日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




▼スタンダードSM-1 3連装発射筒2基、連装発射筒2基を搭載したFF-933「鳳陽」



性能緒元
満載排水量4,260t
全長133.0m
全幅14.2m
喫水4.6m
主機蒸気タービン 1軸
 ウェスティングハウス式ギヤード蒸気タービン 1基(35,000馬力)
速力27kts
航続距離4,000海里/22kts
乗員288名

【兵装(改装後)】
対空ミサイルRIM-66スタンダードSM-1MR / 3連装発射機・連装発射機各2基
対艦ミサイルRGM-84「ハープーン」 /Mk16 8連装発射機(通常2発を発射機に搭載)
対潜ミサイルRUR-5A対潜ロケット「アスロック」 / Mk16 8連装発射機1基
魚雷Mk46 324mm短魚雷 / Mk32 3連装発射管2基
Mk42 Mod9 54口径127mm単装砲1基
近接防御Mk15ファランクス 20mmCIWS1基(FF-932〜934はMk15 Block1。F-935〜937はMK-15 Block 1A)
 T75S 20亠ヾ慄ぁM39A3)4基
搭載機500MD/ASW対潜ヘリコプター1機

【電子兵装(改装後)】
2次元対空レーダーDA-081基(FF-933〜936、938〜939)
SPS-40B1基(FF-932/937のみ)
対水上レーダーAN/SPS-671基
航海レーダーLN661基
光学捜索システムLIOD Mk21基
火器管制レーダーSTIR-1801基
戦闘システムH-930 MCS 
 Mk-114(対潜) 
 Mk-115(対空) 
データリンクLink-14 
電子戦システムAN/SLQ-32(v)2 
チャフ・フレアMk36 SBROC 6連装発射機2基
ハル・ソナーAN/SQS-26CX1基
曳航ソナーAN/SQS-351基
 AN/SQR-18(V)11基

1980年代、台湾はアメリカにノックス級の輸出を要望していたが受け入れられなかった。しかし冷戦が終結してソ連潜水艦の脅威が低くなり、また台湾がフランスから康定級(ラファイエット級)フリゲートを導入する事を発表すると、アメリカは1991年に退役するノックス級の台湾への譲渡を認めた。ノックス級の調達計画は「光華4号計画」命名され、1999年までに8隻が台湾海軍で就役した。第1陣の3隻(FF-932、933、934)は1993年8月に、第2陣の3隻(FF-935、936、937)は1994年6月に台湾に引き渡された。アメリカは1998年に更に4隻のノックス級を台湾に売却する事を提案したが、台湾はその内2隻のみを購入する事にし、この最後の2隻(FF-938、939)は1999年10月に台湾海軍に就役した。調達費用は康定級の約20%だったという。

済陽級(ノックス級)は1970年代に建造された対潜艦であるため設計が古く、総合的な能力は康定級に及ばない。主機は古臭い蒸気タービンで瞬発力に欠け、乗組員は250名にもなり(康定級は約170名)艦の維持に人手がかかる。しかしその対潜能力は侮り難い。艦首のSQS-26中周波ソナー、艦尾のSQS-35可変深度アクティブ・ソナー(IVDS)とSQR-18曳航パッシブ・ソナー(TACTAS)は深々度に潜む旧ソ連原潜を捜索・追跡するために開発されたもので、中国の潜水艦部隊には充分過ぎる装備であった。また探知した敵潜水艦はRUR-5A対潜ロケット「アスロック」(射程約10km)と搭載対潜ヘリコプターで迅速に攻撃する事ができる。アスロックは艦橋直前のMk16 8連装発射機に搭載されている。同発射機はRGM-84ハープーン艦対艦ミサイルの発射機も兼ねており、通常2発のハープーンがMk16発射機に搭載される。艦橋下部にはMk16発射機用の予備弾薬庫が設けられており、アスロックやハープーンの再装填が可能。

済陽級のヘリコプター格納庫は入れ子式の独特な形式で、SH-2シー・スプライト対潜ヘリコプター(LAMPS Mk1)のような小型の対潜ヘリコプターしか収容できず、固定式格納庫に比べて整備能力においても遜色があった。台湾海軍は運用中のS-70Cを搭載したかったが、S-70Cは済陽級に搭載するには大きすぎたため、やむなく小型で搭載機材が限られ、飛行性能や航続距離も劣る500MD/ASW対潜ヘリコプターを済陽級の対潜ヘリコプターとして使用している。

済陽級の弱点は防空能力の低さであった。当初済陽級は対空ミサイルを装備しておらず、1基だけ装備されているファランクス20mmCIWS(FF-932、933、934の3隻はMk15 Block1、FF-935以降はMk15 Block1A)は艦尾にあるため、艦首方向の射界を制限されていた。この弱点を克服するため、台湾海軍は退役した富陽級(ギアリング級)駆逐艦が装備していたスタンダードSM-1中距離対空ミサイルの発射機とレーダー類を取り外し、済陽級に移設する「武進三型改装」作業を2003年から開始した。「武進三型改装」では艦中央部にスタンダードSM-1の3連装発射筒2基とヘリコプター格納庫上に連装発射筒2基を富陽級から移設し、AN/SPS-40対空レーダーを撤去して、捜索用の仏タレス社製DA-08対空レーダー(最大捜索距離170km)と同じタレス社製のSTIR-180ミサイル管制用レーダー(最大追尾距離約240km)、赤外線・レーザー・テレビで目標を追跡するタレス社製のLIOD Mk2光学センサーが装備され、これらの装置を指揮管制するH-930統合戦闘システム(MCS:Modular Combat System)が搭載された。これらの改装はFF-933〜939の7隻に対して実施され、最初の改装艦となったFF-933「鳳陽」は2004年10月31日に改装工事を完了、2009年までに7隻全てが改装作業を完了した。FF-933「鳳陽」の改装費用は7127万台湾元であった。この改装により済陽級は限定的だが中距離防空能力を手に入れることができた。

