「Beautiful sees beautiful」
「Thank you for choosing American Airways today, the member of the Lone Star Alliance...」
機体が滑走路を外れ、平行誘導路に入ったころ、ようやく彼女に握りしめられていた俺の左手が解放された。
「...have a great day here in Chicago, or wherever your final destination may be...」
やがて飛行機はスポットに駐機し、機体前方から降機が始まる。俺はオーバーヘッドから、2つのカバンを降ろした。1つは俺の、もう1つはベルトサイン点灯からついさっき迄、ずっと俺の手を握り続けていたこいつのもの。
こいつのも俺のキャスターバックの上に載せ、開いた片手を差し出す。
その手は無言のまましっかりと握られ、案の定降機後も離されることはなかった。が、もちろん不快なわけではないことは先に言っておく。なにせ今まで7年近く互いにすぐ近くに居、これからさらに何十年、一生涯を共に過すパートナーのすることである。
右手は俺の手を掴みながら、首は左右きょろきょろと初めて見る風景を眺めている。その仕草がどうにも愛らしくて仕方がない。
「……だって…英語……分からないし…」
機内で、来る入国検査を心配してか、彼女に相談を受けた。…とはいっても無口な彼女のことだ。日本語で質問されても、返答は単語最高3つ位までだろうが。
入国審査で使う英語なんて観光客が特に気に病むほどのことでもないとは思うのだが、そこが彼女の特徴である。
悪く言えば若干ナーバス、よく言えば繊細。それゆえ過去幾度の行き違いもあったりしたのだが。
「まあ、確か入国も税関も1家族ずつできた筈だから、俺がどうにかするよ。税関カードにいたってはもともと1家族1枚だし。何の問題もないから。」
言って、自分が少し照れてしまった。
籍は早めに入れておいたが、昨日(あるいは今日か)式を挙げ、その日の最終便に乗って今ここに居る。もちろん自覚してはいたが、互いが夫婦、家族であるとはっきり口にするのは俺にはこれが初めてだった。
やばい。今度は俺が無口になる番だ…
こうなると、逆に俺の顔を覗き込んでいたずらっぽい笑みを浮かべてくる。
やばい、破壊力ありすぎ……
俺がその場所を蜜月旅行先として彼女に提案したのはほんの悪戯心だった。
言葉も出なくなる程の美しい景色を日頃無口な彼女に見せたらどのような反応をするのか実に楽しみだ、という意味である。
……言っておくが、俺は決して彼女をいじめて楽しみたい訳ではないぞ。
ただ、何年もの間、彼女と友人として、恋人として、婚約者として過ごしてきた訳だが、やはり彼女は俺が今でも知らない表情をたくさん持っている。
……その一つひとつを見つける度にいちいちときめいてしまう俺も俺だがorz
いかにせん、俺にはそれをがどうしても楽しくて、嬉しくて仕方ない訳だ。いまさらだが。
馬鹿なことをセルフナレーションしている間に、オヘアから飛んできた乗継便は最終目的地に到着した。今日の宿はここからレンタカーでおよそ40分、さほど遠くない距離である。
空港を出、進路を北西に取った。
途中のガソリンスタンドで、飲み物とスナック、そして俺のひそかな楽しみであるロトくじを買う。アメリカ最大規模のタイプで、昔見たほどジャックポットはたまっていなかったが、それでもその額、年末ジャンボ前後賞付10年分を軽く超えている。これさえ出ればこのきれいな嫁と平日・土休日問わず、一緒に居られるんだがなぁorz...
それを本人に行ってみたら、ちょっとむすっ、とした顔をして、
「…働かなきゃ、だめ」
とのこと。イエス、オフコース、マム。
夜も近いので、途上でレストランに寄る。最近日本にも進出してるから、東京なら渋谷や南大沢の人は知っているかもしれない某大手ステーキハウスだ。大阪梅田でも確か見たな。
450グラム位の大きなステーキを前に唖然とする彼女も見てみたいが、長旅の直後のそれは流石に自重したほうがいいか。
とりあえず、巨大なタマネギフライの化け物と、真っ赤なチキンの前菜に驚いてもらうことにしよう。
…………チキンは自重した方がよかったかorz
はじめ、彼女は運ばれてきたチキン、バッファローチキンと呼ぶが、を俺がタマネギに手を出している間にまっすぐ口に運んでしまった。さすがにそれはつらい。
口に入れた時点で目に見えて表情が変わったのは言うまでもない。これでは無口な彼女でなくとも、舌の痛みに言葉が出なくなる。
このバッファローチキンは味付けがとにかく辛いので、ブルーチーズソースをつけてマイルド化しないと、よほど好きな人でないとつらい。
アイスティーの入ったグラスと、ブルーチーズを付けたピースを差し出した。どうやらこちらはお気に召したらしい。
……辛いのを知っててなぜ先に言ってくれないのかと言われた。悪い。指摘するの忘れてた。スマンorz......
