日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




中国海軍のソブレメンヌイ級駆逐艦は建造が休止していたロシア海軍向けの2隻(956E型)を1996年9月に購入したもので、そのままサンクト・ペテルスブルグのズダノフ建造所で建造を進め、1999年12月に1番艦、2001年1月に2番艦が引き渡された[11]。両艦の購入価格は8億ドルとされている。さらに中国海軍は兵装を改良した956EM型と呼ばれる改ソブレメンヌイ級を2隻発注しており、3番艦は2004年4月に進水、2005年12月28日に中国海軍に引き渡された。4番艦は2004年7月の進水後に火災にあって完成が遅れたが、2006年に中国海軍に就役した。956EM型2隻の購入価格は、新規建造であり改良が行われた事もあって合計14億ドルと956E型よりかなり高騰している。

【性能】
ソブレメンヌイ級はウダロイ級駆逐艦(1155.1型)とともに1980年代に出現した駆逐艦で、後者が対潜作戦任務を重視したのに対して、対空・対水上攻撃力を重視されて建造された。ソブレメンヌイ級は、良好な外洋航海能力と各種装備を搭載するプラットフォームとしての両立を図るため、基準排水量6500t、満載排水量7940t、全長156.4mと駆逐艦としてはかなりの大型艦となった。船体幅は17.2mで全長/幅比率は9とかなりゆとりのある艦幅が確保された。船体上部は短船楼首型で、荒天下でも良好な航行性を確保している[18]。

【ミサイル兵装】
対艦攻撃の主兵装となるのは3M80E対艦ミサイル「モスキート」(NATOコード:SS-N-22 Sunburn/サンバーン)である。艦橋両側面に配置されたKT-190E四連装発射機二基に合計8発の3M80Eが収納されている[9][19]。3M80Eは、発射前に自艦のレーダー、もしくは前方展開している艦艇、ヘリコプター、航空機、海洋監視衛星などから目標データを入手し、そのデータを元に緒元の算定・入力を行って発射する。中間段階の誘導システムは慣性航法誘導を採用しているが、飛行中も母艦のMR-331 Mineral-ME射撃統制レーダーのデータリンク機能(Mineral-ME3)による指令アップデートが可能[12]。より大型のP-700「グラニート」対艦ミサイルのように、リーダー役のミサイルの探知情報に基づき編隊飛行を行う機能はついていないが、発射前に得た敵情報に基づいて各ミサイルの飛行コース、到達予定時間などを調整することは可能[9]。例えば、それぞれのミサイルが異なるコースで目標に飛来して、同時に着弾することにより、相手の対処を困難にする攻撃を実施する事が出来る[9]。中間段階では高度20m以下で飛翔し、目標から50kmの距離に到達すると弾頭部の多チャンネルのレーダー・シーカーでホーミングする。レーダーは自らレーダー波を発射して目標を探知するアクティブ方式と、艦艇が発するレーダー波を探知・追尾するパッシブモードの二種類を併用[19]。これは敵の電子妨害に対する抗湛性改善のための措置[19]。突入時は補足されないように、S字の回避運動をとるといわれる。発射時はロケット・ブースターを使用し、それが燃え尽きた跡の空洞をラム・ジェットの燃焼室に用いる統合式ロケット/ラム・ジェットを動力としており、4枚の折畳み式主翼の付け根にエアインテイクがある。最大射程は120km、最高速度はマッハ2.5以上。高度20mで飛来した場合、艦艇のレーダーで発見しても着弾まで30秒程しかなく迎撃は容易ではない。弾頭は300kgの高性能爆薬を積んでおり(米のハープーンは200kg)、命中すれば目標に致命的なダメージを与えるだろう。後期型の956EM型では、対艦ミサイルを3M80E「モスキート」の射程延長型である3M-80ERB(最大射程は資料[10]では240km、資料[11]では200km)に変更された。

