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園子(仮題)

 目が覚めると、枕元に誰かがいた。
「うわあああっ」
 俺は布団を蹴飛ばして飛び起きると、そのままあとづさる。
 だ、誰だ?

「……」
 座布団の上に正座しているその女の子は、驚きとショックを半分づつ混ぜたような表情で俺を見ている。
 べしゃ、とどこかで塗れた雑巾を床にたたきつけたような音がする。
「……」
 その正座している女の子は、ショートカットの癖っ毛の下の真ん丸いつぶらな瞳で俺のことを見つめている。
 着ているというよりも着られているという感じのセーラー服。
 さいきんちょっとむちっとしてきて気になっている、スカートから覗くふともも。
「な、なんだ、園子か…」
 いつも俺の部屋に入り浸っている、このアパートの大家さんとこの一人娘でかつての家庭教師の生徒である女の子が
熱でうなされている俺の様子を見に来てくれていたというわけで。

「……心配だった」
 園子はものすごく口数が少ない。
 複雑な家庭環境で育ったからなのか、すごく大人しくてあまり自己主張をしない、でも頭の回転は早くて
他人をすごく思いやってるイイ子だ。ほんと、最近の女子高生にしておくにはもったいないくらいのイイ子なのだった。
 そんなイイ子は、熱でフラフラになって帰宅した俺のことを気に掛けてこうやって来てくれたわけで。

 でも、いくらなんでも暗い部屋の中で俺のことをじっと見つめているのは驚くというかビビるというかちょっとちびりそうになる。
 園子は正座している傍らには洗面器が置いてある。
 布団の上の枕も、気が付いたらゴム製の水枕に替わってるし。
 ていうか、その洗面器で冷やしてくれた濡れタオルがさっきまで俺の額の上に置いてあったんだ。
 さっきべしゃっと畳に落ちた濡れタオルはその音だったわけで。
 俺は思い立って園子に尋ねた。
「俺のこと、心配で来てくれたのか?」
「……」
 こくり、と園子は無言で頷く。
 黒目がちな大きな瞳は、純粋に心配そうな色で揺れている。
 俺はこんな親切で可愛くていじらしくて優しい女の子を安心させたいキモチで胸の中が一杯になってしまう。
「大丈、ぶ、だ」
 言いながら咳き込んでしまう。
「…すごい汗」
 園子は立ち上がると、俺を布団の上に座らせる。
 そして台所からお湯を入れた洗面器を持ってくると、別のタオルをそのお湯で絞る。
 園子の細くて小さな指が、俺のパジャマのボタンを外していく。
 されるがままになっている俺は、いったいいつパジャマなんて着たんだっけ?と朦朧とした頭で考える。
 会社から早退してきて、背広をほっぽってネクタイもほどいて投げて、シャツとパンツいっちょで布団に
倒れこんだだけな気がするのだ。そもそもココ最近寝るときパジャマなんて着てないし。
 もしかして、園子が着させてくれたのか?

 園子は俺の裸に緊張しているのか、ちょっと強張った表情で俺の首筋にタオルを当ててくる。
 寝汗で湿った肌が、熱いタオルで拭われていくのは気持ちがいい。
 園子のちっこい手が俺の肩を掴み、胸、腹、とタオルを走らせていく。
 熱いタオル。すごい熱い。っていうか、園子の手も火照っているくらい熱い。
 ていうか洗面器のお湯、もしかしてほぼ熱湯なんじゃないか?
 真剣な顔で俺の身体を拭ってくれている園子。
 俺がこのアパートに越してきたときにはまだほんのちびっ子だった園子。
 家庭教師をしてるうちに、だんだん打ち解けてきて、ときどき笑顔や笑い声も聞かせてくれるようになったのは俺が大学2年に
なったころだった。中学生になり、高校に合格したときには珍しく嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねながら俺に抱きついてきたっけ。
そのときに感じた園子の身体つきにドキっとしてしまったのを覚えている。それはグラマーではないが、明らかに子供とは違う女の子の身体の柔らかさだった。そう。ちょうどコレくらいの柔らかさで、こんな匂いがして、これくらい体温が高くて―――
――って!おい!なんで俺園子ちゃんを押し倒してんの?いや、これは熱でフラフラになっただけで!いや、そんな下心とか
全然無くて!っていうか、園子ちゃんもなんか言えって!キャーとか!なんでそんな真っ赤な顔で、うるうると瞳潤ませてんの?
ヤバイって!そんな顔されたら!俺どうにかなっちゃうって!色っぽくため息とか吐かれても困るし!