メインに頼んだステーキも、店で一番小さい(といっても200g前後あるが)が肉質が相当にいいもので、食が細くはないとはいえ、彼女でもサイドのジャガイモごとぺろりと平らげてしまった。
俺も、式中ほとんど食べられず、その後もここまでゆっくり食べる機会がなかったため大分腹が減っており、彼女と同等か少し多いくらいを食べきってしまった。
……いつも思うが、俺たちはここでこうやって何の疑いも無く、しかも俺は骨付きの牛肉を食っている。が、なぜ当局は20ヶ月以下のみが輸入可だったか?の訳の分からない輸入制限をかけてるんだろうか。それを彼女に聞いてみたら案の定思考のループにはまってしまったようだった。
まあ、美味いからいいや。小難しいことは。
車を走らせ、さらに州間道路を北西に進む。
国境近くの公園からもそう遠くないホテルのパーキングに車を止めた。運転前に場所は確認したものの、界隈予想以上に一方通行が多く難儀したが…
トランクから2人分の荷物を取り出し、チェックインを済ます。中層階のダブルルームだ。
カードキーを差し、ドアを開ける。ドア脇の照明スイッチを操作し、部屋の明かりを灯す。
二名分の荷物といってもスーツケース1個と手荷物程度、を運び入れる。
部屋のドアが閉まる。
それは俺からの行動だったか… それとも彼女からだったか。そんなことはどうでもいいがとにかく、ロックがかかる音と同時に俺たちは、唇を合わせていた。
持っていた手荷物カバンを寝台に放り、彼女の肩を抱く。それを合図に、彼女のほうから深いキスに移行してきた。
30秒か1分か、時間の感覚をわすれ、互いに相手の口内を楽しむ。両方とも、食後に噛んだガムの香りだ。
やがて、唇同士を離す。そのまま俺は自分のを、彼女から離さず、舌を這わせつつ、顎から首まで滑り降ろす。
胸元に近づいた途端、彼女は俺の袖を引っ張ってきた。もう片方の手は、そのかわいらしい指でベッドを指している。
その方向に彼女を、押し倒した。
蜜月旅行というシチュエーションからか、なんとなく気持ちが焦る。が、なれたもので愛妻を産まれたままの姿にするのにはそうかからなかった。
あの場所はもうよく濡れている。彼女も同じ気持ちだったらしい。
彼女のほうも、俺のズボンのベルトに手をかけ、トランクスごと降ろしてきた。下だけ裸というのも何なので、俺も上を脱ぎ捨てた。
再び唇を重ねる。そのまま、手でもう一度彼女の局部に触れてみた。相当濡れているらしく、もうこのまま挿れても問題なさそうだ。
一言、その旨確認する。微笑み、頷いてくれた。
7年程付き合って、内6ヶ月は婚約者という関係、その間に一度も欠かずしてきたことは、今日はしない。
学生のときはもちろんだったが、やはり婚前ということもあり、つい最近の交わりのときも、今まで避妊を欠かしたことはなかった。
が、もう今その必要は無かった。モノを、彼女の入口につける。
彼女の熱を感じる。彼女はどう感じているのだろうか。聞いてみたが、顔を耳まで真っ赤にして、答えてくれない。
そのかわいらしさに負けた俺は、一気に挿入した。
ある意味初めての経験に、あとは二人とも流れるままだった。彼女の中が俺のモノに絡みつき、締め上げてくる。ひだのような感覚が凄い。
彼女も同じなようで、新しい感覚に、普段よりもやや高めの声を上げている。
身体と身体がぶつかる音と、結合部からの湿った音、そして彼女の高いあえぎ声が耳に入る。何度と無く聞いているはずなのに、どれも俺の感覚を高めて仕方が無い。
ましてや初めての生での挿入である。情けないようだが達するまでにそう時間はかからなかった。
「…っ、そろそろ出るぞっ」
彼女は、あえぎ声のなかに一言、消え入るような細い声ではあったが、確かに「出して」と答えてくれた。
そして、俺は彼女の最奥に、白濁をぶつけた。
と、彼女もそれと同時に全身を弛緩させた。
抱いていた肩から腕を離す。
くてん、とした彼女の隣に俺も寝転がった。まだ少し震えている彼女に声をかける。
「…なるだけ早く出来るといいな。俺たちの子。」
「……できるよ。私たち、だって… すごい相性いいもの…」
久しぶりの長い(?)返答に俺はつい嬉しくなり抱きついてみた。と、同時に下腹部に俺以外の手の感触が。
「……私も、早くあなたとの子供ほしい…」
「つまり…もう一度しよう…と?」
彼女の細い手に握られたモノは、素直にももう硬度を取り戻している。
もちろん、このあとは1回では済まなかったご様子。念のため。
昨晩は早い時間から夜間完全燃焼したのがよかったらしく、図らずとも二人とも深夜過ぎに睡眠に入る、ということになったため、ジェットラグの影響は最小限に済んだ。
