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いわゆる、ベンリなトコロ



 周辺はほとんどが桃色を基調にした、いわゆる可愛い感じの装飾。
 暖色の灯りを受けながら、三澄成佳は穴のあいた椅子に座っていた。
 宏樹に促されてコンコースのトイレに駆け込み、分泌液が乾き始めてべたべたになっ
ている腿のあたりを拭き取るところだった。ペーパーを手に、落ち着きを取り戻して息
をつく。
 個室とはいえ周辺の喧騒は聞こえて、現実に戻ってきた頭が思考を始める。普段は騒
音でしかないそれも、今回ばかりは冷静さを取り戻す要因になった。
 電車内で盛ってしまった。
 その中で二度も絶頂した身で言うのもなんだが、やはりあれは異常だった。体を触ら
れ、意識がそちらに行ってしまって、周辺の状況を把握するのが困難になって。その後、
宏樹が『感づいていたかも』などと言った時には恐ろしささえ覚えたくらい。
 その場で謝られ、キスの応酬まであったが、それならいっそ妄想の被害者でいた方が
幾分マシに思えてきた。
「んっ……」
 内腿を紙が通る。汗と一緒になって膝の方にまでべたつきを覚え、いろいろ限界だっ
たのも含め、宏樹の提案は実に都合が良かった。そうでなくても一直線に向かうつもり
だったが、そこは体を心配してくれていると分かる。
 指でなぞられた時とは感覚こそ違うが、どこかくすぐったくて声が出てしまう。姿勢
を崩しそうになり、壁に手をつくと、水の流れる音が響いた。
 続けて驚くが、真下には水が溜まって揺れている。ちょうど手をついた先に長方形の
箱があり、それが発した音のようだった。この水洗を流すような音色で、外から聞こえ
る様々なものが聞こえなくなる。
 成佳はこの箱に見覚えがあった。学校のトイレにも似たようなものが設置されていて、
手をかざすと音を出す。……かといって積極的に使うことはなく、耳に挟んだ程度の話
だが。
 水の音、というだけで心が洗われた気分だった。少し涼しげで、落ち着かせてくれる。
 くすぐったさに耐えながら、何とか腿の周辺は付着した液体を取り除いた。しかし、
その源泉に直接触れていたショーツは相変わらず湿っていて、それが湧きだす恥丘も同
じくらいに濡れていた。
 だが、直前まで宏樹の手が触れ、中に入ったその場所を拭くのに、普段の排泄と同じ
意識で紙を置けない。少し移動するだけで身体に電撃が走り、紙を濡らすことはあって
も拭きとれてはいなかった。
 その範囲がじわじわと広がり、手の肌色が透けて使えないとわかると、成佳はそれを
便器に落とした。
 ぴったりと閉じられた蓋の部分は、そこだけ油をひいたように電灯の光を反射してい
た。ここに来る前よりも状態がひどくなっているのは、成佳の目から見ても明らか。紙
も無しに指で触れると、水を含んだスポンジのように愛液が滲んで、指の間で糸を引く。
「は、あ……!」
 乾いた紙ではこすれないのに、不思議と指では触れた。だが、それで解決しないこと
を頭でわかっていても、成佳の手は丘から帰れない。
 いつしか表面に滲み出た分だけでも、指との間にあった抵抗を無くして、ぬるぬると
滑るくらいになっていた。
 ――えっちなんだから。
 装置の出す音に混じって、どこかから宏樹の声が聞こえた気がした。成佳はハッとし
て指を止めるが、ここはトイレの個室。彼の姿はない。
「やだっ、ちが……っ!」
 誰に対してでもなく、思わず声に出してしまった。その場には誰もいないけれど、成
佳の一番近くにいる『宏樹』に。
