タグ検索でunbirth14件見つかりました。

天国に横たわる奈落

「ふぅ・・・やっと終わった・・・」 「お、何だお前もか?今日は早かったな」 「俺だって流石に週末くらいは早く帰りたいからな。年号修正の案件で最近残業ばかりだし」 俺はそう言うと、ここ最近は意外にも定時で仕事を終えている同僚の方へと顔を向けていた。 「5月から新しい年号に変わるって世間じゃ浮かれてるけど、IT系の俺達にしてみりゃ結構大きな問題だしな」 「確かちょっと前にも、新年号に対応しようとして表計算ソフトが開かなくなったことがあったよな」 「ちょっとしたY2K問題だぜ。まあその時は俺もまだ子供だったけど…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2019年03月14日更新

天国から続く階段

「よし、今日も無事終わったな。平日が少ないと仕事が終わるのか逆に不安になっちまうよ」 「そういや今週もまた3連休か。あと10日もしたら消費税も上がっちまうし、今週末の予定はもう決まってるのか?」 何時も業務が集中する金曜日にしては珍しく順調に仕事を終えた俺は、隣の席で同じく定時5分前の時計を悠然と見上げている同僚とそんな会話を交わしていた。 「いや・・・ここ最近は正直することがなくてさ。6月にボーナスも出たのに金を使う機会が無いから貯まる一方だ」 だが丁度俺がそう言った時、こちらに向けられていた彼の視線が…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%a... - 2019年12月06日更新

天国の革新

「うへぇ・・・やっと終わった・・・」 「お、何だよ、もう後発組への引き継ぎまで済ませたのか?相変わらず仕事が早いな」 「そう言うお前の方は・・・まだまだ掛かりそうだな」 俺はそう言うと、例によって忙しそうな同僚から後もう30分程で定時の退勤時刻に差し掛かろうとしている部屋の時計へと目を向けていた。 「今日は残業していくのか?」 「一応な・・・折角明日から6連休だってのに、休日出勤なんてしたくないからな。何でそんなこと・・・」 だがそこまで言い掛けた彼が、ふと俺の背後へ目をやって事情が分かったとばかりに睨み…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2019年08月22日更新

楽園の裏側

「ベルや・・・本当に、独りで暮らして行けるのかい・・・?」 「うん・・・大丈夫だよ。人間の言葉だって随分話せるようになったし・・・それに、あの町だってあるからさ」 この世に生まれ落ちてから今年で丁度10年・・・ 僕は卵から孵った時から父親の姿を1度も見たことが無かったものの、厳しくも愛情深く育ててくれたお母さんが傍にいたお陰でこれまで特にこれといった不自由や寂しさなどを感じたことは1度も無かった。 だが毎日毎日それこそ日が暮れるまで僕の為に森へ獲物を狩り出しに行っていたせいか、もうほとんど老竜と言っても差…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%b3%da%b1%e0%a4%c... - 2019年04月19日更新

天国の追憶

「先輩!お疲れ様です!」 週の真ん中に祝日があったお陰で溜まっていた業務にもようやく一定の目途がついた頃、俺は一足先に定時で業務を終えたらしい後輩のそんな呼び掛けに振り向いていた。 「ああ、お疲れ。そっちはもう終わったのか?」 「はい。先輩の方は体調は大丈夫なんですか?」 そしてそう言いながら、彼が空席となっている同僚の机の方へと目を向ける。 「ああ・・・俺は別に花粉症体質じゃないからな。今年は特に酷いらしいけど、あいつが早退したのは初めて見たよ」 「僕も花粉自体は平気なんですけど、確かにこの前家に帰った…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2018年04月25日更新

昏き執念の果てに

清々しい木漏れ日の降り注ぐ、広大な深い森の中・・・ あたしは朝から続いていた空腹をやっとの思いで捕らえた仔鹿で何とか満たすと、木々の間に開けた小道で腹ごなしに食後の散歩を楽しんでいた。 あたしももうすぐ20歳・・・まだまだ竜としては幼い子供のようなものだが、手足を覆った赤色の鱗が徐々に徐々に明るい紅色へと色付いてきているのがはっきりと感じられる。 あたしの母親がそうであったように、どうやら私は歳を重ねる毎に元々淡かった体色が段々と深く濃い色へと変化していく種の竜らしかった。 どうしてそんな体質があるのかは…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%ba%aa%a4%ad%bc%b... - 2012年10月27日更新

天国に向かう者達

忙しかった夏が終わり、あっという間に過ぎ去った秋の暮れ・・・ 俺はまだ暖房をつけることが出来ない為に肌寒い社内の一室で、通勤用のコートを羽織りながら机に向かっていた。 「それにしてもここ最近、急激に気温が下がったな」 「全く、夏から急に冬になったような気分だよ。まあそれでも、外回りの仕事に比べたら恵まれてる方だけどな」 俺は隣にいた同僚とそんな会話を交わしながらこれからまた忙しくなるであろう年末に向けての仕事の下準備を終えると、もうすぐ定時の17時半を指そうとしている壁掛け時計を一瞥していた。 入社から半…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2017年01月03日更新