9M38中距離対空ミサイル「ウーラガン」(NATOコード:SA-N-7 Gadfly/ガドフライ)は旧ソ連が開発した対空ミサイルで、陸軍用の9K37M1対空ミサイル「ブークM1」(NATOコード:SA-17 Grizzly/グリズリー)の艦載版である。外観はアメリカのスタンダードMR対空ミサイルに似ており、誘導方式も同じセミアクティブ・レーダー誘導で最大射程は30km。管制レーダーはMR-90(NATOコード:Front Dome/フロントドーム)で、ソブレメンヌイ級には6基装備されているため6目標まで同時に処理できる。後期型の956EM型では対空ミサイルも改良型の9M38M2中距離対空ミサイル「シュチーリ1」(NATOコード:SA-N-12 Grizzly/グリズリー)に変更されている。9M38M2「シュチーリ1」はミサイルの誘導方式にセミアクティブ・レーダー誘導に加えて慣性誘導方式を採用した事で最大射程を50kmに延長しており、マッハ4クラスの高速目標に対する迎撃能力も向上しているのが特徴である。ソブレメンヌイは艦の前後に2基の単装発射機を装備しており、ミサイルの装弾数は合計48発。

【火砲】
AK-130 54口径130mm連装砲は全自動の水冷式艦載砲で、自動装填装置により2門合計で毎分86〜92発という高い発射速度を持つ(輸出型はその半分程度の発射速度に抑えられているとの話も)。射程は23,000m以上。ソブレメンヌイ級は、現在の水上戦闘艦艇としては突出した強力な艦載砲を搭載しているが、これは揚陸作戦における火力支援任務、そして有視界距離での対艦/対空攻撃能力を確保する狙いがあったとされる[19]。特に、高緯度地帯に位置するソ連の領海では、冬季の悪天候下での作戦を余儀なくされる時期が長く、その状況ではミサイルの使用が不可能になる可能性も考えられた。AK-130の大火力と高い発射速度は、荒天下においても一定の戦闘力を保持するために必要な性能と判断され搭載が行われたのである[19]。

中国に最初に引き渡された956E型2隻には、近接防空兵器システム(Close-In Weapon System:CIWS)としてAK-630M 30mmCIWS4基が装備されていた。AK-630/AK-630Mはソ連海軍の代表的なCIWSで、コンパクトなドーム型砲塔に6本の銃身が円筒状に束ねられ回転するガトリング砲である。射程は2,500mで発射速度は毎分3,000発。AK-630Mの管制は二基のMR-123-02レーダーにより実施され、完全自動化されている[9]。後期型の956EM型にはAK-630に換えてヘリ格納庫の直後に複合CIWS「カシュタン」(NATOコード:CADS-N-1)2基が装備された。CADS-N-1「カシュタン」はレーダーと光学センサーを中心とする旋回俯仰架台を挟み、左右両側に30mm6銃身機関砲と9M311近距離対空ミサイル(NATOコード:SA-N-11 Grison/グリソン)各4発を装備するという、西側の同級品には見られない強力な武装を持つ。30mm機関砲は上記のAK-630と同じもの。9M311対空ミサイルとそのシステムは2S6自走対空砲「ツングースカ」と同じもので、射程は2,500〜8,000m。光学センサーとレーダーで自動的に目標を追尾し、同時に6目標まで対処できるという。カシュタン(Kashtan)は輸出名で、本国版はコールチク(Kortik)と呼ばれている。

【対潜兵装/艦載ヘリ】
ソブレメンヌイ級は対水上、対空攻撃能力が重視された反面、対潜作戦能力についての優先度は前二者に比べて抑え気味なものであった。そのため、艦固有の対潜兵装は、RBU-1000 300mm6連装対潜ロケット発射機2基とDTA-53-956型533mm長魚雷連装発射筒2基に留まっている[19]。このうち、RBU-1000は対潜攻撃よりも接近する魚雷を破壊する方が主な用途の兵器であった[19]。このほか、フロッグマン対策用としてMRG-1七連装55mm擲弾発射機二基が装備されている[9]。