 この手は宏樹の手。そう考えることで、気持ちがだいぶ変わってくる。その実、恥丘
はまだ表面しか触れていないのに、手の平まで濡らしてしまうほどの量を滲ませ、震え
るように動いている。
 しかし、優しく触れて激しく責めるような、宏樹のようには動かせない。蓋を開ける
ところまでは出来ても、指を入れる段階を踏めない。
 ――公衆のトイレでそんなことして、ナルは本当にえっちなんだね。
 見透かされているような言葉をかけられるが、成佳の頭には宏樹の顔がぼんやりと映
った。意地悪そうな笑みを浮かべて囁いてくる。

 しばらく一緒にいるうち、成佳も彼の言うフィクションを想像するようになっていた。
元々あった想像力に少し添えるだけで、何とも具体的で、性質の悪い妄想に発展してい
く。
「こんなの、んあっ、私じゃ……」
 中途半端なままホームに降りなければ。そもそも電車内であんなことをしていなけれ
ば。どろどろの液体をまとった指の先が、いよいよ壺に向かって進んでいく。
 口に出しながら、しかし逡巡するが、ほんの一瞬だけ言葉通りに『別の誰か』になっ
てしまうと、その指がゆっくりと蓋を割っていく。
 一つ目の関節が入り込み、成佳は背を反らした。溶けそうなほど熱を持った壺は、少
しだけの侵入に対しても動きを見せ、飲み込もうとしてざわつく。
 意外と強烈な締め付けで、抜こうとしてぬけない程の圧力だった。自分の体なのに、
入れた指をちぎられそう。
「ん、くぅ……」
 それでも何とか抜け出し、意を決して二本目の指を追加する。ふたつ一緒になって太
さは増えるが、何か入ってくるという異物感は最初だけ。指が細いからか第一関節まで
難なく入り込み、やはり全体を押されるように圧迫された。
 きつく締められながらも指を引き出す。膣壁の動きにあわせていくと、二つ目の間接
よりも奥まで入り込んだ。意外性よりも深みまで進んだことの充足が強く、刺激に貪欲
な一部が成佳の思考に割り込んでくる。
 指は抵抗を振りきって往復していく。にちゃ、にちゃ、と壺の中身が音を立て、手を
伝って伝達される。
「違うっ、わた、し……いん、らん、じゃっ、ないっ……!」
 繰り広げられる妄想は幻聴もかくや。普段の宏樹なら絶対に言わないような、とんで
もない言葉で罵られ、途切れとぎれでも何とか反論して自我を保っている。しかし、そ
れも蜜壺に指を二本も突っ込みかきまわしながらで、思考の奥で抵抗している『冷静な
成佳』の存在が危うい。
「……ヒロの、せい、だから……!」
 ついにこの場にいない宏樹を責め、行為の正当性を主張する。変に昂ぶってしまった
のを自分で鎮めるのは仕方のない事。途中で止めなかった自身もいけないが、やはり元
を辿ると彼だ。宣言すると四方の壁に反響して、暗示のように重なっていく。
 快楽に流されて、抗っていた理性がどこかへ失せる。熱気が体中から発せられ、制服
の下から汗が噴き出す。こうなると着直した上着とシャツが鬱陶しくなり、成佳はその
ボタンを外していった。
「ふぁ、あっ」
 すっかり固くなっていた胸の突起に指を乗せる。それだけで腕伝いに電気が走り、声
が漏れる。
 キャミソールの上から擦ると、やはり甘い刺激が伝わる。いくら続けても痛みのない
その動作で、成佳は両手を使って自身を愛撫していた。
 もう立派に自慰を完成させてしまっているのもかまわず、成佳はその指を止めない。
体が疼いて、掻き毟りたくなるようなむず痒さが走っている。
 片方ずつ触れている乳首は、それぞれがインナーを持ち上げて存在を主張し、放置さ
れた側がじわじわと熱い。
