日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼アメリカ海軍のバーベル級ディーゼル潜水艦


2001年4月、アメリカのブッシュ大統領は台湾への売却を承認した兵器群を発表した。その中には8隻のディーゼル推進潜水艦が含まれており、台湾では光華8号計画と呼ばれている。当初アメリカ政府はヨーロッパ諸国にこの潜水艦の建造を依頼し(アメリカでは原潜しか建造していないため)台湾に売却する予定だったが、いつものように中国が政治的圧力を掛けたためどの国も応じなかった。ドイツの214型やフランス・スペインのスコルペン級(S-80型)の導入を予定していたと思われる。

2003年11月、アメリカは台湾向けのバーべル級ディーゼル潜水艦改良型を発表した。バーべル級は1950年代にアメリカが建造した最後の通常動力潜水艦で、世界で初めて涙滴型船形と1軸推進を取り入れた当時としては画期的な潜水艦だった。バーべル級の設計資料はオランダと日本に譲渡されて、それぞれズヴァールドヴィス級とうずしお級の基本となっている。2003年に台湾と交渉を行ったアメリカは潜水艦8隻と関連施設の建造費、人員の訓練費、144本のMk48長魚雷などを総額120億ドルで提案した。しかし台湾は高過ぎるとしてこの提案を蹴っている。

2005年現在、台湾の陳水扁総統率いる民進党は立法院(国会)において少数与党であり、最大野党の国民党は2兆2,000億円にも上る新10年兵力整建計画の特別予算案を問題視し審議入りを40回も拒否し続けた。この異常事態に少数与党の陳政権は独力で法案通過を強行できず、アメリカ国防総省の高官は陳政権の対応の弱さにしびれを切らし「台湾に自己防衛の意思がなければ、米国に台湾防衛の義務はない」と警告する事態にまで発展している。

関係筋によればアメリカ側は潜水艦などの兵器売却について水面下で国民党との協議を進めており、国民党の英雄である馬主席の訪米も非公式に要請している。2005年12月に日本を訪問した国民党立法委員長・江丙坤副主席は「ディーゼル潜水艦、P-3C対潜哨戒機、パトリオットPAC3に関しては年度予算枠内での調達ならば反対しない」と発表しており、難航していた調達問題に解決の糸口が見えつつある。


【2006.03.02追記】
アメリカ下院軍事小委員会は台湾に供与する通常型潜水艦8隻の価格を120億ドルから80億ドルに引き下げる可能性があることを表明した。なお2005年9月にはトマス・クリステンセン次期米国務次官補代理が公聴会で、台湾への潜水艦やパトリオットPAC3の売却の反対を表明しており、アメリカ政府内部でも台湾への兵器供与に関して混乱が生じている模様。


【2007.01.20追記】
台湾立法院(国会)はアメリカからの兵器購入計画を2006年末にようやく可決した。しかし計画は当初の予定から大幅に削減されており、その中に含まれていたディーゼル潜水艦8隻の導入は、導入の為の予備調査と研究のみに留められた。

【2008年6月12日追記】
DefenseNewsの6月9日付の報道では、アメリカ国務省は議会に対して120億ドル相当の台湾への兵器輸出を凍結することを通知した。この中には、AH-64D戦闘ヘリ30機、UH-60汎用ヘリ60機、潜水艦8隻、パトリオットPAC-3地対空ミサイル4セット、F-16C/D 66機を含んでいる。凍結の理由としては中台関係への緊張を高めたくないとの配慮があるとされる。凍結の期限がいつまで継続されるか現時点では不明であるが、状況の展開によっては台湾の防衛政策に深刻な影響を与えかねない事態であるといえる。

【2008年10月5日追記】
10月4日、アメリカ国務省は議会に台湾向けの64億6300万ドルに及ぶ兵器輸出を通知した。上記の兵器供給の一時凍結が解除された形であるが、台湾側が要請していたディーゼル潜水艦8隻については、アメリカ側の内部審査を理由として輸出は実現しなかった[6]。

【2010年1月31日追記】
2010年1月29日、米国防安全保障協力機構は台湾に対して総額63.92億ドルに上る兵器輸出を行うこと米議会に通知した[7][8]。しかし、台湾が要求していたF-16C/Dの輸出と潜水艦の設計図提供については承認されなかった。これは台湾への兵器売却に対する中国側の反発を見越した一定の配慮であると見られている。

【参考資料】
[1]世界の艦船
[2]産経新聞「台湾に6800億円の武器売却、米政府が決定」(2008年10月4日)
[3]台湾月報
[4]軍武狂人夢
[5]Kojii.net
[6]DefenseNews 「U.S. Freezes $12B in Arms Sales to Taiwan」
[7]Defense News「Taipei Gets $6 Billion Arms Package Despite Beijing Threats」(2010年1月30日)
[8]asahi.com「米、台湾へ5800億円分の武器供与を決定 議会に通告」(2010年1月30日)

台湾海軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます