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ソラカラノオクリモノ(小雪編)

私はサンタクロース。
子供達にプレゼントを与える存在で、それ以外の何者でもない。
今日は12月24日。私がこの世界に存在する事が出来る唯一の、特別な1日。
子供達の純粋なサンタを信じる思いで私達は生まれる。雪で人間の体と服を作り、
雪で作られたソリと共に、この願いを叶えるサンタの袋を使ってプレゼントを配るのが私の使命。
それが私の存在意義。
私が担当する事になった街で、私はあの人に出会いました。
そう、優しいあの人に・・・・・・

目を開けるとそこはどこかの部屋らしく、暗い夜空ではない部屋の天井が見えました。
何でだろう?・・・・・・そうだ。
私は恥ずかしながらも高所恐怖症で、ソリを低空で飛んでいたら、突然何かが私の頭にぶつかってきて、
それでソリから落ちてしまったのです。その後の記憶は無いので、たぶん気絶したのでしょう。
私はベッドに寝かされていました。とりあえず体を起こすと、すぐ近くに男の人が居ました。
何だか頭を抱えながらうんうん唸っています。
きっとこの人が気絶した私を運んで着てくれたのでしょう。私は作り物で、喋る事が出来ないから
男の人が気が付くまで待つことにしました。
しばらく悩んでいた男の人は、やっと顔を上げて私を見ました。けど、すぐ私を見たまま今度は
固まってしまい、動かなくなってしまいます。
どうしたのだろう?私はつい首を傾げました。すると男の人はいきなり慌て始めて、
「うわぁぁぁああああ?!ちょ、ちょっと待て!お願いだから騒がないでくれ!別に何もしてないから!
いや、本当に!お願いだから騒がずに俺の話を聞いてくれ!!」
と、早口にまくし立て、今度は土下座をしてきました。
私のこの人への第一印象は「変な人」でした。

「えっと・・・・・・コーヒーでよかったら飲む?」
男の人は湯気の出ている飲み物を指差して聞いてきました。だけど、熱い物を飲んでしまうと、
私は雪で出来てるので溶けてしまいかねません。
ふるふる、と首を振ってお断りしました。
「じゃ、じゃあお茶は?」
今度は違うものを勧めてきました。なんでここまでしてくれるのでしょう?でも、熱いのは
どうしても飲めません。
ふるふる
「う・・・・・・暖かい飲み物はそれぐらいしか・・・・・・あ、もしかして飲みたくない?」
そういうわけでも無いので今度も首を振ります。
「え?じゃあ・・・・・・冷たいの?」
それなら飲めます。この部屋はこの男の人に合わせてるのか、熱かったので頷きました。
すると男の人は冷蔵庫を開けて何やらぶつぶつ呟いています。やがて、
「・・・・・・アイスでよけりゃ、食べるか?」
と、言ってきました。
アイス。確か甘いものを凍らせて食べるお菓子。知識では知っているが、食べた事はありません。
私は思わず頷いてしまいました。凍った食べ物なら問題無しだし、なによりもどんなものか
知りたかったからです。
「じゃあ・・・・・・はい」
スプーンと一緒にそれを渡されました。私はさっそく蓋を開けて一口食べてみます。
美味しい・・・・・・!
味覚は無いはずなのに、それがとても美味しく感じました。きっと私自身が雪で出来てるから
体に滲んで、美味しく感じているのだろうと思います。
「とりあえず、自己紹介しとこうか。俺は伊東 耕太(いとう こうた)。君は?」
男の人が聞いてきました。
どうしよう?私は喋る事が出来ません。どうしたものかと考える私の目に、本棚が見えました。
そうだ、文字で教えればよいのだ。
私はさっそく服の中にしまっていたサンタの袋を取り出しました。
「え?ちょ、ちょっと待って?どこにそんなもの隠してたの?!」
サンタクロースがサンタの袋を出す事に何を驚いているのでしょう?とにかく、名前を教える為にも
目的の物を出さないといけません。私は袋に手を入れ、望む物をイメージします・・・・・・ありました。
取り出したのはスケッチブックとペン。
私はさっそくスケッチブックに自分の名前を書いて見せます。
「・・・・・・小雪?」
そうです。
「えっと、君の名前?」
だから、そうですよ?
「・・・・・・もしかして、喋れないの?」
あ、気が付いてくれた。私は頷きました。

やっぱりこーたは、とてもいい人でした。
私は高所恐怖症でうまくソリを操れないので、こーたにお願いしてみました。
『手伝ってくれませんか?』
最初は戸惑っていたけど、最後は快く引き受けてくれました。
私はこーたに、サンタを信じる子供達にしか見えないサンタ服を渡して準備してもらいました。
準備が出来た所で、今度はトナとカイを呼ぶ為にポケットから笛を取り出し、吹きました。すぐに
トナとカイが来るはずです。
10秒ほどで空から鈴の音が聞こえてきます。こーたも鈴の音に気づいたらしく、
「・・・・・・鈴の音?」
シャンシャン・・・・・・
鈴の音はだんだんはっきりと聞こえてきました。来た、トナとカイです。こーたも、窓の近くまで
来ると外を見上げ、トナとカイを見つけると、
「し、鹿が飛んでるぅ?!」
また驚いてます。駄目ですよ、鹿とトナカイと間違えるなんて。私はまた文字を書いて、こーたに
鹿じゃなく、トナカイだという事と教えます。もちろん名前も。
「いや、トナカイなんて見たことないし。・・・・・・てか、名前にネーミングセンスを感じないんだが」
そんな事言われても・・・・・・私も困るんですが
「・・・・・・これじゃ、まんまサンタじゃねーか」
あれ、気づいてなかったんですか?
・・・・・・そういえば、私がサンタクロースだと説明した記憶が無いです。
こーたと筆談してたらすっかり忘れていたようです。失敗しました。
私は改めてこーたに私はサンタクロースだという事と、お手伝いしてもらう内容を教えました。
「マジっすか・・・・・・」
本当ですよ?
私はソリに乗り込みました。大丈夫、この高さならまだ怖くありません。呆然としているこーたの腕を
引っ張って、ソリに乗るように案内しました。こーたは何故か叫ぶと、やっとソリに乗ってくれました。
私は色々とソリやトナとカイの操縦方法を教えたり、ソリについたカーナビについて説明しました。
その度にこーたは、怒ってはいないけど、大声で何か叫ばずにはいられなかったようです。
こーたはとても楽しい人ですね。
私が今日の24時までに配り終えなきゃいけないと教えると、こーたは
「あと3時間しか無いじゃねーか?!あぁもう!行くぞ!!」
と叫び、さっそく手綱を操ってソリを飛ばしました。
さあ、ここからが問題です。私はどんどん地上から離れていく景色に怖くなってしまい、
とうとう目を瞑ってしまいました。
隣ではこーたが空を飛ぶ快感に大声を出しながら興奮しています。きっと人間には
体験出来ない事ですから、それはまあいいんですが、こっちは怖いんです・・・・・・
早く最初の子供のところに着かないかなと思っていると、こーたが突然聞いてきました。
「・・・・・・小雪、もしかして、高いの苦手?」
やっぱりバレちゃったようです。私はバツが悪くて小さく頷く事しか出来ませんでした。
「・・・・・・ぷ、あははは!」
あ、笑うなんて酷いです・・・・・・。私はそんなに笑わなくても、と抗議の目でこーたを見ました。
「ゴメンゴメン。馬鹿にした訳じゃないんだ。でも、怖かったらそんな服の端を摑むんじゃなくて
俺に体に摑まったんだっていいんだぞ?」
そう言われて、私はいつの間にかこーたの服の端を摑んでいるのに気がつきました。
そうですね、こーたの言ったとおりこーたの体に摑まればあまり怖くないかも知れません。こーたの
許可も出ているので、私はこーたに寄り添って抱きつきました。
・・・・・・何ででしょう?摑まってるだけなのにもう怖くなくて、とても安心します・・・・・・
「も、もう怖くないか?」
はい。
やっぱりこーたはとてもいい人です。