ソブレメンヌイはKa-28対潜ヘリコプター(NATOコード:Helix/ヘリックス)対潜ヘリコプターを1機搭載している。ヘリコプター用格納庫は大型煙突後部に一体化して設けられているが、スペースの関係から伸縮式となっている。伸縮式格納庫は航空装備の搭載には使用できず、整備に必要な各種機材を搭載できないため、ヘリコプターの整備補給機能はかなり制限される。艦上での支援能力が限定されるため、ソブレメンヌイ級では通常ヘリは搭載されず、必要に応じて臨時に搭載される方式がとられているとの事[2]。後期型の956EM型では後部130mm連装砲を撤去してヘリコプター甲板を後方に延長し、格納庫も伸縮式から固定式に変更されている。これによって格納庫の容積が拡大され、より多くの整備機材や航空兵装を搭載可能となり、ヘリコプターの整備補給能力が向上した。

【機関】
本級は近年の水上戦闘艦としては珍しく、主機に蒸気タービンを採用している。機関は、KVNボイラー 4基とGTZA-674蒸気タービン 2基、2基 2軸構成で、99,500馬力の最高出力で32.7ノットの速力を発揮する[19]。10ノットから最高速力までの加速に要する時間は2分間[19]。航続距離は最高速度で2400海里、18.4ノットの巡航速度の場合で4500海里[19]。32日間の連続航海が可能で、これは当時のソ連駆逐艦・フリゲイトの中では優れた数値であった[19]。冷戦終了後のロシア海軍の深刻な財政難は、ガスタービンに比べて運用人数や維持コストのかかる蒸気タービンを搭載したソブレメンヌイ級に不利に作用し、多くの艦の活動が不活発になった。しかし中国海軍では現在も多数の蒸気タービン艦が就役しており運用に習熟していたので、ソブレメンヌイの主機が蒸気タービンであることは問題にならなかったという。

【中国海軍におけるソブレメンヌイ級】
中国はソブレメンヌイ級の調達によって、長年の懸案であったエリアディフェンス防空能力の欠如という問題を解決することに成功した。この問題の解決は中国海軍にとって喫緊の課題であり、ソブレメンヌイ級購入の大きな目的であったとされる[9]。また高性能な3M80E対艦ミサイル「モスキート」、戦闘システムやデータリンク・システムなどもこの種の装備で遅れをとっていた中国海軍にとっては魅力であった。中国は、ソブレメンヌイ級の購入により得る事が出来た兵器や電子装備をライセンス生産やリバースエンジニアリング、改良などの手段で国産化し、それらの装備は21世紀に入って大量建造される海軍艦艇に広く搭載されることになる[9]。

【国産化された装備の例】
種類ロシア名称中国名称
3次元対空レーダーMR-750MA「フレガートMAE-3」382型
対水上/対空アクティブ・パッシブレーダーMR-331 Mineral-ME1/ME2366型
火器管制レーダー(SAM誘導用)MR-90(Front Dome)中国名称不明
CIWSAK-630/630MH/PJ-13
SAMShtil-1HQ-16
艦載砲AK-130 130mm連装砲H/PJ-38 130mm単装砲

また、ソブレメンヌイ級の蒸気タービン機関は、中国がウクライナから入手した空母「ワリヤーグ」の機関と類似点が多く、同艦が空母「遼寧」として中国海軍に再就役するにあたって、東海艦隊所属のソブレメンヌイ級4隻が貴重なノウハウと人員を提供することになったことも見逃せない貢献である[9]。

就役直後は、ロシア式の通信・伝達機器の互換性の問題で、他の中国海軍艦艇との通信に問題があった。その後、中国海軍のデータリンクの普及に伴い、956E/EM型にも対応する改修を行って、この問題を解決したとのこと[9]。ソブレメンヌイ級4隻はいずれも東海艦隊に所属している。

【近代化改修】
中国海軍のソブレメンヌイ級のうち早期に就役した956E型(前期型)2隻については就役から10年近くが経過し、オーバーホールの時期が迫った。2009年2月3日付のイタル・タス通信の報道によると、艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」株式会社は2008年に中国海軍との間で956E型に関する総合的な整備・修理に関する権利を獲得したと発表した[1]。契約の詳細は発表されなかったが、3月には全ての技術的問題を解決するため、セヴェロドヴィンスクの企業から成る専門家グループが中国に派遣されると伝えられた[1]。しかし、交渉は妥結を見なかった模様で、その後、中国では独自に956E型の近代化改修を実施する方針に転換。最初の改修対象となったのは956E型の一番艦「杭州」で、2014年末から浙江省舟山市の造船所で近代化改修が開始された[13]。改修は長期間に及んだが、2018年にはほぼ完了した模様で、「杭州」に続いて二番艦「福州」、そして956EM型の改修工事も開始された[14]。