――――――――――――――――――――


 園子に嫌われてしまった。
 園子ってのは大家さんちの娘さんで、俺がこのアパートに越してきた大学一年の頃から
ずっと家庭教師をしてて、まるで妹みたいに可愛がってきた女の子なのだ。
 ちょっと前まではだいたい週一くらいの頻度で、俺と園子は朝一緒に駅まで行ってたりしてた。
 そこそこ会話もしてたし。
 と、いっても園子はほとんど喋らないので、一方的に話す俺にたいして時折「……はい」とか
「…そうです」とかしか言わないわけだが。

 ともかく、そんな園子に最近避けられているような気がする。

 滅多に会わなくなったし、昨日なんて大家さんちの玄関から出てくる園子に手を振ったら、逃げられた。

 そりゃ俺が悪いんだろう。
 熱で朦朧としてたとはいえ、看病しに来てくれた園子を押し倒すなんて、それは確かに悪かった。
 おまけに俺上半身裸だったし。
 弁解させてもらえば、アレは別に変な気を起こしたわけじゃなくて熱で布団の上に座っていられなくなって
倒れただけで、その倒れた下に園子がいただけの話なのだ。

 まあ、でも確かに園子にしてみればショックだったのかも。
 兄みたいに思ってた男に恐怖を感じたら、そりゃトラウマにもなるだろう。
 でも、いくらなんでもなあ。
 逃げることはないんじゃないかと思う。





 そんなことを思いつつ、夜食のカップ麺にお湯を入れてたら、アパートのドアを誰かがノックした。
 誰だ?こんな夜中に。

 ドアを開けると、そこには園子が立っていた。

「あれ?園子?いったいどうし――」

 そこまでしか言えなかった。
 コートを着た園子が、俺の身体に抱きついてきたから。
 ちっこい身体が、俺の胸に飛び込んできた。
 ふわふわのショートヘアが、俺の顔に押し付けられていい匂いがする。
 お日様の匂いとシャンプーを混ぜたような、どことなく甘くて柑橘系のいい匂い。
 そんな匂いを嗅ぎながら、俺は園子の突然すぎる行動にどうすることもできないでいた。
「そ、そ、園子ちゃん?」
 やっと搾り出すようにしてそう声をかける。
 でも、園子は俺の言葉などまったく気にもせずに俺の胸元に顔を押し当てながら、かすかになにかを
呟いている。聞こえないけど。

「……おん……の……なんて」
 いつもの無口な園子が、そんな声を出しながら俺の身体に細い腕を回して抱きついている。

「おい、園子?どうしたんだ?」

 こんな夜中に、突然園子がやってくるなんて尋常じゃない。

 胸にしがみついてくる園子の顔を無理やり、上向かせる。
 真っ赤になった女の子の顔が俺の視界に飛び込んできた。

 頬から、額から、耳まで真っ赤に染めた女の子。
 小学生だったころからずっと見ていた女の子が、何か熱に浮かされたような表情で俺を見つめている。
「園子、おい、落ち着け。いったいどうしたんだ?」

 突然園子はつぶらな瞳を潤ませると、その目じりから涙を流し始めた。

「…ふ…く…ふぁぁぁあああああん」
 園子は、こらえ切れない嗚咽を漏らしながら俺の胸に顔を埋める。
 胸が痛んだ。
 園子が泣いている。ダメだ。園子は、いつも笑ってなきゃダメなんだ。

