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039A型(NATOコード:Yuan/元)は2004年に初めて存在が確認された中国最新の国産通常動力型潜水艦で、現在4隻が南海艦隊に就役中[1]。2番艦以降は、1番艦の試験運用の成果を踏まえて各部に設計変更が施されていることからタイプ名が039B型に変更されているとの情報もある[2]。

039A型の上部構造物の形状はロシア製のキロ級潜水艦の影響を強く受けており、また複殻式・涙滴型の船体形状も877型と似ているため、当初は877型の改良型とも思われていた。しかし船体形状は039型潜水艦(ソン型/宋型)のそれを基本として水中抵抗の減少を図ったものであり、艦尾の4枚舵の配置も039型と共通していることから、039A型は877型で得られた技術を039型に盛り込んで近代化した性能向上タイプと推測されている[3][4]。877型を設計したロシアのルービン設計局は039型の設計についての技術支援は行っていないと表明しており、039A形の設計は、中国独自に行われたことを裏付けている[5]。水中排水量は推定3,600tで、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」型よりひと回り以上小さい。

艦首の形状は039型に比べれば球形に近くなっており、はるかに洗練された形になっている。上構に設けられているスリットは船体のほぼ全長に渡って設けられている。これは中国製潜水艦の特徴で、現在では他国の潜水艦ではあまり見ることが出来ない[3]。船体には877型や039型と同様、全面に無反響タイルが貼られている[2][4]。ただし「そうりゅう」型潜水艦やドイツの214型潜水艦のように、静粛性向上のためのセイル前面基部整形フィレットは装備していない。

主機は039型のものを踏襲しており、これに加えて水中での駆動が可能なAIP(Air Independent Propulsion:大気非依存型推進)機関を備えている可能性が高いとされる[2][5]。「科技日報」誌の報道によると、039A型に搭載されているAIP機関は、中国船舶重工業集団第711研究所の下部組織である上海斉耀動力技術有限公司が開発したスターリング機関であるとのこと。出力は10万ワット[2][6]。

魚雷発射管は艦首に6門、上部2門、下部4門と二段式に配置している。これは艦首下部にソナーを配置するための配置であり、これにより039型よりもバウソナーを大型化することに成功した[6]。YU-4対艦魚雷(魚4)YU-5対潜魚雷(魚5)などの各種魚雷に加えて、水中発射式のYJ-82対艦ミサイル、そして新型USMであるYJ-18艦対艦ミサイル(鷹撃18/CH-SS-NX-13)の運用能力を有している。また、魚雷や対艦ミサイルに代えて18〜24発の機雷を搭載することも可能[5]。

ソナーは、艦首下部にパッシブ/アクティブ兼用のバウソナーを備えており、ほかにパッシブ測距ソナーとフランク・アレイ・ソナーを搭載している。039A/B型はパッシブソナーの能力を重視しており、バウソナーを大型化したこともあり水中探査能力は039型に比べて大きく向上している[5]。艦尾の縦舵の形状から、曳航式ソナーを備えている可能性も指摘されている[5]。

性能緒元
水中排水量2,300t
水中排水量3,600t
全長77.6m
全幅8.4m
喫水5.5m
主機ディーゼル・エレクトリック 1軸
 MTU 16V-396SE8 ディーゼル 2基(5,000馬力)
AIP機関スターリング機関(推測)
水上速力  
水中速力  
航続距離  
最大潜行深度  
乗員58名

【兵装】
魚雷533mm魚雷発射管6門
 YU-4対艦魚雷(魚4)YU-5対潜魚雷(魚5) 
機雷  18〜24発搭載可能
対艦ミサイルYJ-82
YJ-18艦対艦ミサイル(鷹撃18/CH-SS-NX-13)

【電子兵装】
ESM1基
対水上レーダー1基
兵器システム統合型指揮・兵器管制システム
ソナーバウソナー(パッシブ/アクティブ)1基
パッシブ測距ソナー1基
フランク・アレイ・ソナー

同型艦
1番艦039A型330武漢造船廠で建造、2004年5月進水、2004年12月就役南海艦隊所属
2番艦039A型331武漢造船廠で建造、2004年12月進水南海艦隊所属
3番艦039A型332武漢造船廠で建造、2008年1月進水南海艦隊所属
4番艦039A型武漢造船廠で建造南海艦隊所属
5番艦039B型武漢造船廠で建造中、2010年10月進水 
6番艦039B型武漢造船廠で建造中、2011年1月進水 
7番艦039B型上海江南造船廠長興造船区で建造中 
8番艦039B型上海江南造船廠長興造船区で建造中 
9番艦039B型武漢造船廠で建造中、2011年末進水 
10番艦039B型武漢造船廠で建造中、2011年末進水 
11番艦   
12番艦   
13番艦   
14番艦   


▼後方から見た039A型。艦尾縦舵上に何かを収容しているような膨らみがある

▼進水式前のユアン型。スマートな涙滴型の船体が分かる

▼無反響タイルを船体の全面に装着している

▼セイル上の各種マストとシュノーケル。セイルにも無反響タイルを装着している


【参考資料】
[1]「潜水艦「元」型」(『世界の艦船』2011年9月号/No.747/海人社)27頁
[2]Chinese Defence Today「Type 039A-B (Yuan Class) Diesel-Electric Submarine」
[3]「注目の中国新型艦艇[1]「元」型潜水艦」(『世界の艦船』2005年9月号/No.647/海人社)78〜79頁
[4]中国武器大全「041“元”级常规动力潜艇」
[5]軍武狂人夢「039A元級柴電攻擊潛艦」
[6]星島環球網-「中国掌握静音発動機技術、已成功用於潜艇」(2008年1月31日)

中国海軍

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