 壺をかき回す指は根元まで入り込み、奥に進めばぐちゃぐちゃと音を立て、引き出せ
ばどろりとした粘液を漏らしていく。指から手の甲まで伝うほど、多量の愛液を滲ませ
ていた。
 今だけは全てをかなぐり捨てて、ただ刺激だけが欲しかった。そんな一面でも認めな
いと、とても絶頂までたどり着けないから。
「あんっ……ん、あぁ――っ!」
 硬くなった乳首を強くつまむと、遅れて下半身が痙攣した。三度目の絶頂に、クレバ
スを出入りする指はそれまで以上に締め付けられ、奥から噴き出した粘液の洗礼を受け
る。指が入ったままの蜜壺から愛液が溢れだし、ぽたぽたと便器に垂れて水面に波紋を
作った。


 途中で止められていた分が一気に吐き出され、その反動で胸に置かれた手が力なく下
がる。便器に体を預けた状態の成佳は、肩で息をしたまま体が起こせない。まだ小刻み
に震えている股の部分から指を抜くと、たっぷりと愛液が塗られて鈍く光っていた。少
し動かすだけで糸を引き、手首まで垂れていくが、それを拭き取る余力はない。
 いくらか時間が経った後、ようやく立ち上がるまでになった成佳は身支度を整えた。
まだ恥丘は愛液を滲ませているが、いくら拭いてもきりが無く、紙をショーツとの間に
挟んで対処した。その場で全て取り除けなくても、これ以上下着が濡れるのは回避でき
るはずだ。
「……ヒロ、ごめん」
 自身を犯していた左の手を眺めて、成佳はふと呟いた。
 一人でいると、抑えていた感情が込み上がってくる。壁に取り付けられた装置が発す
る水音を理由に、思いをぽつぽつと口に出してしまった。それを止めるものが無いから、
今日は妄想まで際限がなかった。
 それでも、妄想の相手に選んでしまった事に対して罪悪感が生まれて。
 謝罪の言葉を口にして、水洗を流す。勢いのよい水流を眺めていると、なんだかすっ
きりとした気分になった。
 しかし、疲労は残ったまま、少し重い足取りで個室を後にした。

「ナル、大丈夫?」
 人込みを少し探すと、宏樹の姿があった。本人を目の前にして表れたこの感情は安心
か、それとも恥じらいか。すぐに理解が追い付かないが、とりあえず問題ない事をアピ
ールする。
「完全に遅刻だね、もう」
 言われて初めて、成佳は右手につけていた時計を確認した。この時間では走っても間
に合わない。そもそも走るほど体力に余裕はないが、とにかく時間内に到着することは
不可能だと理解した。
「ごめんね」
 頭を軽く撫でられる。それから、その手を差し出された。
 ちょっぴり胸が痛む思いで、手を握り返し、繋ぐ。あらためて安心した気分で、ふた
りは駅舎を後にした。

 本来より数十分と遅れた周辺の景色は、学生の姿が見えないだけで道を間違えた気分
にさせた。歩道が気持ち広いが、すれ違うスーツの女性に背広の男性、それぞれの足は
慌ただしく、のんびり並んで歩いていると邪魔に思われるらしい。
「……ナル?」
 呼びかけると、成佳はハッと顔を上げた。三回目にしてようやく気付いたのか、空い
ている右手で自分の頬をひっぱたく。
 少し力を入れすぎたのか痛そうな表情になり、すぐ元に戻った。
「ぼーっとしてると危ないよ」
 手はつないだまま。転ぶことはないだろうが、万一のことがあっては遅い。
 指摘すると、成佳はまた右の手で頬を叩いた。
「僕たちは学生だから、学校をさぼるわけにはいかないよね」
 成佳は頷く。宏樹もそんな経験はないが、今日は引き返そうかと考えたほど。主に彼
女の心配をしてだが、それぞれ口に出さずに学校へと向かっている。
 信号が青になると、周囲と一緒になって歩き始める。成佳の歩幅が小さく、彼女を引