「なぁ、どうやって入るんだ?」
私達は1件目の家に到着しました。私は家全体を見て子供の位置を確認します。
・・・・・・居ました。2階のベランダの窓からすぐ近くに居るようです。 子供の位置が分らなければ
サンタ失格ですからね。
私は2階のベランダを指差してこーたに教えました。
「・・・・・・まぁ、今時の家に煙突なんてないしな」
そうなんですよね・・・・・・そうすれば楽に入れるのですけど。
耕太は手綱を軽く引っ張りながら、トナとカイのスピードを落としてベランダの横で止めてくれました。
操縦、私よりとても上手いです。少しだけ、その才能に嫉妬しちゃいます。
「ほら」
耕太は先にベランダに降りて、私に手を差し伸べてくれました。言葉遣いは紳士じゃないですけど、
紳士みたいです。 だから私も微笑んで頭を下げました。
「ところでさ・・・・・・」
何でしょう?
「俺たち、かなり目立ってないか?トナカイとソリが飛んでるのを見られたらかなりの大騒ぎになると
思うんだが・・・・・・」
・・・・・・そうでした。またしても説明していませんでした。
私は再度、文字を書いて書いて教えてあげました。
「と、言う事は、そのソリも同じ?」
そうなんです。
こーたは何故か微妙に納得してないようです。
「じゃ、さっさとプレゼント渡すか。時間も無いし・・・・・・って、やっぱり鍵かかってるじゃん。
どーするんだ?」
そこでこのサンタクロースの力です。
私は鍵に向けて手を伸ばし、念じます。この鍵を開けて子供にプレゼントを渡させて下さい、と。
するとどうでしょう。鍵は私に答えてくれて、私達を受け入れるように開けてくれました。
「・・・・・・サンタって、すごいな」
そうなんです。サンタクロースの力は、子供達の純粋な信じる想いが源なんです。信じるからこそ、
私達は生まれ、プレゼントを渡す為に必要な力を与えてくれるのです。
私はつい、関心するこーたに得意げになってしまい、胸を張っちゃいました。
中に入ると、そこは子供部屋になっていて、奥のほうに子供がベッドで寝ていました。
私は音を立てないようにして近づき、さっそくサンタの袋でこの子が望む物を探します。
最初は中身は空っぽで、何もつかめません。しばらく手でぐるぐると回しながら探すと、
手に何かが触れました。きっとこれです。私はそれをつかんでサンタの袋から取り出しました。
「・・・・・・戦隊物のロボット?」
こーたが出てきたものを見て、呟きます。何のことかはよく分りませんでしたが、これがこの子の
欲しい物は間違いありません。
私はそっとソレをこの子の枕元に置こうとすると、突然目が開いて私たちを見ました。
「・・・・・・サンタさん?」
あらら、起きてしまいましたか。
「げ?!」
後ろでこーたが慌てたようですが、大丈夫。
私はこの子にプレゼントをそっと渡し、人差し指を口に当てて「静かにしてね?」と、合図を
しました。この子は嬉しそうにそれを受け取り、抱き締めました。
やっぱりこの瞬間は私も嬉しくなります。サンタクロース冥利に尽きるってやつですね。
私は優しくこの子の頭を撫でて、この子が楽しい夢を見れるようにサンタの力を使いました。
「サンタさん、ありが・・・とう・・・・・・すぅ」
やがて、この子はお礼を言い終えると同時に、目を閉じて眠りました。今頃、楽しい夢を
見ているはずです。
でも、やがてこの子は成長していく途中できっとサンタの存在を信じなくなるでしょう・・・・・・。
この玩具も、きっといつかは捨てられてしまうでしょう。それでも、いつかこの子が大人になって
子供が出来た時、朝起きた時の嬉しさを覚えていたのなら、「サンタクロースは居るよ」と、
言って欲しい。その子供がサンタクロースを信じたならば、きっと次の私が、その子供に
プレゼントを渡しに行くでしょうから・・・・・・。
私はこの子のふとんを掛け直し、こーたに「終わりました」と知らせるために微笑みました。