それなりに片付けてから、館内のレストランで朝食をとり、9時過ぎに宿を出た。荷物だけは車に積み、すぐそこの公園まで歩いた。
二名分の雨合羽を買い求め、エレベータで下の乗船場にでる。船には10分ほどで乗船出来た。
やがて、船は動き出し、聞こえつつあった轟音の元に近づく。船体進行方向左方に陣取っていたため、それが近づいてくる迫力がすさまじい。
「すごいもんだろ?」
彼女に声をかけてみたが反応は無い。まあ、この300m近くの幅を絶え間なく轟音をたてて水が落下してゆく圧巻さには言葉も出ないだろう。
「この滝はいわゆるアメリカ滝と呼ばれていて…」
船内のアナウンスを適当に訳して聞かせると、彼女は流れ落ちる水の塊を見つめながら頷いた。
やがて、船はもう数百メートル上流側に進んだ。ここでも、彼女の視線の先は固定されている。
「この滝はカナダ滝といわれていて、これがよく写真や映像で見るナイアガラの滝…」
アナウンスとパンフレットから仕入れた知識で告げた。が、相変わらずその視線は流れ落ちる莫大な量の水に注がれている。
横から、俺は彼女の顔をファインダー越しに覗き込んでみた。
そのときの写真? HDD、DVD、携帯どれにでも入ってるよ。タイトルは…
作者 4-158
機体が滑走路を外れ、平行誘導路に入ったころ、ようやく彼女に握りしめられていた俺の左手が解放された。
「...have a great day here in Chicago, or wherever your final destination may be...」
やがて飛行機はスポットに駐機し、機体前方から降機が始まる。俺はオーバーヘッドから、2つのカバンを降ろした。1つは俺の、もう1つはベルトサイン点灯からついさっき迄、ずっと俺の手を握り続けていたこいつのもの。
こいつのも俺のキャスターバックの上に載せ、開いた片手を差し出す。
その手は無言のまましっかりと握られ、案の定降機後も離されることはなかった。が、もちろん不快なわけではないことは先に言っておく。なにせ今まで7年近く互いにすぐ近くに居、これからさらに何十年、一生涯を共に過すパートナーのすることである。
右手は俺の手を掴みながら、首は左右きょろきょろと初めて見る風景を眺めている。その仕草がどうにも愛らしくて仕方がない。
「……だって…英語……分からないし…」
機内で、来る入国検査を心配してか、彼女に相談を受けた。…とはいっても無口な彼女のことだ。日本語で質問されても、返答は単語最高3つ位までだろうが。
入国審査で使う英語なんて観光客が特に気に病むほどのことでもないとは思うのだが、そこが彼女の特徴である。
悪く言えば若干ナーバス、よく言えば繊細。それゆえ過去幾度の行き違いもあったりしたのだが。
「まあ、確か入国も税関も1家族ずつできた筈だから、俺がどうにかするよ。税関カードにいたってはもともと1家族1枚だし。何の問題もないから。」
言って、自分が少し照れてしまった。
籍は早めに入れておいたが、昨日(あるいは今日か)式を挙げ、その日の最終便に乗って今ここに居る。もちろん自覚してはいたが、互いが夫婦、家族であるとはっきり口にするのは俺にはこれが初めてだった。
やばい。今度は俺が無口になる番だ…
こうなると、逆に俺の顔を覗き込んでいたずらっぽい笑みを浮かべてくる。
やばい、破壊力ありすぎ……
俺がその場所を蜜月旅行先として彼女に提案したのはほんの悪戯心だった。
言葉も出なくなる程の美しい景色を日頃無口な彼女に見せたらどのような反応をするのか実に楽しみだ、という意味である。
……言っておくが、俺は決して彼女をいじめて楽しみたい訳ではないぞ。
ただ、何年もの間、彼女と友人として、恋人として、婚約者として過ごしてきた訳だが、やはり彼女は俺が今でも知らない表情をたくさん持っている。
……その一つひとつを見つける度にいちいちときめいてしまう俺も俺だがorz
いかにせん、俺にはそれをがどうしても楽しくて、嬉しくて仕方ない訳だ。いまさらだが。
馬鹿なことをセルフナレーションしている間に、オヘアから飛んできた乗継便は最終目的地に到着した。今日の宿はここからレンタカーでおよそ40分、さほど遠くない距離である。
空港を出、進路を北西に取った。
途中のガソリンスタンドで、飲み物とスナック、そして俺のひそかな楽しみであるロトくじを買う。アメリカ最大規模のタイプで、昔見たほどジャックポットはたまっていなかったが、それでもその額、年末ジャンボ前後賞付10年分を軽く超えている。これさえ出ればこのきれいな嫁と平日・土休日問わず、一緒に居られるんだがなぁorz...
