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ソラカラノオクリモノ(耕太編2)

それからは早かった。
住宅地のおかげで移動は短時間で済み、マンションの所では宅配便を渡すようにポンポン拍子に
渡す事が出来たりと、かなりのハイスペースで渡す事が出来た。
途中、気づかれそうになり、ヒヤヒヤした場面もあったが。
それでも、小雪は子供にプレゼントを渡す時は必ず嬉しそうに笑って、最後に頭を撫でてあげる。
耕太はそれを見るたびに、一緒に手伝えてよかったと思えた。
やがて・・・・・・
「次で最後か・・・・・・」
カーナビに表示された数はついに1になっていた。耕太は腕時計を見てみると時刻は23:00。
「時間が無いと思ってたけど、意外と早く配り終えそうだな。やっぱり空を飛んでの移動だと
回り道とかないから早いぜ」
摑まっていた小雪はふるふると首を振り、
カキカキ・・・・・・
『こーたが手伝ってくれたおかげです。手伝ってくれなかったら間に合いませんでした。』
「ははは、まぁ次で最後だ。気を抜かずにがんばろう」
コクリ、と小雪は頷いて笑った。
最後の目的地へ着いた。
地図を見れば、自分のアパートとは街を挟んでちょうど反対側まで来ていた。
「・・・・・・豪華な家だな」
そこは高級住宅地らしく、他の家も同じように高そうな家ばかりだ。そんな中でも3階建て、
しかも庭も含めた敷地の広さが他の家より2倍はある家が最後の目的地だった。
すっ、と小雪がいつも通り家に入る場所を指差す。耕太はそれに従い、3階の窓へトナとカイを止めた。
小雪が鍵をあけ、二人とも中へと入る。
「・・・・・・すげーな」
耕太は思わず呟く。
部屋の大きさは耕太のアパートの1室ほどの大きさがあり、所々に大小様々なぬいぐるみが並び、
部屋の真ん中には一般家庭用より一際大きいクリスマスツリーが鎮座して、静かに電球が光を
放っている。更に奥へ目を向けると、これまた高価そうなベッドでぬいぐるみを抱きながら
眠る女の子を見つけた。
そっと近づき、小雪が白い袋をごそごそし始めたが、
「・・・・・・?」
「どうした?」
小雪が不思議そうに首をかしげる。どうかしたのかと耕太が聞くと、やがて小雪は白い袋から
何かを取り出した。
「ビン?香水か何かか?・・・・・・そういえば、ラッピングされてない上にカードも付いてないな?」
今までのプレゼントは小さくても必ずラッピングされ、メッセージカードがあったのだが、
今回はそれが無かった。小雪もこんな事は初めてらしく、困惑している。
「どーゆー事だ??・・・・・・ん?」
耕太はベッドにかけられた靴下から、何か紙みたいなのがはみ出してるのに気が付き、それを
取り出して見た。そこには
『いもうとか、おとうとがほしいです』
と、小さな子供らしい拙い字で書かれていた。小雪も紙を覗き込み、困り始めた。

カキカキ・・・・・・
『おかしいですね。何で赤ちゃんが出ないで小瓶が出てきたんでしょう?』
「いやいや、ちょっと待て!出せるのかよ?!」
耕太は突っ込む。もちろん、小声で。
カキカキ・・・・・・
『出せますよ?純粋に望めば』
「いやいやいやいや、物なら別にそんなに問題にならないだろうけど、赤ちゃんはマズイだろ、
常識的に考えて・・・・・・」
朝、目が覚めたら見知らない赤ちゃんがいたら警察沙汰は勿論、家庭崩壊になりかねない。
小雪はよくわかっていないのか、?を浮かべている。
「と、とにかく、ちょっとその小瓶、見せてくれないか?」
小雪は頷いて渡した。耕太はじっくりと小瓶を見る。
色は怪しいほどにピンク色で、なんだか怪しさ臭がプンプンする。ふと、小瓶の下を見てみると、
ラベルが張ってあるのを見つけた。そこには、
『超!強力媚薬スーパーDX  無味無臭』
と、これまた怪しさ全開の文字が踊っていた。
「工エエェェ(´д`)ェェエエ工」
思わずAAな顔になった耕太は、とりあえず続きに書かれた説明文を見る。
『これを飲んだ人間はどんな堅物でも発情します。以上』
「説明文、短っ!」
もはや突っ込みどころ満載の媚薬(?)だが、それ以外何も書かれていない。
カキカキ・・・・・・
『何かわかりました?』
小瓶を見ていた耕太の服をクイクイ引っ張って小雪がスケッチブックを掲げて見せた。
「あー・・・・・・んーと(汗」
(何だよ、これ・・・・・・怪しい上に本当に効くのか?それに女の子の願いに何の関係が・・・・・・あ)
「分ったぞ。コレを使って親に赤ちゃんを作らせるんだ」
カキカキ・・・・・・
『この小瓶を使うんですか?それでどうやって赤ちゃんを作るんですか?』
「いや・・・・・・そりゃ赤ちゃんを作る上で必要な行為を・・・・・・」
(何を言わせるんだ?!もしかして素で聞いてるのか?)
耕太、思わず赤面。さすが童貞、ウブである。
「と、とにかく!この子の両親を探そう。」
小雪は?を浮かべながらも、耕太の言葉に頷いた。その時、
「今、帰ったぞ」
下のほうから渋い男の声が聞こえた。
「ナイスタイミング!さっそく行くぞ」
二人はゆっくりと部屋を出て、1階へと階段を下りていった。

