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リレー小説〜his & her side〜(中編)

〜her side〜
「キス……されちゃった」
現実が自覚できたのは、寝る直前だった。パジャマに着替えるまでの記憶がない。髪やお腹の様子からし、お風呂も晩御飯も済ましたようだけど…。
「〜〜〜〜〜っ!」
そんなことはどうでも良い。あ、家族に不審に思われるのはいやだけど…けれどどうでも良い。
「ファーストキス……っ、そ、それに……」
『好きだ』
信じられない! 信じられないっ!! 信じられないっっっ!!
まるで子供のように、ベッドの上で足をパタパタする私。どうしたいとか、どうするべきとか、そんなことを考える余裕はなかった。
ただただ、その信じられない現実に、私の頭はパンクしていた。
どれだけそうしていたろうか。私は机の上におかれたポシェットを見る。いつの間にか手に取り、彼のハンカチを取り出していた。
「…333くん……の…」
単に、濡れただけの布切れ。けれど私の混乱しきった、そのハンカチには彼の一部のように思えた。
パジャマが濡れるのも気にせずそっと抱き締め、彼に奪われた唇を指先で撫でて…
「333…くん……」
……気づけば、私は変な気持に……Hな気持ちになっていた。


おかしい。
私は軽く息を呑む。
今目の前にあるのは、手に取り握っているのは、ただの濡れたハンカチなのに。
綺麗にアイロン掛けされていただろう布切れは、私のせいでぐしゃぐしゃで、決して目を引くわけでもないのに。
……どうしてこんなにも胸がドキドキするのだろう。
確かにこれは彼のハンカチだ。でもこれは彼本人ではない。
それなのに私はなんでこんな、
「ん……」
股間に手を伸ばしてみる。
何をやっているのだろう。こんなはしたないこと、ダメなのに。
「……」
指を奥に突っ込んで、軽くかき回した。襞の感触は温かく、ぬめる。
ベッドの上で私は熱に浮かされるように行為に耽った。
何度かこうした経験はあった。彼のことを思い浮かべてしたこともある。
でもこれは違う。妄想の中で都合よく動かす彼ではなく、持ち物を直接手にしているのだ。
(333君……)
多少乾いてしまった布切れに慕情を寄せながら、私は狂ったように指を動かした。
「ん……んんっ、あ……んっ」
鼻に押し当てて匂いをかぐ。水っぽい中に彼の温もりがある気がした。
間近に感じた彼の唇と男の子の匂いが、温もりの中に。
(ダメっ……、止まらない)
ハンカチの端をぎゅっと噛み締めながら、私は秘所をかき回した。
今まで味わったことのない快感が股から脳天に駆け抜ける。指を動かす度に、快楽の波が意識を溶かす。
羞恥心とか罪悪感とか、そんな余計なことは一切隅に追いやられていた。嫌な気持ちが沸き立つより先に、興奮と快感でいっぱいになる。
今日一日、頑張って話をした。
みっともないところを見せても、彼は優しく接してくれた。
一緒に買ったシュークリームは、祝福してくれるように甘く優しい味だった。
そして、そして、
(キス……333君との……)
あんなことまでされて、その後さらに思いがけない告白もあって、
「あっ……あっ、んんっ、ひう……んっ、あっ……」
こんなこと、夢の中でしかありえなかったのに、
(好き、333君……私も大好き、あなたのことが……ずっと、ずっと前から)
指の動きが激しくなる。私の大事な部分は液でぐしゃぐしゃになっていて、もう指もふやけてしまいそうなくらいだった。
雷に打たれるように体がびくびく震えた。頭はお湯をかぶったように熱くて、寝込んでしまいそうなほどくらくらした。
……あまりの気持ちよさにくらくらした。
(ダメっ、もう……)
鼻に押し当てたハンカチの匂い、唇に残るキスの感触、身体中から流れる歓喜の汗、全てが麻薬みたいに私をおかしくさせ、もう流されるしかなかった。
そして、
「んん――――っっ!!」
一際高い快楽の波が、意識を一瞬真っ白にした。
(や、やあっ……ダメ……気持ちよすぎるよぉ……)
茫洋と意識が拡散していく。まるでどこか遠い世界に飛ばされてしまったみたいだ。
昂った意識が体が果てると同時に徐々に熱を失っていく。波が引いていく。
「…………」
これまで経験した何よりも気持ちのいい行為だった。ただハンカチを握り締めていただけなのに。
ふと想像する。
(これがもし333君の指だったら……)
いや、指どころかそれ以上の行為だってある。もしも彼と、そんな風になったら、
(……バカ、私のバカ! 何を考えているのっ、そんな……いやらしいこと……)
火照った頭をバシ、バシ、と手の平で叩いて叱りつける。
「…………」
無言のまま天井を見上げ、私は想いをはせた。
彼に対する恋慕と……謝罪を。
(せっかく好きって言ってもらったのに……こんなはしたなかったら、嫌われちゃうよ……)
ごめんなさい、と心の中で繰り返し呟き、私は小さくため息をついた。




