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レイナVSワカバ(仮題)

「全く簡単な物ね」 女子キックボクシング世界チャンピオン 二階堂レイナは、
反対側のコーナーに立つ少女を見つめる。
高木ワカバ
レイナより頭一つ分低い小柄な少女、
そんな娘が、L−1グランプリの頂点に君臨しているというのだ。

じっと下を向き、大人しめな印象を与える少女。
記者会見の場でも、
「……がんばり……ます」
しか言わず、大部分は付き人が代弁している。
それに比べ、

「それに比べて私には華がある」
一撃必殺のハイ・キック。
ド派手な入場。
そして、観客を引き込む、マイクアピール。

「私こそが、頂点にふさわしい」
目の前の少女は地味な関節技を駆使し、
一般客はいつ決まったのかもわからない。

( スポンサーも、プロデューサーも、
あんな地味な子より私が頂点に立ったほうが、数がとれて、
大喜びするだろう )
「おい、レイナ、油断するなよ!!」
「平気だって、相手は柔術家でしょ? 
関節を取りにきた所に蹴りを当てて終わり、簡単よ」
( セコンドもなにを心配してるんだか )



カーン

試合開始のゴングが鳴り、

ゴングと同時に、両者が飛び出し、

凄まじい打撃を受けて、
レイナはマットに沈んだ。

若葉は、普段なら掴みに行く踏み込みの早さで、
そのまま右フックを放った。
体制を低く取り、大きく振りかぶるようなそのフックは、
俗に『ロシアンフック』とも呼ばれ、
打撃を警戒していなかったレイナは
それをもろに顎に受けたのだった。

普段なら、ここで倒れた相手を寝技で仕留めにいくワカバだが、
レフリーにカウントを要請する。

ワン、ツウー、スリー、
カウントが進むがレイナはぴくりとも動かない。
ナイン! テン!

「ホント、……簡単な……試合」

失神したレイナを見つめ、

ワカバはぽそりとつぶやいた。

作者 5-612
2008年09月25日(木) 21:34:36 Modified by n18_168




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