天国からの招待状

"大都市の上空に奇妙な影" "伝説のドラゴンの群れが襲来か?" 気まぐれに家の中を片付けていた際に、ふとガラクタの山の中で見つけた週刊情報誌。 赤と白の派手な表紙に踊っていたそんな奇抜な煽り文句に、俺はしばし掃除の手を止めてその随分と傷んだ冊子を拾い上げていた。 何度も何度も読み返した跡のあるそれは、今から5ヶ月程前に偶然駅の本屋で見つけたものだ。 普段こうした週刊誌はおろか新聞さえほとんど読まない俺がこんな信憑性に乏しい雑誌をわざわざ購入したのは、他でもないその記事の内容が俺の興味を大いに引いたからだっ…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%a... - 2012年07月24日更新

天国への誘い

「それではお先に失礼します!」 微かな橙色に染まった日差しが差し込む蒸し暑い部屋の中に響いたその声に、俺はデスクの上の書類に向けていた顔をほんの少しだけ持ち上げていた。 4月5月と研修やら何やらで忙しくあちこちを飛び回っていた後輩達もようやく社内で仕事を学び始め、俺も簡単な作業や雑務を彼らにお願いするようになってからは少しばかり自分の仕事にも余裕が出来始めている。 だがお陰で俺も今日は早めに仕事を終われそうだという感謝の念が篭った俺の視線に気が付いたのか、"天国仲間"の後輩がそのまま出口へ向かった同期に何…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%d... - 2016年09月23日更新

天国に巣食う闇

例年に無い猛暑が続いた夏から一転して、朝晩なかなかベッドから抜け出す気になれない快適な気温となった9月。 俺はもう間も無くやって来る大型連休を前に、徐々に量が増えてきた業務を少しでも多くこなそうと朝から休憩もそこそこに会社のPCと長時間格闘していた。 一体誰が名付けたのか5月の連休と比較してシルバーウィークなどという大仰な名前が付けられてはいるものの、つい1ヶ月程前にお盆を迎えた人々は今回、田舎の実家へ帰省するよりも観光地へ繰り出す割合が大きいのだろう。 今年俺と一緒に入社した同僚もまだ少ない給料で随分と…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2015年11月06日更新

天国の主

「よーし、終わったぞ!」 大勢の教授達が見守る中での研究発表会・・・ その大舞台を無事に切り抜けて、俺はここ数日ずっと苛まれ続けた極度の緊張と不安からようやく解放されていた。 卒業論文もほぼ完成に近付いていて、今年度の行事は数日後の卒業式を残すのみ。 心配された就職先も近頃の景気回復の流れが味方したのか特別苦労すること無く見つかり、俺はこれから始まる社会人生活に早くも胸を高鳴らせていたのだ。 「良い発表でしたね。要点が纏まってて、教授達も凄く満足してましたよ」 「そうか?お前に対しても似たような反応だった…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2015年04月02日更新

天国の休息

「お疲れ様でした。お先に失礼します」 「おう、お疲れさん。2人とも、週末はゆっくり休むんだぞ。来週は忙しいからな」 都内の片隅にあるIT企業に入社してから、もうすぐ3ヶ月・・・ ようやく会社の雰囲気にも馴染み始めると、俺は同じく新入社員として入社したもう1人の同僚とともにまだたくさんの業務を抱えているらしい先輩達よりも一足早く仕事を上がっていた。 今はまだ雑用に近い事務仕事くらいしかしていないから比較的定時に近い時間で退勤出来るものの、もう少し仕事を覚えれば俺もきっと毎日のように残業するようになるのだろう…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c5%b7%b9%f1%a4%c... - 2015年08月23日更新

破幻の竜玉

「う・・・ぐ・・・ぐああああっ・・・!よ、よせ・・・やめてくれぇ・・・ひいいっ・・・」 「クフフ・・・お前をどう料理するのか全てはあたしの思うがまま・・・たっぷりと泣き叫びな・・・」 宵闇に染まった深い森の奥から、木々の間を吹き抜けるそよ風に乗ってそんな雌雄の声が聞こえてくる。 どうやら、"奴"は今憐れな獲物を甚振っている真っ最中らしかった。 正直夜の闇に乗じて不意打ちを仕掛けるだけでは"奴"を倒せるのか不安だったのだが、お楽しみ中ということであれば勝算は遥かに大きくなるというものだ。 俺は心中でそう独り…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c7%cb%b8%b8%a4%c... - 2011年08月21日更新

生贄の少年

「なかなかちょうどいい子がいないわね」 「そりゃそうよ。だから私達、いつもいつも10日以上も時間をかけて探してるんじゃないの」 「あ、みてあの子、命数がのこりわずかよ」 「あらほんと、それに年もいい感じだし。あの子にしましょうか」 僕は今まで「特別な事」に出会ったことがなかった。 テレビや雑誌で出てくるようなドラマティックな出来事なんて絵空事だと思ってたし、僕にとっては身の周りに起こらないことなんて、宇宙の外で起こってることと変わりなかった。 高校からの帰り道、僕はいつものように長い長い通学路を歩いてい…

https://seesaawiki.jp/w/moedra/d/%c0%b8%ec%d3%a4%c... - 2008年08月13日更新

どなたでも編集できます