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泉水(仮題)

確認しようか。
ここは寺原家の敷地内、そして俺の苗字はまさに寺原。
ここは寺原友哉の自室であり、そして俺の名前はまさに友哉だ。
……しかるに、俺の部屋のベッドで堂々と眠り込んでいるこいつは何だというのか。
姉か。さもなきゃ妹か? 生憎、俺に女のきょうだいはいねえ。兄貴がいるだけだ。
「またこいつは……」
帰宅するなり眼に入った望まぬ情景に、深く溜息をつく。
どうせまた屋根伝いに俺の部屋に侵入してきたのだろう。空き巣に間違われるからやめろって言ってるのに。
この幼馴染の侵略自体にはもう慣れっこだ。ただ、今の時間が溜息をつかせる。
たとえ下校時刻になってからここまで直行したとしても、市外の高校に通うこいつが、こんなに早く帰宅できるわけがない。
またぞろ早退したのだろう。枕元に積み重ねられたマンガ(当然の俺のものだ)の数が、こいつの進入時刻の早さを物語っている。
「全く、怠惰もここまで来ると犯罪だ……」
ぼやいて、カバンを適当に放り出し、俺はマンガを本棚に収納する。あとで感想を聞いてみよう。
と。枕元でごそごそやったせいか、泉水がわずかに眼を開けた。
光を感覚するのに抵抗するがごとく、ゆるゆるとまぶたが上がっていき、半分ほどで停止。
俺はこいつが目を見開いたところを見たことがない。
「おはよう」
「…………」
声をかけてみたが、こっちをじっと見るだけで何も言わない。まばたきを2回するだけだ。ぱちぱち。
返事を期待したわけではないので、俺は本の収納に戻る。
「また早退かよ。俺のとこと違って進学校なんだし、あんま休むと留年すんぜ」
「………………」
「あと、マンガ読みながら寝るのはやめるように。ヨダレつけでもしたら殴るからなマジで」
「……………………」
「ちゃんとメシは食ってるか? おまえ、平気で昼飯抜くからなあ」
「…………………………………………」
「…………」
本の収納を終えて振り向くと、泉水はまぶたを閉じてすぅすぅと寝息をたてていた。
やれやれ。

古根泉水。
俺の幼馴染にして、現在は隣の市の名門女子高に通う、成績優秀な女子高生だ。
ただし……優秀なのは成績だけ。俺の計算する限り、出席日数は明らかに不良のものだ。
原因はこいつの怠惰さにある。キリスト教の神様が激怒するようなレベルの、超越的な怠け者ぶりが問題なのだ。
趣味は睡眠。嫌いな単語は労働。座右の銘は「果報は寝て待て」。もっとも、泉水なら果報が来る見込みがなくても寝ているだろうが。
基本的に無口で無言なのは、喋るのが面倒くさいからである。
まさに人間失格。人権を一部制限していいから勤労の義務を免除してくれと言い出しそうで怖い。
はっきり言って、普通なら関わるべき人種ではないが……
それでも、幼馴染だしな。
付け加えるなら、彼女だし。
さらに言えば、こいつがここまで無気力になった原因も知っているわけだし。
放ってはおけるか? 俺は無理だ。だから、泉水の家に面した窓の鍵を閉めたことは一度もない。本物の空き巣に入られたら諦めよう。
「ふはぁぁぁ……」
ベッドに寄りかかって本を読んでいると、背後であくびが聞こえた。
顔を向ける。まだしぱしぱした目をしているが、泉水が半身を起こしている。
――って制服で寝てたのかよ! 着替えるくらいしろよ! シワとか気にしろよ!
「おはよう」
改めて挨拶すると、泉水はオイルの足りない機械のような動きで、目を合わせてきた。
曇った水面のように思考を読ませない瞳が、ぴたりと俺の目に据えられる。
「…………」
そして、こくん。

