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ちょい鬱系?(仮題)

294 :名無しさん@ピンキー:2008/10/03(金) 00:21:34 ID:fEUdIkhW
物静かな大和撫子老婆もいいと思うぜ
エロとか抜きで

301 :ちょい鬱系? エロ無し:2008/10/04(土) 22:21:23 ID:PZzUhllh
>>294
 その人は、いつもニコニコと笑っていた。
「ばーちゃ、今日はげんきなの?」
 こくりと頷くその笑顔が、彼女のその日の体調の良さを物語っていた。
 ……とはいえ、体調が良かろうと悪かろうと、今日のように安楽椅子に
腰掛けていようと、床に伏せっていようと、彼女の顔から笑みが耐える
事はないのだけれど。
 それでも……それでも、笑顔の質は違う。その日は、無理をしていなかった。
無理して笑顔を作らせてしまう事に、心を痛める程度には、その頃の
俺は物事の機微というのを理解していた……ように、思う。
 だから、その日、彼女の体調が良かった事を、俺は喜んだのだった。
「今日はおしゃしん見せてくれるんだよねー」
 その頃の俺は、とんでもなくお婆ちゃん子だった。とはいっても、彼女と
俺の間に血のつながりは無い。隣の家に住んでいた、一人暮らしのお婆ちゃん。
それが彼女だったのだ。
 俺は暇さえあれば、いつも彼女の家に遊びに行っていた。同じ年頃の
友人と遊ぶよりも、その方がずっと楽しかった。
 体調がいい時は、折り紙やお手玉やおはじきや、そんな俺の友達が
誰も知らないような遊びを教えてくれて、俺と一緒にそれに興じてくれた。
 病気のせいか否か、彼女は口数は少なかったが、どんな遊びも実践でもって
俺に教えてくれて、俺も彼女からそれを学び取るのが楽しかった。
 それが楽しかったから、というのも無論あるだろう。けど、それがなくても、
例えば、彼女が床に伏せっている、その横に座っているだけでも、俺は楽しかった。
 もちろん、彼女は病気で、その具合が思わしくなくて伏せっているのだから、
それなのに、その横にいれるだけで嬉しいなんて思ってはいけないのかもしれない。
 でも、それでも……俺は嬉しかった。彼女と一緒にいられる事が。
「はやくおしゃしん見せてー!」
 俺がせがむと、彼女はにっこりと笑って頷いた。
 ゆっくりと、本棚へ歩いていくと、一冊の古びた表紙の本――アルバムを取り出す。
「……すごい、ボロボロのごほんだね?」
 当時の俺はまだ子供で、だから思ったままを口にしたが、今考えてみると
随分と酷い事を言ったもんだと思う。彼女の思い出が詰まった大事なアルバムを、
ボロボロのごほんだなんて……。
「そうね」
 だが、彼女は気分を害した様子も無く、一言だけそう呟くと、やはり、笑った。
 困ったような、だが、何かを懐かしむような顔で。
「気をつけないと、こわれちゃいそうだね」
「ふふっ……」
 その言葉に配慮したのか、あるいは実際にバラけてしまいそうだったのか。
 彼女はゆっくりとページをめくった。
 一枚目。
 今とさして変わらない、皺の刻まれた、だが美しい顔をした彼女がそこにいた。
 写真はカラーだ。だが今と大きく違うのは、彼女が杖の力を借りずに
地面に立っている事。まだ彼女が病に冒される前の写真――

