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無口少女と千羽鶴(仮題)

とある放課後、俺は友人に頼まれて図書室に本を返しにきた。
そのついでに図書室の中を回ってみたが漫画専門の俺にはやはりここは無縁の場所のようだ。
利用者も少なく、活字離れが進んでるなぁと自分を棚に上げて真面目ぶった感想を抱いていたら、
数少ない利用者の中に見知った顔があった。
クラスメートの女の子、三上だ。
「よう。なにしてるんだ?」
声をかけながら彼女の正面に座る。間に長テーブルを挟んでいるが話すのに支障をきたす距離ではない。
三上は俺と目が合うとにこりと微笑む。
笑ってないで質問に答えろや。とか言ってるとこいつとはとても友達にはなれん。
三上は無口で大人しい女の子だ。人付き合いは苦手のようだがそれでも彼女を好意的に思う奴は多い。
それは彼女がとても心優しいと皆知っているからだ。
……いや、まぁ……見かけが可愛いってのもあるんだけどな……正直な話。
それはともかく。
「……折り紙に……折ってんのは鶴、か?」
彼女はこくんと頷く。
その姿は実に小動物チックで可愛い。
……だからそういうのは置いとけって、俺。
というか用意されてる折り紙も出来上がった鶴もその数が半端じゃない。
せっかくの放課後になにをやってるんだ、こいつは。と思ったが大量の折り鶴といえば思い浮かぶのが1つ。
「千羽鶴、か?」
またも彼女はこくんと頷く。
よっしゃっ。正解だぜ! と素直には喜べない。
千羽鶴を作っているって事は誰かに贈るつもりなのだろう。その贈られる相手は病気かなにかなんだから喜べるわけがない。
「…………お婆ちゃんにあげるの」
小さくか細い声だったが俺の耳にはしっかりと届いた。
耳だけじゃなくて心にも届いた。
「よっし! 俺も手伝う」
三上は驚いているようだったが折り紙を取る俺を見て、ありがとう。と小さく呟いた。

☆☆

さて今から鶴を折る事になったわけだが…………折り方がわからねぇ。
最初は三角にするんだっけ? それとも四角だっけ?
よくこんなんで手伝うと言えたもんだと我ながら思う。
迷っている俺を見て、三上は自分の手元を見せる。
ゆっくりと始めから折り、俺がもたついても急かさず待っていてくれる。
そうやって何とか出来上がった鶴は三上のピシッとして綺麗な鶴とは違い、よれよれでしわくちゃのみすぼらしい出来だった。
……不器用過ぎないか? 俺。
「わ、悪い。三上。自分から手伝うとか言っといてこんなんで……」
彼女はふるふると首を横に振る。
「…………嬉しい」
俺の作った下手くそな折り鶴を大切そうに持ち、はにかみながらそんな事を言ってくれる。
そんな事をされちゃやる気が出ないはずがない。
俺は新たに折り紙を手に取り、教えてもらったばかりの鶴を折り出した。
「…………」
……まぁやる気だけあっても仕方ないんだが。
丁寧に丁寧にとやると時間がかかるし、それでいてまだまだよれよれだ。
それに比べて三上は俺が1つ作る間に3つ以上は作り、それでいて俺の何倍も綺麗に出来ている。
それでも何個も作っている内に何とか見れるだけの出来にはなってきた。
先にも言った様に三上は無口なので会話といえば俺が質問して三上が端的に答えるくらいなものだったが、
その三上が自ら積極的に喋ったのが彼女の祖母の事だった。
自分はお婆ちゃん子だという事。
お婆ちゃんは凄い優しい人だという事。
折り紙はお婆ちゃんに教えてもらったという事。
物静かに、でもとても嬉しそうに語る三上。彼女がどれだけ祖母の事が大好きなのかが伝わってくる。
三上の声に耳を傾けているとつい手が止まっていることがしばしばあり、彼女がやはり嬉しそうな声色のまま注意してくれた。
そんな彼女の声色が少し落ちる。
「…………お婆ちゃんが先週倒れて……入院したの」
俺は何も言えなかった。
慰めの言葉なんかまるで思い浮かばない。
「私に出来るのは、こんな事だけだから……」
三上は寂しげに出来上がった鶴を撫でる。
そんな顔をしないでほしい。俺は頭の中から何とか言葉を捻り出す。
「……お婆ちゃんは嬉しいと思うよ」
「……そうかな?」
「当然! 可愛い孫の贈り物を喜ばないお婆ちゃんはいないって!」
そうだね。と三上は微笑んでくれた。

☆☆

それから数日間、放課後になると三上と一緒に図書室で鶴を折った。
三上が祖母のお見舞いに行く日は1人で折った。
それを三上は申し分けなさそうにしていたが俺がやりたかったのだ。
彼女の優しい気持ちの手助けを少しでもやりたかった。
そんなある日、三上が学校を休んだ。
担任の教師によると彼女の祖母が亡くなった為だという。
千羽鶴は間に合わなかった。

☆☆

その日の放課後、俺は図書室に向かった。
ここ数日の習慣とはいえ、もう行く意味はないというのに。
感傷に浸りたかったのかもしれない。
或いは見知らぬ折り鶴の送り相手への黙祷の為か。
図書室に入り、いつもの指定席へ視線をやると居てはいけない人物が目に映った。
俺は思わぬ人物の元へ駆け寄った。
「なにやってんだよ!? 三上!」
「…………」
三上は答えず、それどころかこちらを見ようともせず、ただ一心に手を動かしていた。
彼女は――――鶴を折っていた。
「三上っ!」
俺は彼女の肩を掴み、強引にこちらへ振り向かせた。
彼女の表情は悲しみで歪んでいて、俺と目が合うと途端に瞳に涙が溢れ、零れた。
彼女は顔を伏せ、嗚咽を漏らす。
俺は一気に狼狽した。
頭が真っ白になって、何を言えば良いのか全く分からなかった。
祖母が入院したと彼女が言った時、俺は慰めの言葉が浮かばなかった。
そんな俺が大好きな祖母を亡くした彼女にかける言葉があるはずがない。
それでも、それでも彼女の為に何かがしたかった俺は彼女の頭を撫でた。
これが慰めになるか分からないがそれでも俺は彼女が泣きやむまで撫で続けた。