二人はゆっくりと1階のダイニングルームへ入る。
大きさはさっきの子供部屋の倍、TVでしか見たことが無い大きな黒いソファーに父親らしき中年の
男が疲れたように身を沈ませて、これまた大きい液晶TVを見ている。
周りには高価そうな物が綺麗に整理されて置かれている。成金とかにある、ごちゃごちゃと
置いてある感じではなく、見た目にもすっきりさせる為に計算されたて置かれてる様に感じた。
まぁ、耕太のような貧乏学生でも、一目で金持ちの家だと分るぐらいに。
「遅かったわね、あなた」
おっと、奥さん登場。髪を短く切った女性が台所から出てきた。
(う〜〜ん、とても小学生の娘さんが居るとわ思えない美人な奥さんだな。俺の大学の先輩に居ても
おかしくないぞ・・・・・・)
と、どうでもいい感想を浮かべる。
「会議が長引いたんだ、仕方が無いだろう」
「いっつもそればっかりじゃない。今日はクリスマスだって麻奈がとても楽しみにしてあなたの事を
待っていたのよ?」
「仕方ないだろう。仕事しないと生活出来ないんだから」
「仕方ないって・・・・・・!あなたっていつもその言葉で誤魔化してばっかり!」
「疲れてるんだ・・・・・・それに何も食べてないからご飯にしてくれないか?」
「・・・・・・!わかったわよ!」
旦那は終止疲れたように喋り、奥さんはイラだって台所へと戻った。
(うわちゃ〜・・・・・・まるでドラマのように夫婦仲悪いな、こりゃ)
耕太は点を仰いだ。このままだと離婚しそうな雰囲気ですらある。
「・・・・・・」
「・・・・・・小雪?」
小雪が俺の腕を摑み、悲しそうな目で二人の夫婦を見ていた。
(そう、だよな。このまま離婚なんてしちゃったらあの子が悲しいだけだ。そうさせない為にも
この媚薬で夫婦仲を・・・・・・って、イマイチ怪しすぎて信用出来ないんだけど)
「大丈夫だよ、小雪。きっとうまくいく」
耕太はそっと小雪に囁く。小雪は更に耕太の腕に力を込め、静かに頷いた。
「はい、出来たわよ」
奥さんが料理を持ってきて台所から戻ってきた。
「よし。じゃあ行ってくる」
耕太は小雪の腕を優しく振り解き、ゆっくりと二人の座るテーブルへ近づいた。見えてないと
分っていてもやはり、緊張する。それに、音は消せないので慎重に・・・・・・
まるでステルス迷彩を着た某伝説の傭兵になった気分だ。
「なんだ、温め直しただけか」
「あなたが遅かったからでしょう」
「贅沢は言わないが、食べ残しの物を出さなくてもいいだろう?」
「何よそれ!麻奈がどんな気持ちであなたを待っていたと思うの?!あなたと一緒にご飯を
食べるんだって、遅くまで食べずに待ってたのよ?!」
「だから会議で仕方なかったんだ!」
ついに旦那も怒り始め、どんどん言い合いがヒートアップする。