それを本人に行ってみたら、ちょっとむすっ、とした顔をして、
「…働かなきゃ、だめ」
とのこと。イエス、オフコース、マム。
夜も近いので、途上でレストランに寄る。最近日本にも進出してるから、東京なら渋谷や南大沢の人は知っているかもしれない某大手ステーキハウスだ。大阪梅田でも確か見たな。
450グラム位の大きなステーキを前に唖然とする彼女も見てみたいが、長旅の直後のそれは流石に自重したほうがいいか。
とりあえず、巨大なタマネギフライの化け物と、真っ赤なチキンの前菜に驚いてもらうことにしよう。
…………チキンは自重した方がよかったかorz
はじめ、彼女は運ばれてきたチキン、バッファローチキンと呼ぶが、を俺がタマネギに手を出している間にまっすぐ口に運んでしまった。さすがにそれはつらい。
口に入れた時点で目に見えて表情が変わったのは言うまでもない。これでは無口な彼女でなくとも、舌の痛みに言葉が出なくなる。
このバッファローチキンは味付けがとにかく辛いので、ブルーチーズソースをつけてマイルド化しないと、よほど好きな人でないとつらい。
アイスティーの入ったグラスと、ブルーチーズを付けたピースを差し出した。どうやらこちらはお気に召したらしい。
……辛いのを知っててなぜ先に言ってくれないのかと言われた。悪い。指摘するの忘れてた。スマンorz......
メインに頼んだステーキも、店で一番小さい(といっても200g前後あるが)が肉質が相当にいいもので、食が細くはないとはいえ、彼女でもサイドのジャガイモごとぺろりと平らげてしまった。
俺も、式中ほとんど食べられず、その後もここまでゆっくり食べる機会がなかったため大分腹が減っており、彼女と同等か少し多いくらいを食べきってしまった。
……いつも思うが、俺たちはここでこうやって何の疑いも無く、しかも俺は骨付きの牛肉を食っている。が、なぜ当局は20ヶ月以下のみが輸入可だったか?の訳の分からない輸入制限をかけてるんだろうか。それを彼女に聞いてみたら案の定思考のループにはまってしまったようだった。
まあ、美味いからいいや。小難しいことは。
車を走らせ、さらに州間道路を北西に進む。
国境近くの公園からもそう遠くないホテルのパーキングに車を止めた。運転前に場所は確認したものの、界隈予想以上に一方通行が多く難儀したが…
トランクから2人分の荷物を取り出し、チェックインを済ます。中層階のダブルルームだ。
カードキーを差し、ドアを開ける。ドア脇の照明スイッチを操作し、部屋の明かりを灯す。
二名分の荷物といってもスーツケース1個と手荷物程度、を運び入れる。
部屋のドアが閉まる。
それは俺からの行動だったか… それとも彼女からだったか。そんなことはどうでもいいがとにかく、ロックがかかる音と同時に俺たちは、唇を合わせていた。
持っていた手荷物カバンを寝台に放り、彼女の肩を抱く。それを合図に、彼女のほうから深いキスに移行してきた。
30秒か1分か、時間の感覚をわすれ、互いに相手の口内を楽しむ。両方とも、食後に噛んだガムの香りだ。
やがて、唇同士を離す。そのまま俺は自分のを、彼女から離さず、舌を這わせつつ、顎から首まで滑り降ろす。
胸元に近づいた途端、彼女は俺の袖を引っ張ってきた。もう片方の手は、そのかわいらしい指でベッドを指している。
その方向に彼女を、押し倒した。
蜜月旅行というシチュエーションからか、なんとなく気持ちが焦る。が、なれたもので愛妻を産まれたままの姿にするのにはそうかからなかった。
あの場所はもうよく濡れている。彼女も同じ気持ちだったらしい。
彼女のほうも、俺のズボンのベルトに手をかけ、トランクスごと降ろしてきた。下だけ裸というのも何なので、俺も上を脱ぎ捨てた。
