてしまったのが命取りになったのだという。 もちろん、普通の暮らしをしていればこんな悲劇などそう起こるものではない。 だがこの深い森に囲まれた小国は、長年他国からの侵略を受け続けたことで疲弊し切っていた。 その上無能な役人達によって国民が負担する税は重くなるばかりで、城下町に住む一般の人々の生活…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bf%b9%a4%ce%c2%a... - 2011年11月14日更新

お返し

あれから、2週間が経った。 あの日・・・私の玩具だった"モノ"がもっとかけがえの無い"者"になった日。 一体何処で情報を仕入れたのか、或いはどうしてそんな思考を持つようになったのか・・・ とにかく"彼女"は、その人間とは異なる小さな竜の姿で懸命に作った"チョコレート"を この私にプレゼントしてくれたのだ。 そんな時節遅れの"バレンタインデー"は錬金術師として世俗の習慣から些か懸け離れた生活を 送っていた私にとっては余りに新鮮で、そして同時に私の中にある種の"一般的な"感情を呼び起こしたらしい。 世間一般…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a4%aa%ca%d6%a4%b... - 2012年03月24日更新

恋菓子

 ――カカオペースト。  ――ココアバター。  ――カカオケーキ。  ……なんだこれは。  "彼女"の差し出したメモを見た時、私の思考はその一言でしばし停止した。  【その材料で練成したいモノがあるんです】  こちらを見上げるのは一匹、いや生物ではないから一体と言うべきだろうか……とにかく小 さな竜……の容をした魔導のアーティファクト。俗に言うゴーレム。  その顔には素晴らしい思い付きとばかりに無邪気な笑み、らしきもの。粘土で成型したとは 思えない生物的な所作。全く誰だか知らないが、芸の細かい表現…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ce%f8%b2%db%bb%d... - 2012年02月29日更新

断罪の試練

大勢の人々で賑わう町から少し離れた山の麓で、僕は今年で還暦を迎えるお婆ちゃんと暮らしていた。 以前は僕も町で両親とともに暮らしていたのだが、母が出産で体力の落ちた時期に不運にも重病を患って亡くなってしまったのを切っ掛けに父が出稼ぎに行って僕達に仕送りするという生活を送っている。 とは言え、小さな農家を営むお婆ちゃんとの暮らしは6歳の僕にとって当初想像していたよりもずっと自由奔放で楽しいものだった。 「ほら、夕食ができたよ。早くお食べ」 「うん!」 小さなテーブルに並べられた美味しそうなカレーの香りに、今日…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c3%c7%ba%e1%a4%c... - 2011年12月12日更新

死神と呼ばれた少年

ふと気がついた時、僕の眼前に広がっていたのは欝蒼と茂った背の高い森の木々だった。 これは、町のそばに広がっているあの深い森の中なのだろうか・・・? だがぼんやりとした頭でそんなことを考えている内に、僕は何気なく自分の手の異様に気がついてそれをまじまじと見つめていた。 確かに自分の手が存在しているはずの場所に見える小さな黒い蹄と腕に当たる部分に生えた白い斑点のある栗毛が、この世界での自分の正体へと僕の意識を導いていく。 ああそうか・・・今度は僕・・・仔鹿なんだな・・・ 道理で周囲に生えている木がやたらと大き…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bb%e0%bf%c0%a4%c... - 2008年08月12日更新

故郷の廃墟を訪れて

ガラッ 「ただいま!」 長閑な夕暮れの陽光に照らされた質素な納屋の中に突然扉を開ける音と子供の張りのある高い声が響き渡り、私は数年の内にすっかりと踏み拉かれて丁度よい寝床となった藁敷きに蹲ったままゆっくりと顔を上げていた。 その眼前で、もうすぐ7歳になろうという元気な男の子が薄っすらと額にかいた汗を拭っている。 町の人々の提案でこの子にはコリンという名が付けられたものの、私自身はあまり彼を名前で呼ぶことがないせいでそれは専ら町の人々に呼ばれるための名前になっていた。 「随分疲れているようだが、今日は一体何…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b8%ce%b6%bf%a4%c... - 2009年03月27日更新

手乗りドラゴン

「おーい、そろそろ帰るぞー」 遠くから、パパが僕を呼ぶ声が聞こえた。 薄っすらと紅葉を始めた赤と黄色と緑の森が、視界一杯に広がっている。 今年もこの山に遊びにくるのは最後になるだろう。 「うん、今行くー」 真っ赤に燃えながら西に傾きかけた太陽を恨めしく思いながら、僕はパパ達の元へ向かった。 その時、ふと大きな木の根元に不思議な色の石があるのを見つけた。 白と赤の斑模様で、見事なまでに真ん丸だった。 「なんだろ?これ」 10cmくらいのその石を持ち上げてみると、大きさの割りに少し軽く感じた。 綺麗な石だし、…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%bc%ea%be%e8%a4%e... - 2008年08月12日更新

雪山の暖

相変わらず、冷たい雪が降り続けている。 私は厚い雪に覆われた山の洞窟の中で蹲り、呼吸の度に気管を焼く灼熱の冷気に身を震わせていた。 今年の冬は異常だ。例年よりも1ヶ月早く雪が降り始め、気温は平均で5度下がった。 数え切れぬほどの冬を過ごしてきた私にも、この異常気象ともいえる厳しい冬を乗り切ることができるかどうかは怪しかった。 保護色になるように真っ白な鱗で覆われた手を顎の下に敷きながら、私は先行きの不安を隠せずにじっと洞窟の外を睨みつけていた。 「ったく、今年は早く雪が降ったって言うからスキーにきてみり…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%e3%bb%b3%a4%c... - 2008年08月12日更新