「杭州」の近代化改修では、まず兵装と電子装備の大半が撤去され、中国製兵装と電子装備への換装が実施された。956E型は調達から10年以上を経ており、搭載弾薬やミサイルの多くが使用期限に達していたため、ロシアから追加購入するか国産装備に変更するかの選択を迫られていた[15]。中国では、ソブレメンヌイ級4隻のためにロシアから装備を追加購入するのではなく、この機会に他の艦艇と兵装を共通化させることで装備調達や補給の合理化を図る決断を行ったとみられる。電子装備や通信機器などでもロシア系装備を中国製に換装し、他の艦艇との共通化を図り、データリンクについても更新を行って中国海軍の指揮命令系統に統合化する事とされた。

ただし、一から新規設計できる新造艦艇と異なり、既存の設計に制約される近代化改装では装備や兵装換装での難度は高く、1980年代の技術水準の艦艇であるソブレメンヌイ級の近代化には様々な困難が伴った[15]。例えば、ソブレメンヌイ級は6台の発電機で合計4800kWの発電が可能だが、052C/D型駆逐艦で使用されているフェイズド・アレイ・レーダーを運用するには最低でも6000kW以上の発電力が必要となる[15]。ソブレメンヌイ級では強力な発電機に換装しなければフェイズド・アレイ・レーダーの使用は難しかったが、改装の費用対効果を考えるとそれは困難であった。加えて、艦の形状も問題だった。同級は、各種電子装備が密に搭載されていることから新たな装備を搭載するスペースを確保するのは困難で、さらに電子装備を換装する際には、各装備の干渉具合をチェックして問題がないことを証明する作業が加わった。この点からも、フェイズド・アレイ・レーダーなどを新規に搭載する余地は乏しかったと言える。956E型の大きな問題であった伸縮式ヘリ格納庫についても新たに格納庫を拡張するスペースを確保するのが困難なためか、今回の改装では原形のままとされた。

《改装後の兵装》
ソブレメンヌイ級の水上打撃力の中心だった艦橋側面の3M80E対艦ミサイルの4連装発射機は撤去され、代わりにYJ-12A艦対艦ミサイル(鷹撃12A)4連装発射機2基が搭載された[16]。YJ-12は全長7m未満と、9m近いサイズだった3M80Eに比べるとコンパクトになったが、最大射程は300km超(400kmを超えるとの説も)と3M80Eの120kmから大きく延伸されている[16]。YJ-12は、20年近い開発時期の差も相まってその性能は3M80Eを全面的に上回っていると評価されており、YJ-12の搭載は956E型の水上打撃能力を大きく向上させることになった。

艦の前後に配置されていた9M38ウーラガン艦対空ミサイル(SA-N-7ガドフライ) 用の 3S90型単装発射機二基も弾薬庫と合わせて撤去され、その区画にはHQ-16C艦対空ミサイル(紅旗16C)のAJK16型VLS(垂直発射装置)の搭載区画に変更された[9][14]。AJK-16は054A型フリゲイトのVLSと同じタイプで、HQ-16とYu-8対潜ミサイルの搭載が可能。956E型は、合計48発の9M38を弾薬庫に搭載していたが、「杭州」の近代化改修ではVLSの搭載に必要な容積を確保する代償としてHQ-16/YU-8の搭載数は32発(VLS 32セル)に減少を余儀なくされた[14]。VLSの搭載数を増やすには艦内の他の装備を撤去して容積を確保する必要があったが、それは改装の手間をさらに増やすことにつながり改装経費の増大を招くため断念されたと考えられる。むろん、搭載数は2/3になったものの、VLS化により即応性と連続発射能力は大きく改善され、ミサイルの最大射程も9M38の30kmから70km(HQ-16C)に大きく伸びているので、防空能力が向上した事には間違いない。

