日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




1991年に存在が確認(一番艦の中国海軍への就役は1993年)された大型ミサイル艇で建造は全て上海の求新造船廠で行われた[1][2]。中国海軍が保有する037-IG型の数は資料によって異同があり、16隻[1][2]、20隻[3][4]、24隻[5]などの説がある。

NATOコードはHouXin class[1]。NATOコードネームはアルファベットのみで発音に対応する漢字を提示しないため、外部の人間が発音に相当すると思われる漢字を推定する事になる。「HouXin」の漢字としてよく使われるのは「紅星(hóng xīng)」だが、実は「紅hóng」も「星xīng」も「Hou」や「Xin」とは発音しない。NATOコードネームの命名法で中国ミサイル艇に共通して付与される「Hou」については似た発音の「紅hóng」の字が当てられる事が多く、037-IG型についてもその慣習が継承された形になっている。これは中国、台湾、日本などの漢字媒体で共通して見られる事例である。

【開発経緯】
1980年代初期、中国では1997年にイギリスから返還予定の香港に配備する艦艇に関するスタディを開始した[2]。これに応じたのは第701研究所と第708研究所の2つの艦艇開発研究機関[2]。両研究所の提案は037型哨戒艇(ハイナン型/海南型)の改良型である037-I型哨戒艇(ハイチウ型/海久型)をベースとしたミサイル艇であった。701研究所の案は改修範囲を限定した比較的安価なプランだったのに対して、708研究所は大幅な設計変更を行いフリゲート並みの戦闘情報システムを搭載した高性能なミサイル艇を提案[2]。最終的に708研究所の設計案が香港駐屯艦隊の新型ミサイル艇として採用され、 037-II型ミサイル艇(ホウチェン型/紅箭型)として配備されることになった。同時に701研究所の比較的安価なミサイル艇設計案についても、取得性の高さや多数が建造された037型哨戒艇(ハイナン型/海南型)との共通性が高いことが評価され037-IG型ミサイル哨戒艇として制式採用されることが決定された[2]。

この決定の背景としては、1970年代末から南シナ海では南沙諸島の領有権や領海をめぐって各国の間で緊張が高まっていたことが挙げられる。実際、中国海軍とヴェトナム海軍の間では数度に渡って武力衝突が発生していた。中国海軍ではこの情勢に対応するため、領海警備能力の向上を進めており、037-IG型の調達もその一環として実施されたものと推測される。

【性能】
037-IG型の船体構造や装備の配置は、前述の通り037-I型哨戒艇(ハイチウ型/海久型)や同級のタイプシップとなった037型哨戒艇(ハイナン型/海南型)を基本的に踏襲している。

船体は平甲板型を採用し、船体中央部に上部構造物を配置している。艦のサイズや排水量は037-I型とほぼ同じ。大きく変わったのは機関であり、037-I型の中国製12VE230ZC型(2,200hp)ディーゼル4基、4軸から、フランスから導入したSEMT-Pielstick 12PA 6280 MPCディーゼルエンジン(4,400hp)3基、3軸に変更された([2]を参照。機関については4基、4軸説もある[1][4])。合計出力は037-I型が8,800hp(注:近代化改装後は11,000hp)なのに対して、037-IG型は13,200hpと大きく向上しており[2][5]、最高速力は037-I型よりも4kts(改装艦よりも2kts)速い32ktsに達している[2]。出力は大きく向上しているが、航続距離については前級と同じ750nm/18ktsを確保している[2]。乗員定数は、037-I型よりも12名減少して60名となっている[2]。