それからはこーたが手伝ってくれたおかげでお仕事は順調に進みました。
とても楽しい時間でした。
「次で最後か・・・・・・」
そう、次で最後になりました。時間内で配り終えそうなのに、この時間が終わってしまうと
考えると、なんだか寂しい気がします・・・・・・。
「時間が無いと思ってたけど、意外と早く配り終えそうだな。やっぱり空を飛んでの移動だと
回り道とかないから早いぜ」
それは違うと思います。
『こーたが手伝ってくれたおかげです。手伝ってくれなかったら間に合いませんでした。』
「ははは、まぁ次で最後だ。気を抜かずにがんばろう」
そうですね、こーたと一緒に私もがんばりたいと思います。
最後の目的地へ着きました。
私は今までと同じようにサンタの力を使い、子供の場所を見つけると、こーたにその場所を教え、
家の中へと入りました。
「・・・・・・すげーな」
耕太は思わず呟きました。
それもそのはず、今までの子供達と比べ、部屋の大きさが違いましたからね。
部屋の大きさはこーたの部屋ほどの大きさがあり、所々に大小様々なぬいぐるみが並んでいて、
部屋の真ん中には一般家庭用より一際大きいクリスマスツリーが鎮座していました。
差別する訳ではありませんが、お金持ちの子供はサンタクロースをほとんど信じていません。
そのほとんどの理由は、親がサンタは居ないと子供に教えてプレゼントをする事が多いからです・・・・・・。
残念ながら、信じていない子供にはこのサンタの袋からは何も出てこないので、
何かしてあげる事が出来ないのです・・・・・・。
でも、この家の子はサンタクロースを信じてるようです。でなければ、反応しないはずですから。
高価そうなベッドでぬいぐるみを抱きながら眠る女の子の近くに寄り、私はこの子の望むものを
サンタの袋から探しました。

・・・・・・これですね。・・・・・・あれ?今までのプレゼントと何かが違う気がします。
「どうした?」
こーたが私の様子に気づいたようです。私はとりあえず、ソレをサンタの袋から取り出しました。
「ビン?香水か何かか?・・・・・・そういえば、ラッピングされてない上にカードも付いてないな?」
そうなのです。今まではちゃんとラッピングしてメッセージカードも付いていたのに、
何故かそれには付いていませんでした。・・・・・・こんな事、初めてです。
「どーゆー事だ??・・・・・・ん?」
こーたは何かに気が付いたようで、この子の傍でなにやらごそごそとした後、紙切れを
取り出しました。私も何だろうと横から覗いて見ると、
『いもうとか、おとうとがほしいです』
と、子供らしい拙い字でこう書かれていました。この場合、赤ちゃんが出てくるはずなのに
何でこのビンが出てきたんしょう?私は疑問を文字に変えてこーたに見せると、
「いやいや、ちょっと待て!出せるのかよ?!」
こーたはサンタの袋から赤ちゃんが出てこないと思っていたのでしょうか?サンタの袋は
子供の願いを叶える為の物。それが強ければ強いほど何でも出せます。
『出せますよ?純粋に望めば』
「いやいやいやいや、物なら別にそんなに問題にならないだろうけど、赤ちゃんはマズイだろ、
常識的に考えて・・・・・・」
よくわかりませんが、赤ちゃんを出すのはマズイようです。でも、それだとこの子の願いが
叶えられません。
「と、とにかく、ちょっとその小瓶、見せてくれないか?」
そうですね、こーたなら何か分るかも知れません。私は小瓶を渡しました。
しばらくこーたは色んな角度から小瓶を見ていましたが、小瓶の底の方に何かを見つけたようです。
「工エエェェ(´д`)ェェエエ工」
あ、こーたがすごく面白い顔になりました。小瓶の底に何があったんでしょう?
「説明文、短っ!」
私には全然分りません。痺れを切らしてしまった私は、こーたに質問をしました。
『何かわかりました?』
「あー・・・・・・んーと(汗」
何も分らなかったんでしょうか?こーたがしばらく考えるように唸っていると、
「分ったぞ。コレを使って親に赤ちゃんを作らせるんだ」
どういう事でしょう?その小瓶には赤ちゃんを作る為に必要な道具なんでしょうか?私は更に
こーたに質問する。
「いや・・・・・・そりゃ赤ちゃんを作る上で必要な行為を・・・・・・」
必要な行為。つまり、親が何かをする事で赤ちゃんが生まれるという事でしょうか?それには
その小瓶が必要、と・・・・・・なるほど、こーたは物知りなんですね。
・・・・・・ところで、何をすれば赤ちゃんが出来るんでしょうか??
「と、とにかく!この子の両親を探そう。」
あ、聞こうと思ったのに・・・・・・でも、こーたの言うとおりですね。それに赤ちゃんの作る行為は
親を見つければ見れそうですしね。
「今、帰ったぞ」
そう思った時、したの方から男の人の声が聞こえてきました。
「ナイスタイミング!さっそく行くぞ」
私はこーたの言葉に頷いて、その後に付いて行きました。

