日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




022型ミサイル艇は一番艇が2004年4月に上海の求新造船所において進水した新型ミサイル艇。中国各地の合計6箇所の造船所で同型艇の建造が確認され、「Jane's fighting ships 2009-2010」によると022型は2009年までに56隻、資料[2]だと81隻と、かなりのハイスピードで建造が行われた。

NATOコードネームは「HouBei class」。NATOコードネームはコードネームに対応する漢字は提示していないので、外部の人間が発音に相当するであろう漢字を推定する事になる。HouBeiであれば、発音に忠実にするならば「侯杯」[8]、「侯北」[9]あたりを使うことになるが、良く見られるのは「紅稗(HongBai)」「紅杯(HongBei)」などの漢字名。「紅」の発音は本来「hóng/gōng」なので「Hou」にはならないが、NATOコードネームの命名法で中国ミサイル艇に共通して付与される「Hou」については「紅」の字が当てられる事が多く、022型の「HouBei」についてもその慣習が継承された形になっている。これは中国、台湾、日本などの漢字圏で共通して見られる事例である。

船型は双胴の船体の間に水面から離れたもう一つの船体を加えたもので、オーストラリアで開発された所謂ウェーブピアサー(波浪貫通型)船型と酷似している。「Jane's fighting ships 2007-2008」では、オーストラリアのAMDマリン・コンサルタンティング社が開発した民生用の42メートル・タイプが開発の元になったと報じた。その後の報道でその詳細が明らかになった。まず、中国はオーストラリアから、2002年までに7隻のウェーブピアサー式フェリーを輸入、その後、中国の広州船舶及海洋工程設計研究所は民間用高速フェリーの建造についてオーストラリアのAMD社に技術協力を要請した。両社は、シー・バス・インターナショナル社という名の合弁企業を設立し、AMD社は船体の設計とフランス製のディーゼル機関を提供し、中国でのウェーブピアサー式フェリーの生産が開始された。しかし、同時にその設計を転用したミサイル艇も開発され、これが022型ミサイル艇になったとのこと。オーストラリアは中国に対する武器輸出について、完全禁止はしていないが、数多くの規制を行っている。しかし、今回の技術移転は、民間業者同士で民用技術として移転された物であり、武器輸出規制違反には当らなかった。

ウェーブピアサーは船体抵抗の大幅な減少を狙って極端に細長い船体を利用、復元性能を確保するために双胴とした旅客船の建造から始まったものだが、構造上の問題もあって外洋での航海を目指したものではなかった。外洋での運行にはある程度以上の船の長さが必要で、その点から考えると本艇は沿海域での運用を考えたものだろう。022型のもう1つの特徴は、船体の各部にステルス性を強く意識した設計が施されていることである。

性能の詳細については下記の通り。排水量220トン、全長43m、全幅12m。機関はディーゼル2基、ウォータージェット4基を有し速力は36ノット(40ノット以上との推測もある)。兵装はYJ-83艦対艦ミサイル四連装発射機二基とH/PJ-13(AK-630M)30mmCIWS一門。フリゲートなどではH/PJ-13の照準用に347G型(EFR-1/Rice Lamp)射撃統制レーダーを搭載しているが、022型では船体サイズの問題から射撃統制レーダーではなく武漢華之洋光光電系統有限責任公司製のHEOS-300光学電子照準装置を使っている。そのため、対艦ミサイルに対する反応性には問題があると見られる。ただし、HEOS-300は自らレーダー波を発しないセンサーであり、これは被発見性を低下させることを優先した措置と思われる。対艦ミサイルに対しては、30mmCIWSの両側面に搭載されたチャフ/フレア発射機によるソフトキル方式も活用される。電子装備は362型(ESR-1)水上/対空捜索用レーダーと航海用レーダーと比較的簡略であり、単独では水平線外の目標を探知するのは困難である。そのため、水平線外の目標攻撃には、他の艦艇やYJ-8J洋上哨戒機などが探知した目標情報をデータリンク機能を介して入手する必要がある。022型が搭載するYJ-83(射程150〜200km)もデータリンクにより飛行中に軌道を修正するアップデート機能を有している。

2007年4月1日に、022型の一隻が上海の黄浦江で座礁事故を起こしていたことが分かった。翌日にはクレーンで引き上げられて曳航されていったとの事。

【022型配備の目的】
022型ミサイル艇は2005年の一番艇就役からわずか4年間の間に56〜81隻という大量建造が行われた。平時としては異例の量産ペースであるが、これは当時、中国との関係が緊張していた台湾の民進党政権と、台湾有事に際して介入の可能性があるアメリカを牽制する狙いが存在した[11]。大量建造された022型は、台湾に対しては洋上封鎖手段として、アメリカに対しては有事のリスクを上げることで介入を抑制する「A2/AD(接近阻止・領域拒否)戦略」のユニットとして機能することが期待された[11]。