〜his side〜
「……俺、何やってんだろう。」
手の中にあるティッシュをゴミ箱に放り投げて、深い溜息を吐く。
勢い任せで告白しちまって、しかもろくな言葉も無しで逃げ出して。
「挙げ句の果てに、コレだもんなぁ」
力無く垂れた【自分】を睨んで、もう一度溜息を吐いた。
彼女の柔らかくて温かだった唇の感触と、その芳しい香りが思い出されて。
気がつけばそのまま……。
「はぁ」
もう、世界の終わりってのをかいま見た気分で、溜息を吐く。
バカなんだろうな、俺。
そりゃ確かにショックだったさ。彼女にあんな風に言われたのは。
彼女から誘ってくれたのに、きっと好きになってくれているのに、あんな風に無かったことにしようなんて言われて。
けど、だからって、いきなり告白して、しかもそのままキスなんて……。
あーもう、自分が本気で嫌になる。
けど、今更告白を無かったことになんて出来ない。
いや、そんなことしたくない。そりゃ気恥ずかしいし、彼女と顔を合わせるのは凄く恥ずかしいけど。
でも俺は彼女が好きだ。彼女が好きだって思いだけは変わらないんだ。
もう振り返ってばかりで話すのを怖がったりなんてしないって決めただろ。
だから、もう止まらない。
彼女の答えを、今日みたいな彼女自身想ってないような偽りの答えじゃなくて、彼女の本当の想いを聞くんだ。
それがもし、嫌いって答えでも――辛いし苦しいけれど――構わない。
「…………電話」
ふと思いついて、手を携帯に伸ばす。
時間はそろそろ午前になろうかとしているところ。
こんな時間にかけるのは非常識だよな。迷惑だよな。
わかってる、けど、どうしても確かめたい。彼女の本当の気持ちを。
だから、俺は携帯に手を伸ば……そうとして、とりあえずパンツをちゃんと上げた。


うん、電話越しとは言え丸出しはまずい。
パンツをあげて、今度こそ電話に手を伸ば・・・・・・すまえに手を洗う事にする。気分的に息子を握り締めていた手でこんな内容の電話はしたくない。
そうだ、ついでにシャワーでも浴びて気分的を落ち着けよう。さっきのような失敗をしないように。
うん、それがいい。
シャワーを浴びたら電話すると言う堅い決意を胸に俺は部屋を出たのだった。




〜her side〜
「・・・ふぁ・・・」

次の日、私は図書館のカウンターで眠気と戦っていた。
彼を想ってはしたなくなってしまった後、私は眠れなかった。
また電話すると言う彼の言葉が頭から離れなかったからだ。
かかって来たら何と答えよう?どんな風に答えよう?
そんなことを、ベッドの中で悶々と考えてか、考えて、考えて・・・・・・気付いたら朝になってました。
電話、来なかったな・・・。
彼は後でと言っていたけど、一体どのくらい後なんだろう?
ポケットから携帯を取り出す。
普段は電源を切ってロッカーにいれているけど・・・今日はマナー違反をしてしまった。
けれどもそのかいなく、着信はない。