くかたちで横断した。
「ナル、ちょっと言い訳させてくれる?」
 後は一方通行の路地を進めば目的地だが、ゆっくり歩きながら口にする。成佳はきょ
とんとした顔を宏樹に向けた。
 宏樹は軽く息を吸って整え、落ち着かせてから。
「電車でするフィクションって、たいてい車内で最後までするの」
 自室の本棚に置かれている本を思い出しながら、説明する。
 単独でも、集団でも、触るだけでは済まずに挿入から発射まで済ませてしまう。普通
の恋愛がテーマだと思っていたところにこの描写が入ることもあるから、それは宏樹も
意外だったことだ。

 話を聞いていた成佳は、それを朝の行為に当てはめたのか複雑そうな表情を返した。
「うん、ホントは最後までやろうと思った」
 それらの本を参考にして、車内で最後までしてしまおうかと考えていた。しかし、立
ったままではどうしても挿入しにくいのと、そのために姿勢を変えるためにより一層、
周囲に気付かれるリスクを背負う必要があった。混雑率とは関係なしに、挿入によって
発覚する危険性は高い。
 だから、最後まで行かなかった。しかし愛撫を重ねすぎたせいで成佳は短時間で絶頂
してしまい、降車までの残り距離では間に合わず、後味の悪いプレイになってしまった。
「中途半端で終わって悪いな、とは思うけど。学校だと時間を気にしちゃうかな、って」
 校舎はすぐそこまで見えているが、そこで足を止め、横を示す。いくつかの遊具が見
えているその場所こそ、こんな状況には相応しい。
「どうせ遅刻だし、開き直っても……ね」
 成佳は手を離さなかった。ふたりで周囲を見回して人気がないのを確かめると、少し
早足で公園の砂を踏んでいった。

 やってきたのは女子便所。こじんまりとした公園だがトイレは立派で、しかもきれい
に整備されていた。個室の一つを借りて閉じこもると、なにか隔離されたような気分に
なる。宏樹もあまり利用する方ではないが、同じ公衆トイレでも男子便所の個室より広
い印象を受けた。
 ドアとは反対側の壁に背中を預けている成佳と向き合うと、これから何をしようとす
るのか改めて認識させる。
「本音はさ、僕も興奮しちゃってて、解消したいってところだけど」
「……えっち」
 ややあって、反論。至極正論だが、ここまで来てしまっては抑えがきかない。
 成佳の顎をくいと持ち上げて、唇だけのキス。柔らかい感触は離れるのを躊躇わせる。
「だって、ナルが可愛いから」
 次のキスは舌を絡めて。それぞれの乾いた唇に唾液が塗され、余った分は口の端から
垂れていく。
 結局、宏樹も成佳を責めることで性欲をかき立てられ、血液が下半身に集中していた
わけで。それを発散せずにいたものだから、彼女の言った生殺しとさして変わらない状
況に陥っていた。それで時間を理由に公衆のトイレで続きをするとは、自分で考えてい
る以上に汚い真似だと思いながら。
 服の上から胸板に触れると、ガサガサと衣擦れの音がした。電車と違って他の目立つ
音がないため、必要以上に耳に残る。
 宏樹はそこで胸を探ることはせず、太腿を撫でつけて、やがて指がショーツに触れた。
愛液を吸いすぎたせいでべっとりと濡れていて、生暖かさが残る。
「ナル、これ……」
 そこでわずかに違和感。触れている指に返されるのは、柔らかい肉の質感ではなく、
なにか硬いもののような。プリーツの擦れる音とは別に、彼女の内側からカサカサと聞
こえてくる。
 腿を持ち上げて片足ずつ下着を外すと、一緒に紙切れが続いていた。半ばから破れて、
本来は露わになるはずの恥丘が白で覆われていた。
