622 :実況しちゃダメ流浪の民@ピンキー:2014/12/17(水) 20:11:53.90 0
ちょっとザトワラで投下失礼しますーやっぱり定期的に影二つ書きたくなる病

URL:www1.axfc.net/u/3374931.txt
タイトル:無題
PASS: mugen
カップリング(登場キャラ): ザトー=ONE×ワラキアの夜
性描写の有無: 全年齢
内容注意:捏造設定・キャラ崩壊にご注意下さい



せっかくだから11/22の日ネタを焼き直ししてみました
ザトー様って基本敬語なんだよな・・敬語ザトー様っていいよな・・と思って書き出したんですが脱線した
そしてこれ書きつつ敬語ザトー×初心キアとかいうのを思い付いたけどキャラが今まで以上に崩壊する気しかしない

>621
炬燵でうとうとしちゃう内藤を優しい目で見守る守矢が見れると聞いて
ナチュラルに横座ろうとして狭いから嘉村さんに怒られるロアとか押し問答の末アッシュとアカツキの分のみかんの皮も剥かされるアドラーが見れるかと思うと胸熱
炬燵で晩酌する蒼炎とかかわいいなぁ



【ご注意】
・ザトー=ONE×ワラキアの夜です
・男性同士の恋愛描写を含みます
・キャラクターの口調・性格には正直自信がありません
・謎の捏造設定が入ってくるかと思います
・キャラクターの口調・性格には正直自信がありません(二回目)
・注意書きでNG要素がありましたら、ファイルと記憶を削除して頂けるとありがたいです










***



出身地の温暖な二人の合意により連日入れられた暖房のおかげで、室内の空気は程よく温められている。
セントラルヒーティングはいいものだ。ザトーはあまり、着込むのは好きではない。
いざというときに動きづらい恰好は好まないのだと言えば、ワラキアは成る程と頷いた。
確かに、着膨れる必要がないというのはいいものだね。
そう言って同意を示してみせたワラキアだったが、そのわりに自身は外套を脱いではいない。
けれどもまあ、マント無しのワラキアというのは、確かに想像しづらいのかもしれなかった。
あの恰好で砂漠の生まれだと知ったときは、それなりに驚いたのだが。

同じソファに座る同居人の、時折ページを捲る音だけが響く静かな室内。
その静謐な空気を、マナーモードに設定されたバイブレーションの音が裂いた。
あんな格好をしておきながら、しっかりと携帯端末を所持しているワラキアだが、煩わされたくないのだと言って音を出すことはあまりない。
それでは携帯端末の意味がないのではないか、とザトーは思うのだが、自分から掛ける分にはいいのだと言う。都合がよすぎる。
どう考えても悪癖なのだから、恐らくは直させた方がいいのだろう。
けれども、「君から掛かってくるかも知れない時は、ちゃんと音を出しているよ」と、何が悪いのか分からないという様子で言われて、
うっかりそれならと頷いてしまったのだ。
あからさまに絆されているが、それで自分に都合は悪くないのだから仕方がないと、ザトーは開き直ることに決めた。

そんなことをつらつらと考えていたが、今ザトーは同じ室内の同じソファに腰掛けているのだ。
となればこれは必然的に、自分のものの呼び出し音だろう。
予定にないコールに訝しみつつ、ザトーは端末を影から引っ張り出す。
慣れた動作で端末を弄り、モードを変えて着信音を確認すると、それは気紛れな元上司からのものだった。
一瞬、電話に出ず切ってしまいたい衝動に駆られるが、後で余計めんどくさいことになりそうだったので、寸でのところで思い留まる。
あまりに唐突な着信に、どうして突然、と思いながらも、まああの人ならば仕方がないかと相手に思わせてしまうところがたちが悪い。
ザトーは視線を投げ掛けるワラキアに一言断って、部屋を出た。
今更体裁を気にするような仲でもないが、この唐突なコールの恐らくの理由に残念ながら察しがつくだけに、あの人との会話を聞かれるのには抵抗があった。
とはいっても死徒の聴力ならば、廊下に出た程度では聞こえてしまうかもしれないが。
手の中で早く出ろとばかりに図々しく主張してくるそれに肺の底から空気を吐き出して、覚悟を決めたザトーは未だ震え続ける端末を耳に押し当てた。