着信の無い携帯電話の画面は酷く意地悪だ。

  『お前なんかに電話してくる奴なんていないよ』
まるで電話に苛められているような気になってくる。
携帯電話というものを持った頃も そんな気がしたな……
とても淋しかった……

時間が経つにつれ、そんなことも気にならなくなったけれど。
彼の言葉が気になっている私は電話から意識が離れない。
彼氏からの電話やメールを心待ちにしていた友人の姿を不思議な気持ちで見ていたことを思い出す。
ああ……そうか、こういうことだったんだ。

いやねぇ私ったら、彼氏だなんて……
彼とは、まだ そういう関係でもないのに。
何を期待しているのかしら?

でも、《キス》をした……
初めてだった……
唇が触れた感触を思い出す。 とても甘美な気持ちだった。

抱き締められた。 力強く。
彼に男性を感じるには十分だった。

そのことを思い出しただけでショーツが気になる。
いやねぇ私ったら、何を期待しているのかしら?
昨夜……あんなにシたばかりなのに……

自分の中に、あの頃の少女の私と
いまの女である私が同居している。
どちらの私も同じことを言うの。

 『彼が欲しいの……。 彼が好きなの……』
彼から電話が来ないのなら、私からしてみようかしら?
でも、私が踏み込むと地雷原が……

どうしよう……
どうしよう……




〜his side〜
少し、時間は遡る

「………ん?」
やけに眩しい、そう思い目を開け、窓を見る。見れば、朝日が俺を照らして……
「……ってああ!?なんで寝てるんだ俺は!?」
朝になっている、ということを認識した頭は一瞬で覚醒、そして混乱する。
「ちょっと待てよ、落ち着け俺……」
昨夜の記憶を思い起こす、
「彼女に後で電話するって言って、風呂に入って……」
長風呂をし、すっかり記憶から彼女との約束が消え、寝た。
「……………………」
自分の最悪っぷりに思わず自己嫌悪をし、頭を抱えてしまう。
"後で電話する"そう言ってすっぽかされた、自分なら……不機嫌になる。
「ああ……くそっ、なにしてんだよ俺は」
携帯電話を手に取る、が、かける勇気が湧いてこない。
「…………………」
アドレスから彼女の電話番号を呼び出して、発信するだけ、それだけなのに
「う……ああ〜」
ただ、謝ればいい、それだけなのに
「ああああ、もう、なんでだ!」
携帯電話を投げる、たったこれだけのことに、決断をくだせない自分が腹立つ。
「…………でもな」
話さなければ、そう思い、投げた携帯電話をまた手に取った。





 ……あれから結局電話を手にした物の、かける事が出来なくて。
俺は学校の中にいた。
「……こ、こんどこそ」
休み時間を狙って、アドレス帳を選択する。
あとは、通話ボタンを押すだけ。
でも、俺からかけても迷惑じゃないかな。
あ、そう言えば昨日すっぽかした約束の埋め合わせ……
「だ〜〜〜〜〜っっ」
自分が本気で嫌になりながら、思わず俺は小声で叫びながら頭を抱えてしまった。
わかってる、彼女のことだからきっと待ってるはず。なのに……。
「……この臆病者め」
いきなり背後から高い少女のような声が聞こえて、俺は慌てて振り向いた。
「な、何でお前がココにいるんだ!?」
俺の前でにやにや笑っているのは、木船香織だった。
女みたいな名前で、女みたいな顔立ちで、女みたいな衣装を着ているが、れっきとした男だ。
「なんでって同じ講義取ってるんだぞ? 同じ場所にいるのは当たり前だろうが」
にやにやと笑っているこいつが、色恋に関しては天才的なまでに持てまくってることを思い出す。
……俺が携帯相手に身悶えていることで、大体のことを理解しているんだろうな。
「ま、なんだ。ようやくお前にも春が来たってことか」
「……さあね」
そのどこか楽しんでる声音が不快で、思わず普段以上に尖った言葉を投げてしまう。
そんな俺の苛立ちに気付いたんだと思うけど、木船がなんか邪悪な笑みを浮かべた。
瞬間。
いきなり手の中から携帯が消えた。
「って! 何しやがるコラ!」
「ふーん、××か、初めて見る名前だな。うん、つまり彼女に電話かけようとして、かけられないヘタレ君か?」
「るっせぇっ! とっとと返せ、コラ!」
思わず立ち上がりながら手を伸ばして。
その指が通話ボタンを狙ったように押してしまう。
「あ……」
「ほら、電話なってるぞ? まさか切ったりはしないよな?」
思わず木船を睨みながら、俺は携帯を取り戻した。