1階に降りた私達が見たのは、あの子の親が喧嘩する姿でした。
私にはわかりませんでした。
何故、そんな大きな声で言い合うのでしょうか?
何故、そんなに怖い顔で相手を睨むんでしょうか?
私の中の知識では、「夫婦はお互いを好き合い、一緒に暮らしていく二人」となってましたが、
目の前の二人はとてもそうには見えません。
このままだといずれ二人は夫婦ではなくなる・・・・・・そんな確信がありました。
二人は怖い顔のまま更に声が大きくなり、言い合いを続けています。
私は怖くなりました・・・・・・。
すぐにでもこの場から離れたいと思うほどに。
こんな事は早く終わって欲しい。こんな喧嘩をする二人を見続けたくありませんでした。
でもそんな時、こーたは私を優しく抱き締めてくれました。
「大丈夫、大丈夫だから。泣かないで・・・・・・」
なんで、こーたにこう優しく抱き締められると安心出来るんでしょうか・・・・・・?
何でか分りませんが、きっとっこーたがとても優しい人だからなんでしょう・・・・・・。
だから、私はこーたの言葉を信じます。
こーたに抱き締められてる内に、私は落ち着いてきました。そして、こーたと一緒に夫婦の
様子を見守る事にしました。夫婦はいつの間にか静かになり、お互い無言になると、物音だけが
静かに響きました。
それからがとても凄かったです。
お互いに謝罪の言葉が出て、仲直りしてくれたと思ったら、突然キスをし始めました。
唇と唇を重ね合わせる行為がキス。でも、私が見たのはそれ以上のものでした。良く見ると
お互いの口の中を貪るように舌を絡めあい、唾液が絡み合ってくちゅ・・・チャパ・・・と音が
出るのも構わず続ける夫婦の姿。
こ・・・・・・これが赤ちゃんを作るために必要な行為なんでしょうか?
私は見ていて恥ずかしく感じる程、夫婦の二人はお互いを求め合っています。
「小雪、小雪」
こーたの声と共に肩を揺さぶられ、思わずビックリしてしまいました。
「もう大丈夫だろ。仲直りしたみたいだし」
私とした事が恥ずかしいと思いながらも夢中で見てしまっていたようです。
しかも、そんな姿をこーたに見られてしまいました・・・・・・私も恥かしい・・・・・・。
こーたに急かされて、私もこーたの後を追って部屋から出ました。
あれだけ恥かしいキスをしたんですから、きっと赤ちゃんが生まれますね。これであの子の願いを
かなえることが出来ました。
全部、こーたのおかげですね。すごく感謝してます。

