日本の周辺国が装備する兵器のデータベース





▼アメリカ海軍在籍時の画像


性能緒元
満載排水量10,500t
全長171.6m
全幅16.8m
主機COGAG 2軸
 LM2500ガスタービン 4基(80,000馬力)
速力33kts
航続距離6,000nm/20kts
乗員363名

【兵装】
対空ミサイルRIM-66スタンダードSM-2MR BlockIIIA / Mk26連装発射機(アスロック兼用)2基
対艦ミサイルRGM-84L「ハープーン」/ Mk141 4連装発射筒2基
対潜ミサイルRUR-5A対潜ロケット「アスロック」/ Mk26連装発射機(SAM兼用)2基(現時点ではアスロックは搭載されていない)
魚雷Mk46 Mod5 324mm短魚雷 / Mk32 3連装発射管2基
Mk45 mod0 54口径127mm単装砲2基
近接防御Mk15 ファランクスBlock1A 20mmCIWS2基
12.7mm重機関銃4基
搭載機S-70C(M)-1/2対潜哨戒ヘリコプター2機

【電子兵装】
3次元対空レーダーAN/SPS-48E1基
2次元対空レーダーAN/SPS-49(v)51基
対水上レーダーAN/SPS-551基
航海レーダーBridgeMaster II1基
火器管制レーダーAN/SPG-51D(スタンダード管制)2基
 AN/SPG-60(砲管制)1基
 AN/SPQ-9A(砲管制)1基
電子戦システムAN/SLQ-32(v)5 
チャフ・フレア発射機Mk36 SBROC 6連装発射機2基
戦闘システムACDS(Advanced Combat Direction System) 
データ・リンク・システム大成(台湾型Link-11/14) 
 Link-16 JTIDS 
ハル・ソナーAN/SQS-53D 
魚雷デコイSLQ-25A「ニクシー」 

アメリカのキッド級ミサイル駆逐艦。アメリカ海軍から台湾に売却され、2005年12月に1、2番艦が台湾海軍に就役した。3番艦、4番艦も2006年11月2日に記念式典が行われ就役した。キッド級は台湾海軍史上最大の戦闘艦艇になる。改修と復役工事はアメリカのVSE社が810万ドルで請け負った。1番艦、2番艦は当初「紀徳」「明徳」と命名されるはずだったが、2005年10月、台湾立法院は台湾にちなんだ艦名にしなければならない決議を行い、これにより台湾都市名である「基隆」と「蘇澳」に変更された。現在台湾海軍は各級毎に戦隊を編制し任務にあてているが、将来はキッド級を旗艦として4個機動艦隊を編制する予定。

キッド級ミサイル駆逐艦は元々帝政イランへの輸出用として建造が行われていた。しかし1979年に起きたイラン・イスラム革命によって輸出は白紙に戻され、完成した4隻はアメリカ海軍が購入した。建造中の艦はアメリカ海軍への就役が決定するまでは仮称としてアヤトラ級と呼ばれていた(アヤトラはシーア派上級宗教指導者の尊称)。キッド級はアーレイ・バーク級が出現するまでアメリカ海軍で最も防空能力の高い駆逐艦で、イラン・イラク戦争中にペルシャ湾に派遣されてイランを攻撃したりもしたが、1990年代後半には退役しフィラデルフィアとブリマートンの海軍艦艇保管施設でモスボール保管されていた。その後キッド級をギリシャやオーストラリアへ売却する計画もあったが実現には至らず、最終的に台湾に売却される事になった。2001年、アメリカは対台湾輸出武器のリストにキッド級の名前を載せた。台湾としてはイージス・システム搭載艦の購入を希望し、アメリカ海軍が2000年に派遣した調査チームも台湾のイージス運用能力に問題は無いと評価した。しかしイージス艦の発注から引渡しまで最短でも10年かかるうえ、中国との軍事バランスも考えてアメリカはキッド級を台湾に提案し、最終的に台湾もこれに同意した。