減少した艦対空ミサイル搭載数を補う存在として新たに搭載されたのが、近接防空用のHQ-10艦対空ミサイル(紅旗10)である。HQ-10の18連装発射機は、02甲板の先端部(ソ連/ロシアのソブレメンヌイ級ではここに45mm礼砲21-KM二門が搭載されていたが、中国の956E/EMでは未搭載)に搭載された[14]。HQ-10は8〜10kmまでの空域をカバーする能力を有しており、有効射程2km台の30mmCIWSと連携することで終末段階の飛翔コースに入った対艦ミサイルを阻止する[16]。HQ-10の搭載により、改装後の「杭州」は<HQ-16C-HQ-10-AK-630M>と三層の防空網によって、対艦ミサイルの重層的な阻止体制を構築することが可能となった。

上記の通り、ミサイルについてはすべて更新されたが、砲兵装と魚雷発射管は改装前の状態が維持された模様。AK-130 54口径130mm連装砲二基の火力は、中国海軍の水上艦艇でも最高の投射弾数と連射能力を誇り、それを他の艦砲に換装するだけの積極的な理由が見いだせなかったものと考えられる。30mmCIWSは改装中に撤去されていたので換装されるとみられていたが、改装後の写真では少なくとも艦橋直前のCIWSは既存のAK-630 30mmCIWSの搭載が確認されている[17]。ヘリコプター甲板の後部CIWSについては現段階では確認できる写真が得られていない。艦中央部に配置されたDTA-53-956型連装発射管二基についても特に手は加えられていない模様。ヘリコプター甲板直後に搭載されたRBU-1000対潜ロケット発射機の現状については未確認。

【電子装備】
「杭州」の近代化改修では、前述の通り電子装備についても一新されている。艦の戦闘システムは既存の「Sapfir-U」から中国製ZJK-5IIに変更され、中国製兵器との統合や他艦艇との連携がよりスムーズに行えるようになった。レーダー、データリンク、電子戦システムなどは中国海軍の現役艦艇と共通するものに換装されている[9]。三次元レーダーは382型、対水上/対空アクティブ・パッシブレーダーは366型へと変更されたが、これらはソブレメンヌイ級の購入後に中国で国産化されたレーダーである[9]。130mm艦砲の火器管制レーダーは344型(MR-34)とみられるレーダーに変更されたのが確認されている。煙突直後のラティスマストは撤去され、新たに組まれたラティスマストの上にSR-64二次元捜索レーダーが配置された。これは382型三次元レーダーを補完する対空/対水上レーダーとしての役割を果たす。煙突直後という排熱の影響の大きなところに精密電子機器であるレーダーを搭載したのは、ほかに搭載場所がなかったための措置とみられ、新規設計ではない改装艦として設計陣が配置に苦労したのをうかがわせる。

【今後の展開】
「杭州」は今回の近代化改装で、船体と動力部を除く大半の兵装と電子装備を中国製に換装することになった。装備品の大半を国産装備に換装したことにより、その整備性は大きく向上し、今後10〜20年間にわたって中国海軍で運用するための基盤が整ったと言える。近代改装後の「杭州」の武装は、8000t近い大型駆逐艦としては少ないもので、AK-130連装砲二基を除くと、4000tクラスの054A型フリゲイトと大差ない内容なので、費用対効果を疑問視する向きもあるとのこと[15]。

【「杭州」と054A型フリゲイトの武装比較】
兵装「杭州」054A型フリゲイト
SAMHQ-16 (最大32発搭載可能)+HQ-10(18連装発射機×1)HQ-16(最大32発搭載可能)
SSMYJ-12 4連装発射機×2YJ-83 4連装発射機×2
対潜兵装YU-8 対潜ミサイルYU-8 対潜ミサイル(両者ともHQ-16と共通のVLSで、搭載数は任務により異なる)
対潜ロケットRBU-1000 300mm6連装対潜ロケット発射機×287式250mm6連装対潜ロケット発射機(FQF-3200)×2
艦砲130mm連装砲AK-130×2PJ-26 60口径76.2mm単装砲×1
CIWSAK-630M×4730型もしくは1130型×2
魚雷DTA-53-956型533mm長魚雷連装発射管×2B515型3連装324mm短魚雷発射管×2
艦載ヘリKa-28×1Ka-28もしくはZ-9C/D×1