悠久の欠片

歴史に残る雄大な伝説と、歴史から忘れ去られてしまいそうな儚い寂寥感・・・ その両方が同居したある小さな村が、緑の森と丘に囲まれながら静かに佇んでいた。 ココット村・・・この村に暮らしている村長は、かつて山のように巨大な龍を片手で扱えるような小さな剣で打ち破ったことがあるという、伝説のハンターだ。 今でこそハンターの仕事からも足を洗って平和なこの村をまとめ上げてはいるものの、あの老人を慕ってこの村にやってくる者は後を絶たない。 だが俺はハンターのような過酷な職業になど興味はなかったものの、こんな村に住んでい…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cd%aa%b5%d7%a4%c... - 2008年08月12日更新

蜂蜜

&ref(https://image01.seesaawiki.jp/m/a/moedra/b9b574e1.jpg) 秋も深まってきた山の小道を、3匹のドラゴン達が歩いていた。 薄いピンク色、水色がかった白色、そして鮮やかな抹茶色。 1番右を歩いていた白いドラゴンのバーグは、気の弱そうな面持ちでピンク色をした姉の顔色をうかがった。 いつもはやれ暇つぶしだのストレス解消だのと不穏で理不尽な名目のもとにいじめられていたバーグだったが、今日は散歩に誘ってくれるなどどことなく機嫌のよさそうな姉の様子に少しばか…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%cb%aa%cc%aa... - 2008年08月12日更新

光と闇

〜プロローグ〜 時は中世・・・各国の臣民が武力にモノを言わせて自らの領土を広げんと活躍していた時代、北欧のあるところに他国からの侵略も全く受けつけなかった大国があった。 民の声を聞き善政を敷くマルケロス王をはじめとして、彼の国民達はみな争いを好まぬ静かな人々である。 そして周囲の国々の中でもずば抜けて広大な領土を持ちながらも他国と不可侵条約を取り交わす王の器の大きさに、固い忠誠を誓う者達が続々と集まってくるのだった。 だがそんな平和を望む王のもとに仕えながら、心中に不穏な企みを宿している者がいた。 マル…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b8%f7%a4%c8%b0%c... - 2008年08月12日更新

とある仔竜のとある物語

僕は暇だったので、尻尾をゆらゆら揺らしながら適当に山中を散策していた。 そして、とある一人の男に出会った。 「!隠れなきゃ!」 しかし手遅れだった。 こ、殺される…! まだ心の準備ができていない。まだ死にたくない。 そんな様々な思考が脳裏をよぎった。 「こ、仔竜?」 え? 動揺しながらも咄嗟に表に出た言葉がこれだった。 「も、もう14年も生きてるんだぞ!」 何故馬鹿みたいな反論をしてしまったのだろう。 「ふふ…。ん?」 若い男の人は含み笑いをした後、僕の足元を見た。 「怪我…大丈夫?」 うっ、そう言えば草…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a4%c8%a4%a2%a4%e... - 2010年04月12日更新

2つの灯火

家族を失う悲しみ。2度と味わいたくなかったその悲劇が、再び私の身に降りかかろうとしていた。 真っ白なベッドの上で蒼白な顔に玉のような汗を浮かべ、母がチラリと私の方に視線を向ける。 「お母様・・・」 思わず私の口から漏れた言葉に返事をしようとして、母は枯れた喉から声を出すのも辛そうに目を細めた。 不治の病など、この世にあっていいはずがない。 ましてやその恐ろしい悪魔を、よりにもよって母が患うなんて・・・ 15年前、まだ私があどけなさの残る少女だった頃、この村を取り囲むようにして広がっている森の中に1匹のド…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/2%a4%c4%a4%ce%c5%... - 2008年08月12日更新

タイトル無し

Dragon-side [[Human-side>タイトル無し2]] ・・・退屈だ かれこれもう百数十年はこの暇を反芻していただろうか・・・ 全身を包む尻尾を眺めながら溜息をついた。 暇を噛み潰している屈強な龍の姿が どこか物寂しげに見える。 どこかの雄が我に求婚でもしてくれればいいのだが・・・ 昔は我も若さのあまり人間共を蹴散らしたこともあった。 しかし、それも人間への興味が薄れるにつれて くだらない、つまらない事だと気づいた。 短い生を足掻くが如く 蠢いている人間共を見ると虚しくなるのだ。 時…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%a5%bf%a5%a4%a5%c... - 2008年12月17日更新

Entry No.1

私が彼女に出会ったのは7月の、末のことだった。 その日は朝から、絹糸の様な雨が降っていた。 まるで梅雨の様な、頭が痛くなるような雨だった。 私はこの月の仕事を全て片付けた直後で、何をするでもなく、ぼんやりと一日を過ごしたのだが、私が部屋を間借りしている家の主人は、週末に降ったこの季節外れの雨を大層嫌がっていた。 風も無く、窓を開けていても湿気が部屋の中の紙を濡らし、不快な汗が首筋を伝う。 机の上に無造作に散らかされた原稿用紙の文字が、心なしか少し歪んで見えた。 私は愛用している銀縁の眼鏡を指差で押し上げな…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/Entry%20No%2e1... - 2009年06月29日更新

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