「これ、北海道?」
 彼女の背後には、紫色の花が咲いていた。それがラベンダーという名前の
花である事を、その時の僕はたまたま知っていた。
「ラベンダーでしょ、これ。この前クラスのトシ君が写真見せてくれた。
 北海道旅行の写真だ、って言ってた。だからこれ、北海道の写真でしょ!」
 推理を得意げに披露する僕を、彼女はニコニコと見つめている。
「……ちがうのかなぁ」
 肯定の頷きが無いのを不安に思った俺がしょんぼりし始めたのを見て、
彼女はその写真をボロボロのアルバムから取り出した。
「ごらん」
 一言だけ言って、僕に写真の裏側を見せる。
 そこには『君江 北海道 ラベンダー畑にて』と書いてあった。
「あっ、やっぱり北海道だ! へへー、僕の思ってた通りだね!」
「ふふっ……」
 彼女の手が、俺の頭を撫でてくれたのを、今でも覚えている。
 その手の、少し骨ばっていたけれど、柔らかい感触を、今も。
「他にも見せてー! ばーちゃの写真みせてー」
 ゆっくりと頷き、ゆっくりと再びアルバムに手を伸ばす。そしてゆっくりと
ページをめくると、何枚か同じようなカラーの写真が見えた。
「ばーちゃ、元気だったんだねー」
 そこに居る彼女は、見た目こそ、少しふっくらとしている以外、今と
ほとんど変わらない。だが、子供の目で見ても、そこに当時既に彼女が
失っていた、生気とでも言うべき要素は見て取れた。
 故に、俺は口にしたのだろう。
「早くまた元気になれるといいね、ばーちゃ」
 残酷な……何も知らないが故に、何もわかっていないが故の言葉を。
「そうね」
 だが、彼女は笑った。そう一言だけ言って、笑った。
 困ったような、だが、何かを懐かしむような顔で。
 もっと、色々な事を知った後の俺なら……子供ではない、今の俺なら、
彼女が俺にアルバムを見せてくれた事を、その意味を、理解できる。
 彼女は、知らせたかったのだ。
 自分を。自分の全てを。
「あれ?」
 ページを繰る手が、俺の漏らした呟きで止まる。
 写真が、突然モノクロになったからだ。
「これ、昔のおしゃしん?」
 彼女は、俺の疑問に頷く。
「……これ、ばーちゃ?」
 再び、彼女は頷く。
 そこに写っていたのは、彼女の姿だった。
 彼女の、若かりし日の、姿。
「うわぁー」
 俺は、子供だった俺は、感嘆した。
 子供の目から見ても、若かりし日の彼女の姿は、美しく、輝いて見えた。
 写真が白黒でも、随分と昔の物であっても、彼女の姿は全く色あせていなかった。
「キレイだね、昔のばーちゃ!」
 これもまた酷い事を言ったものだと思う。これではまるで、その時の
彼女が綺麗ではないかのような物言いだ。
「あ、でも今のばーちゃもキレイだよ?」
 流石に、誤解を招きそうな言葉だったと気づいたのか、俺は慌ててそう言い直した。
「ふふっ……ありがとう」
 その慌てぶりが面白かったのか、それまでとは違う種類の笑みを、彼女は浮かべた。
 何故か、それが妙に恥ずかしかったのは、よく覚えている。
「……けど、昔のばーちゃ、なんか……」
 “言葉にできない”―― よく話には聞く言い方ではあるが、その時の
俺はまさにその状態だった。今現在ですらそうだ。子供だから言葉に
できなかったのではなく……本当に、彼女は、彼女の美しさは、言葉に
できない程だった。
 改めて“惚れ直す”程に。

 そうだ。
 その瞬間、ようやくわかったのだ。昔の彼女を知って、彼女の……全てと言うには
まだ足りないけれど、俺の知らなかった彼女の姿を知って、その時ようやくわかったのだ。
 俺は、彼女に恋をしていたのだ、と。
 年老いて尚、彼女は輝いていた。その魂は、輝いていたのだ。
 その輝きに……俺は、魅せられた。焦がれた。惹かれたのだ。
 だから、彼女の隣にいられるだけで、それだけで嬉しかったんだ――
「……ばーちゃ」
「なぁに?」
「俺、ばーちゃの旦那さんになれる?」
 素直であるが故にした、自分の想いに気づいたが故にした、幼稚な、
子供がするのに相応しい、それはプロポーズだった。
 ずっと、彼女の傍にいたい。
 だが、彼女は笑みで持ってそれに返した。
 悲しく、寂しく、儚げな……今まで見た事も無い笑みで。
「……ごめんなさいね」
 俺の初恋は、そうと気づいた瞬間に終わった。
「そっか。ざんねんだなー」
 いや――正確には、終わっていた。
 終わっていたのだ。




「……ばーちゃ」
 黒と白の垂れ幕が、一体何を意味するのか。
 それを学ぶ機会が、こうして訪れる事になるなんて……。
「お婆ちゃんに、ちゃんとサヨナラ言ってあげないと……ね?」
 母に促され、棺の中を覗き込む。
 そこには、彼女がいた。
 彼女は……やはり、美しかった。まだ、魂がそこにあるのかと思える程に。
「この前、あんなに元気だったのに……おしゃしんみせてもらったのに……」
 聞けば、あの日俺にアルバムを見せた後、床に入り……そして、それっきりだったらしい。
 翌日家を訪れた彼女の家族が、冷たくなっている彼女を発見したそうだ。
 涙は、何故か出なかった。何となく、あれがお別れだったのだと、そう気づいて
いたからかもしれない。あれは……あの写真を俺に見せてくれたのは、
形見分けのようなものだったのだ。今ならそう……はっきりとわかる。
 だから、あの日俺は泣いた。家に帰って、一人になってから、わんわんと。
 そして、その日俺は泣かなかった。彼女の姿を目にしても、これぽっちも。
 なんとなく、わかっていたのだ……あの時、俺は。
 初恋の終わりが悲しくて泣いた。それ以上に――彼女との別れが悲しくて泣いたのだ。
「……ばーちゃ」
 棺桶の中の彼女は、もう微笑まない。
 だが、目を閉じると、瞼の裏には彼女の微笑があった。
「さよなら」
 だから、俺も笑った。
 精一杯の笑顔で、お別れを言った。

 こうして、俺の初恋は、終わった。
 終わっていたのだと、そう気づかされた――
                                   終わり?


作者 6-301
2009年01月05日(月) 22:43:24 Modified by ID:z0ZlJTbkWw




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