全ての仕事が終わりました。
ソリはこーたのアパートへ戻る為に街の上を飛び、私はまたこーたの横で抱きつきながら
街を見ていました。もう定位置と呼んでもいいかもしれません。
「・・・・・・綺麗だな」
こーたが街を見下ろしながら呟きました。私も町を見下ろし、頷きます。
とても綺麗でした。例え、今日の本当の意味を理解していなくても、特別な日に特別な人と
一緒にいる時間・・・・・・。それを更に盛り上げるように所々ライトアップされた街・・・・・・。
「これで、お手伝いも終わりか・・・・・・」
ボソリ、とこーたが呟きました。
そうなんですよね・・・・・・。お別れなんですよね・・・・・・。
お仕事が無事全部終わって嬉しいはずなのに、なんでこんなに寂しく感じるんでしょうか・・・・・・。
あの夫婦を見てから私はなんだか変です。
こーたの傍にもっと居たいなんて考えるなんて・・・・・・。
でも、仕方が無いんです。私は今日の24時までしか存在できないサンタクロースなんですから。
だから、せめて別れるまでのこの僅かな時間だけでも、こーたと一緒に居たい。そう思いました。
もう会えないけど、そう思う事ぐらいはいいですよね・・・・・・?
そして、こーたはアパート近くの場所へソリを下ろして止めました。近くには自動販売機という
物が寂しく道路にポツンと立っています。
「おつかれ、間に合ってよかったな」
ソリから降りたこーたは私に声をかけます。
・・・・・・そういえば、こーたに手伝ってくれたお礼をしていませんでした。
『本当にありがとうございました。こーたのおかげで私の使命も無事終えることが出来ました』
「いや、俺のほうこそ貴重な体験をさせてもらえて楽しかったよ」
そうかもしれません。私とこーたは・・・・・・違いますから。でも、これでは手伝ってくれたお礼には
全然足りませんし、何より私の気が済みません。
『お礼と言ってはなんですが、欲しいものを言ってください。特別にクリスマスプレゼントとして
好きなものを差し上げます』
「・・・・・・マジで?」
本当です。・・・・・・本当はやっちゃいけない事ですけどね。
「欲しいもの・・・・・・」
真剣に考えるこーた。時間があまりないので私もサンタの袋を準備します。
「決めた」
さぁ、どうぞ。準備は出来ています。
「小雪が、欲しい」
私は、こーたが何を言ってるのか一瞬分りませんでした。
「もちろん、小雪が迷惑じゃなければだけど。・・・・・・俺色々と考えてみたんだ。何が欲しいのかって、
そしたら真っ先に頭に浮かんできたのが、小雪の笑顔だったんだ。小雪と出逢って1日も
経ってないけど、今までの誰よりもすごく印象に残ってるんだ」

