922-III型潜水艦救難艦（中国語では922-III型打撈救生船）は1976年に就役した922-II型潜水艦救難艦の改良型[1]。NATOコードはDALANG class（ダーラン型/大浪型）
922-II型「南救503」の就役から2年後の1978年、改良型「922-III型」の開発計画が正式に承認された[2]。設計作業は1982年9月に完了。同年12月20日から湖南省武昌造船廠において1番艦の建造が開始された。1983年5月20日に進水し、1986年4月17日には上海で最初の公試を実施した。同年5月28日〜6月17日にかけて舟山列島で航海試験を行い艦船としての性能を確認、7月21日〜9月2日にかけて青島や大連近海において潜水艦救難性能などの試験が実施された。その後、青島北海廠において改修作業を行い、修理や整備を行うと共に試験で明らかになった問題点の改善がなされた。翌1987年3月16日に青島において海軍への引渡し式が挙行され、北海艦隊防救大隊に配属され艦番号「北救122」が付与された[1][2]。922-III型は合計4隻が建造され北海、東海、南海艦隊の3艦隊全てに配備されている[1]。2番艦「東救332」以降は艦橋構造物を拡大するなどの設計変更が施されているため922-III型改と呼ばれる事もある。
922-III型は前級922-II型の改良型であり、基本的な設計や各種性能については922-II型を踏襲している部分が多い。外観上の目立つ変更点としては、後部クレーンの位置が上部構造物後端部から後部甲板に移設された程度。ただし前級の運用経験を参考にして各種装備の改良が行われている[3]。兵装についても922-II型と同じ37mm連装機関砲2基。922-III型の後期建造艦（922-III型改）は艦橋構造物を大型化している事から、922-III型との識別は容易。艦橋構造物の拡大に伴って922-III型では艦橋直前に搭載されていた37mm連装機関砲2基は廃止されている。救難活動中や港湾内での横移動を容易にするためにバウ・スラスターが新たに装備されている。
■性能緒元
| 満載排水量 | 4,500t |
| 全長 | 112.0m |
| 全幅 | 15.6m |
| 主機 | ディーゼル2基（合計4,00hp） 2軸 |
| 速力 | 20kts |
| 航続距離 | 8,000nm/14kts、3,500nm/18kts |
| 乗員 | 156名 |
【兵装】
| 近接防御火器 | 37mm連装機関砲 | 2基（北救122のみ） |
■同型艦
| 1番艦 | 北救122 | Běijiù122 | 湖北省武昌造船廠で建造。1982年12月20日起工、1983年5月20日進水、1987年3月16日就役 | 北海艦隊所属 |
| 2番艦 | 東救332 | Dōngjiù332 | 湖北省武昌造船廠で建造 | 東海艦隊所属 |
| 3番艦 | 北救138 | Běijiù138 | 湖北省武昌造船廠で建造 | 北海艦隊所属 |
| 4番艦 | 南救510 | Nánjiù510 | 湖北省武昌造船廠で建造 | 南海艦隊所属 |
▼1番艦「北救122」。艦橋前に37mm連装機関砲を装備している。煙突は楕円型
▼1番艦と比べて艦橋構造物が拡大された2番艦「東救332」。艦橋前の37mm連装機関砲は装備していない
【参考資料】
[1]Chinese Defence Today「Type 922-II/-III (Dalang Class) Submarine Salvage & Rescue Ship」
[2]鼎盛军事「922�供�922�卦濱限�捞船（南救503、北救122）」（2006年6月5日）
[3]鼎盛军事「992型、922型打捞船、930型潜艇救生船（东救301等）」
【関連事項】
922-II型潜水艦救難艦（ダーラン型））
中国海軍