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『クリスマスレター』

 俺の彼女、下園あやめは結構な恥ずかしがりやだ。
 口下手でおとなしく、人と触れ合うのが苦手。
 手を繋ぐだけで顔を真っ赤にするし、初めてキスしたときなど熱を出して倒れてしまった。
おかげでそれ以来キスはしていない。
 初めて言葉を交わしたのは高校に入ってしばらくしてから。
 五月のゴールデンウィーク明けに最初の席替えがあって、窓際の最後尾という絶好の
ポジションを獲得した俺の前の席があやめの席だったのだ。
 入学から一ヶ月、まだクラスの女子とはそこまで親しくはなかった。せっかく席替えを
したのだしとりあえず近くの女子から友好関係を築こうとあやめに話しかけると、彼女は
途端に真っ赤な顔でうつ向いてしまった。
 返事が返ってこない。無視されたと思って俺は鼻白んだが、帰りのホームルーム中に
こっそり小さな紙を渡された。
 ノートの切れ端だった。小さいながらもそこには綺麗な文字が書かれていて、首を
傾げながらもとりあえず読んでみた。

『さっきはごめんなさい。
 私、ちょっと人と話すの苦手で、あなたに悪いことをしてしまいました。
 話しかけてくれてありがとう。これからよろしくです、山口くん。』

 なんというか、嬉しかった。
 きっと彼女は人見知りするタイプで、このメモを書くのにも勇気がいったに違いない。
そう考えると余計に嬉しかった。俺に対して真摯になってくれたことが嬉しかった。
 だから俺も返事を書いた。

『こちらこそよろしく。下園さん。』

 渡してからしばらく彼女の後ろ姿を見つめていると、肩がなぜか強張った。耳が真っ赤に
染まっていくのがはっきり見えて、俺はちょっとおもしろいと思った。
 後日訊いたところ、嬉しくて、でもちょっと恥ずかしくて、頭の中がわけわかんない
ことになっていたらしい。
 俺たちの初めての会話は、声すら出さないそんなやり取りだった。

 あやめは見ていて飽きない女の子だった。
 とにかく喋るのが苦手で、聞き手役に徹するのが基本スタイル。頑張って何か言おうとは
するものの、大抵何と答えていいのかわからずに真っ赤になってしまう。正直コミュニ
ケーションには困る性質だが、俺は特に苛立ったりはしなかった。
 普通の会話の代わりに、メモ用紙でやり取りをしていたからである。
 主に授業中、俺たちはこっそりメモを渡し合った。小さな手紙の中の彼女は、普段と
違ってとても雄弁で、いろんなことを教えてくれた。
 昨日見たテレビのこと、姉のこと、お店の手伝いのこと。
 綺麗な字はとても読みやすく、それにつられるようにこちらも丁寧に文字を書くように
なった。
 あやめとのやり取りはなんだかドキドキした。
 こんな女の子同士みたいなやり取りが、なぜか妙に楽しい。彼女の手紙を通して、魅了
されていくのが自覚できて、
 気付いたら好きになっていた。
 教室で授業を受けるとき、ずっと彼女の後ろ姿が視界にある。それだけで幸せな気持ちに
なれた。ショートカットの髪が揺れるのを見る度に思わず見とれ、手紙を渡して手が
触れると胸が高鳴った。友達には気持ち悪いと言われたが。
 確かにあまりの純情っぷりに、自分でも困惑した。どこの乙女だ。
 でも別の友達には「幸せならいいんじゃないか」とも言われた。それもそうかと思い
直して、俺はあやめとのやり取りを続けた。

 ……知り合って二ヶ月後、俺はあやめに告白した。
 返事は『よろしくお願いします。』という短い文面の手紙だった。



 こうして俺たちは付き合うことになった。
 幸いなことに想いが冷めることもなく、交際は順調に続いている。
 相変わらずあやめは恥ずかしがりやで、デートのときも始終顔を真っ赤に染めている。
たまに不安そうにこちらを見つめてくるので、そんなときはにっこり笑って手を繋ぐことに
している。
 そうすると、卒倒しそうになりながらもあやめは嬉しげに握り返してくれるから。
 あやめはいつも不安そうにしている。こんな性格だからか、自分に自信が持てないの
だろう。いつか愛想を尽かされるのではないかという恐れを、なんとなく感じられるときが
ある。
 もちろんそんなことは有り得ない。俺は出会ったときからあやめに惚れっぱなしだ。
あやめに愛想を尽かされることはあっても、逆はないと確信できる。
 不安なのはこちらの方なのだ。
 たまに思う。あやめは俺のことなど特に何とも思っていないのではないかと。
 俺の告白に流されてしまって、付き合っているのではないかと。
 もしもそうなら、俺はもっと頑張らないといけない。あやめが俺を好きになってくれる
ように。
 あやめのことが大好きだから。