酷い疲労感を覚えながら部屋に戻ったザトーは、先程座っていたソファに深く腰掛けた。
愉快犯だか確信犯だか知らないが、思い付きで他人を巻き込むのは勘弁願いたい。
当分の間は煩わされたくなかったので、手に持った端末の電源を落とし、向かい側のソファへ乱雑に放り投げた。
ぐったりと手足を投げ出して身をソファに沈ませる。行儀はよろしくないが、どうせ他人が見ている訳でもない。
背もたれに頭を凭せ掛けて、見えもしない天井を仰いだ。そういえば、足音にも構わず歩くのは久しぶりだったか。
そうして深く息を吐き出していると、横から何やら気配を感じた。
何か言いたいことがあるのか、けれども話し掛けるでもなく、じっとこちらを見詰めている。
「……どうかしたのか?視線がうるさいんだが」
相手から声を掛けてくるのを待つべきか迷って、結局耐えられなくなってザトーは、自分から声を掛けた。
「いや、今の会話の事なのだが……すまないね、盗み聞きするつもりはなかったのだよ」
やはり聞こえていたのだな、と思いながら居住まいを正す。
どうしても聞かせたくなければもっと離れれば良かったのだから、聞かれていたこと自体については何か言うつもりはない。
ザトーがそうして離れれば、ワラキアは追ってまで聞こうとはしないだろうから。
その程度には、ワラキアから信用されているという自負があった。

さて何を言われるかと、悟られない程度に身構えるザトーに気付いているのかいないのか、ワラキアは何やら興味深そうに話す。
「君の敬語など初めて聞いたな、と思って」
よりによって、食い付くところはそこなのか。
一気に脱力感に襲われて、一度は起こした体を再びソファに沈み込ませた。
そう言われてみれば確かに、ワラキアの前で敬語を使ったことはなかったかもしれない。
普段、ザトーが会話をする相手は、ワラキアとエディ以外ならばもっぱら部下ばかりで、
他に知り合いがいない訳ではないが、敬語を使うような相手でもない。
なら後は初めて会うものに対してだが、ここでよく開かれる大会の類いはそのあまりの傍若無人っぷりに、
対戦相手の前だろうがチームメイトの前だろうが、早々に猫を放り投げていた。
マナーの観点からすれば年嵩のものぐらいには使った方が良かったのかもしれないが、
そもそもここにはワラキアのような人でないものが大勢いるし、人であっても見た目から年齢の判別がつかない人間が多すぎるのだ。

「随分と今更な話だな」
それはそうとして、こいつは今更そんなことを気にするようなタイプだっただろうか。
どうにも折り合いが悪いらしい一人を除いて、ワラキアは普段、あまり人からの評価というものに気を留めていない。
というより、相手から受ける扱いがどんなものであろうとも、それを楽しむ傾向にあると言えばいいのか。
舞台監督気取りで他人の感情を眺めて楽しんでいるのだから、つくづくたちが悪い。そこも含めてのこれではあるのだが。
恐らくワラキアの顔があるであろう方向へ、緩慢な動作で首を向ける。
無言の催促は果たして伝わったらしく、ワラキアはゆったりと頭を振った。
「いや別に、私は君に敬われたい訳ではないのだよ」
常らしからぬどこか言い訳めいた言葉に、本人も気が付いたように言葉を重ねる。
「ただ初めて聞いたから気になった、それだけだ」
それだけだと言うそのわりには、妙にそわそわとしていた。
敬われたい訳ではない、というのは本心なのだと思う。もしそうであるならば、そんなところで取り繕う必要もない。
穏やかな昼下がりの室内に、秒針の時を刻む音だけが静かに響いている。
君は音が出るものは苦手かな、と考え込みながらの問いかけの後に取り付けられたそれは、
人より聴覚が過敏なお互いの気に障らない程度の音を、ワラキアが大層真剣に吟味したものだった。
さてどうしたものか、と考えてザトーは、ふととある悪戯を思い付く。

「……そうですか、それはよかった」
声の調子は努めて普段通りに、常とは異なる言葉遣い。
ついでに余所行きの笑みなど向けてやる。が、返事が来ない。
ワラキアのことだから直ぐに面白がって食い付くかと思っていたのだが、予想外に静かだ。
「どうかしましたか?」
首を傾げてみせつつもう一度声をかけてみた。ワンテンポ遅れた「、ああいや、何でも無いとも」という返事。
ページを捲る音も止まっていたところをみると、どうやら固まっていたようだった。
想像とは違う反応だが、これはこれで面白い。
「何でも無いようには聞こえませんが……」
殊更心配そうな表情をすれば、ソファの上で身を引く音が聞こえた。
布を引き摺って後ろに下がるワラキアを、ソファの上で追いかける。二人分の衣擦れの癖に色気のない。
やがて端に行き着くと、肘掛けに背中が当たったワラキアが動きを止め、
逃げ場のない端まで追い詰められて観念したのか、漸く重い口を開いた。
「その、あれだ。敬われたい訳ではないが……悪い気になるものでもないな、という」
ぎりぎりまでザトーから身を引いて、いつにない歯切れの悪さで口籠り。そうしながら、そんなことを言う。