 そう思ってしまった俺は、いつしか園子を抱きしめていた。
 胸の中で涙をこぼしながら声にならない嗚咽を漏らし続ける園子。
 ちいさな頃から、ずっと見てきた園子。
 ランドセルを背負ってた頃から、高校のセーラー服を着るようになった今まで、妹みたいに可愛がってきた園子。


 そんな園子が、泣いてちゃダメなんだ。
 俺は園子のちっちゃな身体を抱きしめる。
 手のひらで背中を撫ぜ、小さな頭の後頭部をかき抱くように抱きしめる。

「園子」
 俺は園子の耳にそう囁いた。
 その囁きを耳にした園子はひくん、と身体を震わせる。

「園子。泣くなよ」
 ぷるぷる震えている園子。
「……ふ……ぐぅ」
「泣くなって」
「う…うぁぁあああああーーーー」

 園子はその瞳からぽろぽろと涙をこぼしながら泣きじゃくっている。
 俺が園子の頭を撫でれば撫でるほど、園子はふるふると震えながら涙をこぼし続ける。







 玄関で抱き合ってるのもなんなので、座らせて落ち着かせることにした。
 スンスン言っている園子にお茶を出してみる。
 座布団に座ってちゃぶ台に向かっている園子は、視線をお茶にずっと落としたままだ。
 何が恥ずかしいのか顔を真っ赤にして、時々鼻を鳴らしている園子はコートの下に
高校の制服のセーラー服を着ていた。なんでだ?

 俺は園子に尋ねてみる。
「園子。何があったんだ?」
「……」
「……黙ってちゃわかんないだろ?」
 園子は、基本的にすごくいい子で。
 他人を困らせるようなことは絶対にしない。
 大家さんちは御園さんという苗字で。
 普通そんな姓の香具師は娘に「園子」なんてつけたりしない。被ってるから。
 園子は、大家さんちの遠縁で、七歳の頃両親が蒸発してしまったから子供のいない御園さんちに貰われてきたのだという。
 家庭教師を始めて二年目にして、園子はそのことを打ち明けてくれた。
 そんな苦労をしてるからなのか、園子はものすごく内向的で、それでいてものすごく素直な子だ。

 そんな女の子が、俺の問いかけに対して口ごもっている。

 言えないようなことなんだろうか?
「…ぃ…が…」
 園子の薄桃色の唇がかすかに動く。
 ヒロ兄ぃが、と園子は言っているようだ。
 俺のことを園子はヒロ兄ぃ、と呼んでいる。
 俺の名がひろゆきだからそれはそれでかまわないが、弟妹のいない俺には「兄ぃ」ってのが
ちょっとキュンとくる呼び名だってのはこのさいさておく。


 で、園子だ。
 口ごもりつつも、園子は続ける。

「…………」
 俺が?女の人と、いっしょにいた…って?何のことだ?

「……………………」
 え?部屋に入れた?女の人を?




 腑に落ちた。
 そういえば、昨日、職場の同僚の田中さんがこの部屋に来たんだっけ。
 田中さんには俺の古いノートパソコンを譲る約束をしてて、で、昨日はたまたま近くまで来てたから
うちまで取りに来た、ただそれだけのことだった。
 ま、そりゃたしかに田中さんて女の人ですけど。美人だし。
 でも、あの人俺の先輩の奥さんっすよ?
 そんな気出すわけないじゃん。

――園子って、もしかして嫉妬してる?

 園子はまた涙ぐみ始める。
「…おん……のひとが…」
 よく聞き取れないが、俺が部屋に女の人を上げたのがショックだったらしい。


「わた…………っと………のこ……だった……のに」
 おい待てそれはなんだなんて言った今!?

わたしずっとひろにぃのことすきだったのに

 そう言わなかったか?