「殴られたいのアンタ」
 店のカウンター内に立ちながら、大村聡子は剣呑な目付きで毒づいた。
 聡子は俺やあやめと同じクラスメイトで、特にあやめとは仲がいい。なんでも小学校
からの付き合いで、昔からいろんなところで助けてもらっているとあやめが手紙で言って
いた。
 あやめがそういうのだから本当なのだろう。クラスでもムードメイカー的存在だし、
想像しやすい関係だ。
 聡子の家は小さな雑貨屋で、クリスマスイブの今日、俺は注文した品を取りに来ていた。
 その際に俺が前述の不安を吐露すると、彼女はかなり危険な目付きで俺を睨んできたの
だった。
「アンタ、あやめを馬鹿にしてるの? 流されてるって、そんなわけないでしょ」
「い、いや、あくまで可能性の問題だぞ?」
「ゼロよゼロ! あの子はあんたにもったいないくらいに惚れてるわよ。もったいない」
 二度言うな。
「あの子は気弱でおとなしいけど、流されて行動するような馬鹿じゃないわ。あんたの
百兆倍賢いんだから、そんな心配するだけ損よ」
 そこまで言うか。
「悪かったよ。ちょっとした気の迷いだ。許せ」
「悪いと思うなら早くプレゼント届けてやることね。喜ばせたいんでしょ?」
 聡子は言いながら、小さな箱を差し出してきた。綺麗にラッピングされた、あやめへの
プレゼント。
「業者に頼んでいいやつを取り寄せたから、品質は保証するわよ」
「ありがとな。それじゃまた来年」
 なぜか親指を下に向けて突き出されるのを尻目に、俺は店を出た。
 その足であやめの家へと向かう。確かここから歩いて五十メートルくらいだったはずだ。
 手元に抱えるは小さなプレゼント。
 あやめは喜んでくれるだろうか。聡子に相談したら、「アンタにしては悪くない」と
一応合格点をもらっている。一番の友達なのだ。その言葉、信じるぞ。

 しばらくして、あやめの家に着いた。
 あやめの両親が経営している喫茶店『白雪』は、クリスマスイブということもあってか
大賑わいだった。
 イブの夜は普段より遅くまで開けているという。手作りケーキの販売も行っていて、
表の入り口には人だかりができていた。
 俺は人だかりを避けて店の裏手に回る。予想以上に忙しそうな感じだ。
 果たして会えるだろうか。終わるまで何時間でも待つつもりだが、迷惑なら帰った方が
いいのだろうか。あやめは問題ないと言っていたが……。
「ん?」
 裏口の方を窺っていると、髪の長い女性が中から出てきた。すぐにこちらに気付いて
不審の目を向けてくる。
 が、女性はすぐにああと頷き、にっこり微笑んだ。
「君があやめの彼氏ね」
「え……あ、はい」
「あの子ならキッチンにいるよ。呼んでこようか?」
「お、お願いします。……あなたは?」
「姉よ」
 びっくりした。姉がいるとは聞いていたが、あやめとは全然似てない。
 初対面の相手にも動じたところはなく、血が繋がっているとは到底思えなかった。
「ね、一つ訊いていい?」
「なんですか?」
「あやめのどういうところを好きになったの?」
 不意打ちだった。急な問いかけに俺は狼狽した。
「あー、その……」
「ん?」
 どう答えたものか、俺はしばし悩んだ。
「……ずるい言い方していいですか」
「? どうぞ」
「……全部好きです」
「……全部?」
 俺はヤケクソ気味に想いを吐き出した。
「だから全部です。おとなしいのも恥ずかしがりやなのも顔を真っ赤にするのもたまに
笑ってくれるのも全部、好きです」
 お姉さんはしばらく呆気に取られたように俺を見つめていた。
 それからぷっ、と吹き出し、
「なるほどね、それはずるいなー」
「すいません」
「んーん、いいよ。じゃあ呼んでくるね」
 お姉さんはドアの向こうに引っ込んでいく。