再び唇を重ねる。そのまま、手でもう一度彼女の局部に触れてみた。相当濡れているらしく、もうこのまま挿れても問題なさそうだ。
一言、その旨確認する。微笑み、頷いてくれた。
7年程付き合って、内6ヶ月は婚約者という関係、その間に一度も欠かずしてきたことは、今日はしない。
学生のときはもちろんだったが、やはり婚前ということもあり、つい最近の交わりのときも、今まで避妊を欠かしたことはなかった。
が、もう今その必要は無かった。モノを、彼女の入口につける。
彼女の熱を感じる。彼女はどう感じているのだろうか。聞いてみたが、顔を耳まで真っ赤にして、答えてくれない。
そのかわいらしさに負けた俺は、一気に挿入した。
ある意味初めての経験に、あとは二人とも流れるままだった。彼女の中が俺のモノに絡みつき、締め上げてくる。ひだのような感覚が凄い。
彼女も同じなようで、新しい感覚に、普段よりもやや高めの声を上げている。
身体と身体がぶつかる音と、結合部からの湿った音、そして彼女の高いあえぎ声が耳に入る。何度と無く聞いているはずなのに、どれも俺の感覚を高めて仕方が無い。
ましてや初めての生での挿入である。情けないようだが達するまでにそう時間はかからなかった。
「…っ、そろそろ出るぞっ」
彼女は、あえぎ声のなかに一言、消え入るような細い声ではあったが、確かに「出して」と答えてくれた。
そして、俺は彼女の最奥に、白濁をぶつけた。
と、彼女もそれと同時に全身を弛緩させた。
抱いていた肩から腕を離す。
くてん、とした彼女の隣に俺も寝転がった。まだ少し震えている彼女に声をかける。
「…なるだけ早く出来るといいな。俺たちの子。」
「……できるよ。私たち、だって… すごい相性いいもの…」
久しぶりの長い(?)返答に俺はつい嬉しくなり抱きついてみた。と、同時に下腹部に俺以外の手の感触が。
「……私も、早くあなたとの子供ほしい…」
「つまり…もう一度しよう…と?」
彼女の細い手に握られたモノは、素直にももう硬度を取り戻している。
もちろん、このあとは1回では済まなかったご様子。念のため。
昨晩は早い時間から夜間完全燃焼したのがよかったらしく、図らずとも二人とも深夜過ぎに睡眠に入る、ということになったため、ジェットラグの影響は最小限に済んだ。
それなりに片付けてから、館内のレストランで朝食をとり、9時過ぎに宿を出た。荷物だけは車に積み、すぐそこの公園まで歩いた。
二名分の雨合羽を買い求め、エレベータで下の乗船場にでる。船には10分ほどで乗船出来た。
やがて、船は動き出し、聞こえつつあった轟音の元に近づく。船体進行方向左方に陣取っていたため、それが近づいてくる迫力がすさまじい。
「すごいもんだろ?」
彼女に声をかけてみたが反応は無い。まあ、この300m近くの幅を絶え間なく轟音をたてて水が落下してゆく圧巻さには言葉も出ないだろう。
「この滝はいわゆるアメリカ滝と呼ばれていて…」
船内のアナウンスを適当に訳して聞かせると、彼女は流れ落ちる水の塊を見つめながら頷いた。
やがて、船はもう数百メートル上流側に進んだ。ここでも、彼女の視線の先は固定されている。
「この滝はカナダ滝といわれていて、これがよく写真や映像で見るナイアガラの滝…」
アナウンスとパンフレットから仕入れた知識で告げた。が、相変わらずその視線は流れ落ちる莫大な量の水に注がれている。
横から、俺は彼女の顔をファインダー越しに覗き込んでみた。
そのときの写真? HDD、DVD、携帯どれにでも入ってるよ。タイトルは…
作者 4-158
2008年01月20日(日) 09:02:46 Modified by n18_168