一度頷いて、泉水はまたベッドに倒れこんだ。布団を掛け直さないところからすると、もう眠る意志はないようだ。
俺は腰を上げてベッドに座る。中空をぼんやりと眺める泉水に目をやって、
「あんま口うるさいこと言うような柄でもないし、言える立場でもないけどな……」
指を突きつけ、
「早退すんな。何度でも言うけど、留年するぞ、おい」
「…………」
無表情に首を振り返してくる。そのあたりは計算してる、の意だろうか。
「あと今日はちゃんと行ったみたいだけど、欠席は控えるように」
今度はこくこくと縦振り。
「ついでに言うなら、喋れ」
泉水はむすっとした様子で、おそろしく大儀そうに口を開く。くちびるを動かすのに必要なカロリーすら勿体無いと言わんばかりに。
くちびるの隙間から漏れ出る音は、大概の人間の予想を裏切る美しいものだ。ただ、
「めんどい……」
発言内容は、決して予想を裏切らない。
泉水はそれだけ答えると、何かを求めるように、細くて白い手を宙にさまよわせ、本棚を指差した。
そのあと、指で14という数字を表現してくる。
どうも、マンガの続きが読みたいらしい。
……って自分でやれやそのくらい!
そう思いつつも俺はお目当ての物をとってやる。俺っていいやつだなあ。
エデア大陸戦記14巻を読むのに熱中しだす泉水を横目に、俺は本を床から拾い上げて読み返す。
しばし、部屋には乾いた紙の音だけが、ぱらり、ぱらりと響く。
いつしか陽は隠れ、窓から望む西の空は、派手な赤の装いを捨てて、落ち着いた深い蒼をまといだしている。
そのあたりでようやく暗さが苦になってきて、俺は明かりの紐を引いた。
光が室内に満ちた。泉水が急なまぶしさに目を細めた。親しくない人間からは、もう寝てるのか起きてるのか判別できないだろう。
「……それ、なに?」
不意に、泉水が口を開いた。見るとさっきのように半身を起こして、例の曇りガラスの視線で、俺の手元を見つめている。
「これか? 参考書だよ。やったとこをちょっと復習してただけ」
「…………なんで?」
意味を量りかねる。それを察したか、面倒そうに泉水は言葉を重ねた。
「ゆーや、バカなのに」
こ――このアマ。言うに事欠いて何てことをッ! 純真な男子高校生に言っていい台詞か!?
流石に少しばかりカチンときた。
ちょっと恥ずかしがらせてやろう。
「へっ。まだ2月とはいえ、受験までもう1年切ってるんだぜ? いくら俺でも下準備くらいはするさ」
納得したようで、泉水はひと頷きすると読書に戻ろうとする。
そうは行くか。聞け、俺の恥ずかしい本音を。
「勉強しまくって、お前と同じ大学行きたいしな」
さあ悶えろ! 背中を虫が這うような感覚にのた打ち回るがいい!
「…………」
だが、予想に反して泉水は無反応。無表情を崩さない。
あれ、不発かと思った瞬間――唐突に、泉水は微笑んだ。
ひどく儚くて、いまにも消えうせてしまいそうな薄明の微笑み。ちょうどそれは、さっき見た空の残照を思わせた。
俺は心臓を鷲づかみにされる。
「……うれしいな。一緒に行きたいね」
「は――恥ずかしがれよ、少しくらい」
泉水はミリ単位で首をかしげた。きちんと目に見える角度を作り出すのも面倒だというのだろうか。
「…………どうして?」
恥ずかしがる必要があるの――と、そう泉水は告げる。
掛け布団からほっそりした足を抜いて、自ら、泉水のほうからこちらに身を乗り出してきて、
「だいすき」
ちゅ――と、ごく自然にくちびるを重ねられた。

温かくてしめった感触は一瞬で、俺がそれを惜しいと思った時には、今度は頬にその感触があたる。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅ、と、頬、ひたい、まぶた、またくちびると、休みなくキスが繰り返される。
泉水は俺の顔をつめたい手のひらでそっと挟み、繰り返し自分の心を表現した。
――いとおしい、と。
言葉もないのに、俺の脳は泉水の意思を音声で知覚する。
すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき、すき。
このやろう。
俺も好きに決まってるだろうがっ!
女から愛を贈られるばかりでは男の沽券に関わる。
そう思って、俺からも唇を求めようとすると――
ぴたり、と人差し指が俺の行動を制した。唇をふさがれて出来るキスはあるか、いやない。
「………………もう時間」
なにが? そう言う前に、
「友哉ー! そろそろご飯にするよー!」
という母の声が、階下から飛んできた。おいおい泉水さん、あんたはエスパーなのかい?
泉水はゆっくりと、かつだるそうに立ち上がり、自分の家に面した窓に手をかけた。
「ばいばい。……勉強、わからないところあったら教えてあげるから」
振り返ってそう言い、窓を開ける。俺は思わず泉水を呼び止めた。
「次はな泉水!」
「………………?」
「……俺からも、キスするからな」
泉水はまた、あの水面の月めいた不確かな微笑みを浮かべる。
「……ていうか、えっちしていいよ」
「ぶフッ!?」
「…………ゆーやのお母さんかいなかったら、だけどね」
窓から屋根に降り立ち、泉水は最後にまた振り向く。
「…………………………………………また、いっぱい、きもちよくしてね」
そうして泉水はのろのろと、自分の部屋の窓から家に入っていった。明かりはつかない。
外が暗かったとはいえ、見逃せるわけもなかった。
あの直球なセリフを言ったとき、泉水がめずらしく、顔をほんのり赤くしていたことを。
「最高の彼女だよ、おまえ……」
勉学意欲がガソリンを与えられたように燃え上がる。あいつと同じ学校に、今度こそ通ってやるとも。
まあまずはメシが先なのだけれど。カッコよく締まらんなあ、俺……。



次話
作者 1-379
2007年12月13日(木) 09:57:14 Modified by ID:Lz95Wvy+ew




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