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ネコなカノジョの観察日記04

学校が終わって、その帰り道。
ごく普通に歩道を歩く僕をよそに、綾は性懲りもなくステップを踏むように軽やかに塀の上を歩いてる。
ああ、今また買い物帰りっぽいお母さんが、綾を指差そうとしてるお子さんをたしなめている。
ため息ひとつ。
「綾、だからそこ歩くのやめようよ……危ないからさ」
いや、綾は危なくないだろうけど、お母さんにたしなめられたさっきのお子さん、手を引かれながらも
いまだにやたら羨望にあふれた表情でずっと綾のこと見てるのがすごく気がかりだし!
真似とかしなきゃいいけど。
と、綾が足を止めた。
てっきり朝みたいにスルーされるかと思っただけに、正直意外。
そんな感想をよそに、綾は僕のほうをちらりと見ると。
「……大丈夫」
と、一言呟いた。
大丈夫って、と聞き返そうとする前に、綾の体が突然翻る。
綾の上体は横向きに勢い良く投げ出され、そこから伸びた両手が塀の上に添えられそこを支点にして
下半身が大きく弧を描く。
そうして前方に振られた綾の両足は、再び見事塀の上に着地。ついでに両手は万歳のように上に大きく
差し出されている。
つまり、終わってみれば、惚れ惚れするような見事な側転だった。
……って!
「あああ綾! そんなことしちゃ危ないって!!」
いや本当に背中を冷や汗が流れる。綾に限ってそんなことはないだろうけど、もし着地失敗したら、
と思うと今更ながらに血の気が引くって!
「……大丈夫」
と、そんな慌てふためく僕の様子もどこ吹く風、綾はもう一度同じことを呟いて。

そして、おもむろにスカートのお尻をめくり上げた――。
って綾ぁぁぁぁ?!
もう、さっきのなんて比じゃないくらいに慌てる僕をよそに、綾は再びぽつりと呟く。
「……スパッツだから」
いや確かに目をそらす前にスカートの下に一瞬見えたのはまごう事なきスパッツで、朝の一件を学習
しての対応策なんだろうけど危ないってそういう意味じゃなくてね?!
いやいやそれ以前に綾の小ぶりだけどきゅっと引き締まったお尻の形が目に映るという意味では、
ぴっちりとしたスパッツはある意味でぱ、ぱ、パン……下着以上に凶悪でね?!
いやいやいやそもそも大前提として中が下着だろうがスパッツだろうがショートパンツだろうが
スコートだろうが他のなんだろうが、男の子にとっては「女の子のスカートの下」というスペース
そのものが見果てぬ禁断のワンダーランドでねーーーっ!?
って僕は何を言ってるんだーーーーーっ?!
そんな挙動不審極まりない僕を、塀の上にしゃがみ込み(当然スカートはもう下ろしている、念のため)
膝の上に顎を乗せてぢーーーーーっと見ていた綾は、ぼそりとこう漏らす。
「……ヘンなハル」
いや、綾にだけはそれは言われたくないから。





そんなこんなの一騒ぎの後、僕たちは夕飯の材料の買出しにスーパーに立ち寄る。お互いの両親は今日も仕事で
遅くなるそうだから、当然と言うべきか準備は僕の仕事になる。
……いやどっちかの両親がいても、僕の仕事になる日も多いんだけどね……。
とっくの昔に吹っ切れたはずの自分の人生についての疑問を、ため息一つとともに振り払う。
そんなことを考えながら買い物を用意する僕だけど、振り返ると綾の姿はもうどこにも見えない。
ため息もう一つ。
まぁ、買い物に来て綾がふらりと消えるのはいつものことだ。
試食コーナーを制覇してるか、興味を引いたものの前で獲物を狙う獣の目をしてるか、どっちかだろう。
僕は慌てず、今日の特売品のチェックと生鮮食品の冷蔵庫のストックと品物の値札を照らし合わせながら、
ゆっくりと店内を見てまわる。
ほどなく、綾を発見。今日の綾は、鮮魚コーナーにかぶりつきでぢーーーーーーっと見つめていた。
近づいて綾の見ている先を確認すると、そこにあるのはイカの特売コーナー。
「綾……今日はイカがいいの?」
イカから視線を寸とも外さず、こっくりとうなづく綾。
イカか……煮ても焼いても揚げても生でも使えていいな。値段も見たけど、さすが特売だけあってお得だし。
父さんたちが帰ってきた場合の夜食にもできるように、大目に買ってもいいかな。
この間は、初鰹に綾が目をつけてちょっと大変だった。うん、季節ものだし鰹自体はいいんだけど、
綾は容赦なく大パックをほしがって、ちょっと出費がね……。
そんなことを僕が考えてると。
「あれ……斉藤くん?」
横合いから声をかけられた。
「あ、姫萩さん。今帰り?」
「うん、こんばんは斉藤くん。綾ちゃんもね」
「………………(しゅたっ)」
偶然見かけたクラスメイトに、僕らは挨拶を交わす(綾はイカから目を離さず、手を挙げただけだけど)。
彼女の名前は姫萩紫(ひめはぎ ゆかり)、中学時代からの友達……正確には綾の友達で、そのつながりで
僕とも仲良くなった子だ。まん丸の大きめな眼鏡と三つ編みお下げに顔はやや童顔、趣味は料理と読書と
編み物の大人しい子という、公平あたりに言わせれば「これぞ清く正しいメガネっ子の姿!!」な子だ。
綾とは正反対の性格とも言えるけど、それが逆にいいのか綾とはとても仲がいい。
同じ料理仲間ってことで、僕ともね。



「姫萩さんも買い物?」
「うん、明日のお弁当の用意をしようと思って……」
そこでかすかに頬を染めてはにかむ姫萩さんに突っ込むのは野暮というもの。僕は礼儀正しくスルーする。
「こっちは夕飯の支度なんだ。今日は僕が当番だから」
「いつも大変ね、斉藤くん……今日のお夕飯は、イカなのかな?」
イカから一瞬たりとも目を離さない綾をちらりとみて、姫萩さんが尋ねてくる。
「うん、綾がロックオンしちゃって……でも、いろいろ使えるしいいかなって」
里芋と一緒に煮るのは定番だし、父さんたちのお酒の肴にもいいだろう。イカリングフライとかもいいな、
多めに作って明日のお弁当にまわしてもいい。あとは、七味をたっぷり利かせたイカのステーキとかも僕は
結構好きだったり。お好み焼きや焼きソバの具にするのだって素敵だ。
そんなことを話してると、姫萩さんは小さく笑う。
「斉藤くんのお話聞いてたら、私もイカが食べたくなっちゃった……イカ飯とか作ってみちゃおうかな」
不意に、袖が引っ張られる。
そちらを見ると、いつの間にか傍にいた綾が僕の袖を握り、何かを訴える目でぢーーーーーっと
僕を見つめている。
何を言いたいかは、一目瞭然だった。
くすくすくすと、姫萩さんが口元を押さえて可愛らしく笑う。
「綾ちゃんも、イカ飯が食べたいみたいね」
「……そうみたいだね」
「………………(こくこくこく)」
僕は、頭をかく。
「でも、イカ飯か……作ったことないなぁ」
「斉藤くんだったら大丈夫だと思うな。基本的には材料詰めて煮込むだけだし、時間はちょっとかかるけど、
手間はそんなにかからないよ」
「そうなんだ……だったら挑戦してみようかな」
「うん。あと時間も、圧力釜とかあったら短縮できるし」
「そっか、それはいいこと聞いたな……そうだ、ゲソの方はどうするの? 別にから揚げとかてんぷらとか?」
「それでもいいけど……私は、細かく刻んでご飯と一緒に詰めちゃうかな」
「あ、それはいいね。外もイカ、中にもイカって得した気分になれそう」
「でしょ? あとそういう工夫なら、ワタも一緒に煮込むと味に深みが出ていいよ」
「お、姫萩さんの秘伝だね」
「あはははは、そんな大げさなものじゃないけど」
そう言ってころころ笑う姫萩さんに、僕はふと「最近姫萩さんは、可愛くなったなぁ」と思う。
うん、中学のころから大人しめの可愛い子だったけど、最近は以前よりもずっと明るくなって良く笑うように
なり、華やかな印象になったと思う。
その立役者と言えば、当然……って!
不意に右腕に痛みを覚え、そちらに目を向ければ……。
綾が、僕の二の腕あたりに噛り付いていた。
「……何をしておいででしょうか、綾さん」
思わず敬語。
しかし綾は(当然と言うべきか)答えることはなく、かじるのも止めることなく、僕のことをぢーーーーっと
見つめている。
……いや、眉根の寄り具合をみれば、睨んでいると言うべきか。
と、冷静っぽく語ってる僕だけど、さっきまでイカに夢中だった綾がいきなりこんな行動に出た理由が
さっぱりで、結構動揺気味だ。こういう人目の多いところでこういう行動は控えてほしいと切に
思うんだけど、理由が分からないと止めてもらいようもないし……!