キッド級の導入は「光華7号」計画と呼ばれる。光華7号計画の予算は野党の反対を受けながらも2003年5月に立法院を通過し、2004年度予算に組み込まれた。この計画はキッド級4隻と搭載するスタンダードSM-2MR BlockIIIA対空ミサイル248発、ハープーン対艦ミサイル32発、さらに乗組員の訓練や船体の補修なども含むもので、合計244億台湾ドルで契約が結ばれた。2003年から米VSE社がキッド級の復役工事を開始し、Link-16の装備やAN/SLQ-53Aソナーを最新型の53Dに換装する作業を行った。Link-11/14は台湾型の「大成」データ・リンク・システムに換えられている。AN/WSC-3衛星通信システムのOE-82アンテナは取り除かれ、台湾国産の衛星通信システムと民間用のアンテナ、英Decca社製の航海・ヘリコプター誘導レーダーが新たに装備された。この新型レーダーがAN/SYS-2レーダー目標自動追跡システム(IADT)に統合されているかどうかは不明。AN/SLQ-32電子戦システムの装備位置が移されているが、理由は分かっていない。他に1番艦「基隆」のみヘリコプター発着甲板を強化し、RAST(ヘリコプター発着艦支援システム)を装備した。これらの改装によりキッド級の満載排水量は10,500トンに増加した。2003年9月、台湾のキッド級受け渡し要員がアメリカに到着して作業に加わったが、2005年1月にそのうちの1名が発狂して艦内で首吊り自殺し、士気が著しく低下したという。台湾海軍はアメリカからのキッド級駆逐艦4隻の購入と合わせて、スタンダードSM-2MR Block IIIA対空ミサイル144 発を総額 2 億 7,200 万ドルで購入し[1]、2008年にも144発を追加購入している[2]。

キッド級はスプルアンス級ミサイル駆逐艦の船体にバージニア級原子力ミサイル巡洋艦の兵装と戦闘システムを組み合わせて設計された。スタンダードSM-2対空ミサイルによる広域の防空を主任務としているが、ハープーン対艦ミサイルやASROC対潜ロケットも装備しており、幅広い任務に対応できる汎用艦である。Mk26連装ランチャーから発射されるRIM-66スタンダードSM-2はイージス・システムに対応する長距離対空ミサイルとして開発されたが、BlockIIIAは非イージス搭載艦のために用意されたタイプ。慣性航法装置と母艦からの指令で目標の未来位置へ飛んで行き、目標に接近したところで母艦からのレーダー照準波に誘導されるセミアクティブ・レーダー・ホーミングに切り替わる。キッド級はスタンダードSM-2用管制レーダーAN/SPG-51Dを2基装備しており最大4〜6目標に同時に対処できる。SM-2 BlockIIIAの最大射程は約166km。SM-2 BlockIIIAはSM-3のような弾道弾迎撃能力は無い。キッド級が台湾に引き渡された後、各艦はSM-2の発射テストを行い目標の迎撃に成功している。

スタンダードSM-2とアスロックに使われているMk26発射機の弾庫(前部24発、後部44発)には、68発のSM-2が収納されている。Mk26はアメリカ海軍の艦艇では撤去が進められている。Mk26は旧式で整備に手間がかかり、また1発発射するたびに再装填しなければならないので、非常に短い間隔で連続発射できるVLS(垂直発射システム)と比べると性能的にも劣るからである。2005年に台北で行われた航空宇宙兵器展示会(TATE2005)でアメリカはMk41VLSを出展した。将来的にはキッド級のMk26は撤去され、かわりにVLSが搭載される可能性もある。