(ヤバイ・・・・・・でも、言い合ってる今のうちなら気づかれずに・・・・・・)
耕太は小瓶の蓋を開け、とりあえず目に付く料理や飲み物に媚薬を振りかけまくった。
(これでよし、と・・・・・・頼むから料理食ってくれよ)
任務を無事に終えた耕太はゆっくりとその場を離れて小雪の元へ戻っていく。小雪はいがみ合う
夫婦を今にも泣き出しそうな顔で見つめていた。耕太は小雪の元へたどり着くと、優しく抱き締め、
「大丈夫、大丈夫だから。泣かないで・・・・・・」
子供をあやす様に頭を撫でると、小雪は小さく頷いた。
(泣かせたくないな・・・・・・小雪はいつでも優しい笑顔で居てほしい)
耕太は心からそう思った。
やがて、二人は無言で席に座りなおした。夜中なのと、子供が寝ているのを思い出したのかもしれない。
旦那は黙って料理を口に運び、奥さんは手元の水を自棄酒を飲むように煽って飲んだ。
無言の中、食事の進む音と、コップがテーブルに置かれる音だけが響く中、耕太たちはじっとそれを
見守った。
3分ほど経った頃だろうか。夫婦に変化が訪れ始めた。
旦那はどこか落ち着かなさ気にチラチラと奥さんを見て、奥さんは顔を伏せてもじもじし始めた。
(効いて来たか・・・・・・?)
「・・・・・・な、なぁ」
「な!何?!」
やがて、痺れを切らしたのか、旦那が奥さんに声を掛けた。
「いや、その・・・・・・」
「・・・・・・何?」
お互い、目を見つめ合ったまま、沈黙。
「その・・・・・・さっきは言い過ぎた。すまん」
「わ、私も・・・・・・感情的になって言いすぎたわ、ごめんなさい・・・・・・」
再び沈黙。耕太たちは静かに見守る。
(いいぞ、そのまま仲直りしろ!)
「か、片付けるわね、食べ終わったみたいだし」
奥さんが料理を片付けようと席を立ち上がる。
(あー!逃げるな!)
耕太、完全におばちゃんモード。
「あ、たまには俺がやるよ」
旦那も立ち上がり、奥さんの手を摑んだ。そしてまたお互いを見つめる。
(いいぞ!そのまま行け!)
「・・・・・・な、何?」
「・・・・・・お前、しばらくまともに顔を見なかったうちに、皺増えてきたな」
「なっ?!なんて事言うのよ!」
(あちゃー、おっさん。そんな事言っちゃ台無しじゃないか・・・・・・)
「スマン・・・・・・俺の知らないところで苦労して疲れていたんだな」
「・・・・・・え?」
「会社で働いてる間、俺はお前が家出のんびりしているものだと思っていた・・・・・・でも、
それは違っていてお前はお前で苦労してたんだな」
旦那はそっと奥さんの目元を撫でる。
(お〜・・・・・・これは予想外。そう繋げるとわ・・・・・・やるじゃないか、おっさん)
「私の方こそ・・・・・・ごめんなさい。いつも会議とかって言って遅くなるあなたに、もしかしたら
浮気してるんじゃないかって疑っちゃって、不安だったの・・・・・・」
瞳を潤わせて、旦那さんが添えた手を握り返す。
(う〜わ〜!奥さん可愛すぎ!その嫉妬心の告白は反則だ!)
やがて、旦那の顔と奥さんの顔が近づき、キスをした。
(いよぉし!逝ったぁ!)
くちゅ・・・ちゅぱ・・・
舌と舌が絡み合い、夫婦の口元から漏れる水音はお子様には刺激の強い大人のキス。
思わず時間を忘れて見入る耕太だったが、ハッと気が付いたように隣に居る小雪を見た。夫婦の
成り行きに夢中になりすぎて、すっかり忘れていた。
白い肌の頬が心なしか赤くなったまま、どこかぽ〜っと意識が飛んでるように夫婦を見ている小雪。
「小雪、小雪」
肩を揺らして小声で呼びかけると、ビクッと驚いて耕太を見た。頬は未だに赤い。