「あらあらあら」
反対に姫萩さんは、楽しそうに笑ってる。
「姫萩さぁぁん……」
「あ、ごめんね、笑ったりして」
思わず情けない声を上げた僕に、姫萩さんは顔の前で両手を合わせ、お茶目な謝罪のポーズをしてみせる。
こういうお茶目な感じの仕草も、前には見られなかったものだ。
……こんな仕草も、わりと似合ってて可愛いと思う。
「って綾、痛い痛いイタイってば!」
綾の噛り付きがパワーアップ。振り払おうにも手荒にはできないし、そもそも体力勝負は綾の方が有利だし。
そんな風に僕が途方にくれてると、姫萩さんが悪戯っぽい微笑を浮かべて、綾の顔を覗き込んだ。
「ごめんね綾ちゃん、心配ないから大丈夫だよ?」
「………………」
綾は反応なし……いや、ちょっとだけ噛まれる痛みが和らいだ、かな?
「うん、本当に大丈夫だから。今のはね、斉藤くんが綾ちゃんにおいしいご飯を食べてもらうための相談なんだよ」
「………………」
綾はまだ僕の腕を放さない。放さないけど、視線は姫萩さんの方に移る。
「大丈夫大丈夫。斉藤くん取ったりしないし、第一斉藤くんが綾ちゃんをないがしろにするはずないもん」
そういってにっこりと笑う姫萩さん。
姫萩さんまで公平みたいなこと言うし!
そもそもそれが今何の関係が!
と思っていたら、しばらくぢーーーーーっと姫萩さんを見つめていた綾が、ちらりと僕に視線を戻すと……
僕の腕から離れていった。
……えーと、今の展開で、なんで?
綾のことは僕も良く把握してるとは言いがたいけど、それでも綾のことは僕が一番分かってるつもりだったし、
少なくとも他の人に分かって僕に分からないことがあるとは思わなかったから、正直戸惑ってる。
僕が噛まれてた部分をさすりながらそんなことをボーっと考え込んでると。
「言っておくけど、綾ちゃんの言いたいことが分かるようになったわけじゃないよ?」
そんな僕の考えを読んだように、姫萩さんが言う。
「ただ今のは、女の子として分かっちゃったから」
女の子として、か……じゃあ、やっぱり男にはわからないことなのかなぁ……?
首をひねる僕が可笑しかったのか、姫萩さんはまたくすくすと笑う。
その笑い方がなんだか妙に大人っぽくて、なんだか頬が熱くなってしまう僕。
って?!
「あの、綾さん……痛いんですけど……」
「………………(むー)」
「あらあらあら」
「姫萩さん……笑ってないで助けてくれないかな……?」
「だーめ、綾ちゃんがかわいそうだから、そう何度も助けてあげません」
かわいそうってどういう事?! それにしても本当に姫萩さんはかわいくなったなぁ……。
「………………(むむー!)」
「って綾、痛い痛い痛いから!」
「あらあらあら」
そんな僕らの様子を見て、姫萩さんは楽しそうに笑うのだった……。



おまけ。
「ところで、綾ちゃんにイカを食べさせて大丈夫なの? 食べ過ぎると腰が抜けちゃうってよく聞くけど……?」
………………。
いや綾はネコじゃないから! ネコっぽいけど普通に人間だから!

前話
作者 5-321
2008年09月07日(日) 22:09:42 Modified by n18_168




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