 耳たぶまで真っ赤にしながら、うつむいた園子はそれをもう一度繰り返す。
「わたし……ずっと、ヒロ兄ぃのこと……す、すき、だったのに」


 そう言って園子は顔を上げた。
 つぶらな瞳。低い鼻。ふっくらとした唇。薄ばら色に染まるぷにっとしたほっぺた。

 俺はその顔に見とれていた。
 妹程度に思っていた。
 園子はいつまでも子供な、ちっこい妹分だと思っていた。
 でも、その顔はまぎれもなく女の子の顔だった。
 恋に焦がれているその少女の顔は、俺の心の奥底をズキっと甘く痛ませた。

――かわいい
――園子が。ガキだとおもってた園子が。こんなに――可愛い。

 そんな可愛い女の子が、自分のことを好きだ、と言っている。
 それはまるで夢のような幸せなことだ、と俺は実感してしまう。

 気の弱い、なにかにつけ他人の顔色をうかがってしまうような女の子。
 自分からあまり話をすることの少ない、いつもなにかに怯えているハムスターみたいな小動物のような女の子。

 そんな園子が、自分の内心を吐露している。
 それにはどんな決意が要ったのか、俺にはわかる。


 だから、俺が園子を抱きしめていたのは全く自然な流れであり。
 胸の中で「…くふぅっ」というような幸せそうな甘い吐息を漏らす女の子が可愛くて、
好きで、愛しくてたまらない。
 体温が高いのか、制服越しに感じる園子の肌はとても熱かった。
 園子の身体は柔らかい。ちっこくて、力を入れたら骨が折れちゃいそうなくらい頼りなくて。
 その身体についているまるい胸はまぎれも無く女の子であることの証拠で。
 そんな園子を抱きしめているうちに、俺は身体の中がだんだん熱くなってくるのを感じていた。

「園子」
 俺が耳元でそう囁くと、園子は身体をびくんと震わせる。
「園子」
 耳にかかった髪の毛を除けながら、耳元に囁いてやると園子の身体からはくったりと力が抜けていく。
「…う…」
 また泣きそうになる園子に俺は囁く。
「泣くなよ。…ごめんな。俺、お前がそんなこと思ってたのに気づかなかった」
「……ぅ」
 ぴったりと寄せあった頬が熱い。
「妹みたいに思ってた。ごめんな。こんなこと女の子の方から言わせたらダメなのにな」
「……」
 身体を少しだけ離して、園子の顔を覗き込む。
 涙を瞳のふちにたたえながら、園子は俺の顔をまっすぐに見ている。
「俺も、お前のことが、好きだ」
 涙が決壊した。
 つつー、と赤いままの頬に涙の線が流れていく。
 園子のあごに手を当てると、上向きにさせた唇に、自分の唇をそっと重ねる。

 ふんわりとしたやわらかさ。
 かすかに香る、柑橘系のような匂いと、興奮に熱くなった血潮の熱を感じる。
 しびれるようなそのキスの感触に、俺は唇を離したくない。

 長いキスを終えると、俺と園子の唇の間には銀色の糸の橋がかかった。
 キスしながら呼吸ができないのか、園子は荒く口で息をついている。
 ふとした疑問がわいて来る。
「園子、お前キスするの初めてか?」

 その問いに意外な答えが返ってきた。
「……二回目、です」
「二回目?」
 園子はキスの経験があるのか。そんな意外な、でもどういうわけかムカムカするような感覚を
胸の中に感じていた俺は、続く園子の言葉にはっとした。

「……先々週、ヒロ兄ぃがしてくれたときが、ファーストキス……です」

なぬ?!

「……………………………………」
 俺が襲い掛かってきてすごくびっくりした、と園子は言う。
 いや、それは襲い掛かったんじゃねえ!っていうか誤解だ!

「……………………………………」
 そのとき、キスしてくれて、キスして貰えてすごく嬉しかった、って?

 園子はこくりと頷く。
 キスなんてしたっけか?

「……………………………………」
「動転して逃げてしまってごめんなさい、だって?」
 再び頷く園子。

 そんなことしちまってたのか俺。
 そんなつもりは毛頭無かったのだが、園子にしてみたらそれは念願の行為だったらしい。


「……………………………………」
「きょ、今日は逃げません、って……それって……そういう意味か?」
 園子は小さく、しかし力強く頷いた。



作者 3-120
2008年01月20日(日) 19:24:50 Modified by n18_168




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