「もう大丈夫だろ。仲直りしたみたいだし」
コクリ、といけない物を見てしまったように、恥ずかしそうに頷く。さすがにもうこれ以上は
あちらからは見えないとは言え、見ていいものではない。
やがて、キスを終えた夫婦は恥ずかしそうに笑った。
耕太たちはゆっくりとダイニングルームから出て、3階へ移動した。
「あぁ・・・・・・駄目、ベッドに・・・・・・」
「スマン、もう我慢出来ない・・・・・・!」
「あぁん、あなたぁ・・・・・・」
なんて声が1階から聞こえて思わず後ろ髪が惹かれた耕太だが、小雪が居る手前、心の中で血涙を
流しながら耐えたのだった・・・・・・
シャンシャンシャン・・・・・・
暗い夜空から未だに降り続ける雪の中、鈴の音が響く。
カーナビは「みっしょんこんぷり〜と☆」の文字が表示され、プレゼントを配るお手伝いは終了した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
耕太と小雪はお互いに無言。さすがに最後に回った家の夫婦のキスは強烈過ぎた。
耕太としても、アレを見た後で小雪が横で抱きついてると気が気でない。こっちも抱き締めたくなる
衝動を必死で押さえながら自分のアパートへとソリを走らせる。
やがて、二人とも無言のまま、ソリは街の真ん中まで着た。
「・・・・・・綺麗だな」
「・・・・・・(コクリ」
街はまるでこの日を祝うように所々で電飾が輝き、深夜にも関わらず、人が溢れていた。
「これで、お手伝いも終わりか・・・・・・」
耕太は町を見下ろしながら、呟く。
(手伝えた事がうれしい半分、これからお別れで寂しさ半分、か・・・・・・)
偶然とは言え、小雪と出会い、夢のような信じられない出来事の連続。今までの耕太なら
「クリスマスなんてクソ食らえ」だったが、小雪と出会ってクリスマスもいいな、と思えた。
(出来れば、これからも小雪と一緒に・・・・・・)
耕太はそんな事を思いながらチラリと小雪を見る。小雪は安心したように穏やかな顔で耕太に
くっ付きながら、目を閉じていた。
やがて、二人を乗せたソリは街を離れ、耕太のアパートの傍に到着した。
時計を見てみれば時刻は23:55。
「おつかれ、間に合ってよかったな」
アパートの近く、耕太と小雪が出会った自動販売機の前で二人はソリから降りた。
雪は、もうそこそこ積もり始め、足の踝までの高さまで積もっていた。
カキカキ・・・・・・
『本当にありがとうございました。こーたのおかげで私の使命も無事終えることが出来ました』
「いや、俺のほうこそ貴重な体験をさせてもらえて楽しかったよ」
カキカキ・・・・・・
『お礼と言ってはなんですが、欲しいものを言ってください。特別にクリスマスプレゼントとして
好きなものを差し上げます』
「・・・・・・マジで?」
コクリ、と驚く耕太に頷く。
「欲しいもの・・・・・・」
真剣に考える耕太。そして、
「決めた」
耕太は小雪をじっと見つめ、言った。小雪も耕太の1メートル前で白い袋を持って準備している。
耕太はゆっくりと深呼吸して、自分が欲しいものを口にした。
「小雪が、欲しい」
「・・・・・・!」
「もちろん、小雪が迷惑じゃなければだけど。・・・・・・俺色々と考えてみたんだ。何が欲しいのかって、
そしたら真っ先に頭に浮かんできたのが、小雪の笑顔だったんだ。小雪と出逢って1日も
経ってないけど、今までの誰よりもすごく印象に残ってるんだ」
耕太はそこで一度区切り、小雪を見つめる。小雪は驚いたまま動かない。