「気にしてたんだ、ずっと」
 見上げると、成佳は顔を赤くしてそっぽを向いた。
 ショーツの方にあった紙はまだ乾いていて、反対側はうっすらと湿っている。下着が
それ以上濡れてしまわないように、という処置なのはなんとなくわかるが、同時にここ
に来るまで成佳の歩幅が小さかったのも合点が行った。
 紙を注意深くはがしていく。痛めてしまわないよう、ゆっくりとした動作でいるが、
それでもわずかに残って留まった。わずかに汗をにじませる太腿と、恥丘の周辺にこび
り付いている。
「う、あっ」
 柔肌に爪をたてる訳にはいかない。宏樹は成佳の右足を便器に置き、濡らしてから取
り除こうと内腿に舌を這わせた。控えめな喘ぎ声が頭上でするが、頭を押さえている彼
女の手からは拒絶の意思を感じない。
 十分に唾液で濡らしてから、指でこすると簡単に剥がれ落ちた。白の斑点が数を減ら
していき、無事に残り粕を全て取り除いた。

 はあはあと息をついているところに、
「気持ちいいんだ?」
 などと訊くと、成佳はハッと目を開いて顔を横にぶんぶん振った。しかし、少しして
再び問いかけると、ややあってから頷いた。
 宏樹はそんな可愛らしい彼女の体を軽く抱き、それから小さな唇にキスした。
「これじゃ掃除が終わらないよ」
「いじ、わる……っ」
 わざとらしく言って、今度は右の腿を肩に担ぐ。すぐ近くに迫った恥丘は、表面をコ
ーティングされた様につやつやと光って、いやらしい。
「ひ、はっ! あぁっ!」
 今度は舌で直に触れる。ひときわ高い声を上げ、成佳は身体を仰け反らせた。
 先に塗されていた愛液を舌が取り払い、代わりに唾液を塗りつける。それでも奥から
熱っぽい液が溢れだし、混ざり合って口元と壺の蓋、両方を汚していく。
 指先で蓋をこじ開け、鮮やかな桃色をさらけ出す。その内側を舌でこすって、勢いよ
く啜り上げると、背中に彼女の踵がぶつかり、同時に多量の液体が口元に襲い掛かった。
 なおも密着させていると、腿が痙攣してぴくりと動き、そこではじめて彼女が達した
ことを理解した。
「もう、一人で何度もいっちゃうなんてズルい」
 言いながら手の甲で拭うと、成佳の手が頬に当たって、ぺち、と音を立てた。数回の
オーガズムに体が堪えているのか、ちょっと力なかった。しかし抗議の視線はそのまま、
誰のせいだと言外に訴えている。
「キス、しよっか」
 しかし宏樹は気付かないふりをし、返事をする間さえ与えない。
 最初は唇だけ当てて、それから舌を出し合って触れ合う。動作のそれぞれが奏でる音
は、壁に反響して二重、三重になって耳に入る。そんな音の効果は凄まじく、キスに夢
中にさせて他の事を考える余裕がなくなってくる。
 こんな時ばかりは成佳の方が積極的だった。普段こそ大人しくて控えめ、口数の少な
い女子であるところだが、キスするときだけはあちらから唇や舌を求めて動いてくる。
 くちゃ、くちゃ、と粘りつく音をさせながら唾液を交換した後、液まみれになった宏
樹の口を、成佳は舌の先で舐め取っていった。
 満足げにしている彼女に再びキスして、制服の上着、その下のシャツと順にボタンを
外し、最後にキャミソールを左右に分けた。熱のこもった黒髪を撫でると、くすぐったそ
うに肩を揺らした。
「ナル、すごく可愛いよ」
 頭を撫でると、控えめに息を漏らした。
 成佳は便器をまたいでプリーツを向ける格好になった。スカートをまくりあげ、ぷり
ぷりとした尻肉を鷲掴みにして揉み込む。
 ひとしきり感触を堪能した後、宏樹はズボンを内側から破りそうな勃起をようやく解