しかし、一から設計できる新規建造ではなく、既存の構造に手を加える近代化改装である事を考慮すると、これ以上の武装を搭載することは改装費の高騰、現状でさえ3年を要した改装期間のさらなる延長をもたらし、費用対効果の面で現実的ではなかっただろう。本艦の近代化改装を特集した『舰载武器』2016.12の記事を見ると、改装により長期運用の基盤が確立したことや、データリンクや指揮管制システムを中国海軍標準のシステムに置き換えたことで、艦隊運用において完全な統合運用が可能となった点こそが重要であると評価しており、筆者もこの見解が妥当であると考える[15]。

性能緒元(956E型)
満載排水量7,940t
全長156.0m
全幅17.3m
主機蒸気タービン 2基 2軸(99,500馬力)
 KVNボイラー 4基
 GTZA-674蒸気タービン 2基
速力32.7kt
航続距離2,400nm/32kts、4,500nm/18.4ts
乗員296名

【兵装】956E型
対空ミサイル9M38中距離対空ミサイル「ウーラガン」 / 3S90単装発射機2基
対艦ミサイル3M80E対艦ミサイル「モスキート」 / 4連装発射筒2基
対潜ロケットRBU-1000 300mm6連装対潜ロケット発射機2基(48発)
魚雷533mm長魚雷 / DTA-53-956型連装発射管2基(4本)
擲弾発射機MRG-1七連装55mm擲弾発射機二基(22発)
AK-130 54口径130mm連装砲2基
近接防御AK-630M 30mmCIWS4基
搭載機Ka-28対潜ヘリコプター1機

【兵装】956EM型
対空ミサイル9M38M2中距離対空ミサイル「シュチーリ1」 / 3S90単装発射機2基
対艦ミサイル3M80ERB対艦ミサイル「モスキート」 / 4連装発射筒2基
対潜ロケットRBU-1000 300mm6連装対潜ロケット発射機2基(48発)
魚雷533mm長魚雷 / DTA-53-956型連装発射管2基(4本)
AK-130 54口径130mm連装砲1基
近接防御「カシュタン」複合CIWS(CADS-N-1)2基
搭載機Ka-28対潜ヘリコプター1機

【電子兵装】956E型
3次元対空レーダーMR-750MA「フレガートMAE-3」(Top Plate-B)1基
対水上レーダーMR-212/2013基
火器管制レーダーMR-90(Front Dome)SAM用 6基
 MR-331 Mineral-ME1/ME2(Band Stand)アクティブ/パッシブレーダーSSM用 1基
 MR-184M(Kite Screach-C)砲用 1基
 MR-123(Bass Tilt)CIWS用 2基(956EMは未搭載)
戦闘システムSapfir-U 
ECMシステムMP-405M(Start-2) 
データリンクMineral-ME3 
チャフ・フレア発射装置PK-108基
 PK-22基
ハル・ソナーMG-335(Platina-S)・KMG-12 

<近代化改装後>(不明な点も多く、暫定的なデータ)
【兵装】956E型(近代化改装後)
対空ミサイルHQ-16C艦対空ミサイル(紅旗16C) /AJK16型VLS(8セル)4基(YU-8と混載)
HQ-10艦対空ミサイル(紅旗10)/18連装発射機(24連装説もあり)1基
対艦ミサイルYJ-12A艦対艦ミサイル(鷹撃12A) / 4連装発射筒2基
対潜ミサイルYU-8対潜ミサイル(長纓3号)/AJK16型VLS(8セル)4基(HQ-16と混載)
対潜ロケットRBU-1000 300mm6連装対潜ロケット発射機2基(48発)
魚雷533mm長魚雷 / DTA-53-956型連装発射管2基(4本)
AK-130 54口径130mm連装砲2基
近接防御AK-630M 30mmCIWS4基
搭載機Ka-28対潜ヘリコプター1機