「なんだ、こういうのが好きなのか」
またしても予想外のカミングアウトに、思わず常の口調に戻った。
こちらの口調など気にしていないと思っていたが、それはこちらの勝手な思い違いだったか。
ひっそりと内心動揺するザトーを知ってか知らずか、いや、ときっぱりとした否定が入る。
「これは君が使うからこそ意味があるのだよ」
何故だかきりっとして主張しだした。
どうも自分は沼地に足を突っ込んでしまったらしい。
向き合った状態はそのままに、ひとまず体を少し離すと、ワラキアはきりりと背を正した。
遠い目のザトーをお構いなしに、先程までの口の重さと打って変ったいっそ鮮やかな舌回しで、
ワラキアは常の態度と口調の対比が云々、それによるギャップがどうのこうのと熱弁を奮う。

よくぞそこまで言葉が出てくるものだと語彙にただただ感心する程の間続いたそれは、「それにしても、君の声はつくづく甘い」という感嘆で締め括られた。
「甘いのはあなたの声でしょう」
「おや、それは初めて言われたな」
どうせ今まで散々秋波を送られてきたのだろうと思っていたのだが、きょとんとして、心底意外そうにしているところをみると、どうも本心からそう言っているようだ。
ワラキアの顔立ちは整っている、らしい。
生憎ザトーはそれを目で確かめたことはないのだけれども、エディの証言であるとか、手で触れた頬の手触りや、顎の稜線。
すっと通った鼻梁に、触れ合わせた唇の柔らかさと、その形。
もしくは肩口辺りで揺れる髪の感触から、それに疑いを抱いたことはない。
行為には物慣れているのに睦言には慣れていないというのもおかしな話だが、あまり人のことを言える立場でもないので、言及するのは控えることにした。
それに、"初めて"というのは悪くない。

「……ところで、そろそろそれを止めないかね?非日常は確かに心踊るが、余所余所しいのは淋しい」
勝手に内問答をしていたザトーのことなど知るよしもないワラキアが、何時になく殊勝な態度で申し出る。
もう少し続けても良かったが、あまりしつこくからかい過ぎて、へそを曲げられるの馬鹿らしい。
「そうか?なら止めるとしよう、肩が凝る。……おい、止めたら止めたで残念そうな顔をするな」
そう思って素直に頷いたら、ひどく残念そうな顔をされた。
指摘すると何がしたいのかすっとぼけているが、それぐらい見えなくても分かるに決まっているだろう。
「新鮮だったのでね……ふむ、私も君を敬ってみようか」
あっさりと認めたワラキアは、言いながら自身の口許に手を添えた。
こちらのからかいに面白がっているのかと思えば、どうやらそうではないようだ。
おかしなところで真剣に考え込みだすのは研究者特有の特徴なのか、それともワラキア自身の性質なのか。
どちらも有り得るが、後者の線が濃厚かも知れない、と思いながらザトーは、「妖精の王に?畏れ多いな」と混ぜっ返した。
見え透いた話題転換だが、ワラキアは成る程と一つ頷く。
「ならば君はタイターニアか。妻を敬うのは夫の権利だろう?」
そう言ったワラキアは首を傾げて、笑う。
見立てが甘かった。存外真剣に考えていた上、先のこちらのちょっかいに、遅れて乗る気になったらしい。
この程度のことで腹を立てている訳ではなかろうが、からかわれた事に対しての軽い意趣返しとからかい返しだろう。
とかく人で遊ぶことが好きなこれの性格を忘れていた。
さて、どうしたものか。勝ち負けを決めるようなことではないが、毎度毎度やられっぱなしは性に合わない。

「ならばあなたの気を損ねないようにしなければ。ロバ頭に現を抜かすのはごめんですから」
ひとまず場繋ぎに、と軽い調子で言った一言は、果たしてその場の空気を変えた。
一瞬冷やりとした殺気にも似た重苦しい気配を発して、それを直ぐに収めたワラキアは、背を預けていた肘掛けから離れてザトーの方へと近寄る。
「安心したまえ、瞼に媚薬を塗られたところで君が目覚めることはない」
暖房のおかげで室温二十一度に保たれた部屋に不釣合いな冷たい手が、そっと頬を撫でる。
「仮に目覚めたとして、君が見るのは私なのだから問題はないけれども」
体を半ばザトーに乗り上げ、肩に手を掛けて顔を寄せたワラキアが、耳元で囁いた。

「そうだろう?ここには君と、ザトー。私しかいないのだから」

ああ成る程、それならば問題はない。
殺意と独占欲は、確かに似ていた。

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