三上が嗚咽と共に漏らした言葉と落ち着いてからの話を総合するとようやく彼女がここにいる理由が分かった。
三上は祖母が亡くなった事を受け入れたくなかったのだ。
大切な人を亡くして、それは仕方ない事だとすぐに受け入れられるほど彼女は大人じゃなかった。
葬式を抜け出して図書室で祖母の為に鶴を折っていればまだ祖母が生きているのだと錯覚出来ると思ったそうだ。
でも、死んだ人間を生きていると思い込めるほど彼女は子供じゃなかった。
むしろ、鶴を折れば折るほど祖母はもういないのだと思いしっていったという。
「……そっか。三上の事情も知らずに怒鳴って悪かった」
「…………」
ふるふると三上は力なく首を振る。
俺の手はもうすでに彼女の頭から離れ、途端に何をすれば良いのか分からなくなる。
「…………ごめんね」
「……なにがだよ?」
「……手伝ってもらったのに…………」
「……気に、すんな」
顔を伏せたまま三上は言う。まだ少し涙声で胸が締め付けられる。
「……間に合わなかった。こんなことならもっと……お見舞いに、いけばよかった……」
「…………」
「ごめん……お……ちゃん…………ごめ……もっと……もっと…………」
「…………」
俺は何を言えばいい。
何を言えば励ませられる。
何を言えば元気付けられる。
「…………」
わからねぇ。
わかんねぇよ!
そんなのわかったら苦労しねぇんだよ!!

「…………もっと、話したかった、よ……。やだ……もっと……」
せっかく落ち着いたというのにまたも嗚咽が交じりだした。
彼女の手にはいつの間にか鶴が握り締められている。
「……こんなの……意味ない…………むだ、だった…………こんなの……」
「そんな事言っちゃ駄目だ」
俺は思わず言葉を被せた。
これが彼女にとって慰めになるのか、元気付ける言葉になるのかは分からない。
それでもこれは否定しなくちゃならない。
彼女の為にも、彼女の祖母の為にも。
「その鶴はお婆ちゃんの為に折ったんだろ。お婆ちゃんが早く直りますようにって願いを込めたんだろ」
「…………」
「そんな想いを込めた三上の『心』そのものだろ?
 そんな心の詰まった鶴に意味ないとか言うなよ。無駄とか言わないでくれよ」
「…………」
「お婆ちゃんは絶対嬉しかったはずだ。
 千羽鶴だからじゃない。大好きな孫が一生懸命自分の為に折ってくれたものだからだ。
 心を込めて折ったんだろ? 大好きなお婆ちゃんの為に折ったんだろ?
 だったらそれは大事なもののはずだ。
 三上にとっても三上のお婆ちゃんにとっても」
頭に浮かぶ言葉を全部ぶちまける。
口に出せばまるで慰めになってないと気付くが止まらない。
「渡してこいよ、鶴」
「……でも!」
もう、いないんだよ。と図書室の静寂にも掻き消えるくらい小さく三上は呟く。
「それでも、だ」
勢いで喋った自分を落ち着かせ、言葉を選ぶ。
「三上の心が詰まった鶴で、お婆ちゃんを……お婆ちゃんを天国へ連れていってやれ」
「…………」
「お前の優しい心で包まれれば、きっと幸せだと思う」
「……そうかな?」
「当然だ。お前を見てれば分かるよ。お婆ちゃんがどれだけお前の事が好きなのか」
そうだといいな。と三上は微笑んだ。

☆☆

一週間が経った。
葬儀やら何やらを終えて、ようやく三上が学校に出てきた。
クラスの皆の慰めに彼女は微笑んで返した。
俺も一言二言話し、割と元気な様子に安心した。
そして放課後、俺は図書室に向かう。
いつもの指定席に座っていると、前の席に誰かが座る。
視線を向けると予想通り三上だった。
彼女の表情は何かを語りかけたい様だったがそれが中々口までいかないようだった。
祖母の葬式の事。
その場でもやはり泣いてしまった事。
それでも、祖母の為に心から見送った事。
それらを三上が語ったのは結局、後日になってからなわけだが。
今日、この場での会話の一節を語るのならこいつだろう。

俺は三上が休んでいた間の学校での出来事を語っていたが、彼女の注意はいつの間にやら俺の手元に向けられていた。
喋りながらも手を動かせるようになったのは少し自慢だ。
三上は無言のまま、表情で何をしているのか問うてきた。
「あー……元気になってほしいヤツがいてな」
「…………」
「病気ってワケじゃないんだが……落ち込んでるかと思って」
「…………それで、鶴?」
「……あぁ。他に思い付かなくてな」
一週間前のあの日から、俺は鶴を折り始めた。
三上のお婆ちゃんの為ではなく三上の為に。
相変わらず下手くそで1つ作るのにも時間がかかる。
だけど、それでも――――

「…………ありがとう」

――――願いを、心を込めた。
その甲斐はあったみたいだ。
彼女は出来上がった鶴を宝物を扱うかの様に手に取り、本当に嬉しそうに優しく微笑んでくれたから。


作者 6-372
2009年01月05日(月) 22:52:58 Modified by ID:z0ZlJTbkWw




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