C-705対艦ミサイル
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rglc85tj8h 2013年04月01日(月) 04:31:34履歴
▼2012年11月に開催された珠海航空ショーで展示されたC-705
C-705対艦ミサイル（中国語名はC-705多用途導弾）は、中国航天科工集団公司（CASIC）が自主開発した対艦・対地攻撃が可能な多用途ミサイル[1]。開発作業は、CASIC傘下の航天第三研究院（海鷹機電技術研究院）が担当。2008年の珠海航空ショーにおいてその存在が公開された[1][2]。
CASICでは、C-701/C-704を短射程対艦ミサイル、C-705/C-802/C-802Aを中射程対艦ミサイル、C-602を長射程対艦ミサイルとして、ユーザーの多用な要望に応じることが可能なラインナップをそろえて各国への輸出を図っている[3]。C-705はC-802/C-802Aと共に中距離対艦ミサイルと位置づけられているが、C-802/C-802Aが中〜大型艦艇への攻撃を目的として開発された比較的大型でコストも高いミサイルであるのに対して、C-705はC-802と遜色無い性能とコストの低減を両立することが求められた[3]。
C-705は、当初から国際市場向けに開発されたのが特徴であり、特に兵器購入能力が限られている中小国でも調達・運用できるミサイルを目指していた[1]。そのため、開発においてはコストの低減と運用の省力化が重要なポイントとなった。また、艦対艦型、地対艦型、空対艦型が当初から想定され、購入国が要望するプラットフォームであれば艦艇や航空機、地上車両や固定陣地などいずれのタイプでも対応できるようにされた。基本型は対艦ミサイルであるが、ユーザーの要望に応じて対艦攻撃や対地攻撃など各種任務に対応し得る派生型を開発することも当初から事も想定されていた[1]。前述の通り、設計においては十分な整備能力を有さないユーザーでも運用が可能なように整備や修理にかかる手間も極力抑えることが目標とされ、各コンポーネンツのモジュール化をはじめとして信頼性向上のための様々な措置が施されている[1]。
C-705の外観は直線翼の主翼にX字型尾翼の組み合わせで、これは中国海軍で採用されているYJ-62に似ているが、その重量はYJ-62の三分の一程度という小柄なミサイルである[1]。主翼は折りたたみ式で、発射筒から射出後に展開される。胴体後部下方にはターボジェットエンジンの吸気用のインテークが配置されている。尾翼直後には固体ロケットブースターが装着されており、ミサイルランチャーからの射出の際に用いられる[1]。
C-705の最大射程は140km（参考資料[1]に拠る。参考資料[7]だとブースターなしで75〜80km、ブースターつきで170kmという数値を提示している）。推進力は胴体後部に内蔵したターボジェットエンジンにより得ている[1]。このエンジンはジェット機と同じ燃料を使用し、エンジンへの燃料供給は先進的な電子燃料調節技術を用いている[1]。これは従来の機械式燃料調整技術と比べて燃焼効率を大幅に改善するメリットがあり、小型な割に長い射程を確保することに成功した[1]。C-705は、ミサイル小型化のため、集積回路の使用を出来るだけ拡大し、システムの重量を軽減する努力が行われている[1]。C-705の弾頭部分の重量は130kg[1]。これは以前に開発されたC-802に比べて35kg軽いが、技術の進歩と設計面の配慮によりC-705の弾頭部の威力は多くの状況においてC-802を上回るとしている[1]。
C-705の誘導システムは、中間段階が慣性航法と衛星位置測定システム（具体的なシステムについてはGPS、GLONASS、北斗などの名が挙がっている[4][5]）の併用、終末段階でアクティブ・レーダー誘導方式[1]。誘導システムの設計ではモジュール化概念が採用されており、対地攻撃任務の場合は、レーダーシーカーを赤外線/光学電子センサーに換装して終末誘導をTV誘導方式にすることも想定されている[1]。ミサイルの発射後の飛翔コース変更が可能であり、敵から発見され難い方向からの進入が出来る[1]。慣性航法システムにはデジタルモジュール入力システムが採用されており、以前の慣性航法システムに比べて精度が高められている[3]。
【輸出状況と派生型】
CASICでは2008年以降、C-705の輸出を目指して各国への売込みを行っており、インドネシア海軍での採用に成功している[5][6]。インドネシアでは中国からの技術移転を受けてC-705のライセンス生産を行うための協議を行っており、今後さらなる配備が進められると見込まれている[6]。
なお、C-705は輸出専用ミサイルとして開発されたためか、中国軍での運用はこれまでのところ確認されていない。
2012年11月に開催された珠海航空ショーでは、C-705の派生型としてC-705KD空対地ミサイルが公開された[3]。C-705KDは、C-705の空対地型をベースとして開発されており、終末誘導システムとしてはC-705対地攻撃型と同じTV誘導方式、もしくは赤外線画像方式のいずれかを使用する[3][9]。射程は200km以上に延伸されており、搭載機にスタンド・オフ攻撃能力を付与することになる[9]。
C-705KDは、新たに追加された双方向の情報伝達が可能な画像指令データリンク機能を用いて、ミサイルのセンサーが捕らえた目標情報をもとにして目標に突入させる[3][9]。発射後の飛翔コース変更能力も踏襲されており、重要度の高い目標を発見した場合、ミサイルをそちらに指向させることも可能。このほか、武器管制員の負担を軽減するため、複数の飛翔コース設定能力や攻撃ルートの自動選択機能などが備えられている[3]。
■性能緒元（C-705）
| 全長 | |
| 直径 | |
| 重量 | 320kg |
| 弾頭重量 | 130kg |
| 推進装置 | ターボジェットエンジン |
| 最大速度 | マッハ0.6〜0.8 |
| 射程 | 140km |
| 誘導方式（対艦攻撃型） | 慣性誘導＋衛星位置測定システム（中間）/アクティブ・レーダー誘導（終末） |
| （対地攻撃型） | 慣性誘導＋衛星位置測定システム（中間）/TV・赤外線誘導（終末） |
【参考資料】
[1]李華「国産C-705多用途導弾—多用途多平台的多面手―」（『兵器』2013年1月号/総164期/《兵器》雑誌社）36〜37ページ
[2]石江月・張錦「国産新型反艦導弾縦覧」（『兵工科技 2008増刊 2008珠海航展専輯』/兵工科技雑誌社）40〜45ページ
[3]腾讯网「C705KD空对地导弹：重量轻巧威力射程不减」（2012年11月15日）
[4]Lenta.ru「Индонезия оснастит ракетные катера китайскими ракетами」（2011年9月２８日）
[5]中華網「印尼正洽谈购C-705反舰导弹 射程170公里」（2009年12月22日）
[6]TEMPO電子版「Rudal Cina Akan Dikembangkan di Indonesia」（2013年1月29日）
[7]Bangladesh Defence「Bangladesh Navy Large Patrol Vessel BNS Durjoy」（2013年2月）
[8]IndoMiliter「C-705 Rudal Pamungkas Andalan Kapal Cepat TNI AL」（2011年8月8日）
[9]Gordon Arthur・平可夫「珠海亮相的武器進一歩深度分析」（『漢和防務評論』2013年3月号/No.101）50〜54ページ
中国海軍