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rglc85tj8h 2007年12月23日(日) 19:57:29履歴
▼外装式防盾を備えた砲塔を搭載した87式試作車。

▼内装式防盾を備えた砲塔を搭載した87式試作車。

■性能緒元
重量 | 18.0トン |
全長 | |
全幅 | |
全高 | |
エンジン | BF8L413F ターボ・チャージド空冷ディーゼル 320hp |
最高速度 | 80km/h |
航続距離 | 800km |
武装 | 105mmライフル砲×1(36発) |
12.7mm重機関銃×1(500発) | |
7.62mm機関銃×1(2,000発) | |
装甲 | |
乗員 | 4名 |
87式105mm装輪対戦車自走砲は、90式装輪装甲車(WZ-551)に105mmライフル砲を搭載した自走対戦車砲である。なお、87式の名称は通称であり、軍の制式名称では無いとのこと。
本車の開発は、先に開発された87式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-87)の火力不足に起因する。PTL-87の100mm滑腔砲ではAPFSDS弾を使用しても、第三世代戦車の複合装甲や爆発反応装甲に対して充分な貫通力を持たないと評価された。これは、車載化に伴う低反動化等の改修が貫通力の低下を招いたものと推測される。この点を解消するために、100mm砲よりも威力の高い105mmライフル砲をWZ-551に搭載することで威力不足の問題に対処することが決定された。
本車の試作型として外装式の防盾で全体的に角張った形状の砲塔と、防盾が内装式で前者よりも砲塔の全高が低い砲塔が製作された。試験の結果、後者をベースにして開発を行うことが決定された。この砲塔は63A式水陸両用戦車(WZ-213/ZTS-63A)の砲塔を元に開発され、射撃統制システムや視察/暗視装置も63A式に習っている。砲塔左部に砲手、その後方に車長、砲塔右部に装填手が搭乗する。砲塔側面には発煙弾発射機が左右に各4基装備され、砲塔後部にはHEAT弾対策を兼ねた物資搭載用ラックが設けられている。補助武装としては、砲塔上部の装填手用ハッチに対地・対空用の12.7mm機関砲が、砲塔正面右部に7.62mm機関銃が搭載されている。
105mmライフル砲は装填補助装置により毎分8発の発射速度をもち、最大有効射程は5,000mとなっている。この105mmライフル砲はAPFSDS(装弾筒付徹甲弾)、HE(高性能榴弾)、HEAT(対戦車榴弾)を発射でき、APFSDS弾を使用すると2000mの射距離で500mmの均質圧延鋼板(RHA)を貫徹可能。
105mm砲の搭載により、PTL-87に比較して一定の火力強化を実現することに成功したが、砲塔を搭載するプラットホームである90式装輪装甲車(WZ-551)はほとんど改造されていなかった。そのため、PTL-87で問題になった機動力の低さ、防御能力の不足、車高が高く被発見率が高いなどのも問題も、そのまま継承されていた。また、車体重量が砲の反動を吸収しきれないため、発射後車体が大きく揺れ次弾発射に支障をきたすことになった。最終的に、本車の改良は中途半端で、設計変更に見合った能力向上が見込めないとのことで、87式105mm対戦車自走砲は装輪対戦車自走砲の技術実証車として、主に低反動105mmライフル砲の実用試験に供されることになり、実用化は見送られることとなった。
その後の装輪対戦車自走砲としては、シャーシを92式装輪装甲車(WZ-551A/ZSL-92)に変更し、砲発射式対戦車ミサイルの運用能力を有する02式100mm装輪自走対戦車砲(PTL-02)が開発・実用化されることになり、さらに同じ車体を使用した105mm装輪自走対戦車砲が試作されることになる。
【関連項目】
90式/92式装輪装甲車(WZ-551/WZ-551A)
90式/92式装輪装甲車の派生型
中国陸軍