RIM-66スタンダードSM-1MRはRIM-24ターターの後継として1964年から開発が始まった中距離対空ミサイルで、射程は約40km。誘導方式はセミアクティブ・レーダー誘導で、母艦からのレーダー波照射を受けて目標へ飛んでいく。海上自衛隊でもたちかぜ級などのDDG(ミサイル護衛艦)が使用していた。済陽級は管制用レーダーのSTIR-180を1基しか装備していないため、同時に迎撃できる目標数は1つのみに限定される。前甲板に装備されているMk42 54口径速射砲はアメリカ海軍の戦後第1世代の5インチ(127mm)砲で、戦中型のMk38連装砲の弾丸投射量を単装で実現する事を目標に開発された。このため交互に装填する独立した二つの給弾機構を持ち、ドラム型の弾倉には各20発を収納できるが、この機構は故障が多いと言われており、実際には発射速度を28発/分まで落として(最大34発/分)運用されている。シールド上部左側の透明キャノピーは対水上戦の照準用。Mk42は近い将来、退役した富陽級駆逐艦から下ろした伊オットー・メララ社製のMk75 62口径76mm単装速射砲に換装される予定。

済陽級は蘇澳の第168フリゲート戦隊に配備されており、主に台湾東部の深海域での対潜戦に投入される。台湾海軍では、艦齢30年を超え、運用経費も高い済陽級の運用/改装を継続するか、早期に退役させ別途に新型艦艇を調達するか現在検討中であり、その結論によっては済陽級の早期退役の可能性もあるとのこと。

【2015年5月1日追記】
2015年5月1日、済陽級一番艦FF-932「済陽」と5番艦FF-936「海陽」の台湾海軍からの退役式典が実施された[6]。済陽は同級で唯一「武進三型」改装を実施していない事、海陽は主機の老朽化が進んでいた事が早期退役の要因となった[6]。
 退役式典では、海陽で試験運用が行われているレーダー波反射低減用ネットが初公開された[7]。これは、陸上設備の偽装用として中山科学研究院が開発したもの。海陽は同装備の艦艇での有効性を確認する「電子戦実験艦」に選定され、レーダー波反射低減用ネットでスタンダードSAM発射機を包み込んでその効果を測定した。台湾海軍の士官によると、これは現段階では純然たる試験だが、一定の効果が確認できれば部隊運用も行われるとの見通しが示された[7]。

1番艦濟陽(Chi Yang)FF-932旧Robert E. Peary(FF-1073)1970年12月就工1993年10月台湾海軍に再就役。2015年5月1日退役[6]。
2番艦鳳陽(Fong Yang)FF-933旧Brewton(FF-1086)1970年7月就工1993年10月台湾海軍に再就役。2004年「武進三型」改装を実施。
3番艦汾陽(Feng Yang)FF-934旧Kirk(FF-1087)1970年12月就工1993年10月台湾海軍に再就役。2008年「武進三型」改装を実施。
4番艦蘭陽(Lan Yang)FF-935旧Joseph Hewes(FF-1078)1969年5月就工1995年8月台湾海軍に再就役。2005年「武進三型」改装を実施。
5番艦海陽(Hae Yang)FF-936旧Cook(FF-1083)1970年3月就工1995年8月台湾海軍に再就役。2008年「武進三型」改装を実施。2015年5月1日退役[6]。
6番艦淮陽(Hwai Yang)FF-937旧Barbey(FF-1088)1971年2月就工1995年8月台湾海軍に再就役。2009年「武進三型」改装を実施。
7番艦寧陽(Ning Yang)FF-938旧Aylwin(FF-1081)1969年11月就工1999年10月台湾海軍に再就役。2007年「武進三型」改装を実施。
8番艦宜陽(Yi Yang)FF-939旧Valdez(FF-1096)1972年1月就工1999年10月台湾海軍に再就役。2006年「武進三型」改装を実施。

【参考資料】
[1]世界の艦船別冊 中国/台湾海軍ハンドブック 改定第2版(2003年4月/海人社)
[2]Global Security
[3]Chinese Warship Museam
[4]軍武狂人夢「濟陽級巡防艦」
[5]Jane's Fighting Ships 2009-2010(Stephen Saunders (編) /2009年6月23日 /Janes Information Group)790頁。
[6]聯合新聞報「兩濟陽級艦除役 海軍成立派里接艦支隊」(洪哲政/2015年5月1日)
[7]蘋果即時「海陽軍艦除役 雷達偽裝網首公開曝光」(王烱華/2015年5月1日)

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