放した。入り口を探して成佳の恥丘にあてがうと、にじみ出る愛液をもらって表面が鈍
く光り、ぬるりと滑る。
「はっ、あ、うぅ……っ!」
 わずかな窪みから先端が入り込む。挿入にうめき声が混じるが、あわせて肉襞がざわ
つき、からみつく。
 その拘束に宏樹は思わず上りつめてしまいそうになるが、そこは堪える。実にゆっ
くりと動いて、閉じこまれた壁を押し分けていく。
 根元まで入ると、その全てに膣肉が喰いついた。たっぷりの潤滑油を纏わせても、締
め付けに慣れない最初のうちは抜け出すのが難しい。
 暴発しないよう慎重に戻ると、接合部の付近に数条の糸を引いていた。
「ん、あ……ふぁっ!」
 勢いをつけて一気に進入する。往復をスムーズに行える様になると、出し入れの度に
水音がにちゃ、にちゃ、と響く。
 成佳の胸はがら空きだった。両手を壁についた状態で、留守になっていたそこへ手を
やり、腰の動きに任せて全体を押し込む。ほとんど触れていなかった乳首があっという
間に硬くなり、手の平をつんと突き返した。

「すっ……ごい、締めてきてる……。ナル、感じてるの?」
「あ……い、言っちゃ、やだ……っ!」
 ストレートな指摘に、成佳は首を横に振る。主張する突起をそれぞれつまんで捏ねま
わすと、桃色の個室に可愛らしい嬌声が響く。胸を責めると、肉棒が入り込んだ膣はさ
らにキュッと締まって、宏樹の動きを鈍らせた。
 そんなのんびりとした挙動でも、中身は淫らな粘っこい音を出す。乳首責めに移行す
ると、そちらの刺激に合わせて成佳の腰が引け、膣肉が追いすがってくるような感覚さ
え覚えた。
 まだ続けていたいと思って薄桃色の蕾を押しているのに、勃起は全体に圧力がかかっ
て中身を吐き出してしまいそう。
「きゃ……あ、あぁっ!」
 尻を突き出す格好で後ずさりしていた成佳の姿勢を元に戻す。繋がったまま数歩進む
と、中に入った先端が最奥をこつんと叩く。
 しかし、振り返った彼女の顔は不安そうだった。それを見てようやく、宏樹は自分に
余裕が無い事を思い知った。
「ごめん、ナルのこと、考えてなくって……」
 わずかに動いていた体が完全に止まる。とりつかれたような気分だった。申し訳無さ
で低い声になるが、口に出すと頭の熱が引いて、元の小泉宏樹が戻ってくる。
 胸から手を外し、背中から抱いた。呼吸だけが聞こえて、朝の公衆トイレには他の音
が一切しない。
「ひ、ぁ、あんっ!」
 落ち着きを取り戻し、抽送が再開される。ぐにぐにと指先で突起を弄りながら、溶け
そうなほど熱い壺をかき回している棒は、水飴の付いた箸みたいにたくさんの粘液を絡
ませていた。宏樹はその根元から、成佳は壺口から、それぞれが分泌して混ざり合った
液体をこぼしている。
「ふ、あっ」
 奥まで進んで、いちど完全に抜き取る。キスの後みたいな糸を引き、しかし上を向い
たままの勃起は、蓄えた中身を放出したそうに脈打っていた。
 今度は壁に背中を預けて、成佳と向き合った状態。真っ赤に染まった切なそうな顔に
軽くキスして、右の腿を腕で支える。
 蜜の溢れている入口に向かって、ずぶりと頭が入り込む。すぐに反応して締め付けが
始まり、進入を助長するように顫動した。
 半分程度が入ったところで、宏樹は腰を引く。ぬっと糸を引いて後頭部があらわれ、
またすぐ戻る。
「はあ、あっ! あっ、あ……んんっ!」
 背中に細い腕が絡む。追いすがってくる襞の動きから逃げるように往復すると、自然
と運動が速くなる。しがみついた成佳の息が首筋をくすぐり、密着した熱で額から汗が
噴き出す。
 宏樹はここが公園の公衆トイレ、それも女子便所であることすらどうでもよくなって