そんな事、言わないで下さい・・・・・・。
「俺、欲張りだからさ。小雪の笑顔が出てきたら止まらなくなっちゃって、街に出て一緒に
買い物したり、色んな所にデートしたり、食事したりしたいと思った。ずっと毎日小雪の笑顔を
見ていたい・・・・・・」
止めてください・・・・・・!そんな事言われたら私は・・・・・・!
「だからもう一度だけ・・・・・・小雪が欲しい」
・・・・・・そんなこと言われたら、もう別れたく無くなっちゃうじゃないですか。
もうすぐ私は消えてしまうのに・・・・・・。無理だと分ってるのに。
「あぁ?!ゴメン!迷惑だった?」
こーたが私を見て慌て始めた。そこで私は初めて気が付いた。
自分が、泣いている事に。
なんで、私は泣いてるんでしょうか?
私は雪で出来た人形なのに・・・・・・どうして、こんなに目から涙が出てくるんですか?
なんで、こんなに苦しいんですか?
分らない・・・・・・ワカラナイ!
私は訳が分らなくなって首を振りました。
「迷惑じゃない・・・・・・?じゃ、なんで泣いて・・・・・・?」
こーたの声が聞こえる。
そうだ、私はこーたに教えなければいけません。自分が消えてしまう事を・・・・・・。
目からの涙で視界が歪みます。腕も震えてきました。スケッチブックに文字をうまく書けなくて、
何度も涙を拭いても、決して枯れないかのようにどんどんと溢れてきます・・・・・・
『私は サンタクロース です。  私が私で 居られる のは24日 という今日だけ なんです。
24日を過 ぎたら  私は消えて  しまうんです』
なんとか書けたものはそれは酷いものでした。腕の震えで文字は変に、更に涙がスケッチブックに
落ちて、文字を滲ませて読めるかどうか怪しいものでした。
それでも、こーたには伝わったらしく、
「嘘だろ・・・・・・?」
・・・・・・本当なんです。私は首を振って否定しました・・・・・・。
「・・・・・・そんな」
ごめんなさい・・・・・・こんな事なら、私達は出会わなければよかったですね・・・・・・。
あの時、私が手伝ってと言わなければ、こーたは全て何事もなかったはずなのに・・・・・・。
私が巻き込んでしまった為に、こーたに悲しい思いをさせるなんて・・・・・・最低ですね、私。

「嫌だ!俺は小雪と別れたくないんだ!一緒に居たいんだ!一緒に遊んだり、一緒にどこか出かけて
色んな景色を見たり、とにかく色んな事を小雪と一緒にしたいんだ!」
私も一緒に居たいんです!・・・・・・でも仕方ないじゃないですか。
「・・・・・・だから!お願いだから消えないでくれ!頼む!」
日付が変わるまで、残り時間は5秒・・・・・・
あぁ・・・・・・この時ほど喋れないのがもどかしいと思った事はありません。
私はこーたに沢山のものを貰いました。
こーたとの、思い出の数々・・・・・・。
こーたへの、この気持ち・・・・・・。
こーたに伝えたいのに、もう時間がありません。
たくさん、たくさんあるのに伝えられないなんてとても残酷です・・・・・・。
あぁ・・・・・・そうか。これがきっと人の心なんですね。悲しくて、寂しくて、大切な人と別れたくない
この気持ちが・・・・・・。
こーたは泣きそうな顔でした。ごめんなさい、私なんかの為にどうか泣かないで下さい・・・・・・。
残り、3秒・・・・・・
私はこーたを優しく抱き締め、初めてのキスをしました。
どうか、伝わって欲しい。こーたへの、私の全ての気持ちを込めた想いを・・・・・・。

初めてアイスを食べさせてもらった時。
美味しかった・・・・・・

怖がってる私がこーたに抱きつかせてもらった時。
とても安心した・・・・・・

プレゼントをこーたと一緒に配ってる時間。
仕事なのに、とても楽しかった・・・・・・

最後の家でこーたが優しく抱き締めてくれた時。
とても優しい人・・・・・・

最後の仕事を終えて、アパートに帰るとき時間。
そろそろお別れだと思うととても寂しい・・・・・・でも、せめてその時まではこーたと一緒に
居たいと思った・・・・・・

伝わっていると、とても嬉しい。
だから私は、泣きながらもこーたに笑顔をみせる。・・・・・・うまく出来たかな?
残り、1秒・・・・・・
笑顔で最後に伝えます。笑顔じゃないと駄目だから・・・・・・

ありがとう

「こゆ・・・・・・!」

さようなら・・・・・・

0。日付が変わり、魔法は解ける・・・・・・。
私の体は元の雪に戻り、支えきれず地面へと崩れ、私の意識は途切れる・・・・・・。




                            小雪編 完

前話
作者 さんじゅ
2008年01月20日(日) 21:14:51 Modified by n18_168




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