結果として台湾海峡の緊張が有事に転ずることはなく、2010年代に入ると中国海軍の戦略の変化、域外任務の活発化に伴い、艦艇の調達方針も外洋での活動を重視したフリゲートや駆逐艦の整備に移行。沿岸防衛用艦艇についても、ミサイル艇や哨戒艇よりも大型で領海警備や対潜哨戒など多様な任務に対応可能な056型コルベット(056型軽型護衛艦)が重点的に調達されるようになった。そのため、022型は現時点では中国海軍が調達した最後のミサイル艇となった。とはいえ、大量建造された022型は、海軍沿岸防衛部隊のYJ-62A(鷹撃62A)地対艦ミサイルや海軍航空隊のJH-7/JH-7A戦闘爆撃機等と共に、中国の近海防衛戦力の一翼を担っているのは間違いない所である。

【輸出型】
アブダビで開催されたIDEX2019国際兵器ショーで022型ミサイル艇の輸出版「45米外貿双体導弾艇(45m輸出型カタマランミサイル艇)」の模型が展示された[11]。基本的な艦型はタイプシップである022型を踏襲しているが、対艦ミサイルの搭載方式が変更されているのが特徴。022型はステルス性に配慮してYJ-83艦対艦ミサイルの四連装発射機二基を船体後部構造物内に収納しているが、45m輸出型カタマランミサイル艇で船体後部にC-802A対艦ミサイルの連装発射機二基をむき出しに搭載している。これはステルス性という点では明らかに不利に働く変更だが、資料[11]では〜ヂ旅渋なに収納する方式に比べミサイル発射機搭載の手間が軽減される、022型の艦内収納方式ではYJ-83以外のサイズの異なるミサイルを積むのは困難だが、船体外部に置くことでさまざまな種類の対艦ミサイルの搭載が可能となりユーザーの選択肢が広がる、などのメリットの方を重視したのではないかと分析している[11]。自衛火器としては022型と同じくH/PJ-13型 30mmCIWS一基を搭載しており、同機関砲には「NG-18」の輸出名称が付与されている[11]。

性能緒元
排水量220t
全長43.0m
全幅12.0m
主機ディーゼル ウォータージェット4軸
 2基(6,865馬力)
速力36kts(40kts以上との説もある)
乗員12〜14名

【兵装】
対艦ミサイルYJ-83艦対艦ミサイル(鷹撃83/C-803)/4連装発射筒2基
近接防御H/PJ-13(AK-630M)30mmCIWS1基

【電子兵装】
水上捜索用レーダー362型(ESR-1)1基
航海用レーダー 1基
火器管制システム(機関砲用)HEOS-3001基
チャフ/フレア2基

同型艦
1番艇22082005年就役
以下、合計56隻が2009年までに就役[1]。2009年7月時点で、合計81隻が配備されたの情報も[2]。


▼単縦陣で進む022型の編隊。各艇で迷彩パターンが異なる

▼YJ-83対艦ミサイルを発射する022型

▼022型の前部に装備されているAK-630 CIWSのシールド内部。ベルトリンクが見える

▼独特なカタマラン船型がよく分かる一枚

▼022型のブリッヂ(左)と戦闘指揮所(右)


▼北海艦隊所属の022型の訓練動画。AK-630射撃訓練、フレアの発射など


【参考資料】
[1]Jane's fighting ships 2007-2008 (Jane's Information Group)
[2]Jane's Information Group公式サイト「All at sea - China's navy develops fast attack craft」(2009年7月30日)
[3]Chinese Defence Today「Type 022 (Houbei Class) Fast Attack Missile Craft」
[4]ABC News「Aussie firm helps build China's new missile catamarans」(2008年2月1日)
[5]武漢華之洋光光電系統有限責任公司公式サイト
[6]Jane's Fighting Ships 2009-2010(Stephen Saunders (編)/2009年6月23日/Janes Information Group)149頁
[8]人民解放軍-党と国家戦略を支える230万人の実力(竹田純一/ビジネス社/2008年) 329頁
[9]環球網「簡氏:中国将装備81艘022型隠身導弾艇」(2009年8月5日)
[10]世界の艦船(海人社)
[11]胡晓明「双体隐身导弹艇在中东扩散将会如何?」『现代舰船』2019.08/No.654(中国船舶重工集团公司/现代舰船杂志社/43〜48ページ)

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