 それからすぐにあやめが出てきた。
 エプロン姿で、白頭巾を被っている。接客が苦手なあやめはキッチンの手伝いに回って
いるという話だった。
 俺が話し出さないのを見て、あやめは小首を傾げる。
「浩平、くん?」
「ああ、いや、頑張ってるんだなって」
「──」
 恥ずかしそうにうつ向いてしまうあやめ。こういうところは全然変わらない。
 そんな彼女に俺は手元の箱を渡す。
「はい、プレゼント」
 あやめが恐る恐る顔を上げる。微笑みかけると一気に耳まで上気した。
「気に入ってくれるかわからないけど」
「……わ、私も」
 あやめはそう言うと、後ろ手に隠していた紙袋をおずおずと差し出してきた。
「……プレゼント?」
 小さく頷くあやめ。
 めちゃめちゃ嬉しかった。
「ありがとう、あやめ」
「こ、これもっ」
 続けて白い封筒を差し出してくる。
 いつもの手紙だ。言葉の代わりに俺たちを繋ぐ大事な架け橋。
「後で読んで……」
「わかった。俺のもいいか?」
 交換するように俺も手紙を差し出す。
 あやめはびっくりしたように目を丸くした。
「後で読んでくれよ」
「あ……」
「そんなに予想外だったか? いつも渡し合ってるじゃん」
「け、けど……」
 あやめはまたうつ向いてしまう。
 俺は何も言わずに彼女の言葉を待った。
 あやめがゆっくりと顔を上げる。
 はっきりとした喜びの笑顔を浮かべて、あやめは言った。
「ありがとう……浩平くん」
 その言葉は俺を満足させるのに十分な力を持っていた。

 帰りの電車の中で、俺はあやめの手紙を読んでいた。

『メリークリスマス! 浩平くん。
 うちは毎年この時期忙しくて、いっしょにはいられないけど、プレゼントを用意しました。
 セーターです。一応手編みです。
 多少大きめに編んでますが、ちゃんとできてるでしょうか? 似合うといいな。
 付き合ってもう半年になるんですね。
 夏休み前に浩平くんに告白されたとき、すごく嬉しかったです。きちんと返事をする
ことができなかったけど……。
 いつも迷惑かけてごめんなさい。……って言ったら怒られるかな?
 聡子ちゃんに言われました。謝られても相手は嬉しくないって。
 だから私は自分の気持ちを素直に書きます。
 いつもありがとう。大好きです。

 P.S.初詣、いっしょに行きましょう。神守神社はどうですか? 後で連絡下さい。』

 ぶっちゃけた話、メールを使えばいくらでもやり取りできる内容なのだ。わざわざ手紙を
書く必要など、本当はない。
 それでも俺はこっちの方が好きだ。あやめの心が込められた、綺麗な文字の手紙の方が。
(メリークリスマス、あやめ)
 俺は心の中で恋人に囁いた。

      ◇   ◇   ◇

 仕事も全て終わり、私はすぐに部屋に戻りました。
 ベッドに腰掛けて、浩平くんからのプレゼントを丁寧に開けます。
 中には万年筆が入っていました。
 白を基調とした綺麗なデザインです。ちょっと意表を突かれました。
 手紙には、ちょっと角張った見慣れた字でこう書いてありました。

『メリークリスマス、あやめ。プレゼント見てくれた?
 その万年筆、よかったら使ってほしい。大村に選んでもらったやつだけど、気に入って
くれるかな。
 そいつで手紙を書いてくれたら、俺はすごく嬉しい。
 あやめの手紙が好きだから。

 正月は時間あるよな? 楽しみにしてる。』

 あまりの嬉しさに胸がドキドキしました。
 同時に恥ずかしくなって、思わずベッドに突っ伏してしまいます。ギュッと目をつぶって
嬉しさに身悶えしました。誰かに見られたら死んじゃいそうな自分の姿です。
 ようやく落ち着くと、私は贈られた万年筆をまじまじと眺めます。
 自然と笑みがこぼれました。
(メリークリスマスです、浩平くん)
 心の中で私は小さく呟きました。



作者 かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
2009年01月06日(火) 05:06:41 Modified by ID:IQvMW5p2LQ




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