「俺、欲張りだからさ。小雪の笑顔が出てきたら止まらなくなっちゃって、街に出て一緒に
買い物したり、色んな所にデートしたり、食事したりしたいと思った。ずっと毎日小雪の笑顔を
見ていたい・・・・・・」
耕太の嘘偽りの無い言葉。
「だからもう一度だけ・・・・・・小雪が欲しい」
耕太の純粋な思いだった。
耕太は小雪の反応を見た。年甲斐もなく心臓はドキドキと早鐘を打ち鳴らす。
小雪の瞳から一筋の涙が流れた。
やがて、それは止まらなくなり、ぽろぽろと流れる。
「あぁ?!ゴメン!迷惑だった?」
耕太は慌てた。まさか泣くとは思ってもいなかった。
ふるふる、と小雪は泣きながらも首を振る。
「迷惑じゃない・・・・・・?じゃ、なんで泣いて・・・・・・?」
嫌な予感がした。今まで考えないようにしていた最後。
小雪は、泣きながらスケッチブックに文字を書く。でも、涙で視界が歪むのか、何度も涙を拭いながら
ゆっくりと書く。
『私は サンタクロース です。  私が私で 居られる のは24日 という今日だけ なんです。
24日を過 ぎたら  私は消えて  しまうんです』
今まで綺麗な文字で書かれていたスケッチブックが、涙で所々濡れ、文字も歪んでいる。
「嘘だろ・・・・・・?」
ふるふると、涙を流しながら俺の言葉を否定する。
小雪が、消える。
別れるのではなく、もう2度と会えなくなる。耕太は目の前が真っ暗になりそうだった。
「・・・・・・そんな」
耕太はそれだけしか言えなかった。消えると知らされてショックなのもあったが、これから
消えていく小雪に何と言えばいいのかが浮かんでこない。
それが悔しかった。
だから耕太は、叫んだ。
「嫌だ!俺は小雪と別れたくないんだ!一緒に居たいんだ!一緒に遊んだり、一緒にどこか出かけて
色んな景色を見たり、とにかく色んな事を小雪と一緒にしたいんだ!」
我侭と分っていても叫ばずにはいられなかった。
「・・・・・・だから!お願いだから消えないでくれ!頼む!」
日付が変わるまで、残り時間は5秒・・・・・・
ふわりと小雪が動き、耕太を優しく包むように抱き締めると、目を閉じてそっと唇へキスをした。
触れるだけのキス。耕太は驚いて目を見開く。何故なら小雪の肌に初めて触れた唇は、
まるで氷のように冷たかったからだ。それでも、そのキスは優しさを感じた。

残り、3秒・・・・・・
キスをした途端、何故か耕太の頭の中で小雪といる場面と文字が次々と浮かび上がってくる。
嬉しそうにアイスを食べている小雪。
『美味しかった・・・・・・』
ソリで耕太に抱きついてる小雪。
『とても安心した・・・・・・』
プレゼントを耕太と一緒に配り回る小雪。
『仕事なのに、とても楽しかった・・・・・・』
最後の家で耕太が小雪を優しく抱き締めてくれた時。
『とても優しい人・・・・・・』
最後の仕事を終え、アパートに帰るときの小雪。
『そろそろお別れだと思うととても寂しい・・・・・・でも、せめてその時まではこーたと一緒に
居たいと思った・・・・・・』
耕太は頭に流れ込んだ映像から気が付くと、小雪を見る。
残り、1秒・・・・・・
小雪は、涙を流しながらも優しく微笑み、ゆっくり口が動いた。
ありがとう
喋れないはずなのに、耕太にはそう聞こえた気がした。
「こゆ・・・・・・!」
0。日付が変わり、魔法は解ける・・・・・・。
次の瞬間、耕太の目の前が全て白に変わり、崩れて音を立てた。
「こ・・・・・・ゆき?」
目の前に、誰も居なかった。
「なぁ、嘘だろ?どこに行ったんだよ・・・・・・?」
耕太は辺りを見回す。あるのはあの自動販売機だけだ。
ふと視線を下げると、そこには不自然に盛り上がった雪があった。まるで、そこにあった物が
崩れてしまったかのように・・・・・・
思わず耕太はソリが止まっていた場所に目を向けた。やはりそこにも不自然に雪が
盛り上がっている。
「・・・・・・ははは、冗談だろ?」
もう耕太には訳が分らない。思考がうまく働かない。
(・・・・・・夢。そうだこれは夢だ。俺の妄想が、きっと実際にあった様に勘違いしてたんだ。
・・・・・・そうだ、そうに違いない)
目の前の出来事に、耕太は信じる事が出来ず、そう思うことにした。いや、そうしないと
頭がおかしくなりそうだった。
しかし、耕太は気づいてしまった。目の前の雪から、埋もれるようにしてあのスケッチブックが
あるのを。
耕太は無意識に雪の中からスケッチブックを取り出し、開く。
そこには、小雪が書いた文字が確かに並んでいた。それは紛れもなく、小雪が存在していた証拠と、
数時間足らずの耕太と小雪の思い出。
涙が流れた。流れた涙は頬を伝い顎へ、そしてスケッチブックへと落ちる。
「小雪ーーーーーーーーーー!!」
耕太の叫びは、いつの間にか雪が止んだ夜空へと響き、そして消えていった・・・・・・



                            耕太編 完


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作者さんじゅ
2008年01月20日(日) 21:13:17 Modified by n18_168




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