日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼手前が突撃型(揚陸型)、後方は指揮型


最近その存在が確認された中国海軍の小型揚陸艇。中国語では「装甲突撃運載平台(装甲車両揚陸輸送プラットフォーム)」と呼ばれており、主に戦車等の装甲車両の揚陸に使用される。

中国海軍では072型戦車揚陸艦(ユカン型/玉坎型)のような排水量3,000tクラスの大型揚陸艦、073-III型揚陸艦(ユデン型/玉登型)のような排水量1,000tクラスの中型揚陸艦、そして排水量100t前後の067型揚陸艇(玉南型)といった各種揚陸艦戦力を保有していた。ただし大〜中型の揚陸艦は搭載量が多い反面で喫水が深く揚陸できる海岸が限定される問題があった。逆に小型揚陸艇は浅喫水で様々な条件の海岸に揚陸が可能であったが、低速で洋上航行能力に劣る欠点があった。新型揚陸艇は旧来の小型揚陸艇の問題点を解消することを目的として開発が行われた。

新型揚陸艇はカタマラン式船体を採用しており、通常のモノハル船体に比べて同じ排水量で喫水を浅くしつつ甲板面積を広くとる事で搭載量を増やす事ができる利点がある。また喫水下の船体を小型化する事が可能なため巡航速度を速くする事ができる。カタマラン船体は本級のほか074A型揚陸艦(ユーベイ型/玉北型)でも採用されている。船首部分は速力向上のためバルバス・バウを採用している。シーステート5までの荒波下で航行が可能。船体サイズは全長45m、艦幅7.6m。船体は溶接鋼板製で完全密閉式。船体中央に全通の露天車輌甲板を設けている。車両甲板は左右の船体から一段下がった凹型になっている。これは輸送状態での船体の重心を下げる効果を狙った設計である。船体は合計12箇所の水密ブロックに仕切られており、被弾時の生存性を高めている。予備浮力は排水量の40%に達している。艇首の2つの船体の間にランプ・ドアが設置されており、上陸時に前方に展開される。最大搭載能力は45t。96式戦車(88C式戦車/WZ-122H/ZTZ-88C)のような主力戦車であれば1両、水陸両用戦車や装甲兵員輸送車であれば2両の搭載が可能。機関は12150ZC-5Aターボチャージド・ディーゼル2基(1,600馬力)2軸。機関部は双胴船体に1基ずつ配置されている。最高速力は20ktsでこの種の揚陸艇としては比較的高速。航続距離は300海里。航海システムとして船舶用GPS、航海用レーダーが搭載されている。また揚陸艇間での情報交換を行うデータリンク機能も採用されている。

新型揚陸艇は従来の揚陸艇と比べて以下の様な利点があるとされる。

1)低喫水:カタマラン船体の採用で1.02mという浅喫水を達成。様々な状態の海岸への揚陸が可能となった。
2)高速性:従来の揚陸艇に比べて1.6倍の速度となる20Ktsを達成。上陸までの時間短縮が可能となり、防衛側からの攻撃を受ける時間を減らす事ができる。
3)露天式車両甲板:搭載車両の武装を使用して上陸地点への攻撃を行うことが可能。中国軍は艦艇の貧弱な陸上制圧火力を補うため、揚陸艦艇に搭載した車両や火砲も火力支援に使用する。
4)コンパクト化と生存性向上:船体や艦橋を極力小型化する事により被発見率を低下させた。船体の水密ブロックを多く設け動力部を左右船体に分離することにより、被弾時の生存性を向上させている。

【バリエーション】
新型揚陸艇には船体中央部に大形艦橋を有する指揮型と、左右の双胴船体にそれぞれ小型艦橋を有する突撃型、艦の修理や支援任務を行う救難型の3種類が確認されている。

指揮型は遠距離通信が可能な能力の高い通式機材を搭載しており、司令部と各揚陸艇の間の連絡の要となって揚陸艇部隊の指揮を行う。

突撃型は主力戦車や水陸両用戦車、装甲兵員輸送車などの重装備を着上陸させるのが主任務である。新型揚陸艇の車両甲板はオープントップになっているが、これは搭載された装甲戦闘車両が自身の兵装を使用して揚陸地点への射撃を実施する事を可能とするための措置である。多連装ロケットや自走榴弾砲を搭載して、洋上から火力支援を行うことも想定している。新型揚陸艇は揚陸作戦の第一段階の成功後、橋頭堡への物資輸送任務を担当する。

救難型は曳航装置と修理機材を搭載しており、主に故障・被弾損傷した揚陸艇の整備や曳航を担当する。

新型揚陸艇は中国海軍が1960年代から70年代にかけて多数建造した067型汎用揚陸艇(ユーナン型/玉南型)などを更新する艦艇として建造が行われるものと思われる。

性能緒元
満載排水量
全長45.0m
全幅7.6m
主機12150ZC-5Aターボチャージドディーゼル(1,600馬力)2基2軸
速力20kts
航続距離300海里
乗員35名
搭載重量45トン

【電子兵装】
航海用レーダー1基

63A式水陸両用戦車90式装甲兵員輸送車を搭載する新型揚陸艇

▼63A式水陸両用戦車を揚陸させる新型揚陸艇

▼突撃型の艦橋(左)と揚陸用のランプドア周辺の様子(右)

▼新型揚陸艇の指揮型


【参考資料】
「中国推出新型海上装甲突撃運載平台」『兵器知識』 2008年第11A期(張魯寧・金亜寧)

中国海軍

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