いた。接合部の鈍い音、打ちつける肌の軽い音が混ざり、耳から侵入して思考を奪う。
 だが、普段とは違う感覚に限界が近くて、いつものように口を開けない。
「ナル……僕、もうっ……!」
 苦し紛れに声をひり出す。最後の方は――途中からも――成佳に届いているかはわか
らない。それくらい必死だった。
 ぬちゅ、ぬちゅ、と水音。泡立つ接合部。棒に与えられた圧力もあわせて快楽に流さ
れそうになる。
「ん、く……っ、あんっ、は、ぁ――っ!」
 途中、成佳の指に力が加わった。それと一緒に膣肉がギュッと締まり、ふと考えてい
た事が消し飛びそうになった。
 それでも強烈な締め付けから抜けだし、露わになった勃起は、持ち上げられていた成
佳の右腿に白濁を放つ。振りすぎた炭酸のようにとめどなく放出され、すぐには収まら
ない。プリーツにもかかって染みを作り、いくつも重なって肌を流れ落ちると、ぼたぼ
たと床に飛び散った。

「……うわ、たくさん」
 ものすごい喪失感と疲労を覚え、肩で息をしながら、宏樹は自身が吐き出した精液の
量に驚く。電車の中で引き上げられた分、この行為の最中にあらわれた分、実に二回分
相当を一度に放出し、それが成佳を汚していた。
 泡の残った恥丘と、愛液と先走りが混じった液、さらに白濁を垂らしている太腿がひ
どくなまめかしい。
 気だるさが残る腕を動かし、シングルのペーパーで拭き取っていく。腿を持ちあげて
紙を滑らせると、くすぐったいのかぴくりと動いた。

 それぞれの後始末を済ませて水洗を流すと、この場所がトイレであると再認識させた。
発覚すること覚悟……どころか、全く声を殺そうとしなかったことに、今頃になってふ
たりで驚く。どちらともなく、くすりと笑った。
「拭き残しはない、よね」
 外の様子を成佳に調べてもらい、宏樹はその間に自分たちが行為に耽った個室から、
その証拠がなくなっている事を確認する。壁、床、便器と、隅々までその目でしっかりと。
 携帯が一瞬だけ振動する。何もないと分かると、ひとつ水洗を流した。それから、小
走りで女子便所から出ていく。
「はい、おまたせ」
 日差しがやけに眩しく感じる屋外で、成佳は鞄を両手に待っていた。火照った体には
少し冷たいそよ風が、肩まである彼女の黒髪を揺らす。
 今度は二人とも同じくらいの歩幅で、車の通りが少ない一本道を並んで歩く。とはい
え、授業をふたつくらい消化した時間だからか、とてものんびりと。
「まだ、ちょっと気になる?」
 訊くと、成佳は恥ずかしそうに頷いた。せっかく応急処置をしたのに、さっきの行為
でさらに絶頂を迎えて、その恥丘にショーツがあてられている。確かに後始末はしたの
だが、それでもどこか落ち着かないような仕草を見せた。
 その後始末を、成佳が自分ですると主張したのに進行する気配がないから、手を貸し
たのがいけないのかもしれないが。
「でも、学校に着いたら体操着のパンツでも穿いておけば、見かけでバレる事はないん
じゃないかな」
 スカートを身につける女学生の常套手段。何気なく口にしたが、対して成佳がハッと
顔を上げたものだから驚いた。
 その表情は驚きと関心が混じっていて。
「もしかして考えてなかっ――だっ!」
 言い切る前に垂直方向から本のカドをぶつけられ、宏樹は地面にめり込む思いをした。
2011年08月24日(水) 09:31:23 Modified by ID:uSfNTvF4uw




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