キッド級が装備しているAN/SPS-49(v)5は周波数Cバンドの2次元長距離対空捜索レーダーで、最大探知距離は約450km。3次元対空レーダーは後楼に装備されているE/FバンドのAN/SPS-48Eで、スタンダードSM-2へ射撃緒元の提供も行う。最大探知距離は約400km。SPS-49とSPS-48は捜索範囲を分担する事ができ、SPS-48が一定の区域を精密走査している間、SPS-49は残りの区画の警戒を行うといった事も可能。キッド級は同時に256目標の経空脅威を同時に捜索することができる。キッド級の戦闘システムはMk14WDS(Weapon Direction System:兵器管制システム)やAN/UYK-43戦術コンピュータなどから構成されるACDS Block1(Advanced Combat Direction System:先進戦闘指揮システム)を中心に高度に自動化されている(また台湾への引渡前にウェポンシステムはSM-2 BlockAに対応するよう改修されている)。レーダーやソナーで捉えた目標のデータはACDSによってデータベースと照会して評価され、Mk14WDSを通して最も効率的に迎撃できる兵装に射撃緒元が送られる。つまり目標が遠距離の場合はLink-16を通じて味方の航空機へ、中距離の場合はMk74ミサイル射撃指揮装置を通じてスタンダードSM-2へ、近距離の場合はMk86砲射撃指揮装置を通じて127mm砲とCIWSへ、水中の場合はMk116対潜兵器指揮装置を通じて対潜兵装に指示を出す、といった具合にである。キッド級の防空範囲は極めて広く空中管制能力も優れるため、台湾空軍は連絡官を派遣して訓練に参加させているという。

キッド級は対潜能力が比較的低い。アメリカ海軍時代は16発のRUR-5型「アスロック」対潜ロケットをSM-2と兼用のMk26発射機に搭載していたが、RUR-5は旧式化に伴って1990年代に退役してしまい、その後継として配備されたRUM-139「VLA(Vertical Launch ASROC)」は垂直発射装置(Vertical Launching System:VLS)での運用が前提となっており、キッド級のMk26ランチャーからの発射は不可能であった。そのため、キッド級が台湾に引き渡された時点ではアスロックは未搭載で、固有の対潜兵器は3連装短魚雷発射管に限られていた[3]。前述のTATE2005では、アメリカは基隆級駆逐艦のMk26レール式発射機でも運用できる様に改良を施したRUM-139「VLA」を展示している[3]。台湾海軍でもRUM-139「VLA」に興味を示しているが、2010年3月時点では調達の決定はなされていない[3]。ソナーについても艦底のAN/SQS-53D中周波アクティブ・ソナーは強力だが、曳航ソナーは装備していない。またMk116対潜兵器管制システムは搭載しているが、AN/SQQ-89統合対潜戦闘システムは未搭載。そのため台湾の主力対潜ヘリコプターであるS-70Cと連携して対潜作戦にあたる事が出来ない。しかも発着甲板の強化とRASTの装備は1番艦「基隆」にしか行われていないので、残りの3隻はそもそもS-70Cの運用が不可能(元々キッド級は小型のSH-2シー・スプライト対潜ヘリコプターを搭載していたため)[3]。

キッド級は復役作業の時に延命工事を受けたため、艦齢35年まで運用に耐える事が出来る。これはあと10年台湾で運用可能な事を意味するが、ものもちの良い台湾海軍だけにおそらくその期限を越えて長く使い続けられるだろう。

1番艦基隆(Keelung)DDG-1801旧DDG-993(Kidd)1981年3月米海軍就役2005年12月台湾就役
2番艦蘇澳(Suao)DDG-1802旧DDG-994(Callaghan)1981年8月米海軍就役2005年12月台湾就役
3番艦左営(Zuoying)DDG-1803旧DDG-995(Scott)1981年10月米海軍就役2006年11月台湾就役
4番艦馬公(Makung)DDG-1805旧DDG-996(Chandler)1982年3月米海軍就役2006年11月台湾就役

【参考資料】
[1]Kojii.net - 今週の軍事関連ニュース (2007-09-21)
[2]SIPRI 「The SIPRI Arms Transfers Database」
[3]軍武狂人夢「基隆級飛彈驅逐艦」

Jane's Fighting Ships 2009-2010(Stephen Saunders (編) /2009年6月23日 /Janes Information Group) 787頁
世界の艦船
軍事研究
JDW
中国軍艦博物館
日本経済新聞
Grobal Security
Kojii.net
艦載兵器ハンドブック改訂第2版
Defense-Aerospace.com 「Federation of American Scientists」

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