【電子兵装】956E型(近代化改装後)
3次元対空レーダー382型1基
2次元対空/水上レーダーSR-643基
火器管制レーダーMR-90(Front Dome)SAM用 6基
 366型アクティブ/パッシブレーダーSSM用 1基
 344型(MR-34)砲用 1基
戦闘システムZJK-5II 
ECMシステム 
データリンク   
チャフ・フレア発射装置    
ハル・ソナー   

同型艦
1番艦956E型杭州Hangzhou1361999年12月就役東海艦隊所属
2番艦956E型福州Fuzhou1372001年1月就役東海艦隊所属
3番艦956EM型泰州Taizhou1382005年12月就役東海艦隊所属
4番艦956EM型寧波Ningpo1392006年就役東海艦隊所属

▼956E型の#137「福州」。後部にも130mm連装砲が装備されている。

▼956EM型の#138「泰州」。後部の130mm連装砲が無くヘリコプター発着甲板が延長されている。

▼雁行する東海艦隊のソブレメンヌイ級4隻

▼艦首付近から艦尾方向を見た#137「福州」

▼3M80ERB対艦ミサイル「モスキート」を発射する#139「寧波」

▼フレアを展開する#136「杭州」


【参考資料】
[1]Yahoo!ブログ 〜ロシア・ソ連海軍〜「ロシアの艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」は、中国海軍のソブレメンヌイ級駆逐艦の整備契約を結ぶ 」(シア・クァンファ/2009年2月3日)
[2]江畑謙介「中国に輸出されるソブレメンヌイ級駆逐艦」『軍事研究』1999年11月号(/ジャパン・ミリタリー・レビュー)
[3]「明智的选择-中国海军选择'现代'级原因探讨」『现代海军』2005年12月号
[4]「伸向遠海的防空圏-中国海軍艦隊防空観念的演化(二)」『海陸空天慣性世界』2005年11月号(総第53期)
[5]『世界の艦船別冊 中国/台湾海軍ハンドブック 改定第2版』(2003年4月/海人社)64〜65頁。
[6]Chinese Defence Today
[7]軍事板常見問題 FAQ in 2ch. Military BBS
[8]『Jane's Fighting Ships 2009-2010』(Stephen Saunders (編) /2009年6月23日 /Janes Information Group)135頁。
[9]軍武狂人夢「杭州級飛彈驅逐艦」http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/china/ddg136.htm
[10]平可夫『中国製造航空母艦』(漢和出版社/2010年)183頁
[11]Yahoo!ブログ-旧ロシア・ソ連海軍報道情報管理部機動六課「中国海軍のソブレメンヌイ級(「杭州」級) 」(2006年12月31日)https://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/10217624.html
[12]平可夫『中国製造航空母艦』(漢和出版社/2010年)147頁
[13]施展「“杭州”舰改装解析」『现代舰船』2016-18(09B)(《现代舰船》杂志社)22〜27ページ
[14] 新浪网-军事「中国136现代级战舰防空导弹备弹48发 为啥改到剩32发」(胡诌施佬/2018年06月29日)http://mil.news.sina.com.cn/jssd/2018-06-29/doc-ih... (2018年7月9日閲覧)
[15]银河「厚积薄发−从”深圳”舰的现代化改装看中国海军技术的变革」『舰载武器』2016.12/No.255(中国船舶重工集团公司/17〜30ページ)
[16]卫天「建造中国5000吨级护卫舰」『舰载武器』2018.05/No.289(中国船舶重工集团公司)14-30頁
[17]新浪网-军事「东海老将又魔改!中国138现代级驱逐舰进厂升级」(2018年6月28日) http://slide.mil.news.sina.com.cn/h/slide_8_203_65... (2018年7月9日閲覧)
[18]陈㬢「名舰天资―现代级的能力与配置」『舰船知识』2018.04/No.463(舰船知识杂志社/84〜88ページ

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