【兵装】
037-IG型はミサイル艇として開発されたこともあり、その兵装は対潜を主任務とする037/037-I型とは全く異なるものとなった。主兵装は艦尾に搭載されたYJ-8(C-801)対艦ミサイル 連装発射機2基[2]。YJ-8は中国海軍第一世代のシースキマー型対艦ミサイルで、最高速度マッハ0.9、最大射程は42km[5]。目標の探知にはラティスマスト上部に搭載された352E1型対水上/対空捜索レーダーを使用[2][5]。対空・対水上用の近接火器として76A式37mm連装機関砲14.5mm連装機関銃をそれぞれ2基ずつ装備している[5]。76A式は無人砲塔、レーダー管制式の中国第一世代のCIWS(Close In Weapon System:近接防御火器システム)。艦橋直前に二基搭載されている 14.5mm連装機関銃は操砲は人力で高度な管制装置も装備していないが、領海警備任務においては一定の有効性を持つ装備といえる。タイプシップである037/037-I型が重視していた対潜兵器については一切搭載しておらず、ソナーも装備されなかった。ただし、後に一部の艦でソナーが追加装備されたとの情報もある[2]。

【総括】
037-IG型は調達コストを抑えた領海警備を主任務とするミサイル艇であり、高性能・高コストの037-II型ミサイル艇(ホウチェン型/紅箭型)が6隻の建造に留まったのに対して16〜24隻が建造されたことから、同級のコンセプトは当時の中国海軍のニーズに合ったものだったと考えられる。037-IG型は1995年から1997年にかけてミャンマーに6隻が輸出されている[5]。

性能緒元
満載排水量478t
全長62.8m
全幅7.2m
主機SEMT-Pielstick 12PA 6280 MPCディーゼルエンジンディーゼル 3基 3軸(13,200馬力)
速力32kts
航続距離750nm/18kts
乗員71名

【兵装】
対艦ミサイルYJ-8(鷹撃8/C-801/CSS-N-4 Sardine)/ 連装発射機2基
近接防御76A式37mm連装機関砲2基
 14.5mm連装機関銃2基

【電子兵装】
対水上/対空捜索レーダー352E1型(Square Tie) 1基
火器管制レーダー347G型(EFR-1/Rice Lamp)37mm機関砲用1基
航海レーダーAnritsu Type7231基
ECM/ESM装置 

同型艇
1号艇莱陽Càiyáng651上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
2号艇莱西Càixī652上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
3号艇曲阜Qūfù653上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
4号艇成武Chéngwǔ654上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
5号艇乳山Rǔnshān655上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
6号艇寿光Shòuguāng656上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
7号艇金沙Jīnshā751上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
8号艇余慶Yúqìng752上海求新造船廠で建造。南海艦隊に配属。2015年6月16日退役、記念艦として保存[6]。-
9号艇東安Dōngān753上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
10号艇三都Sāndū754上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
11号艇潮陽Cháoyáng755上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
12号艇澄海Dènghǎi756上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
13号艇古田Gǔtián757上海求新造船廠で建造東海艦隊所属
14号艇永春Yǒngchūn758上海求新造船廠で建造東海艦隊所属
15号艇福清Fúqīng759上海求新造船廠で建造東海艦隊所属
16号艇長楽Chánglè760上海求新造船廠で建造東海艦隊所属
17号艇龍岩Lóngyán764上海求新造船廠で建造東海艦隊所属
18号艇上杭Shàngháng765上海求新造船廠で建造東海艦隊所属
19号艇福鼎Fúdǐng766上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
20号艇福安F ú'ān767上海求新造船廠で建造南海艦隊所属
(参照[4])


▼後方から見た037-IG型。YJ-8対艦ミサイルのランチャーは外されて架台のみになっている


【参考資料】
[1]Jane's Fighting Ships 2009-2010(Stephen Saunders (編) /2009年6月23日 /Janes Information Group)139頁。
[2]MDC軍武狂人夢「中國上一代導彈快艇/導彈巡邏艦」
[3]『世界の艦船』2005年9月号(海人社)39ページ
[4]百度百科「红星级导弹艇」
[5]Chinese Defence Today「Type 037-IG (Houxin Class) Missile Corvette」
[6]新浪網「我海军退役037IG导弹艇余庆艇移交军事博物馆」(2015年6月19日)

中国海軍

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