〜her side〜
きっ、き、きき、ききき、来たっ!
電話っ!彼からの電話っ!
携帯の振動に、口から心臓飛び出そうなほど私は驚いた。
電話が来ると分かってた癖にこんなに驚いちゃうなんて・・・こんなんでちゃんとお返事出来るだろうか?
迷っている間にも携帯は私を急かす。
で、出なきゃ!早く電話に出なきゃ・・・。
私の震える指は通話ボタンを・・・
「××ちゃん、アカンぜよぉ。携帯きらなぁ」
押し間違えて切ってしまった。
原因は、突然声をかけてきた大林さん。
せっかくの・・・彼の電話・・・
「・・・どないしたん?」
落ち込んだ私には、答える事も出来なかった。




〜his side〜
木船が珍しく気遣うような表情をむけてくる。
ああ、分かってる。分かってるさ。
最近の携帯は、電話帳登録されていれば出る前にかけてきたのが誰か分かる。
そして彼女は俺の番号を登録したと言ってたし、さらに切れたのは着信後。
分かるさ、ああ、わかるとも!これが意味することくらい!
「きっとボタンを押し間違えて・・・」
「・・・昼飯、奢るってやるよ」
木船が俺の肩を叩いた。
グッバイ 初恋




〜her side〜
「もーしわけなかとです!」
「いいです、もう・・・」
奥の作業室でペコペコと頭を下げる大林さんに私は言う。
大林さんに悪気かあったわけではないのだし・・・
「こうなったらワシが一肌でも二肌でも脱いで何とか・・・」
等とは言うが、失礼な感想かもしれないけれど、この人に何か出来るとは思えない。
黙ってうつ向く私。消極的な拒絶のつもりだったのに、大林さんはそれを肯定と受け取ったようで
「よっしゃ!今からごっつい助っ人呼ぶから期待しててや!」
「そ・・・っ」
そんなのいいです、と言う前に、大林さんはどこかに電話をかけてしまった。
二、三回のコールの後、
「お、木船か?ちょいと相談あるをやけど・・・」




〜his side〜
真っ暗闇になった世界の中、木船の胸元から場違いに明るい着メロが流れてきた。
「……あー、悪いな」
苦笑を浮かべながら木船が携帯を取り出すのを、何となくぼーっと眺めてみる。
……てか、どうでも、いいんだけどさ。
あー、告白しただけじゃなくて無理矢理キスしたってのが、悪かったんだろうなぁ……。
俺って、なんて最低なんだろ。
「……おう、叔父貴、なんのようじゃい? ……変な言葉遣いはおめえのまねじゃけえ、ま、冗談はさておき」
一瞬、聞こえてきた声が理解できなくて、視線を木船に向け直す。
にやっと笑った木船が、そのまま携帯に答えを返していく。
「ああ、ふん……へぇ、面白い偶然だな…………ってマジ? ホントに。いや、実はさこっちも似たような状態でさ」
……なんかわからないが、俺のことを話題にしてるような気がして、木船をじろりと睨み付ける。
けど、俺のことなんか無視して、木船はそのまま電話に没頭する。
「で、名前は? ……いや、そんな偶然あるのかってビビっただけ。……んじゃ、また後でかけ直すわ」
「……楽しそうだな」
睨み付けながらぼそりと呟いた瞬間、にやりともう一度笑いかけてくる。
「ああ、人生色々って奴だからな。あ、そうそう、昼飯奢るって言ったけど、アレ無しな」
「あ?」
「思いっきり宴会するぞ。俺の叔父貴がさ、奢ってくれるってよ」
なんでいきなりそうなるんだ?
……と目で問いかけるけど、木船はにやにや笑うだけで答えようとしなくて。
「……へぇへぇ、どうせ失恋してんだから、やけ酒でもかっくらってやるよ」
ふかい溜息を吐きながら、それでも木船なりの気の使い方に、少しだけ苦笑を浮かべた。





着いた店は、まぁ、なかなか良さそうな所だった。
「さてと、叔父貴はもう来てるかな〜」
木船は店内をキョロキョロ見渡して、
「お、居た居た、ほらいくよ」
店の奥のほうに進んでいく、俺は連れられていくままに、
「おー、やっと来おったか」
どこか人の良さを感じさせる声と、
「……え?333君?」
彼女の声に出迎えられ……って、
「……え?なんでここに?」
「……私は連れられて来たの」
その言葉を聞き、思わず二人の方へ振り替えれば、無言でニヤニヤしている様子が目に入った。
……謀ったな、あいつら
そう思うも、自分の頬がなぜか緩んでいくのを感じる。
「ま、早くパァーッと始めよ」
唐突に木船がそういって、たった四人だけの宴会が始まった。




〜her side〜
「……えと、その」
目の前に座る333君に、私は何も言うことが出来ない。
だって、振られたって思ってたのに。けど、彼は恥ずかしそうで照れ臭そうな、だけどどこか嬉しそうな笑顔浮かべてくれてるから。
だから、私もなんとか微笑む事が、出来て。
「あ〜、さっきはゴメン。変な時間に電話して……」「いえ、嬉しかったです。……私こそ、操作ミスで出れなくて、そのごめんなさい」
「はぁああ〜〜〜〜」
そう言った瞬間、彼が思いきり溜息を吐いて、思わずびくって肩が震えた。
だって、怒ってるんじゃないかって、思ったから。
「よかったぁ〜〜、その、俺 嫌われてんじゃないかって思ったからさ」
「そそそそっ! そんなこと無いですっ! ……ぁ」
彼の言葉を思い切り否定して、それがその告白の答えになってることに気付いて。
私は顔が熱くなるのを感じた。
けれど、その言葉を取り消すことは出来なく――うぅん、したくないから。
「私も……、333君と会えて嬉しいです」
素直に思ったことを口に出来た。
きっと顔が真っ赤になってると思う。それだけじゃなくて、きっと耳まで赤くなってるはず。
だけど、いい。
だって、目の前の333君が笑ってくれているから。
「ちっ、良い雰囲気出しやがって、手前ぇにゃもったいなさ過ぎるお嬢さんじゃないかよ」
いきなり、333君が思い切り頭をがくんって倒した。
うぅん、木船さん――だったっけ、女の人みたいに見える男の人に、思い切り頭を叩かれたんだ。
「って、いきなり何しやがる!」
そんな木船さんに、彼が怒ったような表情を向ける。
けど、それはどこか楽しげで、楽しそうにしている彼を見るのが、私も楽しい。
「まぁ、ええやないか。まずは乾杯からせにゃならんでの。ぶちようけのむっぺよ」
「……はい」
私の隣に、半分くらい間を空けて座る大林さんが、いつもの口調で喋って。
みんなの前にビールの中ジョッキが置かれて、私の前にはチョコレート色の変わった飲み物が出てきた。
大林さんの選んだソレはいわゆるカクテルと言う物らしい。
甘めで飲みやすいのを選んだからって、言われて押し切られたんだけど、 ……私、お酒飲むの初めてなんだよね。
「ま、若いカップルの前途を祝して」
「……あの、大林さん、恥ずかしい、です」
「えと、それはちょっと、まだ……」
「るっさい、アホ介。お前はだぁってろ。ってことで××さんどうぞ」
木船さんが楽しげに笑って言ってくれたことの意味を理解して。
私はカクテルの入ったコップを持ち上げた。
「……乾杯」
かんぱいとみんなが口々に言うのを聞きながら、私はこくんっと生まれて初めてアルコールを口にした。

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作者 無口スレ住人
2008年01月20日(日) 20:48:44 Modified by n18_168




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